さよなら三角

さよなら三角

家がとなり同士の幼なじみで同級生という上条拓と星野明日香の、中学生から高校生にかけての恋の行方を描いたラブコメディ。原秀則の代表作で、「週刊少年サンデー」1981年4・5号から1984年18号にかけて掲載された。1983年にはフジテレビ系列にて、武田久美子主演でTVドラマ化されている。

正式名称
さよなら三角
ふりがな
さよならさんかく
作者
ジャンル
ラブコメ
 
青春
レーベル
少年サンデ-コミックス(小学館)
巻数
既刊5巻
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あらすじ

第1巻

中学3年生の上条拓星野明日香は、幼なじみで家はとなり同士。二人は岬高校を志望するものの、成績優秀な明日香と対照的に、拓は勉強が大の苦手だった。そんな中、美人でグラマーな女子大学生の麻上凉子が拓の家庭教師となり、拓の成績は急上昇。一方、凉子にデレデレする拓の姿に、明日香の胸中は複雑となる。しかしその後、凉子に彼氏がいる事が発覚し、拓は落ち込む。そんな拓に明日香は自分の思いを打ち明け、キスをする。だがそれ以降、二人のあいだに気まずい空気が流れる。そんなある日、受験を目の前にした明日香は右腕を骨折してしまう。

第2巻

岬高校の受験日当日、上条拓の部屋にあったラブレターを見てしまった星野明日香は、動揺から答案用紙に名前を書き忘れ、不合格となる。一方、合格が危ぶまれていた拓は見事合格。明日香は岬高校の教師、五十嵐薫の計らいもあり、来年の受験を目指し、岬高校の事務員として働く事になる。そんな中、拓は美人マネージャーの高坂真由美に惹かれ、浮ついた気持でサッカー部に入部する。一方、明日香は自分につらくあたっていた事務員の森村が、一人娘を事故で亡くしたという過去を知り、彼女に歩み寄る。そんなある日、サッカーの試合で岬高校のゴールキーパーが負傷し、その交代選手として、心を入れ替えてベンチでチームを盛り立てていた拓に白羽の矢が立つ。

第3巻

岬高校のサッカー部で、正式にゴールキーパーとなった上条拓は、勉強そっちのけで猛練習に明け暮れていた。同じ頃、拓と同じクラスの高岡秀一は高校で事務員として働く星野明日香に一目惚れし、テストで一番になったら明日香に告白するので、その時は協力してほしいと拓に話を持ちかける。だが、中間テストで実質的な一番となったのは、森村達の計らいでテストを受けた明日香だった。そんな中、地区大会を控えたある日、サッカー部の美人マネージャーの高坂真由美と拓の仲を誤解した明日香が、拓を突き飛ばし、拓は足を負傷してしまう。拓はケガを隠して試合に出場するが、1回戦は明日香が思いついた頭脳作戦が的中し、何とか岬高校は勝利する。

第4巻

地区大会2試合目を辛くも勝ち進んだ岬高校サッカー部だったが、上条拓の足は限界に達していた。拓にケガを負わせた責任を感じていた星野明日香は、右足に負担をかけない方法を考案し、拓は決勝戦に出場。試合はPK戦にもつれこみ、拓のシュートで岬高校が地区大会での優勝を決める。しかしサッカー部の合宿中、高校でテスト用紙の紛失事件が起き、サッカー部のみんなは念願の全国大会出場の辞退を余儀なくされる。だが、この事件をきっかけにサッカー部は信頼関係を深めていく。そんな中、2学期が始まり、拓を秀才だと勝手に勘違いした高岡秀一は、明日香に告白するため、全国一斉模試に燃えていた。

