ちきゅう観測隊!

ちきゅう観測隊!

滅亡の危機に瀕した母星を救うため、宇宙船に乗って地球へと繰り出したベガ隊長とサポートメカのフレミィによるSFコメディ作品。名島啓二のデビュー作で、2005年11月号の「マガジンSPECIAL」に読み切りが掲載された後、「週刊少年マガジン」2006年36・37合併号から2013年16号まで不定期連載された。コミックス刊行にあたり、いくつかのエピソードが追加で描き下ろされている。

正式名称
ちきゅう観測隊!
ふりがな
ちきゅうかんそくたい
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

滅亡の危機に瀕したピタゴラ星を救うため、ベガ隊長は移住できそうな星を探していた。調査の末、候補として挙げられたのは太陽系第3惑星に存在する星・地球であった。星の詳細を見極めるため、ベガ隊長はサポートメカであるフレミィを連れ、「ちきゅう観測隊」として出発する。しかし地球は20億光年という遥か彼方にあり、しかもサポートメカであるフレミィは小生意気な性格で、いつもベガ隊長に刃向かってばかりいた。

そんな現実に失意を覚えながらも、ベガ隊長は母星の住人たちを救うために地球を目指し続ける。

登場人物・キャラクター

ベガ隊長 (べがたいちょう)

ピタゴラ星から派遣された「ちきゅう観測隊」の隊長を務めているひげ面の男性。サポートメカであるフレミィも1人の「人物」として扱う、人間味に溢れた性格をしている。だがその一方で好き嫌いが多く、子供っぽい一面もある。地球への旅をともにする仲間であるフレミィとは仲良くしようと務めているが、小生意気な性格のフレミィからはあしらわれてばかりいる。 隊長とはいっても人員不足から選ばれた「位無し」なので、偉いわけではない。ピタゴラ星にいた頃は夜間の巡回警備についており、本部の中ではたらい回しにされていた。今回の地球への派遣も厄介払い的な側面が強いが、その悔しさをバネにして成果をあげようとしている。

フレミィ

「ちきゅう観測隊」にてベガ隊長のサポートを務める自律思考型のサポートメカ。童女のような見た目をしているが、性別という概念は存在しない。無感情な表情を浮かべているが、人間相手にも躊躇のしない物言いをする小生意気な性格をしている。そのため「ちきゅう観測隊」配属になるまでに計6回ものリコール要請を出されており、たらい回しの形で隊に配属された。 性格に難はあるもののサポートメカとしては優秀で、宇宙船の操舵や料理、機体の修理など一通りのことをこなすことができる。ベガ隊長の警護を務めているという側面もあり、彼が危機に瀕した際は、ブーツに仕込まれている対となったダガーナイフ2本で応戦する。正式な機体名は「S-X3 フレミング」。

アンタレス司令 (あんたれすしれい)

ピタゴラ星にて宇宙開発局の指揮を任されている男性。白髪でひげを生やしている。「ちきゅう観測隊」であるベガ隊長の上司を務めており、彼らに何か問題があった際のサポートや指示を行っている。豪放磊落な性格で、優しく親しみやすそうに見えるが、一面で腹黒いところがある。ベガ隊長を「ちきゅう観測隊」として派遣したのは、厄介払いの側面が強い。 そのため、ベガ隊長が定期報告を寄越した際には、「まだ生きてたのか」と愚痴をこぼしている。

フォルクス

「レオニール大観測隊」の隊長を務めている偉そうな風貌をした男性。階級は曹長。「位無し」であるベガ隊長を露骨に見下すなど、地位に固執している一面がある。サポートメカを物扱いして独裁的に振る舞い、ベガ隊長を激怒させる。

S-X0 サクヤの開発者

S-X0 サクヤの開発者。製造してから5年後、サクヤとともに行方をくらませた。自らが設定したプログラムながら、自分を慕うそぶりを見せるサクヤに想いを寄せるようになり、時に彼女に愛の言葉をささやいてた。サクヤとともに宇宙に飛び立った後、病気によって亡くなった。名前は不明。

レオン

「ドバゴ観測隊」の隊長を務めている男性。ドバゴ星の観測が終了し、続けてカロウナ星の観測を命じられたために、「ドバゴ観測隊」から「カロウナ観測隊」へと隊名を変える。もともとは財務諸表の作成担当を務めており、人員不足のために観測隊に加わった経緯がある。不遇な扱いを受けているため、同じく不遇な扱いを受けるベガ隊長と意気投合。 握手を交わし、お互いの状況を想いって涙を流した。

ライナス=ウォドン

「レブレ観測隊」の隊長を務めている男性。病的な外見をしており、不具合が報告されたサポートメカのS-MC エリクシルによる治療を受け続けている。しゃべっている最中に吐血するなど、身体に明らかな異常があるが、本人いわく、それが「絶好調」なのだという。病的な様子がエリクシルの医療ミスによるものか、本人独自のものであるかは不明。

リゲル

「エミレン観測隊」の隊長を務めている女性。黒髪のロングヘアで眼鏡をかけている、おっとりとした雰囲気の人物。メカニックのサポートメカが壊れてしまったので、宇宙船の修理が行えず、ベガ隊長に助けを求める。

S-SMkⅢ 量産型メドレィ

「レオニール大観測隊」に多数配備されている、他律受動型のサポートメカ。少女のような見た目をしており、主人にどのような扱いをされようとも従順に働く。主人の命を最優先として行動しており、有事の際は携行しているライフルを使って応戦する。

