のだめカンタービレ

のだめカンタービレ

作者・二ノ宮知子の代表作。自由奔放な野田恵と完璧主義者の千秋真一という、才能溢れる二人の若き音楽家の恋模様と、クラシックへの情熱を描いた音楽コメディ漫画。二人は、お互いの才能に惹かれあいながら切磋琢磨していき、様々な人物との出会いや経験を経て、それぞれが成長していくクラシック音楽をテーマとした漫画。世界に出るきっかけを得る「日本編」と指揮者として活躍しはじめる千秋真一の側でのだめがピアノと必死に向き合う「パリ編」の二部構成となっている。講談社「Kiss」2001年No.14から2010年No.17まで連載。2004年、第28回「講談社漫画賞」少女部門受賞。2006年10月テレビドラマ化。

正式名称
のだめカンタービレ
ふりがな
のだめかんたーびれ
作者
ジャンル
クラシック
 
ピアノ
 
ラブコメ
レーベル
KC KISS(講談社)
関連商品
Amazon 楽天

世界観

前半は日本の桃ヶ丘音楽大学、後半はフランスをおもな舞台とした作品。作中では時間が経過し、登場人物たちも大学生から社会人へと変遷していく。なお、タイトルにある「カンタービレ」とは、「歌うように・表情豊かに」という意味を持った楽曲演奏上の表現方法を示す発想標語のひとつ。

作中に登場する組織・団体は架空のものがほとんどだが、コンセルヴァトワールや東京都交響楽団といった実在する音楽アカデミーや楽団も登場する。また、作中で千秋を気に入り、マルレ・オケの常任指揮者に指名したジェームズ・デプリーストは実在の人物で、連載当時に東京都交響楽団の常任指揮者を務めていた。

なお、一部の登場人物や架空の楽団・音楽コンクールの名称には、実在するサッカー選手の名前が付けられている。たとえば、のだめが出場したマラドーナ・ピアノ・コンクールは1986年のW杯でアルゼンチン優勝の原動力となったディエゴ・マラドーナから、千秋が優勝を飾ったプラティニ国際指揮者コンクールは元フランス代表で「将軍」の異名を持つミシェル・プラティニから、千秋が幼い頃から師と仰ぐヴィエラは、元フランス代表で1998年のW杯優勝メンバーでもあるセバスチャーノ・ヴィエラからそれぞれ名前が取られた。ほかにもデシャン管弦楽団、ウィルトール交響楽団、ルー・マルレ・オーケストラなどに実在するサッカー選手の名前が用いられている。

登場人物の中に悪人らしい悪人が一切出てこないというのが本作の世界観を象徴する要素のひとつ。悪人としての要素を持った人物が皆無というわけではないが、その行為自体が非常にコミカルに描かれていたり、どこか憎めないキャラクターであったりといったこともあり、物語全体を通して読者が強い嫌悪感を抱くような要素や描写がほとんどない。たとえば作中で千秋と親しくするのだめに嫉妬した真澄が、のだめにさまざまな嫌がらせをするシーンがあるが、その様子は非常にコミカルに描かれているため、そこに陰湿さといったものはほぼ感じられない。こうした点が本作が音楽コメディと位置づけられる由縁。

なお、主人公の野田恵には同姓同名の実在のモデルがいることが作者の二ノ宮知子自身によって明かされている。この女性はもともと二ノ宮のファンで、二ノ宮のウェブサイトに「のだめ」というハンドルネームで、自身がゴミだらけの部屋でピアノを弾く写真を送っており、これにインスピレーションを得たことでのだめのキャラクターが誕生した。また、作中ののだめに見られる「得意料理はおにぎり」、「アニメ好き」といった特徴も彼女が由来。このモデルとなった実在の女性は、コミックスではリアルのだめと呼ばれており、コミックスの巻末の取材協力者にも名前が記載されているほか、作中に登場する「みそ字」の作成者、ドラマ版およびアニメ版のオリジナル曲「おなら体操」の作曲・共同作詞者、アニメ版における大川弁の監修者なども務めている。

