響~小説家になる方法~

響~小説家になる方法~

天才的な小説の才能を持つが、非常識な性格の女子高生の鮎食響が、周囲の人々に大きな影響を与え、騒動を巻き起こす姿を描いた青春小説。

正式名称
響~小説家になる方法~
作者
ジャンル
青春
レーベル
ビッグコミックス(小学館)
巻数
既刊8巻
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あらすじ

第1巻

ある日、小説誌「木蓮」の新人賞宛に届いた、とある原稿を読んだ編集者の花井ふみは、その作品に圧倒されてしまう。ネット応募以外では受け付けていない「木蓮」新人賞に、直筆で送られてきたその原稿のタイトルは「お伽の庭」。「鮎喰響」という著者名以外の情報がわからないが、圧倒的な世界観と死生観に惚れ込んだ花井は、作者とコンタクトを取れない事を嘆きつつも、無理やり応募要項に沿うよう体裁を整え、応募作として受領してしまう。

ちょうどその頃、他人とコミュニケーションを取る事が苦手な15歳の少女、鮎喰響は、高校の入学式を迎え、幼なじみの椿涼太郎と同じクラスになった事に安堵していた。高校生になったのだから、きちんと周りとかかわりを持てと涼太郎には叱責されるが、大の本好きの響は寝ても覚めても読書に夢中で、涼太郎の言葉に耳を傾けようとしない。文芸部への入部を決めた響は、文芸部部長の祖父江sofia凛夏や、入部時に絡んできた上級生の塩崎隆也、ライトノベル好きの同級生、関口花代子、そして自分に付き合って入部してくれた涼太郎らと共に部誌を作る事になる。マイペースで暴力的だが、いつも堂々としていて自分を曲げない響に興味を抱いていた凛夏は、そこで響の書いた小説を目にし、その文才に圧倒される事になる。

第2巻

鮎喰響ら文芸部員が制作した部誌は、市の図書館に置かれる事となった。偶然、それを手にした作家の中原愛佳は、響の書いた短編小説「千年楼」を読んで驚愕する。文芸賞を取って文壇デビューしたものの、2作目の本の売り上げが振るわず、作家引退の危機に立たされていた中原は、本物の才能を目の当たりにした事で自分の現実を直視し、清々しい気分で筆を折る事を決意する。響はプロ作家に作品を褒められた事に喜ぶが、祖父江sofia凛夏の作家になりたいかという問いには、まだわからないとクールな言葉を返す。

そんなある日、響達文芸部員は凛夏の家に遊びに行く事になった。大作家の祖父江秋人を父親に持つ凛夏の家はものすごい豪邸で、興奮した響は、立ち入り禁止と言われていた秋人の書斎に忍び込んでしまう。そこで響は、留守中の秋人の原稿を取りにやって来た小論社の編集者、花井ふみと鉢合わせする。響の破天荒なまでのマイペースぶりに呆れた花井は、どういう小説を書くのか見てみたいと、響達の制作した部誌を持って帰る事にする。帰りの電車で部誌を開いた花井は、そこに探していた「鮎喰響」の名前を見つけて歓喜。響の通う北瀬戸高校へ侵入するという無謀な行動を敢行し、響とのコネクションを作る事に成功する。

後日、花井について小論社を訪れた響は、付き添いで来ていた凛夏が、小説誌「木蓮」の新人賞選考委員でもある作家の鬼島仁に絡まれている現場を目撃し、助けようと鬼島に蹴りを見舞うのだった。

第3巻

出会いがしらに暴力を振るわれた事で、鬼島仁の鮎喰響に対する印象は最悪なものとなった。だが、行きつけのバーで小説誌「木蓮」の新人賞に投稿された響の処女作「お伽の庭」を読んだ鬼島は、新しい才能を前に、自身の才能がもう枯れている事を素直に認めるのだった。一方、鬼島に容赦ない現実を突きつけた響は、小説を書く覚悟が決められず悩んでいた。気晴らしに祖父江sofia凛夏花井ふみと共に原宿へ向かった響は、そこで「木蓮」新人賞選考委員の一人である女流作家の吉野桔梗と出会う。そこで吉野は、なぜ作家になったのかという響の問いに、ほかになれるものがなかったからだと答える。さらに、本当は結婚して普通の家庭を築く幸せを得たかったという吉野の言葉に、響は小説に命を懸けて取り組むならば何かと両立するのは難しい事、そして自分の答えは自分で見つけなければならない事に気づくのだった。

