あらすじ
第1巻
医師になる事を目指している新條菜穂は、研修医として講栄大学病院に勤務する初日に、バイクで通勤中、子供を避けようとして車に接触してしまう。これから勤務する病院に担ぎ込まれたうえに、接触した車は担当医である世良孝太郎のものだった。一日入院をした菜穂は、職場となる病院内で新生活のスタートを切る事になる。いつもは厳しい先輩医師や看護師たちが、菜穂たちの歓迎会の席では、酒を飲んで大いに盛り上がっていた。しかし、事故による急患の知らせが入ったとたんにプロの顔になって病院へ急いで戻って行く姿を見て、菜穂はいつか自分もそんな医師になりたいと心に決めるのだった。(第1話「世良孝太郎」)
接触した世良の車の助手席には星野瞳子が乗っていた事を思い出し、それをうっかり大勢の前で暴露してしまった菜穂。しかし菜穂がその事を瞳子に詫びると、二人はつき合っているわけではないからと一蹴される。一方、患者の愚痴の相手をしたり、血管に針を通すのが難しい患者を相手に奮闘する菜穂は、瞳子に注射の練習を申し出る。二人でゆっくり話しているうちに、瞳子がストーカー被害に遭っているが、いつも世良に助けてもらっている事を知り、改めて世良を見直す。ある夜、病院に瞳子にストーカー行為をくり返す男が侵入し、菜穂と世良は瞳子を助けるために奔走する。(第2話「医師とナースの?な関係?」)
研修医として日々奮闘する菜穂だが、世良に叱られてばかりいた。今回は手術室で寝てしまいそうになり、怒鳴られてしまう。一方、麻酔科の井之頭は世良と険悪な状態で、対立ばかりしていた。手術を控えた林源三郎はその噂を聞き、不安にかられて勝手に退院し、家に帰ってしまう。菜穂は慌てて林を迎えに家に向い、井之頭と世良のチームワークに問題がない事を保証する、と林を納得させる。林を無事に病院に連れ帰った菜穂は、研修医だてらに井之頭と世良を頭ごなしに叱りつける。拍子抜けした二人は、お互いに思っている気持ちをすべて打ち明ける事で和解、心置きなく手術に向かうのだった。(第3話「麻酔科のボス」)
やる気だけは人一倍あるものの、まだまだ技術が追いついていない菜穂は、ほかの研修医に比べて仕事を任せてもらえない事に不満を抱いていた。しかし、せっかく世良からチャンスをもらっても、期待に応える事ができずにいた。気持ちが萎縮し、迷いが生じてしまうとますます身体は動かなくなる、不甲斐ない自分に対して落ち込んでしまう。しかし、熊倉吾郎の容態が急変した際、当直だった菜穂は誰にも頼れない状況の中、自分の判断で熊倉の窮地を救う。その後、駆けつけた世良に処置の的確さを褒めてもらい、少しだけ自信を持つ事ができた。(第4話「クマゴロー」)
第二外科の新米研修医である千家由花は非常に優秀で、先輩からのどんな質問にも完璧に答えてみせる反面、男漁りに余念がない。彼女は優秀な遺伝子を持つ男性をパートナーにしたいという信条があり、仕事とプライベートを完全に割り切った考え方を持っていた。由花に誘われた合コンに行く直前に、菜穂は急変した患者の緊急手術に立ち会う事になる。手術中にどんどん危険な状態になっていく患者を目の前に、菜穂はおろおろするばかり。しかし冷静に高い技術で処置を続ける世良の姿に、菜穂は尊敬とあこがれの気持ちを再燃させるのだった。(第5話「オペ室荒らし 千家由花」)
第2巻
ある日、五堂美也子という女性の患者が入院して来る。彼女は極道の妻であり、病室にはいつも強面でガラの悪い男性が控えていた。最初は病院の対応に反発する美也子だったが、新條菜穂の必死の説得に負けて素直に従うようになる。しかし美也子と対立しているガラの悪い男たちが見舞いにやって来て、病室で煙草を吸ったあげく、菜穂の注意にもいっさい従おうとしない。そこにやって来たヤクザ顔負けの怖い顔をした第一外科の部長・大徳寺三郎は大勢をまとめて一喝。かくして騒ぎはおさまり、美也子の手術も無事成功する。(第6話「仁義なきたたかい!」)
珍しい病気で入院している麻生洋子は、売れっ子の作家で、世良孝太郎の中学時代の知り合いだという。好奇心が旺盛で、すべての事を小説の題材にしていく洋子は、自分の病気の事も詳しく知りたがる。前向きで明るい洋子の姿を見て、担当医である菜穂はホッとする。しかし実は洋子は強がっているだけで、その事に気づいていたのは世良だけだった。洋子は自分の手術当日に逃げ出そうとし、手術を怖がっている気持ちを隠してきた事を菜穂に打ち明ける。冷静な世良の態度とは対照的に、それでも必死の説得をしようとする菜穂に毒気を抜かれ、洋子は手術する覚悟を決めるのだった。(第7話「魔の出会い?」)
菜穂は研修医のため給料は少なく、よその病院で当直のアルバイトをする事で生計を立てていた。そんなある日、先輩医師から頼まれ、遠くの病院へ赴く。そこは田舎の病院で、めったに急患など来ないと聞いていたものの、次から次へと異変が起こり、菜穂は大慌てする。同じくほかの病院から当直のアルバイトとしてやって来た大杉と二人で奮闘し、気づいたら朝になっていた。菜穂は、疲労で倒れてしまった大杉の処置までして、へとへとながら自分の病院に戻る。そして菜穂の事を一晩中心配していた世良もまた、疲労を顔ににじませつつ出勤するのだった。(第8話「外当直デビュー」)
