概要・あらすじ
女子学生の小松裕子は、学校の紹介による事務職のアルバイト面接のため、「おたすけ法律相談所」を訪れる。しかし、事務所はボロく、所長である大多助清もかなりいい加減な人物であった。アルバイトをするかどうか悩む裕子だったが、事務所に足を踏み入れられただけで適正があると見なされ、その場で採用が決定。そんなやりとりをしているなか、助清を訪ねて1人の女性が現れる。
その女性は、かつての上司に借用書なしで貸したお金を取り返したいと語る。こうして助清と裕子の凸凹コンビの初仕事が始まった。
登場人物・キャラクター
大多 助清 (おおた すけきよ)
「おたすけ法律相談所」の所長を務める男性。現在は弁護士だが、昔は地方検事局の特捜部に所属していたエリート。その頃は「鬼検事」と呼ばれていた。かなりのリアリストで、自分の利益にならなければ相談には応じない。
小松 裕子 (こまつ ゆうこ)
水道橋法科専門学院に通う女子学生。事務のアルバイトを探していたところ、「おたすけ法律相談所」を紹介され、そのままそこで働くこととなった。困っている人は放っておけない性格で、何はさておき、とりあえず相談に乗る優しい心の持ち主。将来は弁護士になろうと考えている。
室田 (むろた)
大多助清とは古くからの付き合いがある男性刑事。その付き合いの長さから、助清のことは行動パターンから性格に至るまですべて把握している。常にサングラスをかけて黒スーツを着込んでおり、初めて小松裕子に顔を見られた際にはヤクザと勘違いされたほどの強面。
明弘 (あきひろ)
「おたすけ法律相談所」に訪れた小学生の少年。コンビニで万引きの濡れ衣を着せられた、という案件を相談しにきた。そこの店主には、万引きを調べるためズボンまで脱がされており、それを不当だと感じ、相談に訪れた。依頼主が小学生であることや、裁判を起こしても慰謝料は数万円しか取れないため、依頼を断られてしまう。その後、大多助清の気まぐれで、事件のあったコンビニを通りかかった際、店長につめ寄り、結果的に慰謝料をしっかりと取ってもらった。
酒井 (さかい)
「おたすけ法律相談所」に訪れた若い女性の依頼者。会社の元上司に、300万円を貸したが返済されない、という案件を相談しにきた。相手を信用しきっていたため、借用書を取っておらず、お金を貸したという証拠が残っていない。
沢井 (さわい)
酒井の元上司の男性。現在は有限会社「沢井土地開発」の社長。既に結婚をしている身だが、過去に酒井とは肉体関係があった。酒井が自分の手から離れて結婚をすることを快く思わず、嫌がらせのつもりで300万円を借用書なしで借りた。
松崎 達夫 (まつざき たつお)
「おたすけ法律相談所」に訪れた52歳の中年男性の依頼者。痴漢冤罪案件を相談しにきた。5年前に痴漢冤罪の被害に遭い、ずっと無罪を主張してきたが、起訴されてしまう。会社にもそのことが知れ渡ったため、自主退職。のちに持ち家を手放し、妻と子供とも離れ離れになっている。現在は清掃会社に勤務中。
小倉 麻美 (おぐら あさみ)
会社勤めのOL。女子大生だった頃、松崎達夫を痴漢だと勘違い。最終的に裁判沙汰まで発展させて、達夫の人生を狂わせてしまった。痴漢冤罪のことは自分に非があると自覚しており、最終的には達夫に対して謝罪をした。
柳田 美香 (やなぎだ みか)
「おたすけ法律相談所」に訪れた女性。強姦案件の相談をしにきた。小松裕子の昔の後輩で、現在は女子大に通っている。かなりのナイスバディで、その身体は大多助清も釘づけになってしまうほど。父親は埼玉で会社を経営している。
梶山 (かじやま)
弁護士の男性。勝ち目のある弁護のみを請け負う。大多助清から「ドブの中から札束をつかみ出す名人」と嫌味を言われるほど、裕福な暮らしをしている。柳田美香の強姦案件に関し、美香を強姦した相手は日本政友党の幹事長の息子である、と助清に伝え、この件から身を引くよう警告した。
大泉 恭介 (おおいずみ きょうすけ)
大学生の男性。合コンの二次会と称して柳田美香を自分のマンションに連れ込み、強姦した。父親が日本政友党の幹事長のため、自分が事件を起こしても、なんとかしてもらえると考えている。美香以外にも余罪が数十件もある悪党。
野瀬 沙織 (のせ さおり)
