潔く柔く

潔く柔く

女子高生だった瀬戸カンナとその幼馴染でクラスメイトの男の子春田一恵の死を巡る話を主軸に、多くの人の思惑が織り成す恋愛模様を描いた作品。複数の登場人物達の恋愛がオムニバス形式で描かれつつも徐々に接点を持っていく。第33回講談社漫画賞少女部門受賞(2009年)。

正式名称
潔く柔く
ふりがな
きよくやわく
作者
ジャンル
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あらすじ

第1巻

田舎の高校に通う瀬戸カンナは、春田一恵真山稔邦川口朝美の四人で行動し、友情を築いていた。しかし、幼なじみで同じ建物内に住むカンナと春田は、二人きりになるとキスをするなど秘密の関係を持っていた。その一方で真山もカンナに好意を抱いており、カンナは拒否するわけでもなく、二人は春田と朝美に黙って花火大会に行く。まさにカンナと真山が花火デートを楽しんでいた最中、アルバイト帰りの春田は事故により亡くなる。病院へ向かったカンナと真山の前に、二人きりで花火大会に行っていた事を知った朝美が立ちはだかる。朝美は春田の好意を知りながらも真山とデートに行ったカンナに激怒する。春田の死去により、三人は会話を交わす事もなくなった。そんな中、カンナ達が通う高校では文化祭が催される事になり、その準備中に朝美とカンナは激突。カンナは意識を失い、気がついた時には保健室のベッドの上で、周りには心配そうに見守る真山と朝美の姿があった。再び言葉を交わすようになった三人は、春田を弔うために海へと向かう。

第2巻

永友亜衣は親友の早川萌から、木崎からしつこくデートに誘われており、途中で偶然会ったふりをして合流してしてほしいと依頼される。亜衣が萌からの依頼を受けて行動すると、真山稔邦も途中からやって来る。気さくに声を掛けてくれる真山に対し、亜衣は一気に心を奪われてしまう。萌の協力もあり帰り道に二人きりになると真山の態度が急変し、木崎から依頼されて邪魔者を排除しに来ただけだと言い放ち、亜衣をその場に置き去りにして夜の街に消えてしまう。ショックを受けた亜衣だったが、次の日に偶然真山と再会。前日夜の街に亜衣を放置した事を素直に謝罪した真山に対し、亜衣はやはり心惹かれてしまう。萌は亜衣に、真山は親友から彼女を略奪して以来、誰にも本気にならない男だと説明するが、亜衣の気持ちは変わらない。亜衣の家の隣人・黒田から世話を任されていた金魚が死んでしまった事をきっかけに、真山と亜衣は二人きりで酒を飲む事になり、なし崩し的に真山と亜衣は身体の関係を持つ。

第3巻

真山稔邦のアルバイト先の居酒屋に行った永友亜衣は、真山と瀬戸カンナが偶然再会している場面を目撃する。その日から真山は亜衣に対して冷たくなり、亜衣は自分達の関係は何だったのかと落ち込む。亜衣が暗い気持ちのまま自宅へと帰ると、本来の隣人である黒田から声を掛けられる。理由をつけて部屋に上がるように言われた亜衣は黒田から襲われそうになり、真山に救いを求める電話を掛ける。真山はちょうどカンナと会っていたところだったが、亜衣のもとに駆けつけ、黒田と殴り合いの喧嘩になってしまう。とりあえず真山と共に部屋から逃げて来た亜衣に対しカンナは、今は部屋に戻るのは危険だからと心配し、自分が住むアパートへと誘う。急遽カンナの部屋で一泊する事になった亜衣は、カンナから春田一恵を巡る過去の話を聞き、これまで真山が歩んで来た険しい過去を思って静かに涙する。そんな中、真山はアルバイトの帰宅途中に交通事故でケガを負ってしまう。駆けつけた亜衣を真山は抱きしめ、二人の距離は縮まっていく。

