のだめカンタービレ

のだめカンタービレ

自由奔放な野田恵と完璧主義者の千秋真一という、才能溢れる二人の若き音楽家の恋模様と、クラシックへの情熱を描いた音楽コメディ漫画。二人は、お互いの才能に惹かれあいながら切磋琢磨していき、様々な人物との出会いや経験を経て、それぞれが成長していくクラシック音楽をテーマとした漫画。世界に出るきっかけを得る「日本編」と指揮者として活躍しはじめる千秋真一の側でのだめがピアノと必死に向き合う「パリ編」の二部構成となっている。第28回講談社漫画賞少女部門受賞。作者二ノ宮知子の代表作。

世界観

前半は日本の桃ヶ丘音楽大学、後半はフランスをおもな舞台とした作品。作中では時間が経過し、登場人物たちも大学生から社会人へと変遷していく。なお、タイトルにある「カンタービレ」とは、「歌うように・表情豊かに」という意味を持った楽曲演奏上の表現方法を示す発想標語のひとつ。

作中に登場する組織・団体は架空のものがほとんどだが、コンセルヴァトワールや東京都交響楽団といった実在する音楽アカデミーや楽団も登場する。また、作中で千秋を気に入り、マルレ・オケの常任指揮者に指名したジェームズ・デプリーストは実在の人物で、連載当時に東京都交響楽団の常任指揮者を務めていた。

なお、一部の登場人物や架空の楽団・音楽コンクールの名称には、実在するサッカー選手の名前が付けられている。たとえば、のだめが出場したマラドーナ・ピアノ・コンクールは1986年のW杯でアルゼンチン優勝の原動力となったディエゴ・マラドーナから、千秋が優勝を飾ったプラティニ国際指揮者コンクールは元フランス代表で「将軍」の異名を持つミシェル・プラティニから、千秋が幼い頃から師と仰ぐヴィエラは、元フランス代表で1998年のW杯優勝メンバーでもあるセバスチャーノ・ヴィエラからそれぞれ名前が取られた。ほかにもデシャン管弦楽団、ウィルトール交響楽団、ルー・マルレ・オーケストラなどに実在するサッカー選手の名前が用いられている。

登場人物の中に悪人らしい悪人が一切出てこないというのが本作の世界観を象徴する要素のひとつ。悪人としての要素を持った人物が皆無というわけではないが、その行為自体が非常にコミカルに描かれていたり、どこか憎めないキャラクターであったりといったこともあり、物語全体を通して読者が強い嫌悪感を抱くような要素や描写がほとんどない。たとえば作中で千秋と親しくするのだめに嫉妬した真澄が、のだめにさまざまな嫌がらせをするシーンがあるが、その様子は非常にコミカルに描かれているため、そこに陰湿さといったものはほぼ感じられない。こうした点が本作が音楽コメディと位置づけられる由縁。

なお、主人公の野田恵には同姓同名の実在のモデルがいることが作者の二ノ宮知子自身によって明かされている。この女性はもともと二ノ宮のファンで、二ノ宮のウェブサイトに「のだめ」というハンドルネームで、自身がゴミだらけの部屋でピアノを弾く写真を送っており、これにインスピレーションを得たことでのだめのキャラクターが誕生した。また、作中ののだめに見られる「得意料理はおにぎり」、「アニメ好き」といった特徴も彼女が由来。このモデルとなった実在の女性は、コミックスではリアルのだめと呼ばれており、コミックスの巻末の取材協力者にも名前が記載されているほか、作中に登場する「みそ字」の作成者、ドラマ版およびアニメ版のオリジナル曲「おなら体操」の作曲・共同作詞者、アニメ版における大川弁の監修者なども務めている。

作品構成

自由奔放なピアニスト・野田恵(のだめ)と、指揮者を目指す完璧主義の青年・千秋真一を中心に、クラシックに情熱を傾ける若者たちの青春を描いた音楽コメディ作品。物語の構成としては、落ちこぼれだったのだめが千秋と出会い、彼と競演したい一心で本格的にピアニストとしての道を歩み始めるまでを描く「音大編」と、のだめと千秋がそれぞれヨーロッパへと渡り、音楽家として大きく成長していく姿を描く「海外編」の2つに大きく分けられる。

