登場人物・キャラクター
阿川 宗則 (あがわ むねのり)
「レーブル化粧品」の営業部に所属する23歳の男性社員。天海玲菜のかかっている奇病「進行性減齢症候群」の症状を止める「ACS酵素」を体内に所有している。高校時代の彼女である泉谷由梨からは「むっちゃん」と呼ばれていた。由梨にひどい形で振られたトラウマのため恋愛に臆病になっていたが、玲菜との出会いをきっかけに克服。 会社の先輩である麻生沙也子に想いを伝え恋人同士になる。だが、玲菜を助けるためには定期的に彼女とキスをしなければならず、玲菜と沙也子という2人の女性の間で右往左往することになる。
天海 玲菜 (あまみ れな)
邦城大学に通う女子大生。名前の「菜」の字が好きではなく、「れな」もしくは「レナ」と呼ばれることを好む。高校時代のあだ名は「ミレ」。年齢は19歳だが、徐々に若返ってしまう奇病「進行性減齢症候群」にかかっており、阿川宗則と出会った時の見た目は15~16歳くらいだった。若返りを止めるには「ACS酵素」を持つ者とキスをしなければならず、大人に戻りたい一心から、主治医の仙道寺徳子が非合法な方法で手に入れた「ACS酵素」保持者のデータを入手。 酵素を持つ阿川の家に押しかけ、ひと悶着の末にどうにかキスしてもらう。これで症状が治まったかにみえたが、再び病気が進行し、ついには10歳くらいの姿に変貌。治療のため阿川と定期的にキスをしなければならなくなる。 阿川と彼の恋人である麻生沙也子の間に割って入る形になってしまい、さまざまなトラブルに直面する。しかし、2人との絆を徐々に深めていき、彼らと一緒に生きていこうと決意。起業した沙也子を助けるため、彼女が企画したローティーン向け化粧品のイメージキャラクターを引き受ける。「REICO」の名で出演したCMが大ヒットを記録したため、一躍国民的人気スターになってしまう。
麻生 沙也子 (あそう さやこ)
レーブル化粧品の宣伝部に属する26歳の女性社員。話題の広告を次々と仕掛けるやり手のクールビューティー。実はツンデレ気質で子供っぽいところがある。過去の恋愛の失敗のため、男に対して斜に構えていた。自分への想いをストレートにぶつける阿川宗則の気持ちに推されて、彼と恋人同士になる。やがて、自分も阿川に強く惹かれていることを自覚し、彼を絶対に手放したくないと思うまでになる。 ところが、阿川とキスをしないと生きていけない少女、天海玲菜の存在を知って嫉妬に苦しむ。
加護 智絵 (かご ちえ)
レーブル化粧品の女性社員。阿川宗則が営業を担当している南部百貨店のBA(「ビューティー・アドバイザー」の略で美容部員のこと)。男好きのする巨乳の小悪魔タイプで、いい女に惚れられている男をモノにしたがる悪いクセがある。同じ売り場の後藤翔子とは天敵同士の間柄で、何かといざこざを起こすため、阿川の悩みの種になっている。
後藤 翔子 (ごとう しょうこ)
阿川宗則が営業を担当する南武百貨店に勤務の28歳のベテラン女性社員。レーブル化粧品売場のBA(「ビューティー・アドバイザー」の略で美容部員のこと)をしている。同じ売り場の加護智絵とは天敵同士の間柄で、何かといざこざを起こすため、阿川の悩みの種になっている。真面目だが男に尽くすタイプで、加護からは不倫体質と揶揄されている。
島谷 純弥 (しまたに すみや)
レーブル化粧品の宣伝部部長を務める中年の男性社員。物腰の柔らかいスマートなタイプに見えるが、実は恐ろしいほど冷徹で、女性に対して捻じれた感情を秘めている。麻生沙也子に仕事のやり方を教えた師匠的存在だが、社内ベンチャー制度を利用して独立した彼女を敵視。あらゆる手段を使って叩き潰そうとする。実は同性愛者で、長年の恋人である義父が重い病に冒されている。そんな時、天海玲菜の存在を知り、義父を救うため、彼女を使って若返りの薬を作り出すという狂気的な考えに捉われてしまう。
渋江 怜 (しぶえ さとし)
天海玲菜の中学、高校時代の同級生男子。玲菜の片想いの相手。身長は低いが運動神経抜群で、高校卒業後に陸上の強豪である東京の南東大学に進学。大学の陸上部で頭角を現し、1年生ながら駅伝のレギュラーに選ばれるまでになった。「レイコ」と名乗って近づいてきた玲菜のことを、小学生のファンの女の子と思っている。
天海 綾那 (あまみ あやな)
天海玲菜の1つ年下の妹。大学の下見のために上京し、10歳の姿になってしまった玲菜と顔を合わせることになる。勉強はさほどできないが、甘え上手な男受けの良いタイプ。優秀だが野暮ったかった玲菜に、コンプレックスを抱かせる存在だった。だが、当人もまた「よくできた姉」と、みんなにほめられる存在だった玲菜に、コンプレックスを持っている。
仙道寺 徳子 (せんどうじ とくこ)
天海玲菜の担当女医。西里大学病院で「進行性減齢症候群」の研究をしている。玲菜と阿川宗則を貴重なサンプルとみなしており、研究の障害になりうるという理由で、麻生沙也子には阿川と別れてほしいと思っている。『クピドの悪戯』シリーズのほぼすべてに登場する狂言回し的存在。