色っぽい話とはまったく無縁でいた菜穂を心配した菜穂の母は、菜穂の事を子供の頃から娘のようにかわいがっている赤沢玉枝に頼み、菜穂にお見合いをさせる事にする。断り切れずに嫌々ながらも晴れ着を着てお見合いの場であるホテルに出向いた奈穂は、そこで上司に勧められてお見合いを断り切れなかった世良とばったり出くわす。それぞれ、お見合いから抜け出そうと考えていた二人は、ホテル内で急病人が発生したため、必死の救護活動に従事する。娘の医師としての必死な姿を誇らしく感じた菜穂の母は、菜穂の意志を尊重しようと考え直すのだった。(第9話「お見合いなさい」)
ホストクラブで働く田中裕也が入院して来る。女性にマメでチャラい性格の田中は、これまで出会った事がないタイプの菜穂に新鮮さを感じて口説こうとするも、仕事に夢中な菜穂にまったく相手にされなかった。そんな田中は早期胃癌が発見され、内視鏡手術が不可能なため、開腹手術を必要としていた。その説明を受けた田中だが、ホストという商売柄、身体に傷を付けたくないと言い張って開腹手術を拒否。病院を脱走して店に出勤した田中を追いかけた菜穂は、手術の必要性を必死に訴える。結局田中が折れて、手術は行なわれ無事に成功する。(第10話「サービス業・ユーヤ」)
第3巻
ある日、講栄大学病院に三崎洋二という男性患者が入院して来た。病気自体は深刻なものではなく、簡単な処置で済むものだったが、洋二の息子である三崎勇太は、主治医である新條菜穂が新米の研修医であることを不安に感じ、主治医を変えてほしいと直訴する。実は勇太の母親は2年前に癌で亡くなっており、小学4年生ながらも小さな妹の世話をする勇太は、病院に対して大きな不信を抱えていたのだった。勇太の不安感を取り除くため、菜穂は必死で三崎の処置を執り行い、その後のケアも万全を期す。不安に感じながらも祈るしかない患者の家族の気持ちを改めて知り、菜穂は一刻も早く一人前の医師になりたいと強く思うのだった。(第11話「あの先生で大丈夫?」)
菜穂は偶然、看護師たちによる研修医の悪口大会と化した飲み会に出くわす。その話を聞きながら菜穂は改めて看護師に迷惑をかけないよう自立しようと心に決める。しかし、看護師たちのストレスの原因は菜穂ではなく、新米ナースの花宮だった。急な異動でやって来た花宮は、みんなに迷惑をかけている事を自覚しており、自分が看護師として至らない事に落ち込んでいた。そんな花宮の気持ちを知った菜穂は、お互いに独り立ちできるように頑張ろうと励ますのだった。(第12話「ちょっと新米ナース? 花宮さん」)
新人研修医の菜穂にとっては同期にあたる小塚保は、元患者でなおかつ大徳寺三郎の親戚である樹原絵里と付き合っており、しかも彼女を妊娠させてしまう。病院を辞める覚悟の小塚に、菜穂はなんとかして力になりたいと考えいた矢先、絵里の父親である樹原幸二が入院して来た。樹原に好印象を与えるべく二人は奮闘するが、ミスをして逆に嫌われてしまう。しかも小塚と絵里が付き合っており、妊娠中である事もばれてしまう。そんな中、樹原の胃に早期癌がある事を発見した小塚は樹原から感謝され、信頼を勝ち取る事に成功する。(第13話「第一外科研修医 同期の桜」)
以前、世良孝太郎の同期だった美人の女医・音無礼子が急な腹痛を訴え、患者としてやって来る。その容態から即入院、そして手術をしなければならなくなった礼子のもとに、夫が様子を見にやって来るが、話を交わす事なく帰ってしまう。実は二人はすれ違いの生活が続いており、ほとんど別居状態にあったのだ。仕事第一主義である礼子は、密かにその事を反省しているのだが、素直になれないでいた。しかし礼子が夫を愛している気持ちを知った菜穂は、バイクで礼子の夫を迎えに行き、二人を仲直りさせるのだった。(第14話「一外のマドンナ(元)音無礼子」)
ある日、末期癌を患っている尾崎征二という男性が、講栄大学病院を訪ねて来る。彼は既に余命まで宣告されていたが、治療を受ける事を拒否して、命ある限りやりたい事をやってから死にたいという信念を貫いていた。マネジメントしている長野のサッカーチームのスポンサーを探すために上京したという彼と偶然にも帰りの電車内で遭遇した菜穂は、彼が心配なあまり付き添う事にする。尾崎と会話するうちに、残り少ない人生を輝かせながら生きている彼の姿に不思議な気持ちを抱く菜穂だった。やがて尾崎が亡くなったという知らせを受け、菜穂はあふれる涙を飲み込み、自分もまた仕事に全力で取り組む事を誓う。(第15話「ナイスヘディング!」)
第4巻
同期の研修医たちが既に手術を経験していた中、とうとう新條菜穂にも初めての手術をするチャンスが巡って来る。患者は田丸和子という女性で、病名はヘルニアだった。これまで手術経験がない菜穂が執刀する事に不安を抱える田丸だったが、最後は世良孝太郎の説得に応じて手術を承諾する。一方、菜穂は緊張のあまり夜もよく眠れなかったものの、何度もイメージトレーニングを重ね、初めての手術に挑む。だが、そのヘルニアの手術の最中、菜穂は田丸の身体に「シュローファー腫瘤」を見つける。(第16話「初オペ!!」)
