アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり

病院薬剤師を務める葵みどりは、病院内では非力な一薬剤師としての自分にもどかしさを感じながらも、安全な医療を提供するため、時に医師や患者と正面から全力でぶつかり合う。患者の当り前の生活を守るために奔走する薬剤師たちの姿を描く本格医療漫画。「月刊コミックゼノン」2018年7月号から連載の作品。

正式名称
アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり
ふりがな
あんさんぐしんでれら びょういんやくざいし あおいみどり
作者
ジャンル
医療
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ゼノンコミックス(ノース・スターズ・ピクチャーズ)
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あらすじ

第1巻

病院薬剤師の葵みどりは、仕事をしていく中で、薬剤師の存在意義に疑問を感じるようになっていた。なぜなら、医療の現場である病院では、医師から処方された薬剤に疑問を投げかけることができる唯一の存在であるが故に、医師から疎まれることも多く、患者からもその重要性に対しての認識度も低いからである。それでもみどりは、「薬を安全に患者さんに届けること」という薬剤師の存在理由に立ち返り、患者や医師と積極的にかかわろうとする。そんなある日、みどりはケガで入院中の古賀治朗と知り合う。職人気質で頑固な庭師の治朗は、待望の退院が3日後に控えていたため、時々具合が悪くなることがあっても、それを悟られないように隠していた。それに気づいたみどりは、治朗とコミュニケーションを取ろうとするが、みどりが薬剤師であることを理由に相手にされず、治朗から頑なな態度を取られてしまう。明らかに体調に問題がありそうではあるが、治朗の処方データを確認しても特に問題点は見当たらず、悶々とする中、みどりは治朗の妻から声を掛けられ、治朗の様子について話を聞くチャンスを得る。そして、治朗の妻が薬剤師を身近な存在として感じてくれていたことを知ったみどりは、薬剤師である自分にもできることはあるはずと奮起し、治朗の担当医のもとへと向かう。(第1話「「普通」のために」。ほか、4エピソード収録)

第2巻

病院薬剤師の葵みどりは、入院患者の新田奏佑との面談を行うことになった。新田は、これまで飲んでいた大量の処方薬を持参していたが、薬は紙袋にまとめて保管され、かなりぞんざいに扱われている様子。もともと無頓着な性格なのか、飲み忘れもそのままで、まったく管理されていない状態だった。みどりが一つずつチェックしていくと、食前に飲むはずの薬が食後のものと一包化されていたり、半錠にしてはいけない薬が半分に切られていたりと、薬剤師として見過ごせないミスがあることに気づく。みどりは、新田の行きつけだという「ナカノドラッグ」の担当薬剤師、小野塚綾に電話で問い合わせるが、彼の態度はおよそ責任感を感じられるようなものではなかった。そんな小野塚に腹を立てながらも、まず現状できることとして、みどりは新田に薬の説明をし直し、薬への認識を改めてもらおうと試みる。そして同時に新田の仕事への情熱と、かかりつけ薬局を変えることができない事情を知ることになる。なんとなく晴れない思いを抱えたまま、みどりは夜間営業中の「ナカノドラッグ」へと行き着く。恐る恐る中へ入ったみどりに声を掛けてきたのは、小野塚その人だった。小野塚は、相手が電話で話したみどりだと知るや否や態度を豹変させ、自分の過酷な労働環境について語り始める。(第7話「病院の外」、第8話「ひとりよがり」。ほか、3エピソード収録)