S-X0 サクヤ

ピタゴラ星で100年前に作られたサポートメカ。メイドの姿をしており、サポートメカ開発におけるすべての機体のもととなっている存在。人間と同じような感情を持つことを目的に作られた機体だが、「死の事象」だけは理解できなかった。主人への愛も設定として組み込まれており、病気により主人が死んだ後も彼を愛し、目覚めるのを待っていた。 試験機として開発された1機以降生産が中止されている。失敗作とされ、記録抹消のため「0号機」として扱われている。

S-T4 ラストエグザム

レオンのサポートを務めているサポートメカ。開発機としてはフレミィの従妹のような関係になる。フレミィとは外見が似ているが、彼女よりも戦闘に特化した目的で開発されている。見た目は、ベガ隊長いわく「セクシー」。戦闘能力をメインとして強化された分、会話能力が削られている。

S-MC エリクシル

ライナス=ウォドンのサポートメカ。ナース服を着た女の子の姿をしている。治療には身の丈ほどもある巨大な注射器を使うなど、とても普通とは思えない医療行為を行う。不具合が発覚し、強制送還されることとなった。

S-Tk2 ゼクス

リゲルの護衛用サポートメカ。フードを深く被っており、目つきが鋭い。無愛想だが護衛としては優秀。下心を持って近づいたベガ隊長に強い敵意を示す。

S-CCT パルコ

「エミレン観測隊」においてメカニックを務めているサポートメカ。作業服に身を包んでいる。故障してしまったため、「エミレン観測隊」の修理を行えなくなっていた。フレミィの修理を受けて回復し、船内の不調修理に向かった。

ロズウェル

「ちきゅう観測隊」が乗った宇宙船に現れた幽霊。生前はカタストロフ星に住み、「オズウェル」という名前だった。宇宙旅行の途中、宇宙船が小惑星に激突して死亡。成仏できずに彷徨う浮遊霊となる。ベガ隊長の働きかけによって成仏した。機械であるフレミィにはその姿が見えない。

もと人間を名乗るロボット (もとにんげんをなのるろぼっと)

地球へ向けての航行中、廃棄されていた宇宙船を探索した際に出会ったロボット。カメラの付いた丸い形状に6本の脚が付き、クモのような見た目をしている。「もと人間」であったことを自称するが、全身を機械化してしまっているため、その証拠がない。フレミィにそれを指摘されて激怒し、襲い掛かろうとしたところを、ベガ隊長によって破壊された。 正式な名前は不明。

警備メカ (けいびめか)

惑星ゼーレの首都で重要機密を扱う施設を警備していた戦闘用マシン。人間を模しているものの、フレミィなどのサポートメカとは違って、無骨な外見をしている。侵入者を撃退するためのプログラムが仕込まれており、それを知らずに侵入してしまったベガ隊長たちを襲った。惑星ゼーレの文明崩壊後も起動しており、瓦礫の山と化した施設の警備を続けていた。

マナ

惑星ホボクローンからやって来た女性。笑顔が張り付いたような表情が特徴で、カナとはそっくりの見た目をしている。宇宙船の操縦技術に乏しく、回避行動を取った「ちきゅう観測隊」の宇宙船にぶつかってしまった。そのために、その謝罪をすべく「ちきゅう観測隊」の宇宙船へとやって来る。ぶつかった衝撃により首を負傷したベガ隊長への治療を申し出るが、その治療は「バットで殴打する」という力任せの治療だった。

カナ

惑星ホボクローンからやって来た女性。笑顔が張り付いたような表情が特徴で、マナとはそっくりの見た目をしている。「ちきゅう観測隊」と宇宙船がぶつかってしまい、その謝罪をするために「ちきゅう観測隊」の宇宙船へとやって来る。道徳観念に欠けており、ベガ隊長への治療と称して彼の首をバットで殴打した。

場所

ピタゴラ星 (ぴたごらせい)

地球から20億光年彼方の宇宙に存在する惑星。水と緑に覆われた美しい星だが、滅亡の危機に瀕している。この星に住む住人たちは移住先を探しており、地球をはじめとした数々の星へ観測隊を派遣している。地球に比べて科学力が発達しており、自律思考型のサポートメカを作ることが可能な他、テラフォーミング技術などにも長けている。

惑星ゼーレ (わくせいぜーれ)

機械文明の発達が著しいことで知られた惑星。「ちきゅう観測隊」が船のパーツを探すために立ち寄った。しかし観測隊が降り立った時には文明が滅んでおり、命令を受けた機械だけが動いている星となっていた。

惑星ホボクローン (わくせいほぼくろーん)

クローン技術が発達した惑星。生物培養や再生医療においては、非常に高度な技術を所持している。しかし遺伝子操作や延命措置の横行により、道徳観念に欠けた者が多く、諸惑星の住民たちからは煙たがれている。

その他キーワード

サポートメカ

人間をサポートするための機械。基本的に人間の形をしたロボットだが、開発ごとに目的が定められており、軍用型から治療、機械修復、汎用型などさまざまなサポートメカが存在する。他律受動型と自律思考型の2種類があり、2つを併せて運用すると、命令系統をよりスムーズに伝達することが可能となる。その動力は自然エネルギーを活用しており、どのような環境下においても半永久的な活動が可能となっている。

クルセリオ

ピタゴラ星原産の野菜。栄養価は高いものの青臭く苦い味がするため、子供には不評。地球でいうところのピーマン的な存在。ベガ隊長も苦手としている。

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