作品構成

自由奔放なピアニスト・野田恵(のだめ)と、指揮者を目指す完璧主義の青年・千秋真一を中心に、クラシックに情熱を傾ける若者たちの青春を描いた音楽コメディ作品。物語の構成としては、落ちこぼれだったのだめが千秋と出会い、彼と競演したい一心で本格的にピアニストとしての道を歩み始めるまでを描く「音大編」と、のだめと千秋がそれぞれヨーロッパへと渡り、音楽家として大きく成長していく姿を描く「海外編」の2つに大きく分けられる。

なお、本作はクラシックを題材とした作品であるが、同時にのだめと千秋の恋模様を描いた恋愛漫画でもある。両者の関係は、当初はのだめが一方的に千秋に恋愛感情を抱き、なにかと付きまとうというものであったが、音楽を通じて互いに交流を重ねるうちに、次第に千秋がのだめに強く惹かれ、やがて恋人同士になった。なお、両者の恋愛に関しては生々しい性的描写は一切なく、あくまで恋愛コメディという範疇に収まっている。

あらすじ

音大編

いずれクラシック音楽の本場であるヨーロッパへ渡り、世界的な指揮者になることを夢見るエリート音大生の千秋真一。だが、過去のトラウマから飛行機にも船にも乗れず、ヨーロッパへ渡れないまま、ひとり日本で思い悩む日々を送っていた。そんなある日、千秋は自宅マンションの隣人で、同じ音大の後輩でもある野田恵のだめ)と出会う。千秋に一目惚れし、なにかと付きまとうようになるのだめ。そんな自由奔放なのだめの性格に戸惑いつつも、のだめのピアノに大きな才能を感じた千秋は、なにかにつけて彼女の面倒を見ることにする。

そんな折、世界的な指揮者のシュトレーゼマンが講師として大学に赴任。シュトレーゼマンに認められた千秋は、彼が選んだ学生によるSオケの指揮者を任されると、見事に学園祭での演奏会を成功させる。その後、ニナ・ルッツ音楽祭で知り合った清良とRSオケを立ち上げ、演奏会を通して指揮者としての自信をつけた千秋は、ついにヨーロッパへ渡ることを決意。

一方、それまで自由気ままにピアノを弾いていたのだめだが、こうした千秋の活躍に刺激を受け、次第に真正面からピアノと向き合うように。「いずれヨーロッパに渡り、指揮者として羽ばたいていく千秋に追いつき、同じ舞台に立ちたい」、そう考えたのだめは、スパルタ講師・江藤との猛レッスンを重ね、マラドーナ・ピアノ・コンクールへと出場。入賞には届かなかったものの、審査員であった高名なピアニスト・オクレールの目に留まり、フランスにある世界有数の音楽アカデミー・コンセルヴァトワールへの留学が決まるのであった。

海外編

大学を卒業し、フランスへと渡った千秋は、自身の力を試すためプラティニ指揮者コンクールへと出場。ライバルのジャンや片平を押さえ、見事に優勝を果たす。その後、半ば強引にシュトレーゼマンの事務所と契約させられた千秋は、各地で演奏会を開催。指揮者として着実にその評価を高め、フランスのマルレ・オケの常任指揮者となった。

一方、千秋とともにフランスへ渡ったのだめは、音楽アカデミー・コンセルヴァトワールへと入学。授業のレベルの高さに困惑しつつも、自分をフランスに誘ってくれたオクレールの指導のもと、少しずつピアニストとしての才能を開花させていく。

だが、そんな中、千秋と中国の若手天才ピアニスト・Ruiとの協奏曲を目の当たりにしたのだめは、その素晴らしい演奏に強い衝撃を受け、すっかりピアノへの自信と意欲を失ってしまう。そんなのだめを再起させようと、シュトレーゼマンはのだめを自分のコンサートのピアニストに抜擢。そこでのだめはシュトレーゼマンを驚嘆させるほどのドラマチックな演奏を披露し、彼女の名は一夜にしてクラシック界に知れ渡る。だが、演奏を終えたのだめは千秋との面会を拒絶すると、そのまま皆の前から姿を消してしまった。