第3巻

病院薬剤師の葵みどりは、摂食障害で入院することになった女子中学生の柴崎樹里を担当することになった。樹里が摂食障害に陥ってしまった原因は、同じ病院に入院している祖父の柴崎太一が末期の胃がんを患っているにもかかわらず、本人に告知をしていないことにあった。小さい頃からいっしょに暮らしていた祖父の病状を知った樹里が、大きなショックを受け、さらに未告知のまま治療を続けることを、すべて樹里の父親である柴崎和也が独断で決めたことが、樹里には許せなかったのである。心を閉ざしてしまった樹里は、祖父が樹里の病室を訪れ、コミュニケーションを取ることで、少しずつ明るさを取り戻していくものの、摂食障害については一進一退を繰り返す状態だった。そこでみどりは、担当医師の畑中を交えて話し合いを行ったうえで、がん治療のエキスパートである江林隆二に話を聞き、臨床心理士の成田淳子と共に樹里の父親と面談を行うことになった。これによって家族間の溝は埋まり、和也は太一への告知を決断。そして、樹里たちと家族一丸となって太一の病と戦うことを決める。しかし、実際に告知を行うと、太一は自分ががんであることを知るが特段驚いた様子は見せず、しかも今後の治療は必要ないと言い放つ。(第12話「霧の中」、第13話「病なき病」、第14話「それぞれの闘い」、第15話「最期の砦」。ほか、1エピソード収録)

登場人物・キャラクター

葵 みどり (あおい みどり)

萬津総合病院の薬剤部で、病院薬剤師を務める女性。頭のてっぺんに結んだ大きなおだんごヘアが特徴。勤務2年目の若手で、仕事に対して情熱を持っているが、医師からは疎まれ、患者からはその重要性に対する認識度が低いことで、病院で働く病院薬剤師という立場が、自分が思っているよりも低く感じられることに疑問を抱いている。おせっかいな性格で、何かあると黙っていられずにすぐ口に出してしまう。整形外科医の大津に強い口調で食ってかかった時は、その後に部長の呼び出しを受け、薬剤師が大暴れしたとのちのち広く語り継がれることになった。新薬を試飲したり、さまざまな薬剤を実際に飲んでみて、味を確かめることを趣味としている。そのため、小児科で用いられる薬剤は、おいしく飲むコツを詳しく知っている。推定年収は380万円で、学生時代の友人である柿崎彩乃、青木千尋、黒須佑子の中では一番収入が低いことと、一般的に薬剤師の中でも一番大変だという認識を持たれている病院勤めであることを理由に、何かとかわいそうと思われがち。しかし葵みどり本人は、病院という職場で医師や看護師とチームになって治療に取り組めることに、次第に誇りを持ち始める。

瀬野 (せの)

萬津総合病院の薬剤部で、病院薬剤師を務める男性。5年前に今の病院に転職し、それまで他部署とのかかわりに消極的だった薬剤部を少しずつ変革させた張本人とされており、その代表が救命救急の現場とのかかわりだった。そのため、上司の一部には煙たく思われているが、薬剤師仲間だけでなく医師や看護師からの信頼は厚く、現場に必要な薬剤師として認められている。後輩に対しては厳しい一方で、暖かい指導法から葵みどりも、瀬野にあこがれている。がむしゃらに奔走するみどりが見落としがちなことを、先回りしてフォローすることもあり、頼れる上司。一方、性格は大雑把かつ自分のことに無頓着で、食事はいつもカップ麵。転職したての頃、産婦人科の患者の矢島詩織が頭痛を訴え、指定された痛み止めを出したが、その後に産科特有の合併症「HELLP症候群」ではないかと疑い、当直の研修医である道場と看護師の倉本靖子と共に奔走。薬剤師としての自覚があまりなく、態度の悪い当直医の林に対してブチ切れたことがある。これはのちに薬剤師として越権行為ではないかと問題になったが、倉本の証言や矢島からの感謝もあり、事なきを得たという過去がある。

羽倉 (はくら)

萬津総合病院の薬剤部で、病院薬剤師を務める男性。基本的にいつも無表情で、おかっぱ頭で丸眼鏡を掛けている。葵みどりの後輩にあたり、みどりからは「ハク」と呼ばれている。落ち着いたしっかり者なため、周囲からはどちらが先輩なのかわからないと評されている。昨今のインフルエンザに関する政府の対応や国民全体の意識について、思うところがあり、納得できない思いを抱えている。実際にインフルエンザにかかった患者の家族である黒川とのやり取りを経て、患者の不安を知ることになり、「インフルエンザについて知ってほしいこと」と題して、わかりやすくイラスト入りで説明したリーフレットを作成した。