第5巻

来年に受験を控えた星野明日香は、岬高校で全国一斉模試を受ける。結果、高岡秀一を抑えて校内でトップの成績を収めるが、そんな明日香の陰口を叩いた生徒達を上条拓が殴ってしまい、停学処分を受けてしまう。拓の停学処分も解けたある日、サッカー部キャプテンの座を巡り、アメリカからの転入生のミッキーと拓が勝負し、拓がキャプテンに就任する。そして、マネージャーの明日香に思いを寄せる高岡も入部し、11人となったサッカー部は、港一高校と練習試合する事が決定。そんな中、拓は校門の前で待ち伏せしていたかわいい女の子の川島陽子に誘われ、サッカー部の内情をペラペラしゃべってしまう。

第6巻

港一高校との練習試合を終え、岬高校サッカー部のキャプテン、上条拓は、もっとチームの結束を強めなければならない事を実感する。冬休みを前にしたある日、サッカー部はスキーに行く計画で盛り上がるが、受験を控える明日香はスキーを断り、勉強に専念。そんな中、各校の学力差をなくすため、港高校の所在する県では、学校群制度が採用される事が決定。それを知った明日香は一人思い悩む。やがて3学期の期末テストのシーズンが到来し、拓は担任の五十嵐薫から、英語と数学で80点以上取らないと進級できないと通告される。やる気をなくす拓だったが、そんな拓を励まそうと、明日香はイニシャル入りのラブレターを拓に送る。

第7巻

自分宛のラブレターの送り主が、違うクラスのかわいい女の子の日野温子だと勝手に思い込んだ上条拓は、期末テストに向けてやる気を見せる。一方、星野明日香は拓がもらったバレンタインのチョコレートの送り主が誰なのか気になっていた。そんな中、明日香は学校群制度で岬高校に合格し、拓も落第を免れる。そして新学期を迎え、拓は同じクラスの風見麗子に一目惚れし、明日香は同じクラスになった甲斐純一につきまとわれるようになる。さらに純一は、明日香を追ってサッカー部に入部し、その実力を見せつけるのだった。それからしばらく経ったある日、拓と麗子、明日香と純一のカップルはデート中に偶然出会い、それ以降、拓と明日香は険悪ムードになってしまう。

第8巻

甲斐純一にサッカーでの勝負を挑まれ、そのシュートを止める事ができなかった上条拓は、秘密の猛特訓を開始する。それを知った星野明日香は自分の実力を過信する純一に、拓ともう一度勝負するよう持ち掛ける。拓は純一のシュートをすべて止め、そんな拓に純一はキャプテンとして一目置くようになる。後日、高校サッカーの地区予選の抽選会に出掛けた拓と明日香だったが、明日香は黒腹学園サッカー部員に襲われ、助けに入った純一もケガを負ってしまう。そんなアクシデントに見舞われながらも、拓と純一の活躍で岬高校サッカー部は勝ち進み、世良一美率いる強豪、青進高校との対戦ではPK戦にもつれ込む。

第9巻

岬高校は星野明日香を襲った黒腹学園サッカー部員と、地区予選の決勝で対戦する事になった。明日香の仇を討ちたい上条拓甲斐純一は、ラフプレーを受けながらも、獅子奮迅の活躍を見せる。最後はポジションを変えた拓がシュートを放ち、全国大会出場を決める。そして期末試験が近づき、純一は強引に明日香と勉強するようになる。一方、拓はあこがれの風見麗子から勉強を教わっていた。お互いの様子を見て、再びギクシャクし始めた拓と明日香だったが、夏休みの強化合宿で、海で溺れた明日香を拓が助けた事で、二人の関係は少しだけ修復される。そして、迎えた全国大会の1回戦、岬高校は沖縄の麻亜明戸高校のずる賢い策にはまり、1点をリードされたまま試合は終盤に突入する。

第10巻

上条拓率いる岬高校サッカー部は、全国大会で奮闘むなしく1回戦で敗退。そして始まった2学期、拓の提出した美術の宿題が、美術教師の飯田の目に留まり、全国高校生美術展で入選を果たす。しかし、それは星野明日香を描いた作品だった。秋になり、文化祭をきっかけに、拓は親友の神崎裕次郎風見麗子への思いを知り、裕次郎と麗子をくっつけようと奮闘する。文化祭では二人を主役にした劇を演出するものの、大失敗に終わってしまう。そこで、拓は高校サッカー地区予選でセンターフォワードに裕次郎を据え、麗子に応援に来るよう懇願。麗子は拓のいい加減さに腹を立てながらも、一生懸命に練習する裕次郎の姿を見て、試合に足を運ぶのだった。