なお、本作はクラシックを題材とした作品であるが、同時にのだめと千秋の恋模様を描いた恋愛漫画でもある。両者の関係は、当初はのだめが一方的に千秋に恋愛感情を抱き、なにかと付きまとうというものであったが、音楽を通じて互いに交流を重ねるうちに、次第に千秋がのだめに強く惹かれ、やがて恋人同士になった。なお、両者の恋愛に関しては生々しい性的描写は一切なく、あくまで恋愛コメディという範疇に収まっている。

あらすじ

音大編

いずれクラシック音楽の本場であるヨーロッパへ渡り、世界的な指揮者になることを夢見るエリート音大生の千秋真一。だが、過去のトラウマから飛行機にも船にも乗れず、ヨーロッパへ渡れないまま、ひとり日本で思い悩む日々を送っていた。そんなある日、千秋は自宅マンションの隣人で、同じ音大の後輩でもある野田恵のだめ)と出会う。千秋に一目惚れし、なにかと付きまとうようになるのだめ。そんな自由奔放なのだめの性格に戸惑いつつも、のだめのピアノに大きな才能を感じた千秋は、なにかにつけて彼女の面倒を見ることにする。

そんな折、世界的な指揮者のシュトレーゼマンが講師として大学に赴任。シュトレーゼマンに認められた千秋は、彼が選んだ学生によるSオケの指揮者を任されると、見事に学園祭での演奏会を成功させる。その後、ニナ・ルッツ音楽祭で知り合った清良とRSオケを立ち上げ、演奏会を通して指揮者としての自信をつけた千秋は、ついにヨーロッパへ渡ることを決意。

一方、それまで自由気ままにピアノを弾いていたのだめだが、こうした千秋の活躍に刺激を受け、次第に真正面からピアノと向き合うように。「いずれヨーロッパに渡り、指揮者として羽ばたいていく千秋に追いつき、同じ舞台に立ちたい」、そう考えたのだめは、スパルタ講師・江藤との猛レッスンを重ね、マラドーナ・ピアノ・コンクールへと出場。入賞には届かなかったものの、審査員であった高名なピアニスト・オクレールの目に留まり、フランスにある世界有数の音楽アカデミー・コンセルヴァトワールへの留学が決まるのであった。

海外編

大学を卒業し、フランスへと渡った千秋は、自身の力を試すためプラティニ指揮者コンクールへと出場。ライバルのジャンや片平を押さえ、見事に優勝を果たす。その後、半ば強引にシュトレーゼマンの事務所と契約させられた千秋は、各地で演奏会を開催。指揮者として着実にその評価を高め、フランスのマルレ・オケの常任指揮者となった。

一方、千秋とともにフランスへ渡ったのだめは、音楽アカデミー・コンセルヴァトワールへと入学。授業のレベルの高さに困惑しつつも、自分をフランスに誘ってくれたオクレールの指導のもと、少しずつピアニストとしての才能を開花させていく。

だが、そんな中、千秋と中国の若手天才ピアニスト・Ruiとの協奏曲を目の当たりにしたのだめは、その素晴らしい演奏に強い衝撃を受け、すっかりピアノへの自信と意欲を失ってしまう。そんなのだめを再起させようと、シュトレーゼマンはのだめを自分のコンサートのピアニストに抜擢。そこでのだめはシュトレーゼマンを驚嘆させるほどのドラマチックな演奏を披露し、彼女の名は一夜にしてクラシック界に知れ渡る。だが、演奏を終えたのだめは千秋との面会を拒絶すると、そのまま皆の前から姿を消してしまった。

千秋との競演を果たすためプロのピアニストへの道を歩み始めたのだめと、そんなのだめがいつしかかけがえのない存在となっていた千秋。それぞれの想いが交錯する中、物語はクライマックスへと進んでいく。

メディアミックス

TVドラマ

2006年10月から12月まで連続ドラマとしてフジテレビ系で放送されたほか、2008年にはスペシャルドラマ『のだめカンタービレ 新春スペシャル in ヨーロッパ』が放送された。内容に関して非常に高い評価を得ており、日本映画テレビプロデューサー協会が選定する2007年のエランドール賞で新人賞(主演の上野樹里と玉木宏)と特別賞を受賞。また、連続ドラマのDVDボックスは初回版でセル・レンタル含め、販売数5万セットを超える大ヒットを記録した。

映画

テレビドラマ版の続編として、2009年に『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』、2010年に『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』がそれぞれ公開される。前編は41億円、後編は37.2億円の興行収入を記録した。配給はいずれも東宝。

