しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~

富士屋カツヒトの代表作。『この世界は不完全すぎる』の作者、左藤真通が原作を担当し、法律事務所「アルシエン」の共同代表パートナーである弁護士の清水陽平が監修を務めている。敏腕弁護士の保田理が、インターネットのデマや理不尽な中傷に苦しむ人々を救うために奮闘する姿を描いた心理サスペンスドラマ。節操のない態度で正論を述べる保田と、彼の発言に逐一辛辣なツッコミを入れる加賀見灯のコミカルなやり取りが見どころとなっている。白泉社「黒蜜」Vol.4(2021年2月10日発売)から連載の作品。テレビドラマ化され、2024年7月19日よりテレビ東京ほかにて放送。主人公の保田理を中島健人が演じる。

正式名称
しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~
ふりがな
しょせんひとごとですから とあるべんごしのほんねのしごと
原作者
左藤 真通
作画
ジャンル
裁判官・弁護士
レーベル
ヤングアニマルコミックス(白泉社)
巻数
既刊7巻
関連商品
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インターネットにまつわる身近な問題が描かれる

本作は、SNS(ソーシャルネットワークサービス)におけるイタズラや誹謗中傷など、現実世界でも激化するインターネット上の問題が主なテーマとなっている。現在SNSでの誹謗中傷による被害は爆発的に増えているが、開示請求や裁判をするためには膨大な時間と費用を費やすため、被害者は別の精神的ダメージを受けることになる。また、仮に勝訴しても賠償額と訴訟の費用がほぼ相殺され、時間のみが浪費されるケースも少なくない。だが、名誉回復や犯人を特定する開示請求を希望する被害者はあとを絶たず、民事訴訟のスペシャリストである弁護士・保田理のもとにはさまざまな依頼者が訪れる。

誹謗中傷犯を追い詰める敏腕弁護士

保田法律事務所の所長を務める保田理は、ネット被害による訴訟を得意とする優秀な弁護士。よくも悪くも正直者で、軽い気持ちで情報開示を求める依頼者に対しては、他人事のような発言で煙に巻いてしまうことが多い。しかし、このデリカシーに欠ける態度には、開示請求や裁判には膨大な時間と費用がかかり、安易に行うべきではないという忠告の意味合いが強い。ただし、リスクを承知で依頼者の覚悟を知ると、その意思を尊重して真摯に向き合い、誹謗中傷した加害者には決して容赦しない。保田は依頼人の感情に惑わされることなく、ひたすら事実だけを提示して他人事という立ち位置を貫いている。そのため、その一貫した姿勢に憤慨して保田に関する悪い噂を流す者も少なくない。

新旧さまざまな法律を、作中で解説

本作は弁護士が主人公で、SNSでの誹謗中傷などの社会問題を扱っているため、さまざまな法律が言及されている。また、連載中に「プロバイダ責任制限法」が改正されたこともあり、作中では保田理のユニークかつ丁寧な解説により、改正された法律の長所と短所をわかりやすく知ることができる。また単行本の巻末には、本作の監修を務める弁護士の清水陽平によるコラムが掲載されている。SNSでの誹謗中傷に端を発する問題や、それに対応する弁護士の活動などが実例を交えて語られ、いかに多くの人々にとって身近に起こり得る問題なのかを実感させられる。

登場人物・キャラクター

保田 理 (やすだ おさむ)

法律事務所「保田法律事務所」の所長を務める弁護士の青年。飄々(ひょうひょう)とした性格のリアリストで、依頼人や相談相手に感情移入をするべきではないと考えている。ふだんは気の抜けたように振る舞っているが、仕事では歯に衣(きぬ)着せぬ物言いをする。弁護士無料相談会では、所詮は他人事だし時間の無駄だと言い切り、相談相手からの評判もよくない。一方、一度依頼を引き受けると、最善を尽くすことを信条としており、その優れた手腕でデマや誹謗(ひぼう)中傷の被害に遭った人々を何人も救っている。また、和解したにもかかわらず慰謝料を払わない加害者に対して、強制差し押さえを実行するなど、容赦ない。人々の生活がインターネットに依存しすぎていることを懸念し、誹謗中傷を受けた場合は、実生活に影響が及ばない限りはSNSから離れることも選択肢の一つであると考えている。趣味はソーシャルゲームで、多数のゲームをすさまじい速度で攻略するため、加賀見灯からは「すごく効率的に無駄なことをしている」と呆(あき)れられている。

加賀見 灯 (かがみ あかり)

法律事務所「保田法律事務所」で、弁護士の保田理の助手を務めている女性。生真面目な性格で、誹謗中傷に悩む依頼人に対して親身になって接している。保田のふざけたような言動や、依頼人に対するストレートな物言いに辛辣なツッコミを入れることがある。だが、保田の弁護士としての手腕には全幅の信頼を置いており、彼の足を引っ張らないようにサポートしている。アイドルユニット「ヌーヌー」の大ファンで、メンバーのリオから依頼を受けた際は、いつも以上にやる気を見せていた。

クレジット

原作

監修

清水 陽平

書誌情報

しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜 7巻 白泉社〈ヤングアニマルコミックス〉

第1巻

(2022-08-29発行、 978-4592166061)

第2巻

(2022-10-28発行、 978-4592166078)

第3巻

(2022-12-27発行、 978-4592166085)

第4巻

(2023-03-29発行、 978-4592166092)

第5巻

(2023-09-29発行、 978-4592166108)

第6巻

(2024-03-29発行、 978-4592166191)

第7巻

(2024-07-29発行、 978-4592166207)

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