相原 くるみ (あいはら くるみ)

萬津総合病院の薬剤部で、病院薬剤師を務めるショートボブヘアの女性。葵みどりの同僚で、おとなしい性格をしている。みどりだけでなく、羽倉や瀬野も交え、四人でランチを取ることもあるが、その場合は直近に遭ったトラブルや問題点について、みどりの愚痴を聞くことがほとんど。しかし、そんなみどりの話にも真剣に向き合い、耳を傾ける優しさを持っている。

刈谷 (かりや)

萬津総合病院の薬剤部で、病院薬剤師を務める女性。ぱっつん前髪のボブヘアで眼鏡を掛けている。以前は、超大手であるケアーレ系の調剤薬局で店長を務めていたことがあり、誰もが認めるキャリアを持っている。その経験から在庫管理に強く、合理主義で薬剤師としても効率を求めるタイプ。冷静沈着で、近寄りがたい雰囲気を漂わせており、決して曲ったことはしない。医師相手でも時には厳しい口調で斬り込むことがあり、薬剤師としての立場だけでなく、病院の経営を考えたり、ひいては患者の立場に立って物事を考えることを忘れない。

久保山 (くぼやま)

萬津総合病院で小児科医を務める男性医師。ツーブロックのひっつめ髪にしている。既婚者で、妻は看護師を務めている。患者である子供を喜ばそうと、キャラクター「とべ!にゃん介」の白衣を購入して着用していたが、接遇委員会の伊吹響子からくだけすぎていると叱責を受けることとなった。明るい性格なことから看護師や薬剤師、患者から人気がある。

葉山 (はやま)

萬津総合病院で内科医を務める男性医師。左目尻に大きなホクロがある。入院患者の処方に関して、葵みどりから、処方箋の疑問点を確認する疑義照会をかけられるが、電話ではろくに話も聞かずに問題ないと即答。その後もみどりから再三にわたって連絡を求められるが、無視を続けて応じようとしなかった。翌朝になって、出勤の際にみどりに駐車場で待ち伏せされ、自分の出した処方がまちがっていたことが判明するが、それを指摘したみどりに対して、あやまることもせずにケアレスミスでわざわざ疑義照会をかけ、時間を無駄にするなと悪態をついた。

大津 (おおつ)

萬津総合病院で整形外科医を務める男性医師。入院中の古賀治朗を担当している。治朗とはコミュニケーションがしっかりと取れているため、ケガの治療状況も良好で、問題ないと考えていた。しかし、薬剤師の葵みどりから、治朗の体調に不安があることを聞く。整形外科としては適切な治療は行っており、もし問題があるなら本人がかかりつけの医者へ行って診てもらうべきと発言。売り言葉に買い言葉のケンカになりかけ、担当薬剤師はみどりではなく羽倉だったはずと名前を出すが、薬剤師には診療科の壁はないというみどりの発言にカッとなってしまう。

豊中 (とよなか)

萬津総合病院の救急救命で、救急看護師を務める女性。サバサバしているクールビューティーで、歳が近い瀬野とは仲がいい。年齢不詳ながら、瀬野が5年前に転職した時から知っているという美魔女で、お酒も非常に強い。仕事に関してはいろいろと不満を持っている節があるが、薬剤師という存在に敬意を払っている数少ない医療従事者の一人。ほかの医師が葵みどりに対して「薬剤師さん」と話し掛ければ、一人の人間としてちゃんと業種ではなく名前で呼ぶようにと、訂正を求める良識ある人物。

古賀 治朗 (こが じろう)