第4巻

笹塚一恵小峰清正の事が気になりつつも行動に移せず、菊池からのアプローチを受け入れていた。デートをする事になった笹塚と菊池の前に、同じくデート中の清正となつみが現われ、二人は空気を読まずにイチャイチャして笹塚の心は乱れる。これを見た笹塚は、自分が清正に惹かれている事を認め、菊池との交際を断るのだった。その後、清正のもとに、今度の日曜日に春田一恵の写真を分けてほしいと瀬戸カンナから電話が入る。二人きりでは気まずいという清正のため、笹塚や菊池など学校の友達もいっしょに遊びに行く事になった。どうせカンナは自分の事など覚えていないだろうと高をくくっていた笹塚だったが、カンナはしっかりと覚えており、さらに途中から勝手にやって来たなつみの奔放な発言により、場の雰囲気は悪化し、あっという間に解散になる。この事件をきっかけに携帯電話の番号を交換したカンナと清正は、後日、笹塚を加えた三人で遊園地へと遊びに行く。その最中、気分が悪くなって横たわった清正は、初めて春田のまるで幽霊のような幻を見るのだった。そして遊園地の帰り道、笹塚は勇気を出して清正に告白をする。

第5巻

一度東京に引っ越した赤沢禄は、家庭の事情で再び自分が生まれ育った田舎街へと戻って来た。小学4年生の頃に交通事故に遭った禄は、本来ならば1学年上になるが、周囲は気にせず打ち解けていく。だが一方の禄は周囲はいい人ばかりだと感じつつも、何となく居場所がないと感じていた。それでも禄は学校生活を通じ、梶間洋希や高瀬三千花と少しずつ親しくなっていく。そんな中、禄の前に柿之内希実の実姉・柿之内愛実が現われる。禄は事故に遭った際、当時同じく小学4年生だった希実と共に巻き込まれており、希実はそのまま息を引き取っていた。禄にとってはあまり思い出したくない過去だったが、愛実は禄に執着し、ウソをついて自宅へと呼び出し焼香させるなど、しつこく付きまとい始める。そんな禄を三千花は心配するが、禄は希実との過去もあり、はっきりと愛実を拒絶できない。そして愛実は生前の希実が楽しみにしていた遠足の場所・田尻湖にいっしょに行こうと禄を誘い、車を走らせる。その途中、愛実は大雨の中で脚をケガして歩く犬を発見し、車を降りて助けに行く。そのまま愛実は脚を滑らせ、絶壁の下へと落ちてしまう。

第6巻

雨に打たれた上に身体を打撲した赤沢禄と柿之内愛実は、激しく体力を消耗し、ラブホテルで暖を取る事にした。そして禄と愛実が同じベッドで並んで眠った際、二人そろって柿之内希実といっしょに遠足の場所・田尻湖まで空を飛んでいく夢を見る。禄と愛実は希実の無念は晴れたのではないかと同じ思いを抱き、そのまま田尻湖には行かずに帰宅する事になった。そして禄は愛実への警戒心が薄れ、以前より親しみを覚えるようになる。禄が帰宅した際、禄の自宅では一晩帰宅しない事を心配した家族や高瀬三千花が待っていた。三千花は連れまわした愛実を責めようとするが、禄本人が制止。禄と付き合っていると感じていた三千花はショックを受ける。さらに禄は三千花に対し、柿之内姉妹からの呪縛を逃れるために利用したと打ち明ける。

第7巻

中西史也に思いを寄せる千家百加は、中西があこがれている瀬戸カンナと親しくならないように監視していた。本当はカンナに対して負の感情を抱いているにもかかわらず、絶対に中西を取られたくない百加は親しい友達として関係を続ける。しかし中西は積極的にカンナと接点を持とうと行動し、百加は焦り出す。そんな中、百加はカンナと訪れた居酒屋で、偶然アルバイトをしていた真山稔邦と知り合う。中西から頼りにされたい百加は、カンナの新たな情報を聞き出そうと真山に接近するが、激しく拒絶されてショックを受ける。さらに百加は中西をカンナに取られたくない思いが空回りし、焦って中西に告白をするが、友達としか見ていないとふられてしまう。すべてうまくいかずに苛立ちを覚えた百加は、カンナに対して「早く中西に興味がないときっぱり言うべきだ」と強要するが、なかなかタイミングがなく実行しないカンナに激怒する。そのままカンナに抱いていた負の感情をぶつけた百加に対し、カンナは自分が百加に好かれていない事に勘づいていたと打ち明け、二人は絶縁。こうして百加は友達と好きな人の両方を同時に失ってしまう。