講栄大学病院の医局の中でインフルエンザが流行っていた。世良まで体調を崩す中、元気いっぱいの菜穂はほかの医師たちの分まで頑張ろうと張り切っていた。しかし担当する井ノ瀬正が退院直前に原因不明の熱を出し、その原因がわからないでいた。ところが、実は井ノ瀬が詐病である事が発覚する。その理由は、入院して手術までしたのに、家出中の息子が一度も顔を見せに来ない事に苛立っていたのだ。菜穂は自身もインフルエンザにかかって倒れてしまい、兄の病院で治療を受ける事となる。この時、同じ病院に井ノ瀬の息子が入院している事を偶然知り、二人の仲を取り持つ事に成功する。(第17話「風邪に効くのは?」)
医局旅行の幹事になった菜穂と保積晃は、先輩たちのワガママを叶えるべく奔走していた。田嶋から、看護師の鈴原と旅行を機に仲よくなりたいと頼まれ、なんとかして二人のお膳立てをする計画を立てる。しかし計画は失敗して、逆に鈴原の前で田嶋のみっともない姿を露呈してしまう。ところが鈴原が田嶋の事を以前から好きだったという情報を得て、事態は急展開する。だがそれは間違いで、鈴原には既に恋人がいたのだった。落ち込む田嶋を慰めつつ、保積は菜穂への想いを告白する。しかし鈍感な菜穂にはまったく保積の気持ちが届かず、旅行は終わってしまう。(第18話「医局旅行だ!!」)
「シュローファー腫瘤」についての論文を学会で発表する事になった菜穂は、世良や大徳寺三郎らと共に北海道へ行く事になる。空港で偶然会った村井は世良のかつての同僚で、シュローファー腫瘤についての症例も経験していた。カルテを見せてほしいと病院におしかけた菜穂に、村井は丁寧に説明をする。しかしそこに急患が運ばれ、菜穂は成り行きで手伝う事になる。急患に次ぐ急患で、結局朝まで病院で処置をした菜穂は、この活躍により村井からヘッドハンティングされる。それを世良が引き留め、学会でも無事に発表を済ませた菜穂は満足して帰路に着くのだった。(第19話「学会デビュー?」)
講栄大学病院にタレントの泉礼奈が急性虫垂炎で入院する。実は礼奈は妊娠しており、急性虫垂炎の手術のついでに赤ちゃんも堕してほしいと発言し、菜穂は激怒する。無事に虫垂炎の手術を終えた礼奈のもとにアイドルのカズキが現れ、お腹の子供の父親である事が発覚する。仕事を取るか、赤ん坊を取るか迷う礼奈は菜穂に悩みを打ち明け、出産する覚悟を決める。後日、礼奈とカズキが入籍した事を雑誌で知った菜穂は、密かに喜ぶと共に若い二人にエールを送る。(第20話「入院患者は芸能人!」)
第5巻
癌で入院した荒垣圭助には、妻のほかに愛人がいた。顔を合わせるとケンカばかりする荒垣の妻と愛人のマリに、主治医である新條菜穂や世良孝太郎は困り果てていた。明るく振舞いながらも、手術についての詳しい話を聞こうとしない荒垣に、菜穂は手を焼いていた。二人で力を合わせて荒垣を支えてほしいと伝える菜穂に、妻や愛人だけではなく荒垣本人も圧倒され、その必死な姿に一同は心を打たれる。大手術を終えた荒垣は退院してもケアが必要だが、今後は妻と愛人が協力して支えていく事を約束するのであった。(第21話「妻VS愛人!!」)
学生の広瀬海が第一外科に実習にやって来た。広瀬はまだ経験も浅いため周りの空気を読む事もできず、トラブルを引き起こす事で有名だった。さっそく大徳寺三郎から大目玉をくらうも、めげない広瀬は看護師たちになかなか心を開こうとしない浅川アイという老婆の病床に足しげく通っていた。その甲斐あって浅川の容態が急変した時、いち早く気づくのだった。(第22話「ちょっと実習生?」)
贈収賄疑惑が囁かれ、マスコミを賑わしている代議士・大和田勇造が講栄大学病院に入院して来た。病名は「悪性腫瘍」で、手術まで体調を整えるべきなのだが、病室には入れ替わり立ち代わり客人が現れ、大和田は病院の指示に一向に従わない。そして手術の前日、大和田はこっそり病院を抜け出してしまう。実はこの日は、かつて離婚した妻が引き取った大和田の娘の結婚式だったのだ。無理やり付き添った新條菜穂と共に車中から花嫁を見守り、病院に戻った大和田を暴漢が襲う。しかし菜穂は身を挺して大和田を庇い、頭を数針縫うケガをしてしまう。医師として必死で頑張っている菜穂の姿を見て、大和田は手術後にけじめをつけて辞職する事を決める。(第23話「疑惑の代議士」)
講栄大学病院に小野一という男性が入院して来た。彼は8歳の頃からあらゆる病気にかかっては、入院と退院を繰り返していた。そのせいもあって病気の事に非常に詳しく、やたらと質問したり口出しする彼は、医療オタクと呼ばれて密かに医師たちから煙たがられていたのだった。小野の病気に対する熱意をくみ取り、とことん彼と向き合おうとする菜穂だったが、彼の行き過ぎた行動を注意したとたん、心を閉ざされてしまう。しかし本当は、小野が病気が怖いゆえにきちんと説明を受けたがっている事を知り、菜穂は彼のために手術中のビデオを見せる事を約束する。(第24話「医療オタク!?」)
