概要・あらすじ
背が低く顔にそばかすのある少女はじめ(日乃本一)は、幼い頃からそば屋の店主の父虎雄にそば打ちを仕込まれていた。周囲は彼女を「そばっかす」と呼ぶが、その理由は美人の姉に比べて、「そば屋のカス」だから。明るく威勢のいいはじめだったが、高校入学直前に彼氏の吉岡にフラれてしまう。失意の彼女の前に現れたのは、女子柔道部主将・茂吉美奈子。
その切れ味鋭い袖釣り込み腰に感動したはじめは、柔道部に入部する。そば打ちで鍛えられた握力と一途な性格を武器に、はじめはライバル達と競り合いながら全国の舞台へと駆け上がっていく。
登場人物・キャラクター
日乃本 一 (ひのもと はじめ)
そばかす顔の女子。初登場時は高校1年生で桜ヶ丘学園高校に在籍。家はそば屋・ひのもとを営み、父から二代目そば職人と見込まれ10年間そば打ちを続けている。一人称は「ボク」。あだ名は「そばっかす」。その理由は美人の姉瞳に比べて、「そば屋のカス」だから。店に立つと明るく威勢が良いが、自分の容姿に自信が持てず、伊達眼鏡をかけていた。 高校入学直前に吉岡にふられ落ち込んでいたが、茂吉に出会い、その試合を見て感動して柔道部に入部する。最初は体力の無さから遅れをとっていたが、10年間そば打ちで鍛えた圧倒的な握力と一途な性格を武器に才能を開花させ、ナナや中野らライバル達と競り合いながら全国の舞台に駆け上がっていく。
茂吉 美奈子 (しげよし みなこ)
ロングヘアの女子。桜ヶ丘学園高校女子柔道部主将。端整な容姿と抜群の実力の上、男勝りの清々しい態度で彼女に憧れる人は多い。高校入学直前に足に怪我を負ったため一年間試合に出場できず、無冠の女王と呼ばれていた。はじめは当初「もきち」という名の男性と思い込んでいた。はじめ達一年生にとっては厳しい先輩だが、自分を一途に慕うはじめをこよなく可愛がっている。 はじめの驚異的な握力に気づき、祖母・山崎甲子と共に彼女の才能を開花させる。
堺 優美 (さかい ゆみ)
ロングヘアで口元にほくろのある女子。はじめにとって最大のライバル。初登場時は高校2年生。東洋台高校女子柔道部に在籍。父はレスリングのオリンピック銀メダリスト。幼い頃は身体が弱かったが、父からレスリングの訓練を受け頭角を表し、全日本女子レスリング選手権3年連続の覇者。レスリングの技を土台にした俊敏な動きと多彩な攻めを持つ。 しかし相手に容赦しない冷酷さがあり、挑発的な言動を繰り返すため周囲の反感を買うことも多い。中学3年生の時に現桜ヶ丘学園女子柔道部主将・茂吉と練習試合をして彼女の足を折ったことがある。はじめとはインターハイの県予選で初対戦。その後全国大会金鷲旗高校柔道大会では大会史に残る激しい死闘を演じた。
保 (たもつ)
ドレッドヘアーの男子。初登場時16歳。元東洋ウェルター級チャンピオンの父が営むボクシングジム・ピース拳ジムの練習生。同じく父が営むラーメン屋・ピース軒でアルバイトもしている。日向高校女子柔道部主将の茂吉に憧れている。茂吉の祖母・山崎甲子の依頼によって、はじめのトレーニングパートナーとなった。 当初ははじめを「便所ダワシ」と呼びお互い反目し合っていたが、共にトレーニングに打ち込むうちに一途に柔道に打ち込むはじめに惹かれ始める。
山崎 甲子 (やまざき きねこ)
桜ヶ丘学園高校女子柔道部主将・茂吉の祖母。白髪のおかっぱに丸サングラスがトレードマーク。柔道六段で、戦前には「女三四郎」と呼ばれていた。亡き夫は桜ヶ丘学園の前理事長で、地元柔道界にも影響力がある。はじめの才能を見抜き、彼女を指導して一本背負いを習得させた。また初の全国大会金鷲旗高校柔道大会の前には自ら柔道着を着てはじめに稽古をつけ、「幻の大技」を引き出した。
奈々 バスコンセロス (なな ばすこんせろす)
褐色の肌の女子。初登場時高校1年生で日向高校女子柔道部に所属する。通称「ジャジャ馬」と呼ばれる奔放な性格だが、驚異的な腕力を持ち、相手を前後に揺さぶる「くずし」だけでポイントを取ることができる。全米ジュニアハイスクール柔道チャンピオン。地区対抗戦新人戦で初心者のはじめに生まれて初めての負けを喫するが、その後は良きライバル同士となる。
中野 真紀 (なかの まき)
広がったショートヘアーを刈り上げ、鋭い目つきの女子。初登場時は高校1年生。過去10年で7度のインターハイ出場を誇る強豪校・富国山高校柔道部所属。激しい練習で耳がつぶれている。生まれは愛知県で、軽量級2年連続の中学チャンピオン。スカウトされて越境入学した。春の県大会準々決勝ではじめと対戦し死闘を繰り広げ、その後は良きライバル同士となる。