「おたすけ法律相談所」に訪れた42歳の女性。慰謝料案件の相談をしにきた。しかし、相談中に内縁関係の夫・島崎卓治が死去したため、慰謝料に代わって、遺産相続の案件で相談をすることになった。卓治とは8年間一緒に暮らしたこともあり、それ相応の情は持っている。
島崎 卓治 (しまざき たくじ)
野瀬沙織の内縁の夫で53歳。かなりやり手の経営者で、不動産紹介や売買を行う会社を経営している。事業も順調で、資金は膨大な額になっている。最近は外に女性を囲っており、沙織のもとへはまったく帰ってきていない。
島崎 梨花 (しまざき りか)
島崎卓治と最近婚姻関係を結んだ28歳の女性。旧姓は倉田。卓治が死亡したことにより、遺産相続の権利がすべて自分のものとなった。そこで、卓治名義の家に住んでいた野瀬沙織に立ち退きを命じるなど、容赦のない性格。
川村 (かわむら)
島崎梨花の元恋人。お見合いパーティで梨花と知り合い、付き合っていた。親が開業した産婦人科「川村医院」の院長。島崎卓治の死体の検案をし、死亡診断書を書いていた。言い寄られると、すぐに折れてしまう気の弱い性格。
島森 千草 (しまもり ちぐさ)
診療所「島森クリニック」で働いている女医。大多助清が、彼女目当てに通うほどの美貌。最近、高校時代の同級生に付きまとわれて金の催促をされることが続き、「おたすけ法律相談所」へ相談に訪れた。しかし、相談をした当日、その同級生の殺人容疑で逮捕されてしまい、助清に弁護を依頼する。
高岡 浩司 (たかおか こうじ)
島森千草の高校時代の元恋人。最近、「島森クリニック」を訪ねては金の無心をするようになった。元々、高校時代は千草と学年トップを競い合う秀才で、東大法学部にもストレートで合格。しかし、その後の司法試験には落ち続けていた。
桜井 篤夫 (さくらい あつお)
「おたすけ法律相談所」に訪れた男性。娘の永原美奈の親権変更の相談をしにきた。しかし、親権変更を申し立てている最中、勝手に幼稚園に美奈を迎えに行って連れ去ってしまう。そのため誘拐の容疑をかけられた。元妻の永原綾子が再婚して新しい父親を見つけてしまうと、二度と娘を取り戻せないと焦っている。
永原 綾子 (ながはら あやこ)
桜井篤夫の元妻。仕事で忙しく、娘である永原美奈を、満足に構ってあげられていない。しかし、美奈を想う気持ちは本物。自分に時間があるときは、美奈を可愛がっている。
永原 美奈 (ながはら みな)
幼稚園に通う女児。永原綾子の娘。現在、綾子に引き取られて生活をしている。親権の確定後は綾子が多忙のため、ほとんど祖母に預けられっぱなし。本心としては、父親と母親が仲直りし、また前のように一緒に暮らすことを望んでいる。
伊吹 織絵 (いぶき おりえ)
永原綾子についている女性弁護士。離婚案件のスペシャリストで、相当の腕の持ち主。初対面の大多助清に対して悪態をつくなど、気の強い性格。綾子とは昔からの親友で、自身も離婚を経験。現在は幼稚園児の息子を育てている。
しのぶ
「おたすけ法律相談所」に訪れた旅館の女将見習い。相続案件の相談をしにきた。旅館の経営を任されていた夫は、自動車事故に巻き込まれ他界している。自身は、その夫の意志を引き継いで、旅館に留まることを希望している。亡き夫の子供を身ごもっている。
宮藤 (くどう)
大多助清の仕事仲間の男性。雑誌の編集部で働いている。かなりのおっぱい好きで、女性を見るときには、何より胸を優先する。近々、巨乳の彼女と結婚する予定だったが、彼女の胸が豊胸手術によるものだと知る。そこで、結婚をとりやめにし、偽証罪でその彼女を訴えられないか、と「おたすけ法律相談所」に相談を持ちかける。
吉井 亜貴 (よしい あき)
宮藤の彼女。昔から胸が小さなことが悩みで、コンプレックスの塊だった。2年前、当時付き合っていた彼氏にふられ、それをきっかけに豊胸手術をした。その後は自信を持てるようになり、積極的な女性へと変貌。今時珍しく尽くすタイプの女性で、宮藤のために、料理を一生懸命勉強している。
柴田 (しばた)
「おたすけ法律相談所」に訪れた男性。美人局被害の案件を相談しにきた。小さな会社の課長を務めている。出会い系サイトで知り合った女性と、肉体関係を持った。それをネタに、石破金吾に500万円を請求され、精神的に追い込まれて自殺を図った。間一髪のところで小松裕子に助けられ、大多助清を紹介される。