有名なアメリカ人ピアニストのロバート・マンスフィールドは、コンサートのための来日中に急性虫垂炎で倒れてしまう。主治医である菜穂はロバートに緊急手術を勧めるも、日本の医療を信頼していない彼は手術を断固として拒否する。しかし患者の不安をなくすのも医者の務めであると、菜穂は彼に粘り強く説得を重ねる。一度は承諾したロバートだったが、ほかの患者の容態が急変したのを見て、再び手術を拒否し、トイレに立てこもってしまう。だが、菜穂がロサンゼルスにいるロバートのかかりつけ医に手術の必要性を根気強く説明している姿に心を動かされ手術を決断する。手術は無事に終わり、ロバートは感謝の気持ちを込めて病院で小さなリサイタルを行うのだった。(第25話「Hello,患者さん」)
第6巻
手術中に手術台から足を踏み外してしまった新條菜穂は、執刀中の世良孝太郎にぶつかってしまい、あやうく患者を死なせてしまいそうになる。世良のカバーでなんとか手術は成功するものの、菜穂は患者である小池に対して責任を感じ、小池の術後の経過に神経をとがらせていた。しかし、罪悪感からのストレスのせいで菜穂の胃にはポリープができ、手術室に入ろうとすると腹痛に襲われるようになる。だが当事者である小池にその話をすると、笑い飛ばされてしまう。世良からも叱咤激励された事で、菜穂はトラウマを乗り越えて手術に臨む。(第26話「え? 医療事故!?」)
7年ぶりに高校の同窓会に出席した菜穂は、旧友である永瀬と再会する。しかし、その会場で突然倒れてしまった永瀬は講栄大学病院に入院する事になり、検査の結果進行癌だと判明する。いつも憎まれ口ばかり叩いている永瀬だったが、死ぬのが怖いと菜穂に本音を漏らす。手術をする事になった永瀬だったが、転移がひどく、すべて取り切れないまま手術は終了する。手術前に約束した通り、菜穂は永瀬の余命が3か月である事を正直に告げる。永瀬は一度は退院して仕事復帰を果たすが再び入院、手術から3か月で死んでしまう。菜穂は永瀬の墓の前で、これからも頑張っていく事を誓う。(第27話「元同級生 永瀬」)
菜穂の父が仕事中に階段を踏み外し、頭を打って脳震盪を起こしてしまう。これをいい機会だと思った家族は、嫌がる菜穂の父に人間ドックを受けさせる事にする。すると菜穂の父に前立腺癌が見つかり、手術をする事になる。菜穂は、大好きな父親が死んでしまうかもしれないと、頭の中が真っ白になり仕事にも身が入らない。そんな状態を世良に叱責されて、自己嫌悪に陥るも菜穂を気遣う世良の計らいで菜穂の父の手術日は仕事を休む事ができた。しかし、菜穂の父の手術直前に菜穂の担当患者が急変してしまい、医師としての責任を果たすため病院に戻るのだった。(第28話「パパが倒れた!?」)
単なる友達としか思っていなかった保積晃から突然告白された菜穂は、驚きつつもきっぱりと断ってしまう。しかし次の日から顔を合わせるたびに、どうにもギクシャクしてしまう。なんとかして元のような友達関係に戻りたいと願う菜穂だったが、保積と話しをすればするほどよけいにこじれてしまう。もう一度だけ保積と話そうとした菜穂は、ひょんな事からエレベーターの事故に巻き込まれてしまう。菜穂と保積と患者の三人がエレベーターに閉じ込められてしまい、保積は急性虫垂炎、患者は心停止に陥ってしまう。保積は痛みをこらえながら、菜穂と共に患者の蘇生を行い、無事に命を取りとめる。力を合わせて窮地を乗り切った二人は、気がつけば元の関係に戻っていた。(第29話「保積、玉砕!?」)
講栄大学病院に急性虫垂炎で入院して来た深沢芳樹は、かつて母親を病気で亡くしており、その時の主治医である世良を逆恨みしていた。母親を亡くして以来、芳樹は荒れており、芳樹の友達である不良グループと共に世良が医療ミスをした人殺しだと、病院に落書きをする。その落書きを見て、悔しくて涙が止まらない菜穂に対し、患者を救えなかったのは事実なのだと、世良はその事を真摯に受け止めていた。再び落書きされる事を阻止するために、世良と菜穂が病院を見回っていると、やって来た不良グループが病院の前で事故を起こしてしまう。必死で彼らの命を救おうとする世良の姿を見て、芳樹は深く反省するのだった。(第30話「世良=ヤブ医者?」)
第7巻
横浜の病院から講栄大学病院にやって来た柏原は、徹底的な女性差別発言をする人物だった。新條菜穂は悔しい思いをいながらも、仕事で見返してやろうと奮起する。世良孝太郎が出張で1週間不在のあいだに、菜穂は柏原のもとで、厳しくあたられながらも必死で仕事に励んでいた。少し打ち解けて仕事終わりに食事をしていた二人のもとに急患の知らせが届き、慌てて病院に戻る途中に柏原がチンピラにからまれてしまう。菜穂が得意の合気道でチンピラをやっつけ、足を痛めた柏原を支えて病院へと向かう。菜穂のメンタルの強さを認めた柏原は、菜穂に対して特別な感情を抱くのだった。(第31話「歓迎? 柏原先生!」)
菜穂は麻酔科での研修中に、かつて麻酔の副作用で命を落としそうになった多田等という患者の担当になる。麻酔に対する恐怖心から手術の説明すらろくに聞こうとしない多田に、少しでも恐怖を和らげようと菜穂は必死で働きかけるが、それがかえって多田を刺激してしまい、逆に怒鳴られてしまう。しかし多田は菜穂を怒鳴った事を反省し、菜穂は多田に麻酔の副作用の事故の時の状況を尋ねる。すると話の最中に多田はパニックを起こし、呼吸困難で倒れてしまう。菜穂は世良に叱責されるものの、多田は菜穂に話した事でトラウマを克服できたと明るい顔に戻り、手術を受ける事も承諾する。(第32話「麻酔科研修」)