萬津総合病院の整形外科に入院中の男性で、年齢は67歳。庭師を務めており、職人気質で頑固な性格をしている。仕事中に脚立から転落し、腰椎横突起で4日前から入院している。8年前から喘息を患っているが、たばこをやめようとせず、治療や薬に向き合う姿勢があまり見られなかった。仕事第一の仕事人間で、早く退院して仕事現場に復帰したいと考えており、ケガをした腰以外に具合の悪い所があるが、それを担当医師の大津にも隠し、早く退院しようとしている。病院内で偶然知り合った葵みどりから、具合の悪い所があるのではないかと心配されるが、それを逆ギレする形で否定したうえ、みどりが医師ではなく薬剤師であることを知って、なおさらその態度は強固になった。妻の古賀には、厳しい言葉を返すことも少なくないが、頑固な夫と気弱な妻という関係性。

古賀 (こが)

古賀治朗の妻。いつも伏し目がちで、ベリーショートヘアにしている。頑固者で自分の体と真剣に向き合おうとしない治朗のことを、心から心配している。大きな病院だからと安心していたが、治朗本人と担当医師だけで話がどんどん進んでしまい、自分だけが置いてけぼりになっている状況に、漠然とした不安を感じている。病院で知り合った葵みどりが薬剤師であることを知り、薬剤師は少し身近に感じるからと話し掛け、医師や看護師には話しにくい、不安感を打ち明けた。

山口 (やまぐち)

山口礼央の母親。シングルマザーで、仕事をしながら子育てをしているが、礼央がマイコプラズマにかかったため、仕事を休んで萬津総合病院の小児科で診察を受けた。しかし処方された薬を飲んでくれず、さまざまな工夫をしてみてもいっさい受け付けない状態になってしまった。そのうえ、熱は上がったり下がったりを繰り返し、病児保育所の予約も取れないため、仕事を休まざるを得ない状況が続く。職場ではそんな彼女の状況を揶揄するような同僚の声を聞いてしまい、さらに部屋は限界寸前の荒れ放題と状況は次第に悪化していく。夫と別れた際、ある程度の覚悟はしていたが、思い描いていた子育てライフを実行することができない自分に苛立ちが募っていく。のちに、再度診察を受けに行った際、疲弊したところを薬剤師の葵みどりから声を掛けられ、服薬指導を受けたことで、状況は好転していく。

山口 礼央 (やまぐち れお)

萬津総合病院の小児科で診察を受けた男児。マイコプラズマにかかり、咳と発熱で苦しんでいる。病院で処方された薬に苦みを感じてからは、どんな工夫をしても飲むのを嫌がり、いっさい受け付けなくなってしまった。その後、薬剤師の葵みどりから、母親の山口と共に服薬指導を受け、苦手な薬もきちんと飲めるようになった。

峰田 和昭 (みねた かずあき)

萬津総合病院に救急で運ばれてきた33歳の男性。登山中に蜂に刺され、蜂毒によるアナフィラキシーショックを発症した。体型はかなりふくよかで、友人からもよく体型をいじられている。救急搬送後、心臓マッサージとアドレナリン注射を受けるものの、心肺停止に陥ってしまう。しかし、血圧の薬を常用していたことが判明し、薬剤を変更したことで状況が好転。一命を取り留める。

倉本 靖子 (くらもと やすこ)

萬津総合病院の産婦人科で、看護師と助産師を務めている中年女性。肝っ玉母ちゃんのようなベテランで、明るく頼りになる存在。5年ほど前、夜勤の日に産科の患者である矢島詩織にトラブルが発生。成り行き上、当時薬剤師として転職したてだった瀬野と、研修医の道場と共に対応にあたることになった。当直医だった林に対しては、常日頃からゲームばかりで患者を研修医に任せっぱなしなため、苦手意識があり、信用していない。のちに、瀬野の越権行為が院内で大きな問題になった際は、詳細を語って問題がなかったことを証言し、瀬野を擁護した。

道場 (みちば)

