とっかぶ

とっかぶ

『空挺ドラゴンズ』で知られる桑原太矩の初連載作品。架空のまくら町を舞台に、市立間倶楽(まくら)高等学校に通う丹ノ宮沢、倉下清大、千歳悠緑の三人が、「特課部(とっかぶ)」こと特別課外活動部の部員として、町内で発生するさまざまな事件に挑み、解決へと導く姿を描いたドタバタ青春活劇。食い逃げ犯の追跡から草野球の助っ人まで、彼らの活動は多岐にわたる。講談社「good!アフタヌーン」2013年29号(3月7日)から2015年2号(1月7日)にかけて連載の作品。

正式名称
とっかぶ
ふりがな
とっかぶ
作者
ジャンル
部活動
 
その他アクション・アドベンチャー
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
既刊4巻
関連商品
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問題児の更生を目的に設立された「特課部」

「特課部」こと特別課外活動部は、もともと奉仕活動を目的とした部活動だった。しかし、時が経つにつれて、問題児に対するペナルティを課すための臨時組織へと変貌を遂げ、その評判は著しく低下している。清大と悠緑は、教員の指示により特課部に所属しているため、活動には非常に消極的。一方、部長の沢は自ら進んで入部した変わり者であり、部員たちを引き連れて町へ出かけるなど、活動意欲にあふれている。

「特課部」を敵視する生徒会執行部

生徒会長の栄村真(えむらまこと)が率いる生徒会執行部は、市立間倶楽高等学校のモットーである「自主と自立」を体現する組織。なかでも副会長の丘町珠緒は、部活動の監査を担当しているため、問題児が集まる特課部を敵視にしている。執行部の権限を行使し、特課部の部室を封鎖するという強硬手段に出たこともあるが、つねに対立しているわけではなく、両組織が協力して困難に立ち向かうこともある。

青春と悪戯の日常

本作の魅力は、部活動と並行して描かれる日常シーンにもある。一通のラブレターに振り回されたり、教師といっしょに星を眺めたりと、若者たちが全力で青春を謳歌する姿が丁寧に描写されている。また、特課部の部員たちが悪戯をする場面もあるが、部室での寝泊まりやアルコールランプを使った食事など、全体的にライトなものになっている。

登場人物・キャラクター

丹ノ宮 沢 (にのみや さわ)

市立間倶楽(まくら)高等学校の1年1組に在籍する女子。髪型はカントリースタイルのツインテールで、悠緑からは「いいカラダ」と評されている。左利きで、飛び蹴りを好んで使用する。ヒーローにあこがれる熱血漢で、「自分と無関係のものはない」「正義は自分で決める」「正義と法律は切り離して考えるべき」といった独自の価値観に基づいて行動している。しかし、周囲からはトラブルメーカーとして認識されており、小学生の頃は「おサワがせ」と呼ばれていた。不器用で生傷が絶えないものの、その直向きさに魅了される者も少なくない。「執行部」の書記、日野朝里(ひのあさり)は保育園からの幼なじみで、彼女のように振る舞えば頭がよくなるかもしれないと考えて口調を真似るようになり、「ですます調」で話すようになった。特別課外活動部に自ら望んで入部し、12代目部長に就任。部員を率いて放課後にパトロールなどの活動に従事するようになった。のちに、あるヒーローの意志とヘルメットを受け継ぐことになる。

倉下 清大 (くらした きよはる)

市立間倶楽(まくら)高等学校の1年2組に在籍する男子。フード付きの服と青いリュックがトレードマーク。リュックの中には、望遠鏡付き集音器や指向性スピーカー、さらには缶詰が入っている。悠緑からは「不健康そう」と評されている。手先が器用でメカに強く、観察力と推理力にも優れている。小学生の頃、謎の男性・キンザンからスパイのイロハを学び、「くらげ」というコードネームを授かった。その後、独学で技術を磨き、「アマチュアスパイ」を自称するようになった。趣味と実益を兼ねて、職員室から盗んだテストの問題を販売していたが、教師に露見して特別課外活動部に入部することになる。部内では、暴走する沢のストッパー役を担っているが、事態を収拾するために盗聴や脅迫に手を染めることもあり、悠緑からは危険人物と認識されている。そのため、部室には悠緑に書かされた「部員への盗撮や盗聴は行わない」という内容の誓約書が掲示されている。父親は缶詰食品の開発に携わっており、家は大量の缶詰であふれている。

千歳 悠緑 (ちとせ ゆうり)

市立間倶楽(まくら)高等学校の1年3組に在籍する女子。スレンダーな体型で、明るい色のサラサラしたロングヘアに、耳には多数のピアスを付けている。甘いものが大好きで、校内ではお気に入りのロリポップをつねに舐めている。姐御肌(あねごはだ)ながら、反抗的でケンカっ早いため、生徒会執行部からは「歩く校則違反」と警戒されている。そんな中、校長の目の前で喫煙してしまい、退学を言い渡されるが、特別課外活動部での奉仕活動を条件に退学を免れた。悠緑自身は退学を覚悟していたが、部員たちとの交流を通じて学校に残ることを決意した。しかし、かわいがっていた野良犬のサカヤキを部室に連れ込むなど、校則違反を繰り返しており、心証がよくなる気配はない。なお、外見とは裏腹に純情で、男子バレーボール部のキャプテンを務める一つ年上の幼なじみに片思いしている。また、部員にも打ち明けていない秘密の特技がある。

書誌情報

とっかぶ 4巻 講談社〈アフタヌーンKC〉

第1巻

(2013-09-06発行、 978-4063879186)

第2巻

(2014-03-07発行、 978-4063879643)

第3巻

(2014-09-05発行、 978-4063879957)

第4巻

(2015-03-06発行、 978-4063880373)

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