とんで!小鳥ちゃん

とんで!小鳥ちゃん

動物を愛する少女・空野小鳥は、ある日突然神様の使いから「魔法の羽」をもらう。「魔法の羽」の力を使い、かわいそうな動物たちを助ける小鳥の姿を描いたファンタジー作品。「月刊ぴょんぴょん」1988年から1991年にかけて掲載された。

正式名称
とんで!小鳥ちゃん
ふりがな
とんで ことりちゃん
作者
ジャンル
ファンタジー
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あらすじ

第1巻

動物が大好きな空野小鳥は、捨て犬たちの世話をしていた際、草むらに横たわっているオウムのコロンを見つける。急いで自宅でもある空野動物病院に連れ帰ったものの、コロンは目を覚まさない。命が尽きてしまったのではないかと小鳥が悲しみに暮れる中、空腹を知らせるお腹の音と共にコロンは目を開けただけでなく、人間の言葉を流暢に話し出す。コロンは神様からの使いであり、人間界にいるかわいそうな動物を助けるためにやって来たと告げるだった。ちょうどその時、小鳥が世話をしていた捨て犬たちが、野犬狩りの手で処理されそうになってしまう。コロンは小鳥に「魔法の羽」を与え、小鳥は魔法を使って捨て犬たちを助けるのであった。(魔法の羽かざり)

未来の警察犬候補を間近で見られるイベントにやって来て興奮していた小鳥は、何をしてもミスばかりの犬アルファーの存在にふと目を留める。帰宅後も小鳥はアルファーの事が気にかかっていたが、そんな彼女のもとにアルファーが現れ、かつての飼い主であるサチコに会いたいと訴えるのだった。(がんばれ!警察犬)

ウサギの飼育係に任命された小鳥は、やる気に満ちあふれていた。しかし、ほかの飼育係の川蟬光白鳥之湖は、それぞれの事情からやる気を見せない。さらに世話に関してあれこれと口出しをする小鳥に嫌気が差し、二人は飼育係の仕事を放棄してしまう。そんな中、大型台風の接近により、ウサギ小屋が倒壊しそうになってしまう。悪天候にもかかわらず小鳥は一人でウサギたちを助けに向かうが、途中で「魔法の羽」を風に飛ばされてしまい、ピンチに陥る。(ウサギの王国奮戦記)

ウサギ小屋倒壊の危機を乗り越えて交友を深めた小鳥と光、之湖の三人は、今日も楽しく飼育係の仕事をしていた。そんな中、校庭で箱に入った捨てニワトリが発見される。そのニワトリユキは、学校で飼育される事にはなったものの、とにかく暴力的で、小鳥たちは悪戦苦闘する。(おさわがせ!新メンバー)

小鳥は父親・空野タカオと母親・空野千鶴と三人で花見を楽しんでいた。公園の中に古い桜の木があると聞いた小鳥はそれを探し始めるが、見つけたのはボロボロになった、花が咲く様子のない木であった。小鳥はがっかりするものの、その木にはさまざまな鳥や小動物が住みついており、なくてはならない存在となっている事実に感激する。だがその後、小鳥はその木を伐採する計画が持ち上がっている事を知る。伐採を阻止するため、小鳥は小動物たちと協力し、その木に花を咲かせようと尽力する。(サクラの木の物語)

愛犬のジロチョーと遊んでいた小鳥は、遠くから自分たちを眺めている少女・鴨原リエを見つける。同じくリエの視線に気づいたジロチョーが彼女に近づくと、リエは呼吸困難になり、その場で倒れ込んでしまう。実はリエは動物、中でも犬を大の苦手としていたのだった。しかし、リエが本心では動物と仲よくなりたいと願っている事を知り、小鳥は彼女の苦手意識を克服しようと手を貸すのだった。(動物を好きになりたい!)

最近、小鳥の住む街では、血統書つきの猫が次々と消える事件が起こっていた。誘拐された猫たちを助けようと決意した小鳥は、「魔法の羽」を使って犯人探しを始める。(ネコドロボーVSバケネコ!?)