第8巻

安養寺音々赤沢禄に一目惚れし、禄がアルバイトをしているバーを突きとめる。音々は禄目当てでバーに通い詰めるが、なかなか距離が縮まらないどころか、禄からはもう来ないでほしいとふられる。そしてバレンタインデーが訪れ、禄をあきらめきれない音々はバーの外から店内を眺めていた。そんな中、音々は梶間洋希に会い、禄の過去を聞くと同時にこのままアプローチを続けていても望みはないと、はっきり言われてしまう。それでも懲りない音々はチョコレートを渡し、かろうじて禄との関係はつながる。禄と縁が切れなかった音々は喜び、その表現として「再び拒絶されたら死ぬ」といった旨の冗談を言うが、柿之内希実との過去を持つ禄は気分を害し、音々を冷たく突き放す。決定的に拒絶されたと感じた音々は自分の部屋に閉じこもり、誰とも連絡を取らずにいた。一方の禄も音々がどうなったのか気になっていたものの、自分からは連絡を取らずに過ごす。

第9巻

家庭教師のアルバイトをしている川口朝美は、生徒の夏目瑠璃と信頼関係を築いていた。その一方で朝美は瑠璃の兄・夏目伊吹からアプローチを受けていたが、6歳年下である事、そして恋人の雅矢もいる事からまったく相手にしていなかった。そんな中、朝美は雅矢から上司の娘・宝城美姫と結婚すると聞かされる。雅矢は美姫との結婚はあくまで出世のためであり、愛情はこれまで通り朝美にあると語り、交際は続けようと提案される。突然の事に頭の整理ができない朝美は雅矢の話を笑顔で流したものの、夏目兄妹といっしょに行った夏祭りの途中で涙してしまう。朝美の涙は運よく瑠璃には気づかれていなかったが、伊吹には目撃されてしまい、伊吹は瑠璃にばらされなくなければデートをしようと脅す。そして朝美は伊吹と一日を過ごすが、途中で雅矢からかかって来た電話に伊吹が勝手に出る。伊吹は雅矢に電話口で宣戦布告し、雅矢は自分達の関係を第三者に話した朝美に激怒。雅矢に怒られながら、朝美の心はますます離れて行くのだった。そんな中、朝美の携帯電話には美姫と思われる相手からの無言電話が続く。そしてついに朝美の前に美姫が姿を現す。

第10巻

瀬戸カンナは自分の中学生時代の夢を見ていた。中学校に入学してから春田一恵とは会話をする機会は減ったものの、春田はカンナの事を遠くから見守り、迷った時には声を掛けてくれていた。中学3年生になった時、春田はまるでこれまでのバリアを解くかのようにカンナに急接近。春田の親戚の小峰清正やほかの友達も交えて遊び、さらには春田はカンナの部屋に来て、気まぐれにキスをするようになった。一方でカンナは、結局春田が何を考えていたのかわからないまま、自分の前から消えて行ってしまったと悲しい気持ちになる。そしてカンナは社会人になり、映画広告会社「メロンワークス」に勤務していた。忙しい日々の中、相変らず仲のいい千家百加とバーで飲んでいると、泥酔した赤沢禄に絡まれる。嫌な印象を抱いたカンナだったが、後日取引先の雑誌の編集者として禄と再会。禄はカンナが気になりつつも、美人な事もあり勝手に高飛車で嫌な性格だと勘違いし、少し高瀬三千花に似ている百加の方と友情を深める。しかし実際はカンナとも親しくなりたい禄は、カンナを映画の試写会に誘い出す。