それからしばらく経ち、夏休みに入った響ら文芸部員は、凛夏の父親、祖父江秋人の持つ海辺の別荘に遊びに行く事になった。海で遊んでいる最中、花井から響の携帯に「木蓮」新人賞受賞の連絡が入る。顔色一つ変えずに受賞を受け入れる響に釈然としない凛夏は、響の処女作「お伽の庭」の発表と自身のデビュー作「四季降る塔」の刊行時期が重なる事から、次期芥川賞の候補作に選ばれるのはどちらだろうかと、響の対抗意識を煽る。

第4巻

第50回「木蓮」新人賞の授賞式当日、すかした態度で暴挙を働いた同時受賞者の田中康平に対し、鮎喰響はスピーチの最中にもかかわらずパイプ椅子で襲いかかる。今回の受賞パーティーには大御所作家、メディア関係者はもちろんの事、芥川賞の選考委員も招待されており、式での失態は芥川賞受賞にマイナスに影響すると考えた花井ふみは、響の暴力的な行動に顔面蒼白となる。会場を困惑させたまま、響は式典を途中退席してしまうが、何はともあれ、こうして作家「響」が誕生する事となる。

響の文壇デビューに続き、祖父江sofia凛夏のデビュー作「四季降る塔」も刊行される。これによりメディア出演を果たした凛夏は、一躍時の人になる。過剰な宣伝と祖父江秋人の七光りで本の売れ行きは好調なものとなったが、リライトを重ね過ぎた「四季降る塔」はもはや自分の書きたかったものではないと、凛夏は複雑な思いを抱いていた。一方の響は、凛夏の心情を見透かしたかのように、刊行された「四季降る塔」を読み、つまらないとむげに切り捨てるのだった。そんな響に対し凛夏は、1か月後に控えた芥川賞の候補作発表まで、作品の批評を待ってほしいと頼む。そんなものを待たなくても、つまらないものはつまらないと断固として言う響に、凛夏は1か月間の絶交を提案する。そして1か月後、もやもやした思いを抱えたままテレビをつけた凛夏は、芥川・直木両賞に響の作品「お伽の庭」がノミネートされた事を知り、静かに落ち込むのだった。

第5巻

芥川・直木賞の候補作発表後、鮎喰響は絶交を解消しようと祖父江sofia凛夏宅を訪れる。無事に仲直りをした二人のもとへ、花井ふみから連絡が入る。これは、芥川・直木両賞にノミネートされた響への取材可否を確認するものだったが、当然響はいっさいの取材を拒否。だがそんな中、田中康平が週刊文衆の記者、須田に響の個人情報を漏らしてしまう。須田に付きまとわれた響は、いつものように暴力によって須田を退かせるが、須田の「才能のあるやつは多少人に妬まれて粗探しされても文句を言うな」という言葉が心に引っかかるのだった。

その頃、関口花代子はライトノベル系のNF文庫新人賞の一次選考落選の結果を知り、落ち込んでいた。響に作品を見せたところ、酷評を受けたためリライトしたが、やはりオリジナリティはない。それでも小説を書く事自体を楽しんでくれればいい、と優しく見守る凛夏の横で、響が、自分も同じ題材で小説を書いてみたと言う。ヴァンパイアのロマンをテーマにした響の作品は、花代子の書いたものとは雲泥の差であった。だが、格の違いを見せつけられながらも、花代子は響の作品をいたく気に入る。それに気をよくした響は、花代子にその原稿をあげてしまうのだった。

そしてついに、芥川・直木両賞の受賞作発表の日がやってきた。東京まで出て来た響に動物園、ディスティニーランドと連れ回される中、花井は響の「お伽の庭」が、史上初の芥川・直木両賞を受賞した事を知り、共に受賞式会場のホテルへと向かう。鬼島仁のコートで顔を隠した響の記者会見に不満を持った記者の一人が、響の素顔を写真に収めようとコート越しに頭を摑む。その行動に激昂した響は、花井の制止も聞かずに、注目を浴びる中、記者の一人を蹴り飛ばすのだった。