千秋との競演を果たすためプロのピアニストへの道を歩み始めたのだめと、そんなのだめがいつしかかけがえのない存在となっていた千秋。それぞれの想いが交錯する中、物語はクライマックスへと進んでいく。

メディアミックス

TVドラマ

2006年10月から12月まで連続ドラマとしてフジテレビ系で放送されたほか、2008年にはスペシャルドラマ『のだめカンタービレ 新春スペシャル in ヨーロッパ』が放送された。内容に関して非常に高い評価を得ており、日本映画テレビプロデューサー協会が選定する2007年のエランドール賞で新人賞(主演の上野樹里と玉木宏)と特別賞を受賞。また、連続ドラマのDVDボックスは初回版でセル・レンタル含め、販売数5万セットを超える大ヒットを記録した。

映画

テレビドラマ版の続編として、2009年に『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』、2010年に『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』がそれぞれ公開される。前編は41億円、後編は37.2億円の興行収入を記録した。配給はいずれも東宝。

アニメ

2007年1月から『のだめカンタービレ』、2008年10月から『のだめカンタービレ 巴里編』、2010年1月から『のだめカンタービレ フィナーレ』がそれぞれフジテレビ系で放送された。また、単行本の22巻および24巻の初回限定版にはオリジナルアニメのDVDが付属したほか、大塚製薬が自社商品である『カロリーメイト』のプロモーションとしてウェブサイトで公開していた、パロディアニメプロジェクト『チャンネル5.5』でも題材として取り上げられる。

小説

2006年にテレビドラマ版のストーリーをもとにした『小説 のだめカンタービレ』(高里椎奈著、二ノ宮知子原著、衛藤凛監修)が出版された。

CD

作中で取り上げられた楽曲を収録したオムニバスCD『のだめカンタービレ』が2003年に発売されたのを皮切りに、数多くのCDが発売されている。テレビドラマで使用された曲を収録したCD『のだめオーケストラLIVE!』はオリコン初登場6位を記録し、映画版のサウンドトラックである『のだめカンタービレ 最終楽章 前編&後編』は累計出荷枚数10万枚を突破して第24回日本ゴールドディスク大賞「サントラ・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、大きなヒットとなった。

ゲーム

ニンテンドーDSで『のだめカンタービレ』(2007年、バンダイ)と『のだめカンタービレ 楽しい音楽の時間デス』(2010年、バンダイ)、PlayStation 2で『のだめカンタービレ』(2007年、バンプレスト)、Wiiで『のだめカンタービレ ドリーム☆オーケストラ』(2007年、バンダイ)の4作品が発売されている。

社会に与えた影響

単行本の総発行部数は3千万部超で、フランスでは翻訳版が出版。このほか、テレビドラマ化、映画化、アニメ化も行われた。

クラシックブームを生み出したとされ、テレビドラマで使用された曲を収録したCD『のだめオーケストラLIVE!』はオリコン初登場6位を記録する異例の大ヒットとなる。また、本作を題材としたコンサートが開催されたり、クラシックの解説本が数多く発行されたりし、これらは「のだめ現象」などと呼ばれた。

登場人物・キャラクター

野田 恵 (のだ めぐみ)

桃ヶ丘音楽大学のピアノ科に通う女子大生。福岡県大川市出身。ニックネームはのだめ。ピアニストとしての卓越した技術力とセンスを備え、即興での自己流作曲を得意とする。その反面、楽譜を覚えて正確に弾くことは苦手。将来はプロのピアニストではなく、幼稚園か小学校の先生になろうと考えていたが、同じ大学の先輩である千秋真一に恋をしたことで、次第に心境が変化する。 世界的な指揮者を目指す千秋に追いつきたいという思いから、本気でピアノに取り組むようになった。のちに、世界有数の音楽アカデミーであるフランスのコンセルヴァトワールへ留学。ピアニストとして急成長を見せる。 千秋とは長らくのだめが一方的に好意を寄せるだけだったが、渡仏後に恋人関係となった。