トリマーの資格を所持している千鶴は、時おり実家の空野動物病院を訪れる犬の手入れをしている。その姿にあこがれを抱く小鳥は、ジロチョーの手入れをしようとして失敗し、頭の毛をすべて刈ってしまう。ジロチョーはそんな姿を、恋心を抱いているサユリに見られたうえに大笑いされ、大きなショックを受ける。(がんばれ!ジロチョーくん)

第2巻

空野小鳥のクラスでは、教室内で二匹のリスを飼育していた。夏休みは当番制でリスの世話をする事が決まったが、クラスのみんなは面倒くさそうにしていた。小鳥が説得を試みたところ、「だったら動物好きの小鳥が一人でやればいい」とリスの世話を押しつけられてしまう。そんな口論のさなか、いつの間にかリスたちが逃げ出してしまう。小鳥とクラスメイトたちが必死に探したところ、木の上で凶暴なトビに襲われそうになっていたリスをようやく発見。小鳥たちはリスを守ろうと、必死でトビに立ち向かう。(パニック・イン・サマー)

最近、小鳥の住む街を流れる川では怪獣が目撃されていた。興味を抱いた小鳥が川を捜索すると、そこには怪物ではなく、心優しく穏やかな性格のワニがいた。彼はもともとは人間に飼育されていたが、飼い主が飽きたという身勝手な理由で捨てられてしまったのだ。このままでは危険生物として処分されてしまうと考えた小鳥は、ワニが安心して住める場所を探し始める。(やさしい怪獣)

小鳥は夏休みを利用し、空野タカオ川蟬光白鳥之湖と四人で、田舎の川沿いでテントを張ってキャンプを楽しんでいた。だがそこで、小鳥はガラス瓶を踏んで足の裏をケガしてしまう。その様子を見た地域のおじいさんは「河童のたたりだ」と騒ぎ出す。さらに夜中、小鳥達のテントが凶暴な動物に荒らされる事件が発生。妙な胸騒ぎを覚えた小鳥がテントから出て川に近づくと、見た事もない生き物が小鳥に話しかけてくるのであった。(女神の住む川)

小鳥は、同じく動物好きで仲よしのサヨの自宅に招かれた。そこで小鳥はたくさんの動物のぬいぐるみに囲まれたサヨをうらやましく思うが、「自宅が動物病院で本物の動物たちに囲まれている小鳥の方がうらやましい」と強く反論されてしまう。小鳥が帰ったあと、動物と暮らす事を諦めきれないサヨは母親に頼むが、ぬいぐるみで我慢するようにと厳しく諭される。つい感情的になってしまったサヨは、お気に入りの犬のぬいぐるみを窓から投げ捨てる。そこにたまたま小鳥の愛犬ジロチョーが通りかかり、ぬいぐるみを小鳥の家に持ち帰ってしまう。これがサヨのぬいぐるみだと気づいた小鳥はすぐにサヨに届けようとし、一方で冷静になったサヨもぬいぐるみを拾いに行こうとしていた。だがそんな中、運悪くサヨのぬいぐるみがトラックにひかれてしまう。(大切なぬいぐるみ)

小鳥は朝から気合いを入れてケーキを手作りしていた。だが、何も知らないジロチョーはキッチンに入り込み、美味しそうなケーキを食べてしまう。怒った小鳥はジロチョーを徹底的に無視。ジロチョーは責任を感じ、小鳥の家から出て行こうと決意する。ひとまず、自分が小鳥に会う前に生活していた海辺の小屋へやって来たジロチョーは、歩きまわった疲れから寝入ってしまう。するといつの間にか周囲には潮が満ち、ジロチョーは身動きが取れなくなってしまう。(愛しのあねさん)

オウムのコロンは野鳥たちと友達になり、楽しい時間を過ごしていた。だがある時、鳥たちが密猟者に捕まり、自分もあやうくケガをさせられそうになってしまう。命からがら小鳥に助けを求めたコロンは、捕まっている鳥たちを保護してほしいと訴える。小鳥は鳥たちを助けるために急いで出かけようとするが、そこになぜか鳥が好きではない素振りを見せていたレイも、いっしょに行きたいと申し出る。(鳥たちを救え!)

