概要・あらすじ
東恩納恒は彼女である白石さとみと車中での会話を楽しんでいた。そこはカーセックスをしにくるカップルが集まることで有名な場所だったが、恒は何もせず、家に帰る時間だというさとみを笑顔で見送る。そんな2人を暗闇からじっと視ている青年、真仁亜拓郎がいた。覗かれていたことに気づいて「卑怯者」と罵倒する恒に対し、拓郎は平然とした顔で、恒がさとみに本性を隠していることを指摘。
さらに、他人の裏の顔を見てみたくはないかと恒を誘惑する。拓郎に隠していた本音を突かれて動揺する恒。彼はやがてさとみの真の姿を見たいという、「のぞき」の欲望に取りつかれていく。
登場人物・キャラクター
東恩納 恒 (ひがしおんな こう)
沖縄出身の平凡な大学生で、白石さとみと付き合っている青年。物わかりのよい寛大な彼氏を装っているが、実はさとみの言動に疑惑と不審を抱いていて、真仁亜拓郎との出会いをきっかけに彼女が言っていることが本当なのか知りたいという欲求に駆られるようになる。葛藤しながらも、さとみの生活を覗き見て彼女の裏の顔を知った東恩納恒は、同時に作り笑いで自分を偽ってきたことに気づき、覗きを通して世の中の真実を見つけようと決意。 大学をやめて拓郎と共に「のぞき屋」を開業する。
真仁亜 拓郎 (まにあ たくろう)
覗きマニアの青年。東恩納恒と白石さとみのデートを覗き見ていた際、恒に興味を持ち彼に接近。恒を覗きの世界に誘い、共に「のぞき屋」を始めることになる。左右の目の色が違っていて、覗き行為に集中すると興奮して鼻血を出すという特異な体質の持ち主。
白石 さとみ (しらいし さとみ)
東恩納恒と付き合っている通訳志望の女子大生。英会話の勉強を理由に恒と会う時間を減らすようになるが、実は手っ取り早く英語を上達させるため六本木の外国人バーに入り浸っていて、黒人青年に抱かれているところを恒に目撃されてしまう。
テルオ
東恩納恒と同じ空手道場に通っていた沖縄時代の幼なじみ。空手の実力は同程度だったが、小学6年生の時に恒が道場の代表に選ばれたことに嫉妬し、悔しさのあまり恒の飼い犬を撲殺。一部始終を見ていた恒の心に他人への強烈な不信感を植え付けた。
いづみ
運命的な出会いに憧れている一人暮らしの女の子。ストーカー男に盗聴、盗撮されていたことから東恩納恒に出会うが、盗聴器が仕掛けられているという彼の言葉を信じず、逆に自分を狙うストーカー男を運命の相手と思い込んでしまう。
ストーカー男 (すとーかーおとこ)
いづみの向かいのマンションの住人で、彼女の部屋を盗聴、盗撮している変態。いづみの秘密や事実をひそかに収集し、運命的な出会いを装うことで彼女をものにしようと狙っている。蛇のように執念深く、盗聴に気づいた「のぞき屋」コンビと敵対することになる。
集団・組織
のぞき屋 (のぞきや)
東恩納恒と真仁亜拓郎のコンビが始めた商売。「なんでものぞきます!」が商売文句で、専門は依頼された相手を覗くことだが、まだ開業したばかりで仕事がないため、家事全般、ビラ配り、犬の散歩、鍵の修理など頼まれたら何でも引き受けている。