第11巻

地区予選1回戦では風見麗子の応援を受け、神崎裕次郎が奮闘し、岬高校が勝利する。だが、2回戦では早慶大学のスカウトが来ていると勘違いした上条拓甲斐純一ら主要メンバーが個人プレーに走り、チームワークが乱れてしまう。前キャプテンの片桐から喝を入れられ、チームは気持ちを新たにするが、岬高校は敗退。そんな中、生徒会の役員を決める季節が到来し、勢いで拓が生徒会長に立候補する。結果、ライバルの河毛俊作を抑えて見事当選を果たし、星野明日香も副会長に当選する。ある日、どこか暗いクラスメートの大瀧健が楽しそうにボールを蹴る姿を目撃した拓は、大瀧をサッカー部に勧誘。しつこく食い下がる拓に根負けした大瀧は、入部を懸けて、拓にサッカーでの勝負を挑む。

第12巻

ミッキーは、交換留学生として星野明日香のアメリカ行きが内定した事を知り、上条拓と明日香の仲を進展させようと躍起になる。さらにほかの仲間も拓に、明日香のアメリカ行きを止めるよう進言する。一方、明日香は拓が止めてくれるのを期待しながらも、留学の準備を進めていた。拓が明日香にアメリカに行くなと伝えたのは、折しも明日香の送別会の最中だった。こうして、明日香のアメリカ行きは中止となり、入学式の季節が到来。全国大会に出場した岬高校サッカー部には新入生の入部が相次ぐ。そんな中、拓は甲斐純一の中学時代の後輩、遠山夏美を強引にマネージャーとして入部させる。

第13巻

岬高校サッカー部では、新入生とレギュラーとの紅白戦が行われ、新マネージャーの遠山夏美の作戦によりレギュラー陣は苦戦し、試合は引き分けという結果に終わる。以降、チームが気を引き締めて練習に励む中、上条拓は青進高校の世良一美柳陽介の凄まじい練習姿を目撃する。それに触発された拓も猛特訓を積み、地区予選を迎える。岬高校は順調に勝ち進み、決勝戦で青進高校と対戦。実は岬高校サッカー部の顧問、五十嵐薫は、青進高校の美人教師、中島由香里に岬高校が勝利したら結婚してほしいとプロポーズしていたのだ。青進高校にリードされていた岬高校の面々はその事情を知り、猛攻の末に逆転して優勝を決める。そんな喜びも束の間、期末テストのシーズンが到来。拓はある程度の成績を取らないと修学旅行に行けないと、明日香から宣告される。

第14巻

修学旅行に行くために猛勉強した上条拓は、期末テストを無事終える。そして修学旅行を終えた夏休みの合宿で、甲斐純一は全国大会で優勝できたら自分の事をもう一度考えてほしいと星野明日香に告白する。明日香は拓に、自分をしっかりつかまえていてほしいと訴えるが、拓の態度は煮え切らない。そんな中、拓に早慶大学の推薦入学の話が持ち上がる。迎えた全国大会で、それぞれの思いを胸に岬高校は勝ち上がり、決勝に進出する。しかし拓は、2回戦のUSAハイスクールとの死闘で肩を負傷しており、痛みはひどくなる一方だった。

第15巻

上条拓率いる岬高校サッカー部は、海洋高校との決勝戦を迎える。この試合は早慶大学の推薦入学を賭けた拓と、海洋高校のキャプテン、佐野元基の戦いでもあった。ケガの傷みに耐えながらも拓はゴールを死守し、岬高校は勝利する。一方、星野明日香の事をあきらめると拓に告げた甲斐純一だったが、拓は純一の背中を押す。明日香は複雑な気持で純一とデートに出掛けるが、やはり拓の事が頭から離れない。そんな中、早慶大学の面接日、ミッキーが帰国すると知った拓は面接をすっぽかして空港に向かい、拓の推薦入学は取り消されてしまう。明日香は、今の偏差値では入れる大学がない拓を心配するが、拓は至って能天気のままだった。