菜穂の研修期間が終わりに近づいたある日、菜穂の父は自身が経営する総合病院で働く事を菜穂に勧める。即座に断った菜穂だったが、それを聞いた世良から講栄大学病院に無理に残る必要はないと言われ、悔しい気持ちになり、自分が実力をつけた事を見てもらおうと考える。しかし、調子に乗った事を見透かされるように世良に指摘された菜穂は、自分が初心を忘れていた事に思い至る。一方、世良と菜穂の父はいっしょに酒を酌み交わしながら、菜穂についての話に花を咲かせていた。世良のようになりたいという目標を再認識した菜穂は、研修後も再び大学病院へ戻る事を心に決めるのだった。(第33話「進路は実家?」)
地域医療の研修で、仙台の救命センターに勤務する事になった菜穂はやる気に燃えていた。自殺を試みて運ばれてきた患者は松井高志といい、以前にも同様に自殺を試みて運ばれてきた事があった。憎まれ口を叩く松井に最初はキレてしまった菜穂だったが、退院していく松井に病院に来るのは迷惑ではないと伝えると、松井はなんと菜穂と言葉を交わすためにその後何度も病院に通って来るようになる。ある日松井は交通事故に巻き込まれ、再び病院に担ぎ込まれる。死にたくないと訴えた松井に、菜穂たちは懸命の救命処置をする。助かった松井は、もう二度と自殺などしないと菜穂に誓うのだった。(第34話「救命センター研修」)
2年間の研修期間も終わりに近づき、菜穂は世良に指導してもらえる貴重な残りの期間を大切に、勉強に励んでいた。しかし世良に胃癌の診断が下され、手術が必要になる。手術のために入院した世良は、同じく胃癌を患っている患者・田所の執刀ができなくなってしまった事を気がかりに思っていた。執刀医の変更に動揺している田所のためにも、世良は自分の手術の前日にもかかわらず、田所の手術の執刀をする事を病院に申し出て、菜穂もまた世良の心情を汲んで口添えする。田所の手術を無事に終え、世良は自分の手術を菜穂に任せる。研修を終えて横浜の病院へ異動した菜穂は、世良に教わった大切な事を胸に、医師として成長していくのだった。(第35話「研修大詰め、最後の教え!」)
登場人物・キャラクター
新條 菜穂 (しんじょう なお)
講栄大学病院の第一外科で研修医を務める女性で、年齢は24歳。やる気に満ちあふれており、指導医として厳しくも大切な事を教えてくれる世良孝太郎を尊敬している。父親も兄も医師。以前合気道をやっていた経験があり、腕っぷしには自信がある。パワフルで度胸があり、ちょっとやそっとの事ではめげない根性の持ち主。
世良 孝太郎 (せら こうたろう)
講栄大学病院の第一外科で医師を務める男性。新條菜穂の指導医となる。研修医時代から優秀で、UCLAに留学していた経験もある実力者。仕事に厳しく、菜穂に対しても容赦がないが、よいドクターを育てるのが自分の使命だという強い信念を持っている。仕事ができるうえに顔もイケメンなので、女性からモテる。
大徳寺 三郎 (だいとくじ さぶろう)
講栄大学病院の第一外科で部長を務める男性。病院の重鎮であり、なおかつ強面なので周囲に怖い印象を与えるが、新條菜穂や世良孝太郎らにとっては頼りになる上司。
保積 晃 (ほづみ あきら)
研修医として講栄大学病院の第一外科にやって来た男性。新條菜穂を仲間として信頼しており、実は密かに異性として意識している。実家は田舎で小さな病院を経営する家系。口が悪いが男らしい性格をしている。
岡田 那智 (おかだ なち)
研修医として講栄大学病院の第一外科にやって来た男性。新條菜穂とは大学時代の時から仲がよく、友達として信頼しているが、異性としては意識していない。眼鏡をかけている。保積晃が菜穂に密かな想いを寄せている事に気づいており、温かく見守っている。
大原 (おおはら)
講栄大学病院の第一外科で看護師長を務める初老の女性。ふくよかな体格に、眼鏡をかけている。いつもにこにこしており温和に見えるが、笑顔の中にも誰も逆らえない強烈なオーラを放っている。
星野 瞳子 (ほしの とうこ)
講栄大学病院の第一外科で看護師を務める女性。ショートカットの髪型で、口調はキツイところもあるが、基本的にはさっぱりしており、実は頼まれると嫌とは言えないお人好しなところもある。かつての患者からストーカー行為を受けて困っていた事があり、その時は世良孝太郎に助けてもらった。
牧瀬 (まきせ)
講栄大学病院の第一外科で看護師主任を務める女性。美人で笑顔が素敵な人だが、仕事に関しては厳しく、怒ると迫力がある。
菜穂の母 (なおのはは)
新條菜穂の母親。医師の家に生まれ、夫も息子たちも医師という境遇にある。いつも和服を着ている上品な女性。要領の悪い菜穂の事を心配しており、将来が不安なあまり、菜穂に積極的にお見合いを勧める。
菜穂の父 (なおのちち)
新條菜穂の父親で、新條総合病院で院長を務めている。転んで脳震盪になったのをきっかけに、検査をした結果、前立腺癌だという事が判明した。眼鏡をかけており、人の好さそうな風貌をしている。菜穂にとっては世界一素敵なパパ。