千秋 真一 (ちあき しんいち)

桃ヶ丘音楽大学のピアノ科に通う男子大学生。父は世界的なピアニスト、母は資産家の令嬢というエリート。パリで生まれ、幼少期をヨーロッパで過ごした。完璧主義者でわがままなところもあるが、ルックスがよく頭脳明晰なため女性からモテる。ピアノ科に通っているが目標は指揮者であり、ピアノ科に入ったのはあくまで指揮者になるための勉強の一環。 海外留学を夢見ているが、幼少期に旅客機トラブル&海で溺れたというトラウマから飛行機に船にも乗れず、ずっとその夢を果たせずにいた。のだめは同じ大学の後輩で、偶然住んでいるマンションの隣の部屋同士であったことから知り合いになる。 自由奔放なのだめの性格にふりまわされつつも、のだめのピアニストとしての才能に惹かれ、やがてその関係は恋人同士へと発展。

フランツ・フォン・シュトレーゼマン

世界的に有名なドイツ人指揮者の男性。来日した際にミルヒ・ホルスタインという偽名を使っていたため、のだめからはミルヒーと呼ばれる。桃ヶ丘音楽大学の理事長である桃平とは旧知の仲で、その縁で特別に1年間だけ桃ヶ丘音楽大学の講師を務めた。大学では自身が目をつけた生徒たちを集めたSオケを結成。 千秋を自らの弟子に指名した。音楽家としてはもちろん、指導者としても優れた才能を持つが相当な女好きで、暇さえあればクラブ通いをしている。のだめのことは大のお気に入りで、彼女のピアニストとしての才能も高く評価。なお、千秋真一の憧れの指揮者であるヴィエラとは因縁があり、犬猿の仲である。

峰 龍太郎 (みね りゅうたろう)

桃ヶ丘音楽大学のヴァイオリン科に通う男子大学生。桃ヶ丘音楽大学のすぐ裏手にある中華料理屋のひとり息子で、過保護な父のもと育てられる。ロック好きな青年で、自分の感性についてこれるピアニストを探していたところのだめと知り合い、意気投合した。千秋真一のことは最初は苦手なタイプだったが、のだめを通じて仲良くなり親友に。 当初はエレキヴァイオリンを愛用していたが、千秋と出会ったことでクラシックでやっていくことを決意し、シュトレーゼマンのSオケのコンマスに抜擢される。また、千秋が中心となって結成されたRSオケにも参加。その活動を通じて同じヴァイオリニストの三木清良と親睦を深め、のちに恋人同士になった。

奥山 真澄 (おくやま ますみ)

桃ヶ丘音楽大学の管弦楽科に通う男子大学生。アフロヘアーと口ひげが特徴。男性だが心は乙女で、ニックネームは真澄ちゃん。閉所恐怖症のため長時間密室で練習できない。千秋真一に片思いしており、のだめのことを敵視していた。その後、峰龍太郎の提案でのだめと勝負することになり、この戦いを通じてのだめと仲良くなる。 人間メトロノームと言われるほどの正確なテンポを刻む優秀なティンパニー奏者で、最初は桃ヶ丘音楽大学の正規オーケストラであるAオケに所属していた。しかし、見学にきた千秋の気を惹くために踊りながら演奏したことで講師の怒りを買い、Aオケを追い出され、Sオケに参加することとなる。 大学卒業後はプロのティンパニー奏者となった。

三木 清良 (みき きよら)