アニメ

2007年1月から『のだめカンタービレ』、2008年10月から『のだめカンタービレ 巴里編』、2010年1月から『のだめカンタービレ フィナーレ』がそれぞれフジテレビ系で放送された。また、単行本の22巻および24巻の初回限定版にはオリジナルアニメのDVDが付属したほか、大塚製薬が自社商品である『カロリーメイト』のプロモーションとしてウェブサイトで公開していた、パロディアニメプロジェクト『チャンネル5.5』でも題材として取り上げられる。

小説

2006年にテレビドラマ版のストーリーをもとにした『小説 のだめカンタービレ』(高里椎奈著、二ノ宮知子原著、衛藤凛監修)が出版された。

CD

作中で取り上げられた楽曲を収録したオムニバスCD『のだめカンタービレ』が2003年に発売されたのを皮切りに、数多くのCDが発売されている。テレビドラマで使用された曲を収録したCD『のだめオーケストラLIVE!』はオリコン初登場6位を記録し、映画版のサウンドトラックである『のだめカンタービレ 最終楽章 前編&後編』は累計出荷枚数10万枚を突破して第24回日本ゴールドディスク大賞「サントラ・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、大きなヒットとなった。

ゲーム

ニンテンドーDSで『のだめカンタービレ』(2007年、バンダイ)と『のだめカンタービレ 楽しい音楽の時間デス』(2010年、バンダイ)、PlayStation 2で『のだめカンタービレ』(2007年、バンプレスト)、Wiiで『のだめカンタービレ ドリーム☆オーケストラ』(2007年、バンダイ)の4作品が発売されている。

社会に与えた影響

単行本の総発行部数は3千万部超で、フランスでは翻訳版が出版。このほか、テレビドラマ化、映画化、アニメ化も行われた。

クラシックブームを生み出したとされ、テレビドラマで使用された曲を収録したCD『のだめオーケストラLIVE!』はオリコン初登場6位を記録する異例の大ヒットとなる。また、本作を題材としたコンサートが開催されたり、クラシックの解説本が数多く発行されたりし、これらは「のだめ現象」などと呼ばれた。

評価・受賞歴

2004年に第28回講談社漫画賞少女部門を受賞。

作家情報

作者の二ノ宮知子は、1989年に「外国ロマンDX」に掲載の『London ダウト・ボーイズ』でデビュー。以降、「ヤングロゼ」、「きみとぼく」、「Kiss」などに作品を発表し、連載デビュー作である『トレンドの女王ミホ』(1991年連載開始)や、ドラマ原作にもなった『天才ファミリー・カンパニー』(1994年連載開始)などのヒット作を放つ。『のだめカンタービレ』は2001年から「Kiss」で連載が開始された。また、プライベートではインディーズバンド・イエローダックの元ドラマーの戸田敦夫と結婚し、2008年に男児を出産している。

登場人物・キャラクター

主人公

桃ヶ丘音楽大学のピアノ科に通う女子大生。福岡県大川市出身。ニックネームはのだめ。ピアニストとしての卓越した技術力とセンスを備え、即興での自己流作曲を得意とする。その反面、楽譜を覚えて正確に弾くことは苦... 関連ページ:野田 恵

桃ヶ丘音楽大学のピアノ科に通う男子大学生。父は世界的なピアニスト、母は資産家の令嬢というエリート。パリで生まれ、幼少期をヨーロッパで過ごした。完璧主義者でわがままなところもあるが、ルックスがよく頭脳明... 関連ページ:千秋 真一

世界的に有名なドイツ人指揮者の男性。来日した際にミルヒ・ホルスタインという偽名を使っていたため、のだめからはミルヒーと呼ばれる。桃ヶ丘音楽大学の理事長である桃平とは旧知の仲で、その縁で特別に1年間だけ... 関連ページ:フランツ・フォン・シュトレーゼマン

桃ヶ丘音楽大学のヴァイオリン科に通う男子大学生。桃ヶ丘音楽大学のすぐ裏手にある中華料理屋のひとり息子で、過保護な父のもと育てられる。ロック好きな青年で、自分の感性についてこれるピアニストを探していたと... 関連ページ:峰 龍太郎

桃ヶ丘音楽大学の管弦楽科に通う男子大学生。アフロヘアーと口ひげが特徴。男性だが心は乙女で、ニックネームは真澄ちゃん。閉所恐怖症のため長時間密室で練習できない。千秋真一に片思いしており、のだめのことを敵... 関連ページ:奥山 真澄