5年前、萬津総合病院の産婦人科で研修中だった男性医師。当時、研修医としてまだ経験も浅く、上級医の林なしでは何もできない状態だったにもかかわらず、夜勤の時間帯を一人で任せられていた。入院中の妊婦の矢島詩織が頭痛を訴え、痛み止めを処方するが、その後薬剤師の瀬野から産科特有の合併症「HELLP症候群」を発症している恐れがあることを聞き、看護師の倉本靖子と共に治療にあたる。

(はやし)

5年前、萬津総合病院の産婦人科医を務めていた男性医師。日常的に態度が悪く、特に夜勤ではいつもゲームばかりしており、研修医に任せっぱなしのため、看護師の倉本靖子からの心象も悪い。入院中の妊婦の矢島詩織が頭痛を訴えて薬がきかない状況にあっても、片頭痛だから問題ないと、きちんと診察することもせずに研修医である道場の助言を突っぱねた。さらに、薬剤師の瀬野から産科特有の合併症「HELLP症候群」を発症している恐れがあることを聞いて、ようやく患者の前に姿を現すが、薬剤師が患者にかかわっていることを知って不快感を示し、のちのち薬剤師の越権行為について問題にしようとする。しかし、詩織の感謝の言葉と倉本の証言によって病院に居づらくなり、のちに退職する。

矢島 詩織 (やじま しおり)

5年前、萬津総合病院の産婦人科に入院していた29歳の女性。当時妊娠33週目の切迫患者だったが、夜間に頭痛を訴え、痛み止めを処方された。しかし、薬がきかずに状態は悪化。妊娠高血圧も持っていたが、さらに血圧が上昇していたため、片頭痛ではなく産科特有の合併症「HELLP症候群」の可能性が高いとして、緊急の処置を受け、無事に出産することができた。

渡辺 奈央 (わたなべ なお)

萬津総合病院の小児科に入院中の女子中学生。おかっぱ頭でかわいらしい印象の13歳だが、3年前に1型糖尿病を発症した。つねに血糖値のコントロールが必要なため、生涯にわたって毎日のインスリン注射が必要な状態。外来で治療していたが、直近の検査で数値が高かったため、一時的に入院となった。治療にもまじめに取り組み、両親との関係も悪くないように見える、いわゆる手のかからない患者。しかし、血糖値もなかなか安定しない状態が続いており、退院の日を気にする風もないことから、実は退院が嫌でインスリン注射をきちんと打っていないのではないかと疑われている。同室の森本優花とは、同じ病気の苦しみを分かち合う仲で、とても仲がいい。実は症状が安定した小学校高学年の時、学校の友達に言われた言葉にショックを受け、中学校では教師以外に病気のことを打ち明けられないでいた。注射のために毎日隠れるように保健室に行き、クラスメートとの距離ができてしまったことなど、学校でのトラブルを抱えていた。

森本 優花 (もりもと ゆうか)

萬津総合病院の小児科に入院中の女子中学生。おでこで結んだロングヘアで、まだ幼い表情の残る14歳。しかし1型糖尿病を患っており、半年に一度くらいのペースで、入退院を繰り返している。つねに血糖値のコントロールが必要なため、生涯にわたって毎日のインスリン注射が必要な状態。だが自分のことよりも、彼氏や友達のことを優先しがちなところがあり、血糖値の測定を忘れたりするために周囲から気にかけられている。いつも明るく振る舞っており、退院を心待ちにしている様子がうかがえるが、心の奥底ではつねに大きな不安と戦っている。

黒須 佑子 (くろす ゆうこ)

葵みどりの学生時代の友人女性。おでこを出したワンレンのボブヘアにしている。現在は製薬会社に勤務しており、MR(医薬情報担当者)として忙しい日々を送っている。推定年収は590万円で、5年以内に年収1000万円を目指している。勉強家で向上心が高く、飲み会に割く時間があるなら、勉強に充てたいと考えるしっかりした性格の持ち主。ただしみどりや柿崎彩乃、青木千尋の三人の友人たちに限っては、時々会うようにしている。

柿崎 彩乃 (かきざき あやの)