第16巻

全国一斉模試の結果が最悪だった上条拓は、失意のあまり家出を決行。東京に向かったはずが千葉に到着した拓は、そこで色々な人と触れ合い、大学に行かずにやりたい仕事をしようと決意する。だが、戻って来た拓を、星野明日香は逃げているだけだと激しく罵倒。悩んだ末に、大学を目指す事に決めた拓だったが、明日香は自分の勉強そっちのけで拓の勉強に付き合う。すると、明日香の成績は急降下。それを知り、やっとスイッチの入った拓は猛勉強を開始し、受験ができるレベルまで成績を上げる。そして、拓は東京の大学を目指し、13校もの大学を受験するのだった。

第17巻

上条拓は受験した大学に落ち続け、残すは山の手美術大学の1校のみとなった。落ち込む拓に星野明日香はヌードモデルを引き受けてもいいと励まし、拓は絵の猛特訓を開始。迎えた山の手美術大学の試験では得意なモノを描くという課題で、拓は明日香を描く。結果は不合格だったものの、拓は来年もう一度美術大学を受けようと前向きに考えていた。そんな中、山の手美術大学の沢田庄太郎が、研究生としてパリに行かないかと拓を誘う。岬高校卒業式でパリ行きを発表する拓だったが、出発直前にパリ行きを断念。だが、そんな拓に対し明日香は逃げるなと鼓舞し、彼の背中を押す。そして出発の日、明日香はパリに旅立つ拓を涙ながらに見送るのだった。

メディアミックス

TVドラマ

1983年1月から3月にかけて、フジテレビ系列で本作『さよなら三角』のTVドラマ版が放映された。全11話。プロデューサーは南條武史、演出は河毛俊作、小野原和宏、脚本は伊藤和典、いりえとおるが担当。星野明日香役は武田久美子で、これが彼女の初主演作品となった。ほかに、上条拓役を宮田恭男、甲斐純一役を新田純一がそれぞれ演じている。

登場人物・キャラクター

上条 拓 (かみじょう たく)

初登場時は15歳の男子中学生。星野明日香の幼なじみで、となりに住んでいる。お調子者であきっぽい性格で、目立ちたがり屋。勉強は苦手で、中学時代からサッカーに熱中している。岬高校にかろうじて合格して、サッカー部に入部した。3年生時には、キャプテンを務めた。高校ではゴールキーパーとして活躍し、全国大会にも出場した。早慶大学の推薦入学に選ばれるなど、サッカーの実力は本物だが、部活を共にしたミッキーの帰国を見送るために、早慶大学の面接をすっぽかしてしまい、推薦入学は取り消される。気が多い割には恋愛に関しては鈍感で、明日香を幼なじみとしてしか認識しておらず、本当は自分が明日香を思っている事にまったく気づいていない。美術の才能もあり、受験に失敗したのち、山の手美術大学教授の沢田庄太郎から誘われ、研究生としてパリに行く事になる。

星野 明日香 (ほしの あすか)

初登場時は15歳の女子中学生。上条拓の幼なじみで、となりに住んでいる。成績優秀でテストはいつも一番だが、岬高校の受験の際には、拓がもらったラブレターの事が気になり、受験番号と名前を記入するのを忘れ、不合格となる。しかし五十嵐薫の計らいで、岬高校の事務員をしながら再度受験をする道を選ぶ。のちに事務員をしながら、サッカー部のマネージャーとなる。美人でモテるが、拓以外の男の子には本気になれず、いつも拓を気に掛けている。1年後、学校群制度が採用され、岬高校に入学できるかどうかわからない状況となったが、無事合格して拓と共に学園生活を送る。

麻上 凉子 (あさがみ りょうこ)