第11巻

赤沢禄千家百加古谷寿から、瀬戸カンナの過去を聞き出す。軽いリサーチのつもりだったものの、重い内容に罪悪感を抱いた禄は、カンナを呼び出し聞いてしまった事を謝罪。そして禄は自分と柿之内希実との過去を明かし、さらに希実に似ている柿之内愛実の娘の写真をお守りだとカンナに見せる。カンナは同じように身近な人が死んでしまった過去を持ちながら、真摯に過去と向き合っている禄と自分の差にパニックになり、そのまま体調を崩して入院してしまう。カンナの入院中に小峰清正笹塚一恵など懐かしい人が見舞いに訪れ、カンナは7回目の春田一恵の命日を、入院中の病院でこれまでになく穏やかに迎えた。その頃、禄は以前担当していた漫画家の野原チカコから個人的に呼び出されていた。禄はチカコをカンナと会ったバーに連れて行き愚痴を聞いていると、以前倒れた際に壊してしまったドアの修理代を持って来たカンナと偶然顔を合わせる。チカコの顔立ちがどこか川口朝美に似ていたため、カンナは慌てて逃げ出す。そんなカンナを見た禄はチカコを放置し、カンナを追いかけて行く。

第12巻

瀬戸カンナは取引先の映画配給会社から配布された資料の中に、川口朝美の名前を見つける。春田一恵を巡る過去が一気にフラッシュバックして気分が悪くなるカンナだったが、実際に顔を合わせた朝美は心から再会を喜び笑顔を見せ、カンナは自分だけ時が止まっていると実感する。そして、確実に時間は過ぎて行くのに、自分だけは成長できないと感じたカンナは落ち込んでいた。そんな思いを抱えたままカンナは赤沢禄に会いに行き、カンナと禄は話の流れで春田と住んでいた街へと出発する。そこで春田と母親違いの小さな弟を見たカンナは、時は流れているのだと静かに受け止める。カンナは禄の過去を知るために柿之内愛実に会いたいと言い、禄はそれに従う。そして愛実は自分の娘と共に禄とカンナを出迎えにいったところ、これまで言葉を発さなかった娘が禄に対し、流暢に語り出す。その姿を見た禄は今は亡き柿之内希実を思い、涙するのだった。そして東京へと戻ったカンナの前に野原チカコが現われ、禄と交際をスタートさせる事になりそうだと報告して来る。

第13巻

赤沢禄野原チカコが交際しそうだと聞き、居てもたってもいられなくなった瀬戸カンナは、禄のもとへと走り出す。そんなカンナを禄は優しく抱きしめ、春田一恵が死去してから止まっていたカンナの時間は、再び動き出すのだった。そしてカンナは小峰清正から、春田がカンナに対してどのような思いを抱いていたのかを初めて聞く。その言葉をカンナは静かに受け入れ、春田との過去を消化していく。そして後日、禄とカンナは思いが通じ合ってから初めてのデートをする事になった。

登場人物・キャラクター

瀬戸カンナ (せとかんな)

柔らかい雰囲気の女性。美少女で高校生の頃から現在に至るまでモテてきた。春田一恵とは同じ団地に住んでおり小さい頃は大変仲が良かった。中学にあがり疎遠になったこともあったが長きに渡って仲の良い友達だった。春田一恵の自分への気持ちに気づいておりながらハッキリした態度を取れなかったことに強い罪悪感を抱いており、大人になった今でも春田一恵のことをひきずっている。

春田 一恵 (はるた かずえ)

瀬戸カンナと同じ団地に住む幼馴染の男子高校生。明るく人懐っこい性格で格好良く女の子からの人気も高い。瀬戸カンナのことが好きで、さりげなく独占していたが思いを告げるのが怖くて告白できないでいた。部屋に遊びに行くというメールを瀬戸カンナに送っていた途中交通事故に合い15歳で亡くなる。

真山 稔邦 (まやま としくに)

高校で瀬戸カンナと同じクラスになり仲良くなる。川口朝美とは同じ中学校。非常にモテる。瀬戸カンナのことが好きで春田一恵が事故にあった時に瀬戸カンナを夏祭りに誘い、告白をしていた。高校卒業後は東京の大学へと進学し、同じ大学の永友亜衣と親しくなってきた頃瀬戸カンナと再会する。

川口 朝美 (かわぐち あさみ)

高校で瀬戸カンナと同じクラスになり仲良くなる。真山稔邦とは同じ中学校。しっかり者だが責任を人に擦りつけてしまう傾向がある。春田一恵のことが好きで春田一恵が事故で亡くなった時は瀬戸カンナと真山稔邦のことを激しく責め立て、その後疎遠になる。大学生になり家庭教師のバイト先で夏目伊吹に出会う。