ウィーン国立音楽大学に在籍する実力派の美人ヴァイオリニスト。長野のニナ・ルッツ音楽祭でコンマスをつとめた際に千秋真一と知り合う。その後、師匠である世界的ヴァイオリニストのカイ・ドゥーンが桃ヶ丘音楽大学... 関連ページ:三木 清良

いぶし銀の演奏術が光るオーボエ奏者の青年。その実力は、欧州の音楽関係者からも絶賛されるほど。長野のニナ・ルッツ音楽祭に参加していた縁で、千秋真一たちが立ち上げたRSオケに参加する。リード作りが日課であ... 関連ページ:黒木 泰則

桃ヶ丘音楽大学のピアノ科教授。大阪府出身。ハリセンを手にしたスパルタ指導で知られる熱血教授。担当するのは優秀な学生のみで、そのレッスンは「エリート専門江藤塾」と呼ばれる。優秀な教師であるが、厳しすぎる... 関連ページ:江藤 耕造

過去に有名なピアニストを何人も育てた名匠の男性。審査員を務めたマラドーナ・ピアノ・コンクールでのだめの才能を見出し、自らが教官を務めるパリのコンセルヴァトワールへの留学を推薦した。まだまだ未熟なのだめ... 関連ページ:シャルル・オクレール

12歳にして世界有数の音楽アカデミーである、パリのコンセルヴァトワールに入学した天才ピアノ少年。コンセルヴァトワールでののだめの同級生。学内でのだめと知り合ったあと意気投合し、大の仲良しになった。 関連ページ:リュカ・ボドリー

有名な中国人ピアニストの女性。10歳の頃から世界中で演奏活動を行い、これまでに何枚ものCDをリリースしているスター。アメリカ育ちで、父親はNYジャズのクラリネット奏者。千秋真一とは上海の演奏会で競演し... 関連ページ:孫 Rui

のだめの暮らすアパルトメンの住人であるフランス人青年。のだめと同じコンセルヴァトワールのピアノ科に在籍する。プリごろ太をはじめとする日本のアニメやマンガが大好きなオタクで、日本人女性が好き。当初はのだ... 関連ページ:フランク・ラントワーヌ

のだめの暮らすアパルトメンの住人であるロシア人女性。のだめと同じコンセルヴァトワールのピアノ科に在籍する。厚化粧で派手なファッションを好むギャル。17歳のときからパリに留学しているが、ピアノの技術はい... 関連ページ:タチヤーナ・ヴィシニョーワ

のだめの暮らすアパルトメンの住人である中国人青年。のだめたちとは別の音楽アカデミーであるエコールノルマルのピアノ科に在籍する。真面目だが神経質な性格。家族想いで、すぐにホームシックになってしまう。家族... 関連ページ:李 雲龍

世界的に有名なイタリア人指揮者の男性。千秋真一が子どもの頃から師と仰ぎ、指揮者を目指すきっかけとなった人物でもある。指揮者である千秋の父親とは友人同士。幼少期の千秋と短い期間を過ごしただけで、本格的な... 関連ページ:セバスチャーノ・ヴィエラ

才能溢れるフランス人指揮者の青年。世界的な指揮者であるセバスチャーノ・ヴィエラの弟子で、千秋真一のライバルといえる存在。華やかで人を惹き付ける魅力があり、プラティニ国際指揮者コンクールで千秋と優勝を争... 関連ページ:ジャン・ドナデュウ

アニメ

のだめカンタービレ フィナーレ

フランスのコンセルヴァトワールでピアノの勉強に励むのだめこと野田恵は、教えを受けるシャルル・オクレールにコンクールに出たいと願い出るも受け入れてもらえず、不満を抱えながら日々を過ごしていた。一方、問題... 関連ページ:のだめカンタービレ フィナーレ

のだめカンタービレ(第1期)

幼い頃に出会った指揮者ヴィエラに憧れ、彼のような世界的な指揮者になることを目指す音大生、千秋真一。学内では天才と称され、海外でのさらなる飛躍を臨むも、とある理由から飛行機に乗れないというだけでその機会... 関連ページ:のだめカンタービレ(第1期)

のだめカンタービレ 巴里編

千秋真一に追いつきたいとの思いから出場したマラドーナピアノコンクールで、のだめこと野田恵は審査員として来日していた高名なピアニスト、シャルル・オクレールの目に留まりフランスの音楽院、コンセルヴァトワー... 関連ページ:のだめカンタービレ 巴里編

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