概要・あらすじ
深川のたいやき屋の息子、君輪園太は勉強もスポーツも大嫌い。高校受験を控え、憧れの漫画家になることを決意するが両親は猛反対。結局、専門家に才能の有無を見てもらい、その結果次第で進路を決めることになる。学校の先生の紹介で、君輪園太の作品を批評ことになったのは、漫画界の巨匠、手塚治虫だった。
登場人物・キャラクター
君輪 園太 (きみわ そのた)
初登場時は中学三年生。いつもベレー帽を被っている。勉強もスポーツも大の苦手だが、漫画が大好きで、情熱だけは誰にも負けない。漫画家志望だがどうやったらなれるのかが分からず悪戦苦闘する。
とうちゃん
『その他くん』の登場人物で、主人公・その他くんの父。深川でたい焼き屋を経営している。自分が中学しか出ておらず苦労したため、息子には高校へ行ってほしいと願い、その他くんの漫画家の夢に猛反対する。
車田 (くるまだ)
その他くんのクラスメイト。背が高く丸眼鏡をかけた少年。プロ野球選手になる夢を持っており、漫画家志望のその他くんと励ましあい友情を育む。高校進学後、野球部に所属。一年生にしてレギュラーになる。
高田 (たかだ)
その他くんの同級生。野球部員。才能に恵まれており、プロ野球を目指す少年。その他くんから見ればまぶしい存在。車田くんと同じ高校に進み、一年生にして野球部のレギュラーとなる。
手塚 治虫 (てづか おさむ)
「漫画の神様」と呼ばれる漫画家。主人公・その他くんの漫画を批評するように頼まれる。その他くんの漫画を「まだ批評を受ける段階ではない」と切って捨てる。実在の漫画家、手塚治虫がモデル。
石森 章太郎 (いしもり しょうたろう)
一か月に300~400ページの漫画を描く、売れっ子の一流漫画家。家出して押しかけてきたその他くんに、漫画家やアシスタント希望者の心構えやエチケットを諭す。実在の漫画家、石ノ森章太郎がモデル。
上神 四駒 (こうがみ しこま)
引退しているが、日本の児童漫画の生みの親のひとり。主人公・その他くんと偶然出会う。その他くんの師匠のような存在で、漫画の基本を教えるため、一日一本、四コマ漫画を描くように命じる。
南条 ひかる (なんじょう ひかる)
少女漫画家志望の女の子。その他くんにクロッキー教室を紹介する。また「M・K・G」という漫画家志望のグループに所属しており、その他くんを誘う。週刊少女コメットの編集者に認められ、少女漫画家としてデビューする。
仲津 一平 (なかつ いっぺい)
南条ひかるやその他くんが所属した「M・K・G」という漫画同人サークルの中心的存在。絵がうまくプライドが高い。同人誌「ペンだこ」や自分の漫画を漫画家の矢口高雄に酷評され、サークルを解散。新人漫画家・赤本三竜のアシスタントになる。苦労して一流漫画誌に連載するより、三流漫画誌に低俗な漫画を描いてラクに稼ぐほうが利口だと主張する。
つのだ じろう
人気漫画家。スナックでヤケ酒を飲んでいるペンダコ党の連中と出くわす。良い漫画を描く上で一番大切なのは「愛」で、作者が自分と自分の作品を愛し、読者を愛することだと教える。実在の漫画家で本作の作者、つのだじろうがモデル。
矢口 高雄 (やぐち たかお)
人気漫画家。サイン会イベントで、その他くんたちが作った同人誌「ペンだこ」の批評を求められ、それに答える。様々なジャンルの漫画がある中でようやく及第点をとったのは、意外にもその他くんの描いた四コマ漫画だった。実在の漫画家、矢口高雄がモデル。
天満 十三 (てんま じゅうぞう)
ペンダコ党の一人。町でその他くんと偶然出会い、ペンだこ党のアパートに連れてくる。大阪出身で関西弁を話す。ペンダコ党の経理担当。SF漫画を得意とする。
郡山 若松 (こおりやま わかまつ)
ペンダコ党の一人。福島県出身。ギャグやコメディを根本的に見直して質の高いギャグマンガを描こうとしている。
熊本 熊五郎 (くまもと くまごろう)
ペンダコ党の一人。九州男児で豪傑。野球漫画で一時代を築こうと漫画家を志す。
長万部 真冬 (おしゃまんべ まふゆ)
ペンダコ党の一人で北海道出身。モヒカン刈り。人情漫画が得意。
集団・組織
ペンダコ党 (ぺんだことう)
『その他くん』に登場する組織。漫画家志望の天満十三、郡山若松、熊本熊五郎、長万部真冬の4人が結党したグループ。四畳半一間で共同生活をする。設立趣旨や目的は、かつてトキワ荘に集まった寺田ヒロオや藤子不二雄、石森章太郎らの「新漫画党」に倣っている。その他くんも偶然出会った天満に連れられ、この党に参加することになる。
その他キーワード
ペンだこ
『その他くん』に登場する同人誌。主人公その他くんや南条ひかるが所属する「M・K・G」という漫画同人サークルが作った肉筆の回覧誌。漫画家の矢口高雄に酷評され、グループは解散、「ペンだこ」も創刊号で終わりとなった。