上条拓の家庭教師を務めた女子大学生。大人っぽい雰囲気を漂わせたグラマーな美人。岬高校に合格するだけの学力がなかった拓の成績をアップさせ、見事岬高校に合格させる。当初は彼氏の存在を拓には隠していたものの、彼氏といっしょにいるところを目撃されるとあっさり認め、拓を落ち込ませる。

大島 正人 (おおしま まさと)

星野明日香と図書館で出会った男子学生。知り合ったその日に明日香のファーストキスを奪い、以降は積極的に明日香をデートに誘うようになる。バイクに乗ったりと不良っぽいところがあるが、明日香に勉強を教えられるほど頭がいい。

内藤 ユキ (ないとう ゆき)

上条拓と同じ中学に通う女子中学生。拓より1学年下。受験が終わったら会ってほしいと、拓に手紙を送った。それを読んだ星野明日香が動揺し、受験番号と名前を書くのを忘れて志望校に落ちる原因となった。のちに、思い出作りに拓を誘っただけである事が判明する。

五十嵐 薫 (いがらし かおる)

岬高校の男性教師。上条拓の担任およびサッカー部の顧問を務める。無精ひげを生やして体格がいい。名前を書き忘れたものの、テストの点数がトップクラスだった星野明日香が岬高校に合格できるよう尽力する。しかし、かなわずに明日香が事務員として働けるよう取り計らった。拓に明日香はもったいないと思いつつ、二人のよき理解者として彼らを見守っている。のちに大学の後輩だった中島由香里と結婚する。

片桐 (かたぎり)

岬高校に通う男子生徒。サッカー部のキャプテンを務めている。上条拓より2学年上。サッカーは11人でするものだと、個人プレーばかりする拓をレギュラーから外し、結果的に拓にやる気を出させた人物。サッカー部のマネージャー、高坂真由美と付き合っている。成績は優秀だが、英語だけは大の苦手。のちに、サッカー推薦で早慶大学に進学した。岬高校の試合を見に来た際には、サッカー部の監督といっしょに来た事から、スカウトだと勘違いした拓達が個人プレーに走ってしまう事となった。

高坂 真由美 (こうさか まゆみ)

岬高校に通う女子生徒。サッカー部の美人マネージャー。高校3年生の時、1年生の上条拓をサッカー部に勧誘した。父親から勉強に専念しろと言われ、地区大会を目前に控えていたが退部を決める。キャプテンの片桐と付き合っていたが、その事実は高坂真由美に夢中だった拓だけが知らなかった。

河合 (かわい)

岬高校に通う男子生徒。サッカー部のゴールキーパーを務めている。上条拓の2学年上で、もみ上げが濃いどっしりした体型をしている。試合中に足をねん挫し、代わりに補欠だった拓がゴールキーパーとして出場する事となった。ちなみに、のちにサッカー部に入部した弟も河合と顔がそっくり。

神崎 裕次郎 (かんざき ゆうじろう)

岬高校に通う男子高校生。上条拓と同学年。サッカー部に入部して、拓の親友となる。まじめでおとなしい性格ながら、ここぞという時は健気に頑張るタイプで、実はむっつりスケベ。高校2年生の時、同じクラスの風見麗子に一目惚れした。拓の後押しもあり、麗子と付き合うようになる。

森村 (もりむら)

岬高校の事務室で働く中年女性。事務員として働く事になった星野明日香につらくあたるが、一方で一切弱音を吐かない明日香を次第に評価するようになる。かつては大阪で高校教師をしていたが、一人娘をかまってやれず、その結果、娘が非行に走ってバイクの事故で死亡した。それが原因で離婚し、3年前に岬高校の事務員となった経緯がある。その責任を感じて自分に厳しくして来たが、周囲につらくあたっていた事を明日香に謝罪し、以降は明日香と打ち解け、なにかと気遣うようになる。

ミッキー

岬高校に通う男子生徒。カリフォルニアハイスクールからの転入生で、1年生ながらサッカー部のポイントゲッターとして活躍していた。星野明日香の勧誘で岬高校サッカー部へ入部した。キャプテンの座を巡って上条拓と勝負するが、今まで誰も触れた事がない自身のミサイルシュートを拓に触れられた事を理由に、キャプテンを拓に譲った。一方で、明日香の思いに鈍感な拓を歯がゆく感じている。

