予期せぬ「朝チュン」から始まる同居生活
幼い頃から少女漫画のような恋を夢見ていた処女の桃花は、初めての彼氏に体の関係を拒んだことで、あっさりと振られてしまう。やけ酒を飲んだ翌朝、桃花が目を覚ますと、となりのベッドで見知らぬイケメン男子の叶が眠っていた。その後、叶が女性関係が派手で、とにかくモテる男だと知り、桃花は強く警戒する。しかし、思いがけないきっかけで叶の意外なまじめさを知った桃花は、水漏れで住む場所を探していた彼に「いっしょに住まない」と提案してしまう。こうして、恋愛観が正反対の二人の同居生活が始まり、桃花は魅力的な叶に翻弄されていく。
ミステリアスな年下沼男子×少女漫画のような恋愛を夢見る年上女子
少女漫画を恋愛バイブルにしている桃花は、頭の中では完璧な恋愛を妄想しているものの、実際の経験はまったくない。恋愛に対するあこがれは強いものの、男性の前では緊張して挙動不審になり、うまく話せない。同居生活を通じて叶に好意を抱くようになるが、「自分なんて釣り合わない」と悩み続けている。一方、叶は大学でも有名なモテ男で、感情をあまり表に出さない飄々(ひょうひょう)とした態度で女性たちを翻弄し、周囲からは「ガチコイ製造機」や「ガチコイ沼」と恐れられている。当初、これまでに出会ったことのない純粋な桃花をからかっていたが、次第に彼女に惹かれ、初めての感情に戸惑いを覚える。お互いに惹かれ合いながらも、一歩を踏み出せずにいる二人のじれったくも甘い距離感が、本作の大きな魅力となっている。
叶が木下桃花との出会いで変わる心の成長
桃花と出会う前の叶は、何事も器用にこなす一方で、心から熱くなれるものを知らなかった。しかし、手作りのお弁当で自分を気遣い、些細なことで一喜一憂する桃花の純粋さに触れたことで、初めて「自分だけのものにしたい」という強い独占欲を抱くようになる。叶は少しでもそばにいたいという思いから、桃花の会社でインターンを始めたり、彼女が恋愛に慣れるまで仮の恋人関係を提案したりと、その気持ちは大胆な行動へとつながっていく。さらに、桃花があこがれている職場のイケメン先輩・小暮に対しては、あからさまなライバル心を燃やすなど、クールだった叶が恋を通じて人間らしい感情を取り戻していく。
登場人物・キャラクター
木下 桃花 (きのした ももか)
一般企業に勤務する独身女性。年齢は25歳。少女漫画のような純粋な恋愛にあこがれているものの、現実はほど遠い毎日を送っていた。そんな中、初めてできた彼氏に関係をせまられて断った結果、あっさりと振られてしまう。やけ酒で泥酔した翌朝、目を覚ますと、見知らぬイケメンの叶がとなりのベッドで眠っていた。さまざまな出来事を経て、住む場所に困っていた叶といっしょに暮らすことになった。叶に好意を抱きながらも、自分が年上で恋愛経験が少ないことを気にして、素直に気持ちを伝えられずにいる。本人は無自覚だが、恋愛以外でも少し鈍感な一面がある。叶からは「桃さん」と呼ばれている。
叶 (かなえ)
大学2年生の男子。年齢は20歳。誰もが振り返るほど整った顔立ちのイケメン。その言動はどこか飄々としていてつかみどころがない。また、流暢(りゅうちょう)に英語を話し、自身の過去についてはあまり語らないなど、どこか謎めいた雰囲気を漂わせている。これまで、容姿目当てで近づいてくる女性や、確執のある母親の影響から、女性に対して冷めた感情を抱いていた。しかし、裏表のない純粋な桃花と出会ったことで、彼女に本気で惹かれていく。桃花に対しては一途だが、真剣な恋愛経験がなく、どうアプローチすればいいのかわからず、不器用な一面を見せることもある。
書誌情報
その男、沼につき。 1巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2024-03-08発行、978-4098725205)
その男、沼につき。 4巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第2巻
(2024-10-10発行、978-4098727384)
第3巻
(2025-04-10発行、978-4098730964)
第4巻
(2025-09-10発行、978-4098731473)