加瀬 栄子 (かせ えいこ)
京浜大学の大学院生。阿川宗則と同じ「ACS酵素」を所有しているとされる女性。チェロが趣味で、市民オーケストラに所属している。彼女の出現により、阿川をめぐる天海玲菜と麻生沙也子の三角関係は、大きな転機を迎えることになる。
泉谷 由梨 (いずみや ゆり)
阿川宗則の幼なじみで高校時代の元彼女。阿川のことを「むっちゃん」と呼ぶ。阿川に別れを告げた際に彼女の取った行動が、恋愛に対して阿川が臆病になる原因となった。専門学校を卒業後、東京で就職。高校時代の同級生の集まりで阿川と再会することになる。
堺 流実子 (さかい るみこ)
天海玲菜と同じ邦城大学に通う女子大生。通称「るうくん」。玲菜の友人で、彼女が「進行性減齢症候群」を発症していることを知っている数少ない人物の1人。見た目は地味だが意外と男好き。玲菜が阿川と出会った時に着ていた制服は、堺流実子が彼氏との制服プレイ用に所持していたもの。
酒井 美由樹 (さかい みゆき)
渋江怜に想いを寄せる女子大生。大学の合コンで渋江と出会い、彼に恋するようになった。眼鏡をかけた地味で真面目そうな女の子で、純文学が好き。高校時代の天海玲菜に似たタイプ。玲菜の渋江への気持ちに気づいているが、彼女のことを小学生の「レイコ」と認識しているため、ほとんど気にしてはいない。
栗山 正平 (くりやま しょうへい)
レーブル化粧品営業部の部長を務める中年の男性社員。宣伝部部長である同期の島谷純弥とは正反対の、口の悪いがさつで下品なオヤジ。しかし、本人の気づかないところでさりげなくフォローするなど、実は部下の面倒見の良い頼れる上司である。営業部員としての阿川宗則の能力を高く評価しており、何かと彼に目をかけている。
梅津 (うめづ)
レーブル化粧品営業部に所属する男性社員。阿川宗則の先輩。説教好きのくせに面倒ごとは後輩に押しつけるなど、姑息で嫉妬深く、女性受けの良い阿川を目の敵にしている。同期の麻生沙也子と同じ宣伝部への移動を志望。宣伝部部長の島谷純弥に取り入るが、当人に企画や広告のセンスはない。
宮部 (みやべ)
レーブル化粧品営業部に所属する男性社員。阿川宗則の同僚で口の軽い男。会社の飲み会の最中に、阿川が天海玲菜に食費を渡しているところを目撃し、そのことを同僚たちに暴露。同席していた麻生沙也子が玲菜の存在に勘づくきっかけを作った。
天海玲菜の父 (あまみれなのちち)
天海玲菜の父親。広島で天海造船という小さな造船会社を経営している。娘が小学生の姿になってしまったうえ、治療のためとはいえ、若い男性と定期的にキスをしなければならないと知って愕然。ショックと混乱のあまり、挨拶に来た阿川宗則に暴力を振るってしまう。
森岡 まゆ果 (もりおか まゆか)
元トップアイドルである森岡真里絵の娘。将来、国民的アイドルになると目されている人気の2世子役。麻生沙也子が企画したニューブランドのイメージキャラクターに選ばれるが、母親のスキャンダルが発覚したため降板となった。まだ幼いが気が強くてプライドが高く、自分に代わって抜擢された「REICO」こと天海玲菜に八つ当たりする。
森岡 真里絵 (もりおか まりえ)
20年前に一世を風靡した元トップアイドル。人気子役の森岡まゆ果の母親。もう中年でかつての面影はないが、若い男に目がなく、年下の男性との浮気が発覚。まゆ果が麻生沙也子の企画したニューブランドのCMから降ろされる原因となった。
真壁 千穂 (まかべ ちほ)
公立中学に通う中学1年生の女の子。子役スターの森岡まゆ果のファン。当初は彼女とトラブルになった「REICO」こと天海玲菜のことを嫌っていたが、百貨店のお試しメイクで、REICOがイメージキャラクターを務めた化粧品を気に入り、彼女の熱狂的なファンになる。
その他キーワード
進行性減齢症候群 (しんこうせいげんれいしょうこうぐん)
若返りをしてしまう奇病。CS(カウンター・スパイラル)酵素という特殊な酵素の働きによって起きる。発症した患者は異常な空腹感と食欲を感じ、大量の食事を摂取するようになる。しかし、ほとんど体重は増加しない。一定の期間が経過すると、細胞の若返りとともに身体が若齢化する。若返りを止めるには、CS酵素と対になる「ACS酵素」を体内に摂取しなければならない。
ACS酵素 (あんちかうんたーすぱいらるこうそ)
「進行性減齢症候群」を発症させるCS(カウンター・スパイラル)酵素と対になるもの。CS酵素の活動を抑制する働きをする。唾液にもっとも多く含まれているが、空気に触れただけで簡単に崩壊する非常に脆い物質である。そのため、酵素の保有者とキスをして体内に直接取り込むのが、もっとも有効な摂取方法とされている。
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