ウィーン国立音楽大学に在籍する実力派の美人ヴァイオリニスト。長野のニナ・ルッツ音楽祭でコンマスをつとめた際に千秋真一と知り合う。その後、師匠である世界的ヴァイオリニストのカイ・ドゥーンが桃ヶ丘音楽大学の講師になったのを機に同大大学院へと編入し千秋と同級生となった。 千秋にアマチュアオーケストラ結成の話を提案し、Sオケの元メンバーを中心にRSオケを立ち上げた人物。このRSオケの活動を通じて峰龍太郎と親睦を深め、のちに恋人同士となる。RSオケを離れてウィーンへと戻ったあと、カントナ国際コンクールヴァイオリン部門で3位入賞&特別賞を受賞。 帰国後は音楽事務所に所属しながら日本を拠点に演奏家として活動する。

黒木 泰則 (くろき やすのり)

いぶし銀の演奏術が光るオーボエ奏者の青年。その実力は、欧州の音楽関係者からも絶賛されるほど。長野のニナ・ルッツ音楽祭に参加していた縁で、千秋真一たちが立ち上げたRSオケに参加する。リード作りが日課であり趣味。真面目な性格で、自分の感情を素直に出すことが苦手である。 なぜかのだめのことを可憐な少女と勘違いし、一目惚れ。しかし、のだめの千秋に対する愛を目の当たりにし、ひっそりと失恋した。その後、世界有数の音楽アカデミーであるパリのコンセルヴァトワールへと留学する。千秋の薦めでマルレ・オケのオーディションを受け、新首席オーボエ奏者に就任。また、パリで留学生ピアニストのターニャと親交を深め、のちに恋人同士となった。

江藤 耕造 (えとう こうぞう)

桃ヶ丘音楽大学のピアノ科教授。大阪府出身。ハリセンを手にしたスパルタ指導で知られる熱血教授。担当するのは優秀な学生のみで、そのレッスンは「エリート専門江藤塾」と呼ばれる。優秀な教師であるが、厳しすぎる故に生徒との衝突も多く、千秋真一とも喧嘩して担当を外れた。 のだめの才能に惹かれ、彼女の担当になるが、ハリセンを使ったスパルタ指導を拒絶されたため、已む無く指導スタイルを変更。のだめの希望に合わせた指導を行った。

シャルル・オクレール

過去に有名なピアニストを何人も育てた名匠の男性。審査員を務めたマラドーナ・ピアノ・コンクールでのだめの才能を見出し、自らが教官を務めるパリのコンセルヴァトワールへの留学を推薦した。まだまだ未熟なのだめのことはべーべちゃん(赤ちゃんの意)と呼ぶ。また、のだめからは、ピアノの師匠であることからマスター・ヨーダと呼ばれる。

リュカ・ボドリー

12歳にして世界有数の音楽アカデミーである、パリのコンセルヴァトワールに入学した天才ピアノ少年。コンセルヴァトワールでののだめの同級生。学内でのだめと知り合ったあと意気投合し、大の仲良しになった。

孫 Rui (そん るい)

有名な中国人ピアニストの女性。10歳の頃から世界中で演奏活動を行い、これまでに何枚ものCDをリリースしているスター。アメリカ育ちで、父親はNYジャズのクラリネット奏者。千秋真一とは上海の演奏会で競演し、好意を抱く。その後、演奏会漬けの日々に嫌気が差し、マネージャーでもある母親の反対を押し切って、パリの音楽アカデミーであるコンセルヴァトワールに留学した。 同じくピアノ科の生徒だったのだめと知り合いになる。リストの超絶技巧練習曲といった難曲を弾きこなすほどの卓越した技術力の持ち主だが、一方で自身のリサイタルについて表現力がないと酷評されたことに思い悩んでいた。

フランク・ラントワーヌ

のだめの暮らすアパルトメンの住人であるフランス人青年。のだめと同じコンセルヴァトワールのピアノ科に在籍する。プリごろ太をはじめとする日本のアニメやマンガが大好きなオタクで、日本人女性が好き。当初はのだめに好意を抱いていたが、のだめが自分をはるかに凌ぐ強烈なオタクであることを知り、尊敬はするが恋人にはできないと諦めた。