井ノ頭 (いのがしら)
講栄大学病院の麻酔科の医局長を務めるベテランの男性。世良孝太郎とはよく意見がぶつかるので気が合わないかのように見えて、患者を第一に考えるという信念には共通するものがある。仕事に厳しいが、ただ厳しいだけでなく後輩を気遣う優しい一面もある。新條菜穂のやる気を高く評価している。遅くにできた娘はまだ小学生で、目に入れても痛くないほど溺愛している。
千家 由花 (せんけ ゆか)
講栄大学病院の第二外科で研修医を務める女性。まだ新人ながら、医学の知識が深く、秀才なうえに美人。優秀な遺伝子を持った男性と結婚したいという願望が強い。
柏原 (かしわばら)
講栄大学病院の系列で横浜にある病院から、講栄大学病院の第一外科にやって来た男性医師。世良孝太郎とは同期で、眼鏡をかけており冷たい印象を与える。腕は立つが、女性を認めないという固定観念があり、新條菜穂とはぶつかりあったが、やがて菜穂の仕事に対する真摯な態度に考えを改める。
秋場 (あきば)
講栄大学病院の麻酔科で医師を務める男性。仕事に一生懸命で、麻酔の素晴らしさと必要性について語りだすと止まらない。第一外科から研修を受けにやって来た新條菜穂に対して厳しい指導をする。
田嶋 (たじま)
講栄大学病院の第一外科で医師を務める男性で、保積晃の指導医をしている。独身で、外科医としても優秀なのだが、前髪が後退しており顔もあまりよくないので、女性看護師たちから特に人気はない。看護師の鈴原の事が好き。
鈴原 (すずはら)
講栄大学病院の第一外科で看護師を務める女性。美人で独身で、いつも笑顔を絶やさない。優しくて面倒見のいいタイプ。最近、都立高校の教師とお見合いをして、お付き合いをしている。
村井 (むらい)
北海道で父親が経営する病院で医師を務めている男性。世良孝太郎の元同僚で、大学病院でいっしょに仕事をしていた時期もあり、よきライバルといわれていた。考え方などが似ており、そのせいで反発する部分もあるが、仕事に対する姿勢は世良に負けず劣らず真摯に取り組んでおり、優秀な医師として知られる。
大崎 (おおさき)
新條菜穂の研修先である仙台の総合病院に勤務している医師で、菜穂に指導している。眼鏡をかけており、普段は穏やかだが、仕事には非常に厳しい。ドライに見えるが、実は面倒見のいいところがある。
花宮 (はなみや)
講栄大学病院の第一外科で看護師を務める女性。まだ仕事に慣れていない新人のため、いつも星野瞳子を頼りにしている。周囲をよく苛立たせてしまうが、本人は必死で仕事に取り組んでおり努力もしている。同じ新人同士、新條菜穂と気が合う。
小塚 保 (こづか たもつ)
講栄大学病院の第一外科で研修医をしている男性。新條菜穂とは同期。菜穂より2歳年上で、顔も老けているためか落ち着いた雰囲気を漂わせている。父親の仕事が立ち行かないせいで資金がなく、医大を受けるのを断念しようとしたが、結局奨学金とアルバイトで大学入学を果たした苦労人。
林 源三郎 (はやし げんざぶろう)
講栄大学病院に入院している61歳の男性。病名は「胆石症」。新條菜穂が点滴のための針を刺すのを何度も失敗しても、笑顔で許してくれる優しい性格。仕事は魚屋をしており、威勢がよく怖いもの知らずのように見えるが、実は手術をする事を怖がっている。
溝口 太三 (みぞぐち たいぞう)
講栄大学病院に入院している58歳の男性。病名は「胃粘膜下腫瘍」。大手企業の重役であり、なんでも自分の思い通りにしようとする頑固者で、誰にもかまってもらえないと機嫌が悪くなる。
熊倉 吾郎 (くまくら ごろう)
講栄大学病院に入院している男性で、病名は「食道静脈瘤」。女性看護師や新條菜穂の尻を触ったりと、セクハラを繰り返すが、菜穂が落ち込んでいる時には慰めてくれる優しい一面を持つ。
五堂 美也子 (ごどう みやこ)
講栄大学病院に入院して来た34歳の女性。病名は「胆嚢ポリープ」。夫はヤクザで、病室にはいつも組の若い者が用心棒として控えている。強面で迫力があるが、意外と優しいところがある。新條菜穂の事は半人前だと思って見下しているが、イケメンである世良孝太郎の事は気に入っている。
麻生 洋子 (あそう ようこ)
講栄大学病院に入院している女性。病名は「突発性門脈圧亢進症(IPH)」で、若い女性がIPHにかかるのは比較的珍しい。職業は作家で、エッセイや小説が若い女性に人気を博している。世良孝太郎とは中学時代に同じ学校に通っていた。明るく、いつも強気な態度を見せているが、実は強がっているだけで繊細なところもある。
大杉 (おおすぎ)
新條菜穂と共に千葉の病院からの依頼で当直の仕事を引き受けた医師の男性。やる気がなさそうに見えるが、いざという時には意外と頼りになる。
赤沢 玉枝 (あかざわ たまえ)
菜穂の母とは従姉妹にあたる女性で、新條菜穂の事を自分の娘のように思い、子供の頃からかわいがっている。デパートで倒れ、講栄大学病院に運ばれる。病名は「消化管穿孔」。病院中に菜穂のお見合いに関する話を広めてしまう。