マラソン大会が迫る中、足の遅い小鳥はまったくやる気が出ずにいた。当日はヒョウに変身する魔法を使って走ろうかと計画していたものの、コロンに「魔法の羽」取り上げられてしまう。そんな小鳥を見て、日頃世話になっている動物たちは、マラソンの特訓のお供を申し出るのであった。(負けるなランナー)

空野動物病院で助手もしている小鳥の母親・空野千鶴が、ひどい風邪をひいて寝込んでしまった。小鳥は大忙しの空野動物病院を手伝って奔走する。そんな中、小鳥は手術をしたばかりの猫から「子供に会いたいから、少しだけ外に出させてほしい」と頼まれる。その頼みを断りきれなかった小鳥はこっそり猫を外に出してしまうが、その直後、術後の傷が開くと猫が大変な事になってしまうと知る。焦った小鳥は猫を追いかけるのであった。(夢みるかんごふさん)

登場人物・キャラクター

空野 小鳥 (そらの ことり)

小学4年生の少女。父親・空野タカオと母親・空野千鶴、さらに愛犬ジロチョー、神様からの使いとしてやって来たオウムのコロンといっしょに暮らしている。両親が空野動物病院を経営している事もあり、動物が大好き。ふだんは優しく穏やかな性格で少し抜けたところもあるが、動物に関する事になると熱くなり、周囲が見えなくなってしまう。 神様の使いであるコロンからもらった「魔法の羽」を髪の毛に刺すと魔法を使えるようになり、たびたび動物たちをピンチから救っている。なお、「魔法の羽」については他言してはいけないため、家族にも秘密にしている。夢はタカオのような立派な獣医になる事。

コロン

人間の言葉を流暢に話すオスのオウムで、神様からの使いとして人間界にやって来た。人間界にいるかわいそうな動物を助けるという任を負っており、動物を心から愛する空野小鳥に「魔法の羽」を与え、魔法を使えるようにした。以降、小鳥のお目付け役として行動を共にしている。なお、「魔法の羽」の存在は小鳥以外には秘密にしなくてはならない。

ジロチョー

空野小鳥の飼っている犬で、ボール遊びが好きなオスの中型犬。小鳥とはお互いが小さな頃からいっしょに育った。サユリという、密かに恋心を抱いている犬がいる。

空野 タカオ (そらの たかお)

空野小鳥の父親。獣医であり、妻の空野千鶴といっしょに空野動物病院を経営している。動物が好きで、自分の仕事に誇りを持っている。

空野 千鶴 (そらの ちづる)

空野小鳥の母親。夫で獣医の空野タカオの助手として、空野動物病院で働いている。優しく穏やかな性格で、娘の小鳥を心からかわいがっている。トリマーの資格も所持しており、通院している犬の手入れを任される事もある。少し抜けているところがあり、小鳥が「魔法の羽」の力で動物たちと会話をしていても、「最近は人間以外の友達ができたのね」と何の疑問も抱かず受け入れている。

アルファー

オスのシェパード犬。警察犬として担当の優紀に訓練されているものの、気が弱い事もあってミスばかりしており、このままでは警察犬になれないと厳しい評価を受けている。子犬の頃に飼い主のサチコといっしょに楽しく暮らしていたところ、足腰が強くしっかりしているという理由から、警察犬にスカウトされた過去がある。

優紀 (ゆうき)

アルファーの訓練を担当している女性。愛情深くまじめな性格の持ち主。ミスばかりで周囲からは警察犬の適性がないと言われているアルファーを、立派に育て上げたいと努力している。

サチコ

かつてアルファーの飼い主だった少女。アルファーからは「サッちゃん」と呼ばれている。子犬の頃に警察犬にスカウトされたアルファーと離れ離れになり、それからずっと再会する日を夢見ていた。過去にアルファーのかかりつけ病院として、空野動物病院を訪れていた事がある。