葵みどりの学生時代の友人女性。おとなしい雰囲気を漂わせているが、意外と思ったことを素直に口にするタイプ。現在は調剤薬局に勤務し、薬剤師として忙しい日々を送っている。推定年収は440万円。もともとは、MR(医薬情報担当者)になりたいと考えていたが、学生時代にOBを訪問し、その素質が自分にはないと判断してあきらめた。みどりや黒須佑子、青木千尋の三人の友人たちとは、時々食事やお酒などを共に楽しんでいる。

青木 千尋 (あおき ちひろ)

葵みどりの学生時代の友人女性。ゆるくまとめたヘアスタイルに、眼鏡が特徴。現在は調剤薬局併設のドラッグストアに勤務しており、薬剤師として忙しい日々を送っている。推定年収は480万円。職場には苦手な同僚がいるが、産休中の待遇のよさなどで、今の仕事場にはおおむね満足している。みどりや柿崎彩乃、黒須佑子の三人の友人たちとは、時々食事やお酒などを共に楽しんでいる。

新田 奏佑 (にった そうすけ)

萬津総合病院の整形外科に入院中の男性。1984年6月7日生まれで、年齢は34歳。おしゃべり好きで、小学校の先生を務めている。足の骨折で入院しているが、もともと人工透析が必要な状態となっており、仕事帰りに週3日、人工透析を受けるためにクリニックに通っている。透析を始めて以降、しばらくは離職していたが、再就職を考えた際に、以前の勤め先だった小学校から声を掛けてもらい、今の自分を受け入れてもらったため、職場にはとても恩義を感じている。また、透析を受け始めた時、生きていることの意味を見失いかけたことがあり、その後、精一杯働くことに意義を見いだすことができたため、仕事を第一に優先したい考えを持っている。現状必要な薬はクリニックでの透析の帰りに、深夜も営業しているナカノドラッグの調剤薬局で受け取っており、担当薬剤師は小野塚綾。日常的に薬の管理はかなりずさんで、飲み忘れも新しい薬もごちゃごちゃの状態で保管している。お薬手帳もなくしてしまい、持っていない。

小野塚 綾 (おのづか りょう)

24時間営業のドラッグストア「ナカノドラッグ」の調剤薬局に勤める薬剤師の男性。夜間営業時のワンオペや、週3日を上回る夜勤など、職場環境の悪さを理由に薬剤師としての責務を放棄している。よく利用している新田奏佑の処方薬について、食前のものを食後の薬と一包化したり、半錠にしてはいけない薬を半分に切ってしまっていたりと、薬剤師として許されないミスが多い。いつも処方が変わらないからと、患者への説明や担当医師への確認を怠るなど、薬剤師としての責務を果たしておらず、そのミスを葵みどりから指摘された。その後さらにみどりが直接店を訪れたため、「病院の外でも、そっちの理想振りかざすんじゃねーよ」と暴言を吐き、逆ギレした。しかし、店舗の人員不足による影響は大きく、実際自分が夜勤に多く入らなければお店は回らない状態となっている。そのため、勉強会に行くこともできず、2か月前に購入した薬学の本は未開封のまま。日に日に疲弊していく体に限界が近づいている。

八幡 (やわた)

24時間営業のドラッグストア「ナカノドラッグ」の地域統括マネージャーを務める男性。いつも笑顔ながら、スタッフが自分の思うように動かないときは、露骨に嫌な顔をしてしまう。必要以上に会社の経営事情をスタッフに考慮させようとし、穴が空いたシフトへの協力を強要しようとする。

伊吹 響子 (いぶき きょうこ)

萬津総合病院のオペ室看護師長で、接遇委員会の委員長も務めている女性。生まじめな性格で、特に職員の身だしなみに厳しいことで知られている。しかし、相手の考えを理解しようとする柔軟性も兼ね備えており、決められた枠組みの中で、最大限厳しい目をもって対応する努力をしている。

松永 (まつなが)