田中 裕也 (たなか ゆうや)
講栄大学病院に入院して来た27歳の男性。早期胃癌と診断されている。六本木のホストクラブではNo.1の座に就いており、自分の主治医である新條菜穂が自分に対して興味を示さない事にプライドを傷つけられ、菜穂を落とそうとするも断念。手術に不安を抱いていたが、菜穂の明るさに救われる。
三崎 勇太 (みさき ゆうた)
三崎洋二の子供で、小学4年生の男の子。2年前に母親を亡くし、父子家庭の中で小さな妹の面倒を見ている。2年前に癌で母親が死んで以来、病気や病院に対して不安感を抱いている。父親を心配するあまり、主治医の新條菜穂が新米の研修医である事に頼りなさを感じている。
三崎 舞 (みさき まい)
三崎洋二の子供で、小さな女の子。2年前に母親を亡くし、父子家庭で育っている。なにくれとなく世話をしてくれる兄の三崎勇太を深く信頼している。大徳寺三郎の顔を怖がっており、大徳寺に見られると泣いてしまう。
三崎 洋二 (みさき ようじ)
講栄大学病院に入院して来た男性。寿司屋を経営している。2年前に妻を亡くし、実母の手を借りながらまだ幼い三崎勇太と三崎舞を育てている。病名は「鼠径ヘルニア」。手術は成功するのだが、麻酔の影響を受けて意識が混濁してしまう。
樹原 絵里 (きはら えり)
21歳の女子大生。かつて虫垂炎で講栄大学病院に入院していた事がある。その時の主治医は新條菜穂が務めた。大徳寺三郎の親戚にあたる。退院後、小塚保と付き合うようになり、現在は妊娠している。
樹原 幸二 (きはら こうじ)
講栄大学病院に入院して来た52歳の男性。樹原絵里の父親。病名は「胆石症」。眼鏡をかけており、物静かな風貌をしている。しかし娘を溺愛しており、娘に近づく男性には容赦しない。
音無 礼子 (おとなし れいこ)
横浜市の総合病院に勤務する外科医師の女性。かつて講栄大学病院の第一外科にいた事があり、世良孝太郎とは同期の仲。美人で仕事ができる。急な腹痛で倒れてしまい、緊急手術が行われ、そのまま講栄大学病院に入院した。病名は「十二指腸穿孔」。実は世良とは昔少し付き合った事がある。
尾崎 征二 (おざき せいじ)
末期癌患者の男性。10か月前に世良孝太郎から残り1年の余命宣告をされ、すべての治療を拒否して長野へ移住した。長野のローカルサッカーチームをJリーグに昇格させたいという夢を持っている。残りの人生を一つも無駄にせずにやりたい事に全力を注ぎたいと考えている。
田丸 和子 (たまる かずこ)
講栄大学病院に入院している52歳の女性。病名は「腹壁瘢痕ヘルニア」。帝王切開したところに脱腸してしまい、猛烈な腹部痛を起こした。新條菜穂にとって、初めての手術の患者。新米の菜穂に切らせる事を不安に感じつつも、快く承諾した。手術中に、腹内からシュローファー腫瘤が見つかった。
井ノ瀬 正 (いのせ ただし)
講栄大学病院に入院している59歳の男性。病名は「癒着性イレウス」で、いわゆる腸閉塞。手術後の経過は良好で、退院を控えていた。しかし、3年前にケンカしたきり音信不通の息子と会いたいがために、詐病を使って入院を長引かせようとする。
泉 礼奈 (いずみ れな)
講栄大学病院に入院して来た女性芸能人。年齢は25歳。病名は急性虫垂炎で、しかも妊娠している。10歳から芸能界デビューしており、精神的にもタフでたくましい。カズキと付き合っており、赤ちゃんを産むか堕胎するかで迷っている。
カズキ
アイドルとして活動している青年。年齢は23歳。泉礼奈と付き合っている。まだ若く経験値も乏しいので、礼奈の妊娠を聞いて動揺したが、その後礼奈と入籍し、けじめをつける。
荒垣 圭助 (あらがき けいすけ)
講栄大学病院に入院している55歳の男性。病名は「膵頭部癌」。会社を経営している。妻のほかに愛人がおり、入院以来二人が派手に言い争いをする事にストレスを感じている。癌の告知をされても明るく笑い飛ばしているが、実は現実を直視できない一種の逃避行為。両親も癌で亡くしており、癌の治療に対していいイメージを持っていない。糖尿と高脂血症、不整脈も患っている。 主治医の新條菜穂の度胸のよさが気に入る。
荒垣の妻 (あらがきのつま)
荒垣圭助の妻で、荒垣とはビジネスパートナーでもあるため、荒垣不在の間は会社を支えている。美人で気が強く、マリと顔を合わせると派手な言い争いになってしまう。マリの存在を疎ましく思っていたが、マリと病室でつかみ合いのケンカをしているところを荒垣の主治医である新條菜穂に一喝された。のちに荒垣のケアをするためにマリと協力していく事を決める。
マリ
銀座のクラブのママをしている女性。既婚者だと知りながら荒垣圭助と付き合っている、いわゆる愛人。美人で派手なうえに気が強く、荒垣の妻と顔を合わせると言い争いが絶えない。荒垣の妻と病室でつかみ合いのケンカをしているところを荒垣の主治医である新條菜穂に一喝された。のちに荒垣のケアをするために荒垣の妻と協力していく事を決める。
広瀬 海 (ひろせ かい)