タチヤーナ・ヴィシニョーワ

のだめの暮らすアパルトメンの住人であるロシア人女性。のだめと同じコンセルヴァトワールのピアノ科に在籍する。厚化粧で派手なファッションを好むギャル。17歳のときからパリに留学しているが、ピアノの技術はいまひとつで、学校の成績は優秀とはいえない。ロシアにいた頃に同級生から陰湿ないじめを受けていたことがあり、それがトラウマとなっている。 同じ留学生の黒木泰則のことは、当初はただの根暗と思っていたが、のちに彼のオーボエに魅せられ、やがて恋人同士となった。

李 雲龍 (り ゆんろん)

のだめの暮らすアパルトメンの住人である中国人青年。のだめたちとは別の音楽アカデミーであるエコールノルマルのピアノ科に在籍する。真面目だが神経質な性格。家族想いで、すぐにホームシックになってしまう。家族からは同じ中国出身のピアニストである孫Ruiのようになってほしいと期待されているが、そのことが彼にとっては大きな重圧になっている。

セバスチャーノ・ヴィエラ

世界的に有名なイタリア人指揮者の男性。千秋真一が子どもの頃から師と仰ぎ、指揮者を目指すきっかけとなった人物でもある。指揮者である千秋の父親とは友人同士。幼少期の千秋と短い期間を過ごしただけで、本格的な指導は行っていないが、彼自身も千秋を弟子として認めており、いまも気にかけている。 同じ指揮者であり、千秋にとってのもうひとりの師といえるフランツ・フォン・シュトレーゼマンとは浅からぬ因縁があり、犬猿の仲。

ジャン・ドナデュウ

才能溢れるフランス人指揮者の青年。世界的な指揮者であるセバスチャーノ・ヴィエラの弟子で、千秋真一のライバルといえる存在。華やかで人を惹き付ける魅力があり、プラティニ国際指揮者コンクールで千秋と優勝を争った際には、哲学的で重厚な指揮から千秋が黒王子と呼ばれたのに対して、感覚的で色彩的な指揮をとるジャンは白王子と呼ばれた。 白バラが舞うような流麗な指揮に定評があるが、一方でどんな曲でも同じように指揮してしまい、演奏の深みに欠けるという欠点がある。ゆうこという日本人の恋人がおり、ラブラブな関係。

千秋 雅之 (ちあき まさゆき)

千秋真一の父で、世界的に有名なピアニスト。音楽活動にかまけて家庭を顧みず、マネージャーとの浮気現場を息子に目撃された事もある。千秋真一が12歳のときに離婚。ヴィエラと親しく、公演のチケットを千秋真一に送った事がきっかけで千秋は指揮者を志すようになった。父子のわだかまりが残っていたが、千秋の中身は父親似。 セバスチャーノ・ヴィエラの策略で、息子と再会した時にのだめとの事でアドバイスをする羽目に陥った。

佐久間 学 (さくま まなぶ)

音楽評論家。雑誌「クラシック・ライフ」で「夢色☆クラシック(愛称・夢☆クラ)」というコーナーを担当している。流麗かつ難解なポエム記事にはファンが多い。千秋真一のことは、初めは親の七光だと軽視していたが、シュトレーゼマン指揮の『ラフマニノフ2番』でのピアノ演奏を聴いてその才能に惚れ込み、音楽活動にアドバイスをするようになる。 ごつい体躯、角刈りに厚い唇という濃い外見。

三善 征子 (みよし せいこ)

千秋真一の母。家庭を顧みない夫と離婚し、実家に出戻っている。お嬢様育ちで世間知らずに見えるが、実は現実的。離婚の際にも慰謝料代わりに夫からマンションひとつ取り上げたほど。若い芸術家を援助する財団を運営しており、のだめの留学も支援した。のだめとはメル友の関係で仲が良く、のだめから「お義母(かあ)さま」とよばれている。 また千秋に対し「あなたの天使」と評する程のだめを気に入っている。