丸山 トシ子 (まるやま としこ)
黒髪をリボンでまとめた女子。初登場時は桜ヶ丘学園高校高校1年生。はじめの親友で、彼女に付き合って女子柔道部に入部。手芸部に入部するつもりでいたため、とまどいながらも共に厳しい練習に励む。明るく元気で、はじめが挫折しそうな時は親身にサポートする。家は丸山スポーツを営んでいる。
詩仙院 麗美 (しせんいん れみ)
桜ヶ丘学園高校女子柔道部副主将。身長178cm、体重92kgの堂々たる体躯の女子で重量級の実力者。いかつい顔で言動も厳しく、大半の入部希望者が逃げ出した。主将の茂吉や監督の水谷公平が不在の時ははじめ達一年生の指導役で、容赦ないトレーニングを施す。一方で華道、茶道、書道に通じ、花をこよなく愛する乙女でもある。 体力の無いはじめを見かねて一度はマネージャーになるよう通告したが、驚異的な握力を見て一転レギュラー候補として認め、共に切磋琢磨する。
日乃本 虎男 (ひのもと とらお)
そば屋ひのもとの店主で、瞳、はじめの父。はじめを二代目と見込んで幼い頃から10年間そば打ちを仕込んでいる。頑固な職人気質で、当初ははじめが柔道部に入ることを「そば打ちには必要ない」と認めなかった。顔には表さないものの、はじめを心配し、また応援している。趣味はゲーム。
日乃本 瞳 (ひのもと ひとみ)
初登場時19歳。はじめの姉。父虎男が営むそば屋ひのもとの看板娘で、雑誌でも紹介されるほどの美人。背が低くそばかす顔のはじめにとっては、コンプレックスの原因でもある。いたって明るく妹思いで、はじめが柔道を始めることに虎男が頑固に反対していた際、密かに御隠居に父の説得を頼んだ。
日乃本 千華子 (ひのもと ちかこ)
瞳、はじめの母。そば屋ひのもとのおかみで、頑固な店主の虎男とは対照的におっとりとして優しい性格。虎男に対しては決して口答えしなかったが、はじめが柔道を始めることに虎男が頑固に反対していた際には、虎男に手をついて柔道を認めるよう頼んだ。
越前 知絵子 (えちぜん ちえこ)
ショートヘアーをリボンでまとめた女子。初登場時は桜ヶ丘学園高校1年生。はじめと同期で共に柔道部に入部する。柔道は初心者だが器械体操経験者で、身体が柔らかく受け身も上手い。
和嶋 静 (かずしま しずか)
ずんぐりとした体型の女子。髪の間から右目だけを覗かせ、ゲゲゲの鬼太郎にそっくりの顔をしている。初登場時は桜ヶ丘学園高校1年生。はじめと同期で共に柔道部に入部する。上から読んでも下から読んでも同じ読みのため、「しんぶんし」と渾名されている。実力はあるが極度のあがり症で、連戦連敗を続けていた。
原 めぐみ (はら めぐみ)
初登場時は桜ヶ丘学園高校1年生。はじめと同期で共に柔道部に入部する。中学生時代は県大会で準優勝の実績がある。家はうどん屋のため、そば屋の娘のはじめに対して度々挑戦的な言葉を口にする。プライドが高く、相手を見下したような言動が目立つが、その都度返り討ちにされる場面が多い。
御隠居 (ごいんきょ)
はじめの家・そば屋ひのもとの常連客の一人。穏やかな好々爺で、はじめ達を可愛がっている。はじめが柔道を始めることに父虎男が頑固に反対していた際、密かにはじめの姉・瞳に頼まれ虎男を説得した。
水谷 公平 (みずたに こうへい)
桜ヶ丘学園高校女子柔道部監督。初登場時26歳。練習時には不在の事も多く、主将の茂吉や副主将の詩仙院に指導を頼むことも多い。柔道の腕はさほどでもないが人を見る目は確かで、はじめ達も実力を見て積極的に起用し、能力に応じたオーダーをする。大学生時代は柔道部に同姓同名の学生タイトル保持者がいたため、「にせ水谷」と呼ばれていた。
青柳 ゆりね (あおやぎ ゆりね)
桜ヶ丘学園高校女子柔道部のメンバー。初登場時は高校2年生ではじめの一年先輩。真面目で頑固な性格で、本来72kg級だった体重を勝つために66kg級まで落とし、計量でわずかに届かないとみると長い髪をばっさりと落としたこともある。家は青果店を営んでいる。主将の茂吉に憧れて入部したため、彼女に目をかけられているはじめに反感を持ったこともあるが、次第にその才能を認め共に切磋琢磨するようになった。
小宮 香 (こみや かおり)
桜ヶ丘学園高校女子柔道部のメンバー。初登場時は高校2年生ではじめの一年先輩。細面で普段は眼鏡をかけている。目立たないが陰で柔道部を支えている。父親が医師(ただし獣医)のため、手当てが得意。同じ学年の青柳と共に茂吉に憧れて柔道部に入部し、共に試合に出る事を楽しみにしていたが、金鷲旗高校柔道大会ではレギュラーの座を和嶋に奪われた。