萬津総合病院で看護師を務める女性で、接遇委員会にも所属している。葵みどりと同期で、互いに顔なじみではあるが、同期会くらいしか話したことはない。ぴっちりまとめたまとめ髪が特徴で、かなり繊細な性格をしている。他人の細部に至るまで、よく観察しているが、細かすぎて嫌がられることの方が多い。同じ接遇委員として、委員長の伊吹響子の考え方に心酔し、あこがれを抱いている。どちらかというと、マニュアル一辺倒なタイプで頭が固い。院内の巡視指導の際、みどりのおだんご頭が高すぎると指摘。相手の言い分はいっさい聞こうとせず、すべて体のいい言い訳として切り捨てたため、みどりと言い合いに発展、ケンカになりかけた。しかし伊吹からの一言で、自分にも非があったことを認めて謝罪した。

丸岡 はじめ (まるおか はじめ)

漫画家の男性。一時期、連載もしていたことがあったが、早々に打ち切りになり、漫画だけでは食べていけないため、短期アルバイトをして生活している。はじめの妻が妊娠中のため、安定した収入を得られるようにと、何かと提案してくれるものの、結局自分かわいさに断ってしまい、現状を変えるつもりはない。そんな中、深夜に狭心症による心臓発作に襲われ、萬津総合病院に救急搬送されたが、内科が満床だったために急遽小児科病棟へと入院になった。担当薬剤師の葵みどりから、薬の説明を受けた際に薬の種類の多さに驚き、投薬を拒否。自暴自棄になりかけ、妻から叱責を受けるが、そのすべては金銭面による今後の生活への不安からくるものだった。その後、みどりの親身になった提案が功を奏し、なるべく経済的に負担のかからない方向での治療を行っていくことで解決。すべてにおいて前向きな考え方に変化していく。

はじめの妻 (はじめのつま)

丸岡はじめの妻。現在妊娠中のため、在宅で漫画のアシスタントを務めている。はじめに漫画家としての収入がなく、短期アルバイトでしか生活を支える気がないことに苛立ちを感じている。自分のようにデジタルで在宅のアシスタントをしてはどうかと、その細かなレクチャーを買って出るが、はじめにやる気がなく断念。父親になる自覚も生活を背負う覚悟もないことにあきれていた時、はじめが狭心症による心臓発作に襲われ、入院することとなった。経済的な不安が大きい中、それでも寄り添い続けていたが、はじめ自身が自暴自棄になり、治療を放棄しようとしたため、腹を立てて叱った。しかしそこから、担当薬剤師の葵みどりからのさまざまな提案を受け、状況は少しずつ好転し、無事退院の日を迎えることになった。

販田 聡 (はんだ さとし)

萬津総合病院の薬剤部で部長を務める男性。かなりふくよかな体型で、のほほんとした性格をした癒し系。しかし、忙しいときも調剤をしないため、薬剤師たちからは忙しくなればなるほどイラつく存在と認識されるようになる。

黒川 (くろかわ)

インフルエンザにかかった高齢の母親に付き添って、萬津総合病院にやって来た女性。つらい母親の代わりに薬局で調剤の説明を受けたが、異常行動についてやインフルエンザに関する知識をインターネットで得て、必用以上に心配している。さらに、タミフルが処方されたことを不安に感じ、タミフルを拒絶。担当薬剤師の羽倉の話を聞こうとせず、ほかの薬にするように断固拒否の姿勢を見せた。しかし、葵みどりの提案により、投薬を飲み薬から点滴に変更してもらうことになり、一件落着。インフルエンザに関する不安は薬だけでなく、予防接種のことにも及び、さまざまな不安を抱えていた。

柴崎 樹里 (しばさき じゅり)

