八十亀ちゃんかんさつにっき

八十亀ちゃんかんさつにっき

名古屋に転校した東京育ちの高校生の陣界斗は、新たな学校で出会った名古屋弁丸出しの女子高校生、八十亀最中との触れ合いを通して、東京での常識が通用しない、名古屋特有の常識を知っていく。名古屋をこよなく愛し、名古屋の魅力を発信、向上させる高校生の日常を描くご当地4コマコメディ。4コマ一作品ごとに、その話に関連する名古屋情報を担当編集者が解説する「やとがMEMO」が掲載されている。「Comic REX」2016年7月号から掲載の作品。

正式名称
八十亀ちゃんかんさつにっき
ふりがな
やとがめちゃんかんさつにっき
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
部活動
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あらすじ

東京都出身の高校生の陣界斗は、家庭の事情で名古屋に引っ越す事になった。もともと何不自由ない東京での日常は同じ事の繰り返しで、退屈ささえ感じていたために、界斗は新天地の名古屋に対して、ささやかな期待と希望を持っていた。しかしそれは、界斗にねじ曲がった名古屋の知識を植え付ける事になり、実際に名古屋での生活を始めた界斗は、一見東京と変わりない日常に、がっかりするのだった。そんな中、界斗は帰宅途中の公園で、同じ学校の制服を着た1年生の八十亀最中に出会う。彼女は今では珍しいほどの名古屋訛りで話す生粋の名古屋っ子だった。まるで名古屋を体現するかのような少女の存在に、興味津々の界斗は彼女となかよくなろうとするものの、東京を異常なほど敵視する最中のガードは固く、思ったようにその距離は縮まらない。界斗は最中を観察し、最中と共に過ごすうちに等身大の名古屋を知り、その魅力に取りつかれていく。

メディアミックス

TVアニメ

本作『八十亀ちゃんかんさつにっき』のTVアニメ版が、2019年4月よりテレビ愛知、TOKYO MXほかで放送された。総監督兼音響監督をひらさわひさよしが務め、陣界斗を市来光弘、八十亀最中を戸松遥、只草舞衣を若井友希、笹津やん菜を小松未可子がそれぞれ演じている。

現況

2017年、本作『八十亀ちゃんかんさつにっき』の登場人物である八十亀最中が、名古屋市より、名古屋の魅力を発信する「名古屋観光文化交流特命大使」に任命されている。

登場人物・キャラクター

陣 界斗 (じん かいと)

高校2年生の男子で、陣繁華の兄。家庭の都合で東京から名古屋に引っ越し、八十亀最中の通う学校に転校してきた。名古屋に関して、かなり偏りのある誇張された知識を持っており、その知識の中にはまちがったものもある。なお、その偏見は独自の方言や食文化を持つ名古屋に対する敬意と、名古屋を知らない陣界斗自身が、東京との違いに期待を寄せるがゆえのものでもある。東京では進学校に通っており、陸上部に所属していたが、日々の学校生活は退屈なものだった。名古屋では、謎の圧力によって写真部に強制入部させられ、最中や笹津やん菜、只草舞衣らと知り合う。彼女たちと親しくなるにつれ、等身大の名古屋を知り、名古屋の魅力にハマっていく。感情が顔に現れやすく、わかりやすいタイプ。また、頭で考えてから口に出すにもかかわらず、なぜか相手の心をえぐるようなデリカシーのない発言が多いという、筋金入りの無神経さを持つ。定期テストでは学年2位という結果を出した秀才。東京を敵視する最中からは「トーキョー」と呼ばれ、名古屋の常識が通用しないと揶揄(やゆ)されている。猫好きで、あんこが苦手。

八十亀 最中 (やとがめ もなか)