梶間 洋希 (かじま ひろき)

愛想が悪く表情があまり出ないため周りからは少し恐れられている男性。ぶっきらぼうだが実直な性格。高校生の頃から背が高く、小銭を貸したことで沢内瑞樹と知り合い付き合い始める。沢内瑞樹が大学進学後は一時疎遠になるが社会人になってから再会し婚約する。大人になってからは高校で生物の教師をしている。

赤沢 禄 (あかざわ ろく)

小学4年生で柿之内希実と共に交通事故にあうが一命を取り留める。後遺症で手の小指が動かなくなり、学校を1年留年する。高校のクラスで梶間洋希と友人になりその後も何かとつるんでいる。柿之内希実の死に責任を感じておりなかなかそれをふっきれないでいる。大学時代からバイトしていたバーで瀬戸カンナに出会う。

永友 亜衣 (ながとも あい)

真山稔邦と同じ大学に通う女の子。北海道から上京してきた。友達思いさばさばした性格。料理が得意。夏休みの間だけ花屋でバイトしていた。アパートの隣室で友人の黒田の留守番をしていた真山稔邦に植木鉢を壊されたことをきっかけに親しくなり好きになる。本来のアパートの隣人である黒田に襲われて、ちょうど偶然真山稔邦と再会した瀬戸カンナの家に泊まることになる。

小峰 清正 (こみね きよまさ)

春田一恵の従兄弟の男の子。背が高くおおらかな性格で男女問わず人気がある。少女漫画が好き。瀬戸カンナとは何度か会ったことがあったが春田一恵の死後連絡を受けて再会する。赤沢禄の大学の後輩でもある。

柿之内 希実 (かきのうち のぞみ)

赤沢禄の幼馴染の女の子。小学校4年生の時、赤沢禄と一緒に事故にあい亡くなる。亡くなってからも幽霊として赤沢禄のことを見守っている。

千家 百加 (せんけ ももか)

大学で瀬戸カンナと友達になった女の子。さばさばした性格。高校からの同級生である中西史也を好きになるが中西史也は瀬戸カンナのことが好きなため次第に瀬戸カンナのことを疎ましく思っていく。

安養寺 音々 (あんようじ ねね)

短大卒業後、専門学校に通う女の子。子供っぽく周りからもいじられている。カレー屋で食事する赤沢禄に一目惚れし、それからというもの赤沢禄のバイトするバーに通いつめるようになる。赤沢禄に積極的にアプローチするも巧妙にかわされている。

夏目 伊吹 (なつめ いぶき)

川口朝美がバイトでしている家庭教師先の家の男子高校生。川口朝美のことが好きで根気強くアプローチしてくる。両親が再婚同士のため妹の夏目瑠璃とは異母兄妹であるが仲は良い。川口朝美に春田一恵を思い起こさせる存在。

古谷 寿 (ふるや ことぶき)

中西史也の友人で千家百加、瀬戸カンナとも友人になる。本当は直毛なのにアフロヘアーにしている。鋭いところがつかみどころがない性格。千家百加が中西史也のことが好きで瀬戸カンナに敵意を抱いていることに気づいている。

笹塚 一恵 (ささづか いちえ)

瀬戸カンナと春田一恵の中学校の同級生。妄想癖が激しいが本当は素直な性格。春田一恵のことを密かに思っており春田一恵をモデルにした漫画を描いていた。高校に入り小峰清正と親しくなり、二人で何かと瀬戸カンナを支えることになる。小峰清正のことが好きになる。

野原チカコ (のはらちかこ)

漫画家の女性。以前、赤沢禄が担当についていたこともあってか赤沢禄のことが好きで何かと連絡をつけたり付き纏ってくる。仕事熱心で赤沢禄に避けられているのも自覚している。

桜場 睦実 (さくらば むつみ)

柿之内希実の姉・柿之内愛実の娘。意志をはっきり示しはするが、4歳になってもしゃべることがない。赤沢禄とは生まれたばかりの頃会ったきり。

柿之内 愛実 (かきのうち まなみ)