エリーゼ

フランツ・フォン・シュトレーゼマンの敏腕マネージャーであるドイツ人。頻繁にバカンスを取り、千秋真一に業務を押し付けている。用心棒を従え、シュトレーゼマンを裏で操る。好物はビーフジャーキーでかなりナイスバディ。千秋とはドイツ語で話す。ジャン・ドナデュウのファンであり、一目見た瞬間にファンクラブを結成しようとした。 国際指揮者コンクールで千秋がジャンに勝った事から、千秋を無理矢理シュトレーゼマンと同じ事務所に入れさせ、仇を討った。

野田 洋子 (のだ ようこ)

のだめの母。裁縫以外の家事は苦手で、同居している義母に任せっきり。唯一得意とする洋裁はプロ級で、のだめの普段着用ワンピースやフォーマルドレスはほぼ母の手作り。さらに千秋の服も作ろうとしており、実際ワイシャツを製作しフランスに送っている。のだめの家の汚さは母譲りである。 世界デビューを飾った娘の里帰りに際し、マスコミに連絡をし自らも派手に着飾って取材陣に備えるも、結局空港にマスコミはいなかった。

野田 辰男 (のだ たつお)

のだめの父。東京でサラリーマンをしていたが、のだめが10歳のとき、福岡に戻って実家の海苔農家を継ぐ。なお、妻の掃除下手も引っ越しの一因らしい。野田家の中で、のだめのことを一番心配している。趣味は和太鼓。オヤジギャグ好き。里帰りの娘の出迎えにトレンチコートを着込んで娘を驚嘆させたり突飛な行動もするが、のだめのソロ・リサイタル時に妄想を膨らませる両親と妻をたしなめるなど常識的なところもある。

集団・組織

コンセルヴァトワール

のだめが留学することになるパリの国立高等音楽院。エリート達が通い、正解中から留学してくる。ここでのだめは様々な人々と出会い、成長していく。

Sオケ (えすおけ)

『のだめカンタービレ』に登場する楽団。フランツ・シュトレーゼマンにより1年間結成されたオーケストラ。正式名称は「シュトレーゼマン特別編成オーケストラ」。「遊びのオケ」として作られた。コンサートマスターは峰龍太郎。シュトレーゼマン自身が学内を歩き回って見つけてきた、選りすぐりの変な学生たちによって構成されている。 実態は桃ヶ丘音楽大学の落ちこぼればかりが集まったオーケストラ、とも称される。このオケの指揮者に任命された千秋真一による厳しい練習を積み重ねていくうちに、メンバー全員が落ちこぼれではなくなっていく。のだめは、オーケストラにピアノはないため、マスコットガールとして選ばれた。

R☆Sオケ (あーるえすおけ)

『のだめカンタービレ』に登場する楽団。発起人の三木清良と、それに賛同した千秋真一の2人が、かつてニナ・ルッツ音楽祭で編成されたオーケストラの主要メンバーを中心に、新設したアマチュアオーケストラ。千秋が初代指揮者、清良が初代コンマスをそれぞれ務める。広告費などを含め裏軒プロデュースで、命名も峰親子による。 デビュー公演では素晴らしい演奏を披露、大好評の内に幕を閉じる。「進化変幻」と題した公演では、演奏や出演者は更に進化した。この公演終了後、千秋や清良ら海外組はこのオケに別れを告げた。その後、峰龍太郎が継続が危ぶまれるオーケストラを永遠に続けるものにすべく奔走している。

桃ヶ丘音楽大学 (ももがおかおんがくだいがく)

のだめや千秋真一が通っていた音楽大学。院まであり、千秋は院生まで通っていた。ここで、Sオケは結成された。

その他キーワード

マングース

『のだめカンタービレ』に登場するのだめお手製の着ぐるみ。手にはハブを持っている。Sオケのマスコットガールに任命されたのだめが長い時間をかけて一生懸命作ったが、ボロでオケのみんなからは不評だった。文化祭でお披露目。その後もモノローグ内の、のだめの心象風景として背景によく登場している。

