イチケイのカラス

イチケイのカラス

浅見理都の初連載作品。現代日本の武蔵野地方裁判所第一刑事部(通称「イチケイ」)を舞台に、特例判事補として配属された主人公の坂間真平が個性的な裁判官や書記官たちに翻弄されながら成長していく物語。坂間は、エリート意識が高く生真面目な性格だったが、型破りな判事である入間みちおとの出会いにより価値観が変化していく。入間は元弁護士で、裁判で提出された証拠だけでなく、自ら事件現場を訪れ被告人の証言を検証する行動派の裁判官である。坂間は入間や上司の駒沢義男との交流を通じて、被告人の人生まで考慮した判決の重要性を学んでいく。本作は、地方裁判所の第一刑事部の裁判官を主人公にした法廷ドラマである。実在の法律家が監修しており、特例判事補制度、刑事裁判の流れ、証拠調べ手続きなどがリアルかつ詳細に描かれている。また、有罪率99.9%という日本の刑事裁判の特徴的な数値も作品の重要な要素として設定されている。講談社「モーニング」2018年24号から2019年14号まで連載。テレビドラマ化され、2021年4月から6月まで放送。また、実写映画(劇場)が2023年1月に公開された。

正式名称
イチケイのカラス
ふりがな
いちけいのからす
作者
ジャンル
裁判官・弁護士
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊4巻
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作品の概要

基本情報

浅見理都の初連載作品。

要旨と舞台設定

現代日本の武蔵野地方裁判所第一刑事部を舞台に、有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判制度を背景に、裁判官たちの人間ドラマを描く。通称「イチケイ」と呼ばれる第一刑事部において、特例判事補として配属された主人公が個性的な裁判官や書記官たちと関わりながら成長していく過程が描かれる。

ストーリー展開

物語は、判事補、坂間が、武蔵野地方裁判所第一刑事部に配属されることから始まる。坂間は、エリート意識が高く生真面目な性格だったが、型破りな判事である入間との出会いにより価値観が変化していく。入間は元弁護士で、裁判で提出された証拠だけでなく、自ら事件現場を訪れ被告人の証言を検証する行動派の裁判官である。坂間は入間や上司の駒沢義男との交流を通じて、被告人の人生まで考慮した判決の重要性を学んでいく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、地方裁判所の第一刑事部の裁判官を主人公にした法廷ドラマである。日本の刑事司法制度を背景としながら、裁判官という職業の人間的側面に焦点を当てた作品として位置づけられる。各話では強制わいせつ事件や経済犯罪など多様な刑事事件が取り上げられ、それぞれの事件に関わる人物たちの心理や背景が描かれる。

世界観の構築と設定

実在の法律家の監修により、特例判事補制度、刑事裁判の流れ、証拠調べ手続きなど、日本の現行刑事司法制度がリアルかつ詳細に描かれている。また、有罪率99.9%という日本の刑事裁判の特徴的な数値も作品の重要な要素として設定されている。

連載状況

講談社「モーニング」2018年24号から2019年14号まで連載。

メディアミックス情報

テレビドラマ

『イチケイのカラス』:2021年4月から6月までフジテレビの“月9”枠で放送。入間みちおを竹野内豊が演じ、坂間真平はテレビドラマ版では、女性キャラクター坂間千鶴と変更され黒木華が演じる。その他駒沢義男を小日向文世、石倉文太を新田真剣佑、一ノ瀬糸子を水谷果穂が演じる。

スピンオフドラマ『イチケイのカラス~井出伊織、愛の記録~』:2023年1月9日から5日間連続で放送。

スペシャルドラマ『イチケイのカラス スペシャル』:2023年1月14日放送。

実写映画(劇場)

『映画「イチケイのカラス」』:2023年1月13日公開。 テレビドラマ版から2年後のストーリーが描かれる。

あらすじ

春から武蔵野地方裁判所に第一刑事部(通称:イチケイ)に配属された特例判事補の坂間真平。異動初日、イチケイの書記官、石倉文太一ノ瀬糸子は坂間の事を堅物でめんどくさい人物らしいと噂していた。そんな話をしている最中でも平然と話に入り、自己紹介する坂間。石倉はなれなれしい人物で、判事補の坂間に軽々しく「坂間っち」と呼んでいいかと聞く。

そんな石倉を一蹴し、裁判官室に入ると、右陪席(合議事件で裁判長から見て右側に座る判事)の机の上はゴミや食べ物でグチャグチャだった。こんな右陪席とは合わないと思っていると、石倉から法廷見学後の中学生の質疑応答を頼まれる。石倉に促されても、パフォーマンスで法服を着るのは嫌だと断る坂間だったが、部長の駒沢義男に法服が似合いそうだと褒められ、結局法服で質問を受ける事にした。