柿之内希実の実姉。運送会社に勤務する社会人。引っ越していった赤沢禄が自分達の住む街に戻って来たと聞き、かかわりを持とうと接近。ウソをついて実家に禄を呼び出すなど執着する。実はずっと両親にかわいがられていた希実と、そうでもない自分との間に差を感じており、希実が死んでから家の中が一気に暗くなり、まるで自分が存在していないかのような感覚に陥っている。のちに結婚して「桜場愛実」となり、希実によく似た娘を出産した。

黒田 (くろだ)

永友亜衣、早川萌と同じ大学に通う男子大学生。亜衣の住むアパートのとなりの部屋に住んでいる。長期で帰省する事になり、ペットの金魚の世話を真山稔邦に頼んだ。帰宅した際、自分のベッドで真山と亜衣がセックスをした事に気づき、亜衣を言葉巧みに自室へと連れ込み、自分もさせてほしいと襲いかかった。真山から殴られたあとは大学内の女子生徒に悪い噂を流して復讐を試みたが、真山本人は気にせず学校生活を送っている。

早川 萌 (はやかわ もえ)

永友亜衣と同じ大学に通う女子大学生。東京出身。かわいらしい容姿に舌足らずな話し方をするぶりっ子。天然に見えるが、実は空気が読めて頭の回転が速い。サバサバしたタイプの亜衣とは不思議と気が合い、なかよくしている。

宝城 美姫 (ほうじょう みき)

雅矢が勤務する会社の上司の娘。両親から大切に育てられており、結婚も父親から勧められるがまま雅矢とお見合いし、結婚を決意した。お見合いではあるものの雅矢には好意を抱いており、川口朝美と交際している事実も把握しているが、雅矢には結婚式までに清算してくれればいいと目をつぶっている。その一方で朝美への嫉妬心が抑えきれず、何度も無言電話をするなど陰湿な嫌がらせを開始する。

夏目 瑠璃 (なつめ るり)

小学5年生の少女。夏目伊吹の妹。伊吹とは母親が異なるが、いっさい気にせず非常に懐いている。かわいらしい容姿に明るく人懐っこい性格の持ち主で、家庭教師としてやって来た川口朝美ともすぐに親しくなった。伊吹が朝美に好意を抱いている事も知っており、密かに応援している。

中西 史也 (なかにし ふみや)

千家百加と高校時代から知り合いの男性。高校生時代の百加が元恋人からのストーカー被害を受けていた際、偶然にも家が同じ方向だった事からいっしょに帰宅し、その縁で親しくなった。大学も百加と同じで、変わらずに友達関係を続けているものの、百加からの恋心には気づいていない。百加と会話をするようになる前から他校に通っていた瀬戸カンナのファンで、大学で再会できた時には大いに喜んだ。そしてカンナにあこがれではなく、一人の女性として好意を抱くようになる。

佐原 教 (さはら のり)

安養寺音々と同じ専門学校に通う女性。高校を卒業してからすぐに入学しているため、音々よりも年下だが、気にせず友情を育む。10代とは思えない落ち着きと常識を兼ね備えた人物。音々に対しては、放っておけないと面倒を見たり、相談に乗ったりしている。その一方で、音々の短絡的な行動に腹を立てている節もある。音々が好意を寄せる赤沢禄に関しては、音々には難しい相手だと応援していない。

満里奈 (まりな)

中学1年生の頃の瀬戸カンナと親しくしていた女子。少しカールのかかった髪の毛をツインテールにしている。明るい性格でウソのつけない真っ直ぐな性格の持ち主。カンナからは、自分にないものを持っているとあこがれられていた。先輩に恋をしていたが、勇気を出して告白をした際にカンナが好きだとふられてしまう。その事からカンナを逆恨みし、友情は途絶えてしまった。

菊池 (きくち)

小峰清正、笹塚一恵と同じ中学出身の男子。現在も二人と同じ高校に通っている。背が低く、かわいらしい顔立ちをした童顔の持ち主。笹塚の事が好きでアプローチをしているものの、笹塚は清正が好きだという事に気づいており、ライバル心を燃やす。中学時代は清正となかがよかったが、清正の背が伸びてモテるようになった事で距離が生じ、積極的にかかわろうとしなくなった。しかし、笹塚から交際を断られたあとは、潔く笹塚と清正の恋を応援している。