高岡 秀一 (たかおか しゅういち)

岬高校に通う男子生徒。眼鏡をかけた学年一の秀才。上条拓と同じクラスに在籍している。星野明日香に思いを寄せており、拓にテストでトップを取ったら明日香に交際を申し込むので、その時は協力してほしいと持ち掛ける。のちにマネージャーとなった明日香を追い、サッカー部に入部するが、試合中での活躍はほとんど見られない。

川島 陽子 (かわしま ようこ)

岬高校の校門前で上条拓を待ち伏せしていたかわいい女の子。拓からサッカー部の情報を聞き出した。のちに港一高校サッカー部のマネージャーだと判明する。

日野 温子 (ひの あつこ)

岬高校に通う女子生徒。上条拓と同じ学年。かわいい容姿で、男子生徒に人気がある。拓を元気づけるために、星野明日香が送ったイニシャルでのラブレターを、拓が日野温子からのラブレターだと勝手に勘違いした。のちに、拓にバレンタインのチョコレートを贈っていた事を打ち明けるが、明日香の存在を知って身を引いた。

甲斐 純一 (かい じゅんいち)

岬高校に通う男子生徒。星野明日香と同じクラスに在籍している。明日香に一目惚れし、明日香がマネージャーを務めるサッカー部に入部した。中学時代はベストイレブンにも選ばれた実力者で、上条拓とはひと悶着の末に、よき先輩と慕うようになる。しかし明日香の気持を知りながら、態度をはっきりさせない拓に苛立ちを募らせていく。

風見 麗子 (かざみ れいこ)

岬高校に通う女子生徒。2年生の時に上条拓と同じクラスになる。クールな性格の美人で勉強もでき、応援団のチアガールを務めている。自分に接近して来る拓を憎からず思っていた。だが、拓がいきなり神崎裕次郎と自分をくっつけようとするので、一時は憤慨するが、健気に頑張る裕次郎に心惹かれていく。

世良 一美 (せら かずみ)

青進高校に通う男子生徒。サッカー部に所属している。中学時代はベストイレブンにも選ばれた事がある名ストライカー。甲斐純一と同じ学年で、純一より実力は上。地区予選で必ず対戦する岬高校の上条拓をライバル視している。

黒腹学園サッカー部員 (くろばらがくえんさっかーぶいん)

黒腹学園のサッカー部に所属する男子生徒達。地区予選当日、一人でいる星野明日香を襲った四人組。その際、助けに入った甲斐純一にケガを負わせ、怒った上条拓に決勝戦で決着をつけようと挑戦状を叩きつけられる。その後は持ち前のラフプレーで勝ち上がり、決勝戦で岬高校と対戦する事になる。

飯田 (いいだ)

岬高校で美術を教える男性教師。髭面の細身の体型で、眼鏡をかけている。夏休みの宿題で上条拓が提出した、星野明日香をモデルとして描いた「夏の思い出」という絵に目を留め、全国高校生美術展に出品した。のちに、山の手美術大学の試験を控えた拓に集中的に基礎を叩きこむなど、拓のために尽力する。

河毛 俊作 (かわけ しゅんさく)

岬高校に通う男子生徒。眼鏡をかけている。テニス部のキャプテンを務めており、成績はつねに学年10番以内。女子にも人気があり、生徒会長に立候補し、上条拓と選挙戦を繰り広げた。当選確実と目されていたが、落選してしまい、その腹いせに拓を闇討ちした。

大瀧 健 (おおたき けん)

岬高校に通う男子生徒。1年生の終わりに岬高校に転入し、2年生の時に上条拓と同じクラスとなる。いつも教室のすみに一人でいるため、不良と見なされ、周囲から敬遠されている。実は、1年前に事故で両親を亡くし、姉と二人暮らし。一人でサッカーボールを蹴っている時の楽しそうな顔を見た拓が、しつこくサッカー部に勧誘し、入部を決める。卒業後は父親の知り合いの自動車整備工場で働く事が決まっている。

