概要・あらすじ
外科医・小早川伸木は、妻と幼稚園児の娘との家庭を大切に思っているが、盆栽教室なおえで出会った女性・作田カナと恋に落ちてしまう。勤務先の病院の政治的策略に巻き込まれ苦悩する中、妻は家を荒らし、一晩中愛していると言うように迫るなど、我儘な行動で伸木を束縛しようとする。疲弊した伸木の心の中で、次第にカナの存在は大きなものになっていく。
登場人物・キャラクター
小早川 伸木 (こばやかわ のぶき)
帝東大学病院の外科医、35歳。家族思いの真面目な性格だが、家族サービスよりも人の命を救う医師の仕事を優先してしまうため、妻の妙子からは愛情が足りないと責められている。友人の経営する盆栽教室なおえに通い、作田カナに恋をしてしまう。
小早川 妙子 (こばやかわ たえこ)
伸木の妻で、幼少期に母親から充分な愛情を受けられなかった影響から、精神的に不安定な性格。伸木が上の空になると噛みついたり、感情のコントロールが出来ずハサミを突きつけたこともある。第二外科一の美人妻と評されている。小早川伸木とは合コンで知り合い、結婚した。
小早川 みすず (こばやかわ みすず)
小早川伸木と妙子の娘。5歳の幼稚園児ながら、母・妙子のヒステリックな性格を察しており、時に妙子をなだめる役になる。伸木に憧れ、医師を目指す。
作田 カナ (さくた かな)
盆栽の本を書いたことがあるフリーライターで、盆栽教室なおえで小早川伸木と出会う。短髪の溌剌とした女性。携帯電話を持たない主義で、外出先での連絡は公衆電話を利用している。結婚歴があり、現在は猫三匹と暮らしている。
竹林 隼人 (たけばやし はやと)
帝東大学病院の外科医。小早川伸木の同期で、医者であることを利用し女性を口説く遊び人。相手は院内や合コンで知り合い、一人の女性と3回以上関係を持たないことをポリシーとしている。手先が器用で、論文や研究では伸木の上を行くが、手術の臨床数は少ない。
美村 浩一 (みむら こういち)
小早川伸木の勤務先・帝東大学病院第二外科の教授。業者と癒着し、患者からの礼金を受け取る医師で、院内でも悪い噂が多い。医学部長の座を狙っている。看護師長の添田は、20年来の愛人。鎌倉に家があるが、平日は都内の高級マンションに住んでいる。
添田 さより (そえだ さより)
小早川伸木の勤務先・帝東大学病院の看護師長。美村教授の20年来の愛人で、業務上でも陰ながらサポートしている。結婚歴があったが、20年前に離婚している。
沼津 壮太 (ぬまず そうた)
帝東大学病院で小早川伸木が指導している研修医。理想が高く、礼金を受け取る美村教授や、病院が患者を差別するVIP待遇制度を間違っていると糾弾する。医者としてはまだ未熟で、戸惑ったり悲しんだりと、患者の前で感情を露わにしてしまう。
松金 陽子 (まつかね ようこ)
帝東大学病院・小児科の医者。竹林の彼女のうちの一人で、「前の病院では医局中の男と寝た」と噂されている。小早川伸木にも興味を持ち、むりやりキスを迫るところを妙子に目撃されてしまい、分院に移る。
越智 学 (おち まなぶ)
形成外科の助教授。盆栽教室なおえに通い、医療に盆栽を役立てられないかと考える穏やかな性格だったが、兄の借金の連帯保証人になり3億の借金を抱えてしまって以来、性格が一変。取り立てに怯え、家族にバレずに借金を返すため、教授の座に執着するようになる。
金井 潤 (かない じゅん)
慶政大学の大学生でテニス選手。帝東大学病院に骨折で入院中、受付で働いていた妙子と知り合う。中学時代からテニス一筋だったが、限界を感じている。
鰺澤 惣介 (あじさわ そうすけ)
作田カナの元夫。旧華族の出身で、文化人。盆栽や骨董、漢詩にも精通しており、カナの知識は鯵澤によるところが大きい。住み込みの家政婦だったカナを嫁に迎え、莫大な遺産をカナに遺そうとした。15年前に逝去。
場所
帝東大学病院 (ていとうだいがくびょういん)
小早川伸木の勤務先。外科、内科、耳鼻科、小児科などの臨床部門と、放射線科などの基礎部門の合計31科から成る。
盆栽教室「なおえ」 (ぼんさいきょうしつなおえ)
小早川伸木とカナが通う盆栽教室。主宰の直江は伸木の医学部時代の同級生で、実習中に医者になることを諦め、盆栽の道へ進む。子供のぜんそく治療のため直江一家は地方に移住することになり、盆栽教室はカナが引き継ぐ。