柴崎和也の娘で、柴崎太一の孫にあたる13歳の女子中学生。お腹の調子が悪く、食事が満足に取れないまま生活を続け、154センチ36キロという瘦せた状態で、萬津総合病院の小児科に勤める久保山のもとを訪れた。検査の結果、摂食障害と診断され、入院生活を送ることになる。実は大好きな祖父の太一が同じ病院に入院中だが、胃がんであることを告知しないままであることに心を痛め、心を閉ざしてしまっていた。母親がおらず、忙しい父親に代わっていっしょにいる時間が長かったのが祖父だったため、かなりのおじいちゃん子。祖父の病気を知った時はかなりのショックを受けていた。柴崎樹里自身の入院後、祖父とコミュニケーションを取り合うことで、病状は少しずつ回復を見せたが、状態は一進一退。そこには、祖父の病気に関するすべての意思決定を、父親の和也一人で行っていたことに理由があった。

柴崎 和也 (しばさき かずや)

柴崎樹里の父親で、柴崎太一の息子。自宅では「食事処しばさき」を営んでおり、太一と樹里と三人で助け合って暮らしてきた。今回、太一が末期の胃がんであることが判明したが、太一本人に告知をせずに胃潰瘍として入院治療を続けさせる決意をした。しかしそれが、娘の樹里に精神的負担をかける結果となり、樹里が摂食障害に陥ってしまう。これらすべては、告知をしないことを柴崎和也が勝手に決めてしまったことに起因した。

柴崎 太一 (しばさき たいち)

柴崎和也の父親で、柴崎樹里の祖父にあたる。小さい頃から樹里と多くの時間をいっしょに過ごしてきたが、現在は萬津総合病院に入院中。末期の胃がんを患っているが、告知はされていないため、難治性の胃潰瘍ということで治療を続けている状態。のちに、告知を受けた際には経済的負担や、治療を続けても治るわけではないことを理由に治療を拒否しようとする。しかし、その後に家族と話し合い、前向きに治療に取り組むことを決意する。

成田 淳子 (なりた じゅんこ)

萬津総合病院で臨床心理士を務める女性。摂食障害で入院となった柴崎樹里の精神的ケアのために、父親である柴崎太一のがんという事実を一人で抱え込もうとしている、柴崎和也のケアをするために面談を行った。樹里が家族の状態を誰にも相談できず、第二の患者となってしまっている事実を伝え、太一自身のケアにもつなげた。その結果、和也は太一に告知を行うことを決断する。

江林 隆二 (えばやし りゅうじ)

萬津総合病院の薬剤部で、薬剤師を務める男性。特にがん領域での認証を受けた認定薬剤師のため、高度な知識や技量、経験を持ち、がんに関する薬剤について詳しい。葵みどりから、がん患者の柴崎太一について話を聞かれ、現在の状況や治療の選択肢について詳しく説明した。その後は瀬野からの提案もあり、みどりをいっしょに担当させることになり、行動を共にすることが増えていく。ふだんは温和な印象だが、担当医師の畑中とは時折意見が衝突することもある。

畑中 (はたなか)

萬津総合病院で医師を務める男性。柴崎太一の担当医であり、がんの治療だけでなく緩和ケアについても熱心に勉強している。太一の告知については、家族である柴崎和也の意向を受け、行わない方向で協力していた。だが、のちに告知を行うこととなり、孫の柴崎樹里、薬剤師の葵みどりも同席の場で告知が行われることとなった。医師として患者に寄り添い、治療を押し付けることをよしとしない考えの持ち主。つねに全力で治療に取り組んでいるため、時には薬剤師の江林隆二と意見が衝突することもある。

その他キーワード

接遇委員会 (せつぐういいんかい)

萬津総合病院の病院職員の身だしなみや振る舞い、院内の清潔感など、病院全体のマナー向上を目的とした組織。看護部の接遇委員長をトップに、各部署や病棟からの代表1~2名ずつが、マナー研修や患者へのアンケートのほか、定期的な院内の巡視指導を行っている。現在の委員長はオペ室看護師長の伊吹響子が務めており、特に職員の身だしなみに厳しいことで知られている。

クレジット

その他

富野 浩充

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