陣界斗と同じ高校に通う1年生の女子。名古屋在住。学校帰りに公園で落とした生徒手帳を拾ってもらった事がきっかけで、界斗と知り合った。祖母のばっちゃの影響を大きく受けて育った事もあり、おばあちゃん子で、今では珍しいほどの名古屋訛りで話す。ある意味で界斗が思い描いている誇張された名古屋を、全力で体現している名古屋の申し子ともいえる。名古屋に対して誰よりも大きな愛情を持つ反面、東京に対して強い対抗意識を持っている。そのため、何かと名古屋の常識が通用しない界斗を、「トーキョー」と呼んで揶揄(やゆ)し、敵視している。猫耳のようなショートヘアに、しゃちほこ付きのカチューシャが特徴。登校前に必ず喫茶店「コメダ珈琲」で新聞を読みながらモーニングを食べるのが習慣となっており、割安でコーヒーが頼める「コーヒーチケット」を利用している。学校では写真部に所属しており、部長の笹津やん菜、クラスメートの只草舞衣と共になかよく和気あいあいと活動中。マイカメラはリサイクルショップ「コメ兵」で購入したコンパクトなデジタルカメラで、主に名古屋特有の食べ物を撮影するのが好き。勝ち気な性格で、扱いが難しいところがあるが、名古屋の事を褒められるとデレる、特殊なツンデレ体質。

只草 舞衣 (ただくさ まい)

陣界斗と同じ高校に通う1年生の女子。岐阜県在住。岐阜への地元愛は控えめだが、好きなものには猪突猛進タイプ。方言はあまり使う事がないが、たまに使ってもそれが通じず、指摘されるとすぐに訂正する。ストレートのロングヘアで、猫耳のような特徴的な頭巾をかぶっている。学校では写真部に所属しており、兄のお下がりながら、30万円くらいする本格的な一眼レフカメラを使用している。クラスメートにして同じ写真部にも所属する八十亀最中が大好きで、彼女を撮影するのも大好き。しかし自分が最中を撮影すると、彼女のマイナスな部分が引き出せない事に悩み、東京嫌いの最中を狼狽させる材料になると考えて、界斗を写真部に入部させるように働きかけた。ご当地アイドルや美少女フィギュア、メイドカフェなど、自分にないものを持ったキラキラした存在にあこがれを抱いており、只草舞衣本人は認めないがかなり重度のオタク。表立ってはおとなしく、引っ込み思案な性格。幼い頃から好きなものを好きと言えなかったが、愛知万博で最中と出会った事が、少しだけ勇気を出せるきっかけになった。写真部の部長を務める笹津やん菜とも仲がよく、部活内では和気あいあいと活動している。

笹津 やん菜 (ささつ やんな)

陣界斗と同じ高校に通う2年生の女子。三重県在住。頭頂部にある伊勢海老の触角のようなツインテールが特徴で、学校では写真部の部長を務めている。部活では、八十亀最中、只草舞衣と共に和気あいあいと活動しており、新たに界斗が入部する事にはあまり乗り気ではなかった。しかし部員が増えれば、部費が増えると助言した舞衣の言葉に、態度を一転させて界斗の入部を歓迎した。多少の三重訛りはあるが、関西弁に近く、言葉の中に「〜やん」が入る事が多い。移り気な性格で、必要以上にテンションを上げ過ぎると、スイッチが切れて眠ってしまうという特殊な癖がある。一見尖った印象を与えるが、基本的には素直な正直者で、意外にも心配性で寂しがりやなところがある。界斗とはクラスメートだが、朝が弱いのも手伝って滅多に授業には出席しない。そのため、たまに授業に出席すると、クラスメートからは珍しい者扱いを受ける。それにもかかわらず、定期テストでは学年12位という結果を出している。

陣 繁華 (じん としか)