プリごろ太 (ぷりごろた)

『のだめカンタービレ』に登場する劇中アニメ。幼児向けアニメで、日本国外でも放映されるほどの人気がある。ハラヒロシ作。「プリごろ太」の大ファンであるのだめは、セリフを丸暗記しており、この作品のフランス語吹き替え版『Prilin et Gorota PRIGOROTA』を見て、フランス語を習得した。

アニメ

のだめカンタービレ(第1期)

幼い頃に出会った指揮者ヴィエラに憧れ、彼のような世界的な指揮者になることを目指す音大生、千秋真一。学内では天才と称され、海外でのさらなる飛躍を臨むも、とある理由から飛行機に乗れないというだけでその機会... 関連ページ:のだめカンタービレ(第1期)

のだめカンタービレ 巴里編

千秋真一に追いつきたいとの思いから出場したマラドーナピアノコンクールで、のだめこと野田恵は審査員として来日していた高名なピアニスト、シャルル・オクレールの目に留まりフランスの音楽院、コンセルヴァトワー... 関連ページ:のだめカンタービレ 巴里編

のだめカンタービレ フィナーレ

フランスのコンセルヴァトワールでピアノの勉強に励むのだめこと野田恵は、教えを受けるシャルル・オクレールにコンクールに出たいと願い出るも受け入れてもらえず、不満を抱えながら日々を過ごしていた。 一方、問... 関連ページ:のだめカンタービレ フィナーレ

書誌情報

のだめカンタービレ 新装版 13巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2021-09-13発行、 978-4065257463)

第2巻

(2021-10-13発行、 978-4065259177)

第3巻

(2021-11-12発行、 978-4065259160)

第4巻

(2021-12-13発行、 978-4065264553)

第5巻

(2022-01-13発行、 978-4065265369)

第6巻

(2022-02-10発行、 978-4065265079)

第7巻

(2022-03-11発行、 978-4065269282)

第8巻

(2022-04-13発行、 978-4065271179)

第9巻

(2022-05-13発行、 978-4065280416)

第10巻

(2022-06-13発行、 978-4065281529)

第11巻

(2022-07-13発行、 978-4065285299)

第12巻

(2022-08-12発行、 978-4065286258)

第13巻

(2022-09-13発行、 978-4065292877)

のだめカンタービレ 25巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2002-01-08発行、 978-4063259681)

第2巻

(2002-04-09発行、 978-4063259827)

第3巻

(2002-08-07発行、 978-4063259933)

第4巻

(2002-12-10発行、 978-4063404111)

第5巻

(2003-03-11発行、 978-4063404234)

第6巻

(2003-07-10発行、 978-4063404388)

第7巻

(2003-10-09発行、 978-4063404517)

第8巻

(2004-03-11発行、 978-4063404760)

第9巻

(2004-06-10発行、 978-4063404883)

第10巻

(2004-09-11発行、 978-4063405057)

第11巻

(2005-01-12発行、 978-4063405231)

第12巻

(2005-05-12発行、 978-4063405446)

第13巻

(2005-09-11発行、 978-4063405606)

第14巻

(2006-01-12発行、 978-4063405750)

第15巻

(2006-06-13発行、 978-4063405941)

第16巻

(2006-10-13発行、 978-4063406139)

第17巻

(2007-02-13発行、 978-4063406320)

第18巻

(2007-06-13発行、 978-4063406481)

第19巻

(2007-11-13発行、 978-4063406733)

第20巻

(2008-03-13発行、 978-4063406917)

第21巻

(2008-08-11発行、 978-4063407129)

第22巻

(2009-08-10発行、 978-4063407495)

第23巻

(2009-11-27発行、 978-4063407730)

第24巻

(2010-04-26発行、 978-4063407952)

第25巻

(2010-12-13発行、 978-4063408263)

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