第6巻

記者に暴行して授賞式の会場から逃げ出した鮎喰響は、帰宅の途中で、近くの踏切で電車に飛び込もうとしている作家の山本春平と出会う。山本は文壇デビューして10年経つが芽が出ず、今回の芥川賞受賞を逃したら死を選ぼうと考えていたのである。傍若無人な態度ながら圧倒的存在感で山本を思いとどまらせた響は、その後、花井ふみから、「お伽の庭」を初版で100万部発行する事が決まったとの連絡を受ける。発売された「お伽の庭」は社会現象を巻き起こし、著者の響もまた、いっさいの素性を世間に明かさないまま、一躍時の人となるのだった。

時は流れて4月、響は北瀬戸高校の2年生になった。文芸部への新入部員は男子1人、女子3人で、新入部員の一人、柊咲希は「お伽の庭」の大ファンであった。著者の響を神と崇める彼女は、部室で出会った響が「お伽の庭」の著者、響である事にいち早く気づくが、世間に騒がれたくないという響の心情を汲み、正体を誰にも明かさない事を誓う。

そんな中、響のもとへ関口花代子が悪い話を持ってくる。以前、響に書いてもらったヴァンパイアロマン小説「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を、勝手にライトノベル系の新人賞に応募したのだという。結果、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」は大賞を受賞し、アニメ化の話まで進んでいるらしい。響は花代子を連れて出版社「ナリサワファーム」へと向かい、正体を隠したまま受賞を辞退する旨を伝える。だが、担当編集者の月島初子と、アニメ化計画を進めている一ツ橋テレビの敏腕プロデューサー、津久井淳二の説得により、受賞辞退を取り消す事になった。それどころか、津久井の誘導により、響は未完の状態だった「漆黒のヴァンパイアと眠る月」を完結させるという約束まで結んでしまう。その会話の中、津久井は目の前の少女が、今世間をにぎわしている「お伽の庭」の著者である響なのではないかと疑いを深めていく。

第7巻

関口花代子と共に現れた鮎喰響が「お伽の庭」の作者である響ではないかと疑う津久井淳二は、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」の刊行、アニメ化にあわせて、その素顔を追った特番を作れないかと模索していた。部下に響の日常を盗撮させた津久井は、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」のイラストを担当する人気イラストレーターの霧雨アメを使い、響の暴行場面を激写する事に成功。また、津久井は、響を追いかける中で響が花井ふみ祖父江sofia凛夏といっしょにいる現場を目撃し、響が「お伽の庭」の作者、響である事を確信する。

そんな中、夏休みに入って祖父江秋人の別荘に泊まりがけで遊びに来た響達は、文芸部の活動の一環として、短編小説を書く事になった。別荘近くの川や森を自由に探索する響達は、それぞれのインスピレーションに胸を高鳴らせる。響は森で熊に出会うが、死んだふりでやりすごし、これを題材に小説を書く事を決定。だが、出来上がった小説を見た宇佐見典子と由良かなえに、響が「お伽の庭」の作者である事がばれてしまう。おしゃべりな二人には何とか口止めをしたものの、「漆黒のヴァンパイアと眠る月」の刊行やアニメ化を控えている事もあり、覆面作家を続けるのは限界かもしれないと心配する凛夏に対し、響は最終的にはなんとかなるから大丈夫だと、あっさり告げるのだった。

第8巻

夏休み中も、津久井淳二は相変わらず部下達を使って鮎喰響の盗撮を続けていた。そしてついに、一ツ橋テレビの大物編成者が集う中、津久井が企画した響のドキュメンタリー番組は、収録日や放映日までが決定する。一方の響きは自分が盗撮されている事に気づいており、津久井の部下を罠にはめてその目的を問う。そこに姿を現した津久井は、天才は人前に出てあこがれられなければならないと語り、これまで撮り溜めた盗撮映像を流す収録に、ぜひ来てほしいと言い残してその場を立ち去るのだった。その後、修学旅行で京都・奈良を訪れた響は、どうやって津久井の鼻を明かしてやろうかと考え、一つの案を練り上げる。そして、津久井が特番で使うための資料を要求してきたと連絡してきた花井ふみに対し、その企画はどうせ潰れるから適当に相手をしておくようにと告げる。