遠山 夏美 (とおやま なつみ)

岬高校に通う女子生徒。眼鏡をかけたかわいい容姿をしている。上条拓が3年生の時に入学して来た。甲斐純一と同じ中学出身で、中学時代はサッカー部のマネージャーを務めていた。選手を分析する能力に長け、拓に勧誘されてサッカー部のマネージャーとなる。純一に思いを寄せている。

柳 陽介 (やなぎ ようすけ)

甲斐純一の中学時代の後輩。世良一美のいる青進高校に入学した男子生徒。中学時代はベストイレブンにも選ばれた実力者。打倒岬高校を目標に、世良と共に、砂の入ったボールで練習に打ち込んでいる。

中島 由香里 (なかじま ゆかり)

青進高校に赴任して来た女性教師。五十嵐薫と同じ大学の後輩で、サッカー部のマネージャーを務めていた。グラマーな超美人で、五十嵐を教師の道に誘った張本人であり、密かに五十嵐を慕っている。サッカーの試合で、岬高校が青進高校に勝ったら結婚してほしいと、五十嵐からプロポーズされる。

佐野 元基 (さの もとき)

海洋高校3年生の男子生徒。サッカー部のキャプテンを務めている。上条拓と共に早慶大学の推薦入学の候補となった。父親が医者である事から、推薦入学が決まらなければ、サッカーをきっぱりとあきらめて、父親のあとを継ぎ医者になる決意をしている。

沢田 庄太郎 (さわだ しょうたろう)

山の手美術大学の教授を務める高齢の男性。長い髭を生やした上品な紳士で、眼鏡をかけている。入試で星野明日香をモデルに上条拓が描いた絵に感動し、拓を推薦したが、技術が足りないとほかの教授達に却下される。そこで拓に研究生として自分といっしょにパリへ行き、3年間絵の勉強をしないかと持ちかけた。

拓の父 (たくのちち)

上条拓の父親。きっちりとした七三分けのサラリーマンで、眼鏡をかけている。軽いノリの明るい性格の持ち主。全国高校サッカー大会で岬高校に不利な審判が下された際には、フィールドに乗り込むなど、向こう見ずな一面もある。

拓の母 (たくのはは)

上条拓の母親。楽天的で明るい性格をしている。拓の受験した大学は、すべて合格できると本気で思っている。ちなみに、大学からの通知はすべて合格通知だと信じ込んでおり、受験の合否もまったくチェックしていない。

明日香の父 (あすかのちち)

星野明日香と星野京子の父親。会社の役職は課長。口髭を生やしている優しい性格で、明日香が岬高校の事務員をしながら、受験に再チャレンジする事を快く承諾した。高校生になっておめかしして出掛ける明日香を見て、娘を嫁にやる日を今から案じている。

明日香の母 (あすかのはは)

星野明日香と星野京子の母親。ふだんはガミガミと口うるさく、となりに住む上条拓にも恐れられている。高校受験に失敗した明日香が、岬高校の事務員をしながら浪人する事には当初反対していたが、夫の意見に従って明日香を応援するようになる。

星野 京子 (ほしの きょうこ)

星野明日香の姉。OLとして働いている。大きな眼鏡をかけ、いつも明日香を優しく見守っている。男っ気がなく、結婚の予定もない。

その他キーワード

学校群制度 (がっこうぐんせいど)

港高校のある県内で採用される事になった受験制度。各校の学力差と受験者数の片寄りをなくすのが目的。県内を地域ごとに学区に分け、その中で第一、二、三群に分ける。岬高校は南区の第一群に属し、第一群を受験して合格した受験生は、岬高校、港一高校、城南高校のいずれかに振り分けられる。

書誌情報

さよなら三角 5巻 小学館〈少年サンデ-コミックス〉

第5巻

(1982-07-19発行、 978-4091206152)

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