柳原 (やなぎはら)

映画宣伝会社「メロンワークス」の社長を務める男性。社会人になった瀬戸カンナを採用した。カンナを気に入り色々と気にかけているが、カンナからは距離を置かれている事には気づいている。それでもカンナの支えになりたいと行動していたものの成就せず、結局部外者のまま終わってしまった。取引先の川口朝美を美人だと気に入るなど、基本的に顔が整っている女性が好み。

福澤 皓介 (ふくざわ こうすけ)

安養寺音々が通う専門学校に勤務する男性講師。夜でもサングラスをかけ、つねに帽子をかぶっている。講師をしているものの生徒に対してフランクに接し、生徒からも「福ちゃん」と呼ばれて親しまれている。赤沢禄がアルバイトしているバーの常連客で、音々が禄に恋をして空回りしている事を知りつつ、自分の好きなようにやればいいと口出しせずにいた。しかし禄に一途に好意を寄せる音々を見ているうちに、恋愛対象として意識し始める。

雅矢 (まさや)

川口朝美の大学時代にできた彼氏。朝美より6歳年上の社会人。朝美が大学の友達と居酒屋で飲んでいる時、雅矢の方から声を掛けて知り合い、意気投合した。朝美に対しては束縛もせず自由にさせており、今現在の事はもちろん、過去の事も詮索しない。朝美からは大らかな気持ちのいい人だと思われていたが、実は秘密裏に上司の娘の宝城美姫とお見合いをしており、出世のために美姫との関係も同時進行させていた。美姫と結婚したあとも朝美との恋人関係を続けたいと勝手に考えており、朝美が自分から離れないようにしつこく電話をしたり、待ち伏せをしたりしている。朝美との関係は美姫に知られていないと思い込んでおり、美姫が朝美に陰湿な嫌がらせをしている事実も知らない。

なつみ

華やかな雰囲気を漂わせた女子高校生。小峰清正の彼女。一人称は「なっち」で、清正からもそう呼ばれている。おしゃれで細身にもかかわらず胸が大きく、抜群のスタイルの持ち主。男性の前と女性の前では態度が変わる典型的なぶりっ子タイプで、女友達の前では乱暴な言葉づかいもする。清正が笹塚一恵や瀬戸カンナと親しくしているのが気に入らず、笹塚と二人きりになった時には辛辣な言葉を吐いた。これまで多数の男性と交際しているが、その中でも清正の事は気に入っており、手放したくないと思っている。

高瀬 三千花 (たかせ みちか)

赤沢禄と同じ高校に通うクラスメイトの女子。三白眼で、とにかく目つきが悪く話し方も雑なため、周囲に怖い印象を与えてしまいがち。しかし内面は女らしく、特に思いを寄せていた梶間洋希に対しては、自分がどう思われているのか非常に気にしていた。また、面倒見のいい人情派で、他人のために尽くす事のできる心優しい人物でもある。転校して来た禄と親しくなり、柿之内希実との過去や、柿之内愛実から粘着されている事を打ち明けられるなど、誰よりも信頼されている。梶間に彼女ができた事で失恋したものの、のちに禄からせまられて身体の関係を持つ。しかし結局は、禄が柿之内姉妹と向き合う事から逃げるために利用されたのだと悟り、禄に恋心を抱きつつも別れを切りだした。

木崎 (きざき)

永友亜衣と早川萌と同じ大学に通う男子大学生。二人にとって先輩にあたる。チャラチャラとした軟派な性格で、遊び人として有名。萌にターゲットを絞り、口説き落とそうとしていた。学生ながら夜景の見える広いマンションに住むなど親が金持ち。真山稔邦とは特別に親しいわけではないものの、「親友から彼女を略奪して以来、誰にも本気にならない男」という噂は断片的に知っており、萌にもその話をしている。黒田によって悪い噂を流され、浮き気味になっていた真山に対しても普段通りに接するなど、自分のペースを貫くタイプ。最終的に萌を口説き落とす事に成功しており、交際をスタートさせた。

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