石破 金吾 (いしば きんご)
柴田に500万円を請求した男性。自分の妻と美人局を画策していた男性。物腰こそ柔らかいが、かなり恰幅がよく、顔も強面なので、普通の人間ならば縮み上がってしまうほどの迫力を持つ。さらに法律の知識も有し、柴田を追い込むときに脅迫罪を免れるようにするなど、かなりしたたかな人物。
都並 孝明 (つなみ たかあき)
マルルート社の社長の秘書室長を務めていた男性。大多助清が、地検の特捜部時代に担当した事件の重要参考人。マルルート社の社長が最も信頼を置いていた人物。当時、重要参考人として、助清から取り調べを受けていた。ところが、重要な証言をする直前、ホテルの一室で死体となって見つかった。割腹自殺として半ば強引に片づけられたが、の死に対しては、未だに疑問が残されている。
浦原 (うらはら)
中小企業「浦原倉庫」の社長の男性。従業員20人を抱えている。従業員を不当解雇したとされ、その従業員の復職という形で和解を求められている。その件を遺憾として、「おたすけ法律相談所」に弁護の依頼をする。
藤村 孝治 (ふじむら こうじ)
「浦原倉庫」の元社員の男性。勤務態度や部下による評価は問題がないが、「浦原倉庫」の不正取引を、業界紙「倉庫世界」に投稿したため、解雇された。それを不当とし、弁護士の伊吹織絵に相談して、訴訟を起こそうとしている。
村内 (むらうち)
殺人犯の男性。18年前、交際していた22歳の女性をアパートで殺害した。そのアパートが取り壊されることを知り、時効が成立しているため罪に問われないとして、警察に出頭した。そのため、マスコミに連日追い掛け回され、妻と子供にも出て行かれてしまう。しかし、18年前の事件に関しては謝罪の言葉もなく、まったく反省していない。
宇和島 竜吾 (うわじま りゅうご)
大多助清の大学時代の恩師の男性。人権派弁護士として名高い。助清は、大学を卒業すると検察の人間になった。しかし、殺人容疑をかけられた被告人の弁護をする宇和島竜吾の姿勢が気に入らず、一時は決別していた。ところが、竜吾の方は助清を気にかけており、家庭でも助清についてよく話していた。助清のあだ名の「タスケ」の名づけ親でもある。 「おたすけ法律事務所」が開業したときは、司法の精神を表す象徴・テーミスの像を贈った。
田川 洋介 (たがわ ようすけ)
株式会社「芳文デジタル」の若手社員の男性。営業のホープと期待されている。接待の際に酒を飲んだ後に車を運転し、車道に出てきた男を轢いて殺した疑いがかけられている。当時は容疑を認めていたが、後に、それは警察の無理な取り調べによる疲弊した後の自供で、実際は轢いた覚えはない、と無罪を主張。大多助清の「罪を認めて減刑を狙う」という提案を受け入れず、法廷で全面的に争うことを決意している。
岩国 (いわくに)
大多助清の検事時代の後輩の男性。助清からは「バカ」「チビ」と言われて見下され、裁判でも負け続けている。そのため助清をかなり恨んでおり、法廷で顔を合わせる際には、担当する事件を徹底的に調べ、助清に勝とうと躍起になっている。
親父っさん (おやっさん)
コンビニの男性店長。明弘の万引きを疑い、ズボンまで脱がせた。その事件では大多助清に痛い目に遭わされた。そうした経験から、法律を勉強し、二度と自分に損害が降りかからないようにしている。その経緯から、助清と顔をよく合わせるようになり、助清が事件の聞き込みや実証実験をする際に、協力してくれる存在となる。
沢田 友也 (さわだ ともや)
殺人の疑いをかけられている大学生の青年。殺害された相手が警官のため、警察及び検察は、どのような手を使ってでも有罪を立証しようとしている。しかし、本人は無罪を主張しているため、すべての弁護士に敬遠され依頼を断られていた。大多助清が担当する、最後の依頼人となる。
場所
おたすけ法律相談所 (おたすけほうりつそうだんじょ)
大多助清が所長を務める法律相談所。木製の小さな看板が、ドアに貼ってあるだけのシンプルな外観。法律相談所にはまったく見えない。建物は老朽化が進み、大家からの家賃催促の張り紙が絶えず貼られている。そのため、アルバイト希望者は中に入ることなく、大抵は引き返してしまう。それでも面接までいった小松裕子には適性があるとし、特に試験も行わずに採用した。
クレジット
- 原作
-
針村 鳳堂