アイドル業界の光と影が描かれる
本作では、アイドル業界の華やかさと厳しさや本人の努力、そして彼らを支える人々のドラマが描かれる。その一方で、激しい競争や、自らの野望のためにアイドルを利用しようとする大人たちの陰謀、さらには過激なファンやマスメディアによる被害といった現実も、アイドル候補生、彗の視点から克明に描かれる。彗は当初、家族を顧みなかった父親や、彼をそうさせたアイドル業界そのものに反発していた。しかし、意趣返しのつもりで挑んだオーディション番組「スターダストスターダム」を勝ち抜くうちに、次第に本気で頂点を目指すようになっていく。
父親への復讐からオーディションに参加
元国民的アイドル、秀の息子である彗は、父親に劣らぬ容姿と身体能力を持ちながら、一般人としての平穏な生活を強く望んでいた。だが現実は厳しく、通う学校では彼が秀の息子であることが知れ渡っていた。同級生たちから父親の話をせがまれるなど、秀との関係から逃れることはできずにいた。そんな中、彗が秀の物まねをする動画が拡散されてしまう。これをきっかけに、分別のないマスメディアが彗の自宅に押しかけ、母親の愛里は心労で倒れてしまう。この出来事に怒りを覚えた彗は、父親が主催にかかわっているオーディション番組「スターダストスターダム」への復讐を決意する。彗は生放送中に挑発的なラップを披露して番組をぶち壊そうとするが、そのパフォーマンスが逆に注目を集めてしまう。結局、彗は運営や候補生たちの面子(メンツ)を守るため、自分なりの理由をつけてオーディションを続けざるを得なくなる。
45人の少年が挑む過酷なアイドルサバイバル
「スターダストスターダム」は、45人の少年たちを対象とした大規模なアイドルオーディション番組。番組には複数のステージが用意されており、三~四人のユニットを組み、オリジナルの歌とダンスの技術を競う「STAGE1」や、六つのチームに分かれて課題曲の歌唱力を競う「STAGE2」などが展開される。各ステージのパフォーマンス結果に応じて「☆」と呼ばれるポイントが増減し、ポイントがゼロになった時点で即脱落となる。最終的に候補生が7名に絞られた時点で番組は終了し、勝ち残った7名でのユニットデビューが確約されている。この過酷なサバイバルには、講師陣からも注目され、彗から「秀以上の技術を持つ」と評される守白眞人や、優れたダンス技術を持つ一方で歌唱が苦手な緋賀令児、優しく穏やかな性格ながら自己主張が苦手な浦葉詩太など、彗のほかにも多彩な才能を持つ候補生たちが参加し、激しく競い合っている。
登場人物・キャラクター
天川 彗 (あまかわ すい)
アイドルオーディション番組「スターダストスターダム」に参加している高校生の男子。国民的アイドル、秀の息子として広く知られており、ほかの参加者たちからは「天川jr.」と呼ばれることが多い。母親で元女優の愛里は、10年前に秀と離婚している。愛里はその直後に起きたある事件のショックから、長期間にわたり精神的に不安定な状態が続いている。父親譲りの高い身体能力を持ち、他人の動きを瞬時にまねるのが得意。また、毎日山道を歩いて高校に通っているため、並外れた体力を誇る。歌唱力も優れているが、一方で振り付けは致命的に苦手。番組で初めて自作のダンスを披露した際には、そのぎこちなさから「盆踊り」と揶揄(やゆ)されるほど評判が悪かった。
天川 秀 (あまかわ しゅう)
彗の父親であり、元国民的アイドルグループ「Q-WEST」のメンバーの一人。ルックスや身体能力、トーク力のすべてに優れ、その圧倒的なパフォーマンスで多くのファンを魅了し続けている。その一方で、アイドルはすべての人に公平であるべきという独自の強い信念を持つ。そのため、たとえ家族の危機を心から案じていたとしても、次の瞬間にはまるで家族のことを忘れたかのようにアイドルとしての振る舞いに徹することもある。この極端な切り替えは、よく言えば仕事熱心だが、家族の視点からは感情が欠落したとも言える。こうした姿勢が原因で彗からは非常に嫌われているが、秀自身は彗の潜在能力を高く評価している。芸能界への挑戦を口にする彗に対しては、挑発とも激励とも受け取れる言葉をかけている。
書誌情報
そこで星屑見上げてろ 7巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-05-18発行、978-4088922829)
第2巻
(2022-10-19発行、978-4088924762)
第3巻
(2023-03-17発行、978-4088926377)
第4巻
(2023-08-18発行、978-4088927992)
第5巻
(2024-01-18発行、978-4088930732)
第6巻
(2024-06-19発行、978-4088932743)
第7巻
(2024-12-18発行、978-4088934822)