陣界斗の妹で、兄と同じ高校に通う1年生。家庭の都合で東京から名古屋に引っ越し、八十亀最中の通う学校に転校してきた。心配性な性格で、名古屋での生活になかなかなじめずにいる。そのうえかなりのビビり体質で、家族が部屋に入るときでも、小ノック、中ノック、大ノックの順に扉を叩いてから入る事をお願いしているほど。最中と只草舞衣とはクラスメート。特に目つきの悪い最中に苦手意識を持っており、最中の一挙手一投足に怯えては振り回されている。小心者ゆえに、まともに名前すら聞く事ができず、最中の名字である「八十亀」を「はちじゅっかめ」とカンちがいして心の中で呼んでいる。兄といっしょに訪れた名古屋城で、戦国武将の姿で来場者をもてなす「おもてなし武将隊」にはまり、ファンになってしまう。

一天前 紫春 (いてまえ しはる)

八十亀最中のいとこの女子中学生。年齢は14歳で、大阪府出身。地元愛がかなり強く、地元以外の事をあまりよく知ろうともしないところがある。そのため、岐阜在住の只草舞衣に岐阜県の場所を知らないと言ったり、三重弁を話す笹津やん菜に対して、エセ関西弁だと言い放つなど、悪気がないながらも相手を傷つける事が少なくない。かなり勝気でわがままな性格をしている。つねに自分のペースで事が運ばなければ気が済まないタイプで、思った事をすぐ口にしてしまう。名古屋には特に強い偏見を持っており、発言の端々に悪意を感じるほどで、最中は彼女を苦手としている。実家は剣道の道場を開いている。友人の輿安七帆とは仲がよく、ダメなところを嗜められながらも、いつもいっしょに行動している。

輿安 七帆 (こしやす ななほ)

中学3年生の女子生徒。一天前紫春の友達。京都府出身。地元愛が強く、東京を敵視している。常識人のように振る舞っており、よく考えずにすぐ口に出す紫春に、唯一ガツンと意見が言える貴重な存在。一方で輿安七帆自身は、回りくどい形で本音を漏らすため、予期せず人を激しく傷つける事がある厄介な人物である。

ばっちゃ

八十亀最中の祖母。最中の名古屋訛りに多大な影響を与えた。最中が頭に着けているしゃちほこ付きのカチューシャは、ばっちゃが手作りした物である。最中を非常にかわいがっており、最中が幼い頃はよくいっしょに名古屋城を訪れたため、名古屋城は二人にとって思い出深い場所となっている。最中や周囲の人たちがいわくありげな語り方をするため、まるで故人のような印象を与える事が多いが、現在も元気でいる。

初内 ララ (しょない らら)

陣界斗の通う高校で、写真部の顧問を務める女性教師。静岡県出身で、かなり強い静岡訛りで話す。花模様の帽子をかぶり、茶摘み娘のような恰好をしている。ふんわりのんびりした印象で、歩く速度も極端に遅い。地元愛は強いが、本来東海地方であるはずの静岡県が、愛知県や岐阜県、三重県とは別にされ、東海地方として扱われないという不遇を嘆き、すぐ卑屈になる。静岡県民でありながら、富士山には車を使って五合目までしか登った事がない。なぜか部室のロッカーに潜んでいる事が多い。

土辺 世瑠蘭 (どべ せるら)

一宮出身の女子中学生で、年齢は14歳。わがままなお嬢様然としており、つねに使用人の男性を連れて歩き、頭に大きなリボンを付けている。東京に対して過度なあこがれを抱く一方で名古屋を異様に嫌っており、一刻も早く名古屋を離れたいと考えている。高校受験に伴い、東京の学校を受験したかったが、両親から反対されたため、陣界斗の通う高校の体験入学に参加した。真夏の暑さにやられ、涼しさにつられて写真部の部室に入った時、八十亀最中と知り合い、互いに誤解したまま仲間意識を持つ事になる。進化を意味する「エヴォリューション」から作った造語「エヴォい」と、その反対の意味の「のんエヴォ」が口癖。もともとは界斗を冷たくあしらっていたが、彼が東京出身と知るや否や、態度を180度翻す。

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