東京に戻って来た響は、クラスメイトの笹木を引き連れ、予告されたドキュメンタリー番組の収録日に、一ツ橋テレビに殴り込みをかける。一ツ橋テレビのオフィスフロアへの侵入に成功した響は、一ツ橋テレビの社長を人質に取り、津久井に収録を中止するよう要求。そして要求に応じなければ、五つ数えるごとに人質の指を1本ずつ折ると脅す。これに対し、津久井は狂言だと取り合わず、響に向かってカメラを回し続けるが、最終的に人質ではなく、自身の小指を折った響の揺るぎない精神力に屈服。私を本物だと思うのならば、最後までその直感を信じるべきだったという響の言葉に、その場にいた誰もが彼女を本物の天才なのだと確信するのだった。

登場人物・キャラクター

主人公

北瀬戸高校に通う1年生の女子。父親は市役所勤務の公務員、母親は専業主婦という、ごく普通の家庭で育った。県外に住む大学生の兄がいる。黒髪で眼鏡をかけた地味な文学少女で、姿勢はいつも猫背気味。自分に絶対の... 関連ページ:鮎喰 響

北瀬戸高校に通う1年生の男子。鮎喰響の一番身近な男友達。響を溺愛するあまり、将来の結婚計画まで考えており、保護者同様の立ち位置で、響の交友関係や学校生活を見守っている。響には普通の女の子として穏やかに... 関連ページ:椿 涼太郎

北瀬戸高校に通う2年生の女子。超大物純文学作家の祖父江秋人の娘。文芸部で部長を務めており、部誌でのペンネームは「ric@」。母親がフィンランド人のハーフで、非常に整った容姿をしている。ガングロで遊んで... 関連ページ:祖父江 sofia 凜夏

小論社に勤める女性編集者。入社3年目で年齢は25歳。祖父江秋人の担当編集者をしている関係で、彼の娘の祖父江sofia凛夏とも交流があり、彼女の文才にいち早く気づいて注目していた。出版業界の不況をスター... 関連ページ:花井

小論社に勤める男性編集者。花井ふみの先輩で、教育係を務めている。また、中原愛佳と鬼島仁の担当編集者でもある。花井が編集長に食ってかかろうとするたびになだめる役回り。つねに冷静で、純文学を愛しており、出... 関連ページ:大坪

北瀬戸高校に通う1年生の女子。ライトノベルが大好き。おとなしい性格で、背が高い事にコンプレックスを抱いている。いかにも青春という高校生活にあこがれており、鮎喰響にロマンチックな雰囲気の中で説得され、文... 関連ページ:関口 花代子

北瀬戸高校に通う2年生の男子。祖父江sofia凛夏とは中学生の頃からの友人で、凛夏に誘われて文芸部に所属するようになった。友人達からは「タカヤ」と呼ばれている。背が高くがっしりした体つきで顔が恐く、い... 関連ページ:タカヤ

小説家の男性で、祖父江sofia凛夏の父親。かつて東凌大学文学部中退後にベルギーへ渡航し、ヨーロッパ各地を放浪。29歳の時に執筆した処女作「デ・レイケ・パークヒルズ」で小説誌「木蓮」の新人賞を受賞し、... 関連ページ:祖父江 秋人

黒島 智

鮎食響の通う高校の3年生の倫理を担当している男性教諭。文芸部の顧問だが、名ばかりで何もしていない。人格は最低。

ライター兼小説家の女性。国立東名大学文学部卒で、28歳で作家デビューした。文体で魅せるタイプの、典型的な純文学作家。デビュー作「蓮華郷」を出版したのち、2作目「午後の邂逅」の売り上げ不振により、「木蓮... 関連ページ:中原 愛佳

小論社に勤める男性編集者。小説誌「木蓮」の編集長を務めている。いつもニコニコしていて一見温和そうだが、決して自分の意見を曲げない頑固な人物。売れ行きの低迷する純文学に対して、純文学は芸術であり、存在す... 関連ページ:神田

書誌情報

響~小説家になる方法~ 既刊8巻 小学館〈ビッグコミックス〉 連載中

第1巻

(2015年2月27日発行、 978-4091867698)

第2巻

(2015年7月30日発行、 978-4091871480)

第3巻

(2015年12月28日発行、 978-4091873682)

第4巻

(2016年6月30日発行、 978-4091876461)

第5巻

(2016年11月30日発行、 978-4091892447)

第6巻

(2017年4月12日発行、 978-4091894908)

第7巻

(2017年8月10日発行、 978-4091896209)

第8巻

(2017年12月27日発行、 978-4091897077)

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