質疑応答で年収を聞く中学生に、ムッとした態度で「どんな趣旨でその質問をするのか」と尋ねる坂間。高圧的な態度に委縮してしまう中学生達をフォローしようと司会の一ノ瀬は「こういう感じの人なので~」と言うと、そこにも嚙みつく坂間。その後、裁判官とは何かという質問に「裁判官という仕事は誰にも干渉されず、ルールに則って自分で判断できる、他にはない仕事だ」と語る坂間。

すると中学生達の後ろに座っていた、丸メガネで太った男性が、裁判官の仕事は司会者や牧師のように話を聞きまくって判断するものだが、実際そんな裁判官も少ない。上司の顔色をうかがったり、最初から犯罪者を決めつけている裁判官も多いと、裁判官批判を始めた。

さらに冤罪の9割は裁判官のせいだと語る男性に、坂間は裁判官の仕事は世の中に感動もイノベーションも起こさない地味な仕事。だけど人々の生活に影響を及ぼし、時には人生も変えてしまう、そんな尊い仕事だと反論した。丸メガネの男は「君は優秀なようだが、いずれその選民意識と戦う事になるだろう」と言い残し、その場を去ってしまった。

坂間は書記官の石倉に「あの丸メガネの引率教師の名前を教えろ」といきり立っていた。裁判官室に戻ると、先ほどの丸メガネの男が右陪席の机に座ってお菓子を食べていた。丸メガネの男は入間みちお。彼は裁判官で、新入りの左陪席(合議事件で裁判長から見て左側に座るキャリアの短い判事)にちょっかいを出すためにわざわざ中学生の質疑応答の場にやってきたのだ。

だらしなく変わり者の先輩判事に、なれなれしい書記官。とんでもないところに配属されたとイライラする坂間。しかし、調べてみると部長の駒沢も右陪席の判事、みちおも実はとても優秀な判事で、数々の無罪を確定させていた。変わり者ばかりのイチケイの面々に振り回されながらも、坂間の裁判官としての日常が始まる。

登場人物・キャラクター

坂間 真平 (さかま しんぺい)

武蔵野地方裁判所に第一刑事部(通称:イチケイ)に配属された特例判事補。左陪席(合議事件で裁判長から見て左側に座るキャリアの短い判事)。真面目で堅物、エリート意識の高い男性。周りからTHE裁判官と揶揄される。すぐに腹をたてるタイプ。七三分けのオールバックをしっかり固めたヘアスタイルで、鼻が高い。イベントの時以外は酒を飲まない。

入間 みちお (いるま みちお)

武蔵野地方裁判所に第一刑事部(通称:イチケイ)の判事。右陪席(合議事件で裁判長から見て右側に座る判事)。38歳の男性。以前は刑事弁護を担当していた弁護士。弁護士時代に関わった案件を十数件も無罪にしているキレ者。通常、弁護士から判事になるのはとても難しく、年に1~2名しかなれない。ファンサイトがあるほど民衆の人気が高い。 小太りで丸メガネをかけ、七三に分けたストレートヘア。しょっちゅうお菓子を食べていて、体型も太っていてだらしなく、机の上も汚い。異動初日の坂間真平に裁判官批判や議論を投げかけた人物。

駒沢 義男 (こまざわ よしお)

武蔵野地方裁判所に第一刑事部(通称:イチケイ)の部総括判事。62歳の男性。イチケイのリーダー。温厚な性格で、スマホゲームに夢中。任官してからずっと刑事事件を担当しており、30件ほどの無罪判決に関わる。そのすべてが覆されず、無罪が確定している。裁判官は通常、手間と時間のかかる検証をやりたがらないが、駒沢は自信を持った判決を下すためにその努力を惜しまない。 「裁判官の為の訴訟指揮入門」という冊子を自費で作り、1部1000円で売っている。四角いメガネをかけ、側部しか髪のない、はげた髪型が特徴。

石倉 文太

武蔵野地方裁判所の男性事務官。誰にでもフレンドリーに接するというポリシーを持つ。勝手にあだ名をつけたりと、なれなれしく距離を詰めすぎて、坂間真平からは嫌悪感を抱かれている。髪型は真ん中分けで、軽くウエーブがかかっており、見た目もチャラい。

一ノ瀬 糸子 (いちのせ いとこ)

武蔵野地方裁判所の女性事務官。会話も仕事もテンポが遅く、おっとりしている。ほんわかした雰囲気の女性で、早口にはついていけず、嫌味なども通じない。髪型は真ん中分けのショートボブ。

書誌情報

イチケイのカラス 4巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2018-08-23発行、978-4065123706)

第2巻

(2018-12-21発行、978-4065139721)

第3巻

(2019-03-22発行、978-4065149508)

第4巻

(2019-06-21発行、978-4065160183)

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