川蟬 光

小学6年生の女子で、空野小鳥と同じ学校に通っている。鴨原リエとはクラスメイト。負けん気が強く、言いたい事ははっきりと口にするタイプ。サッカーが好きで、よく男子に混じって遊んでいる。小鳥と白鳥之湖の三人でウサギの飼育係になったが、遊びを優先したいのでやる気が出ないでいた。ウサギの抱き方などで小鳥から細かく指導を受け、さらにやる気をなくしてしまう。 だが、ウサギ小屋倒壊の危機を小鳥と之湖の三人で乗り越えてからは結束が強まり、飼育員としての自覚が芽生えただけでなく友情も深まっている。

白鳥 之湖 (のっこ)

小学5年生の女子で、空野小鳥と同じ学校に通っている。友達からは「ノッコ」と呼ばれている。勉強ばかりしているいわゆるガリ勉タイプで何でも科学的に考え、納得できないものは否定する癖がある。小鳥と川蟬光の三人でウサギの飼育係になったが、塾を優先したいのでとにかく早く終わらせたいと思っている。だが、ウサギ小屋倒壊の危機を小鳥と光の三人で乗り越えてからは結束が強まり、飼育員としての自覚が芽生えただけでなく友情も深まっている。

鴨原 リエ (かもはら りえ)

小学6年生の女子で、空野小鳥と同じ学校に通っている。川蟬光とは同じクラス。内気で控え目な性格をしている。動物全般、中でも特に犬を苦手としており、近くによって来られると呼吸困難になってしまう。しかし、犬の出てくる物語を読んだり図鑑をながめるのは好き。犬と仲よく遊びたいとも考えており、苦手を克服したいと思っているが、心配した母親が犬に近づく事を許してくれず悩んでいる。

ミサゴ

小学4年生の男子で、空野小鳥のクラスメイト。サッカーが好きでやんちゃな性格であり、クラスの男子をまとめるリーダー的存在でもある。口は悪いが、クラスで飼育しているリスを凶暴なトビの攻撃から助けるなど、根は優しい少年。

サヨ

小学4年生の少女で、空野小鳥の友達。小鳥とは動物好きなところが一致し、仲よくなった。ペット禁止の団地住まいである事や、さらに小さな弟と妹がいるため、本物の動物を飼う事ができず、動物のぬいぐるみを集めて我慢している。多数のぬいぐるみを所持しているが、その中でもお気に入りは犬のぬいぐるみ。

レイ

小学4年生の少女で、空野小鳥のクラスメイト。小鳥が授業中にコロンの絵を描いているところを見つけ、「鳥なんて飼うものじゃない」と悪態をついた。実は不注意でインコを死なせてしまった過去があり、軽い気持ちで飼ってほしくないという気持ちの現われであった。小鳥と共に、密猟者に捕われた鳥を助けに行く。

ユキ

空野小鳥らが通う小学校に捨てられていたオスのニワトリ。とにかく暴力的で、人間を格下に見ている。一時的に同じ小屋で同居をしたウサギたちを威嚇するなど、大暴れしている。

サユリ

空野動物病院に通院している血統書付きのメスの犬。トリマーの資格を持っている空野千鶴に手入れを担当してもらっている。ジロチョーが密かに恋心を抱いている、あこがれの相手でもある。

場所

空野動物病院 (そらのどうぶつびょういん)

空野小鳥の実家が営んでいる動物病院。獣医の空野タカオと、助手の空野千鶴が経営している。千鶴はトリマーの資格を所持しているので、犬の手入れをする事もある。どんな動物にも親身になって対応しており、地域での信頼は厚い。

その他キーワード

魔法の羽 (まほうのはね)

神様がコロンに託した羽。髪の毛に刺す事でさまざまな動物の力を使う魔法を扱えるようになるだけでなく、動物たちと会話ができるようになる。コロンは神様から「かわいそうな動物を助けられる子に渡してほしい」と依頼されており、自身を優しく世話してくれた空野小鳥に託した。

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