講栄大学病院の第一外科に実習に来た、医師を志す大学生の男性。後先考えないで行動する悪い癖があり、自分の発言の内容の無神経さに気づいていない。自分の担当患者である浅川アイに心を開いてほしいという考えからスタンドプレイに走ってしまう。勝手に連れ出した事で上司や患者の家族から激怒されるが、患者の異変に真っ先に気づくというファインプレーにつながった。
浅川 アイ (あさかわ あい)
講栄大学病院に入院している老年の女性。病名は「癌」。胃癌から直腸へ転移し、人工肛門の手術を控えている。少しボケており、人見知りが激しい状態になっている。医師や看護師を認識してはいるものの、挨拶されても無視をしてしまう。
大和田 勇造 (おおわだ ゆうぞう)
講栄大学病院に入院して来た57歳の男性。過労で入院したものの検査の結果、悪性の腫瘍が見つかった。代議士をしており、マスコミからは連日贈収賄疑惑で叩かれている。関西弁を話し、スキンヘッドで強面だが、気さくな感じの人物。裏表があるが、筋はしっかり通っている。
亜紀子 (あきこ)
大和田勇造と前妻とのあいだに生まれた娘。母親に引き取られたため、両親が離婚してから大和田とは10年も会っていない。結婚式を控えており、父親の見舞いにやって来たのだが、顔も見せずに帰ってしまう。
小野 一 (おの はじめ)
講栄大学病院に入院して来た45歳の男性。病名は「胃癌」。3年前に手術した胃癌が再発し、胃を全摘出する予定になっている。8歳で肺炎になって以来、病気やケガが絶えずに入退院を繰り返す。そのせいで医療関係に詳しく、医療オタクと呼ばれている。自分の病気と向き合い、そこから目をそらさずになんでも本当の事を知りたいと願っている。
中山 (なかやま)
講栄大学病院に入院している男性。病名は家族から胃潰瘍と聞かされていたが、実は胃癌。小野一との世間話から自身の本当の病名を知る事になるが、その事で小野に対して感謝の気持ちを抱いている。
ロバート・マンスフィールド (ろばーとまんすふぃーるど)
講栄大学病院に急患として担ぎ込まれたアメリカ人の男性。年齢は49歳。妻のヨーコからはファーストネームで呼ばれている。クラシックのピアニストとしては有名人で、日本へはコンサートのために来日していた。日本の医療を信じておらず、断固として手術を拒否したため抗生物質を打ちながら経過観察をする事になり、入院する。
ヨーコ
ロバート・マンスフィールドの妻で、日本人。聡明で若くて美しく、判断力も優れている。彼のピアニストとしての才能に惚れており、駄々っ子のようなロバート・マンスフィールをかいがいしく世話を焼いている。
小池 (こいけ)
講栄大学病院に入院している男性。手術を受けている最中に、新條菜穂のミスで余分な血管を切られてしまう。執刀医の世良孝太郎による処置で命に別状はなく、手術自体も成功した。医師を志す菜穂を応援している。
永瀬 (ながせ)
弁護士をしている男性で、専門は企業法務。新條菜穂とは高校生の時のクラスメイト。同窓会で久しぶりの再会をしたものの、オーバーワークのため倒れてしまう。講栄大学病院で検査をした結果、進行癌である事が判明し、手術を行う。口が悪く、菜穂に対して憎まれ口ばかり叩くが、本当は菜穂の頑張りを認めている。
井田 (いだ)
弁護士をしている男性で、永瀬にとっては先輩にあたる。口は悪く、乱暴なところがあるが、知的財産権については専門的で豊富な知識を持つ凄腕。面倒見がよく、人情に厚い。
深沢 芳樹 (ふかざわ よしき)
講栄大学病院に入院して来た18歳の少年。病名は「急性虫垂炎」。一昨年に母親を胃癌で亡くし、その時の主治医であった世良孝太郎の事を逆恨みしている。母親を亡くして以来、グレて暴走族と付き合っているが、実はこれは母親を亡くした事の後悔と淋しさからの現実逃避でもある。
多田 等 (ただ ひとし)
講栄大学病院に入院している52歳の男性。病名は「初期胃癌」。かつて歯科医院での局部麻酔の副作用で呼吸が止まりそうになり、救急搬送されたという過去を持つ。麻酔に対してトラウマを抱いており、癌のために胃の全摘出をするために麻酔を受ける事にナーバスになっている。
松井 高志 (まつい たかし)
自殺を試みて新條菜穂の研修先である仙台の総合病院に運ばれてきた19歳の青年。以前も一度自殺を試みて病院に担ぎ込まれ、一命を取りとめている。退院後も、菜穂と話をするために病院へ通って来るようになる。
田所 (たどころ)
講栄大学病院に入院している男性。病名は「胃癌」。世良孝太郎の評判を聞いて、世良に手術してもらえると期待していたが、世良自身が胃癌になってしまった事で執刀医が変わり、不安に思っている。
場所
講栄大学病院 (こうえいだいがくびょういん)
新條菜穂が研修医として働く病院。第一外科には世良孝太郎をはじめたくさんの医師たちがおり、部長は大徳寺三郎が務めている。看護師には師長の大原をはじめ、星野瞳子らがおり、巧みな連係プレーで医師たちをサポートする。
その他キーワード
シュローファー腫瘤 (しろっふぁーしゅりゅう)
田丸和子の腹内から見つかった腫瘤。彼女のシュローファー腫瘤は、帝王切開の手術に使った糸などが体内に残り、それに脂肪などがくっついて腫瘤化したものと考えられている。珍しい事例で、後日執刀医の新條菜穂がこの症例を論文で発表した。