のボルダ

のボルダ

ボルダリングに焦点をあてたスポーツ作品。「ボルダリングとは何か」をテーマに、ボルダリングという競技の特性や魅力を、1話ごとにあらゆる角度から詳しく描かれている。「くらげバンチ」で2020年11月から配信の作品。

正式名称
のボルダ
ふりがな
のぼるだ
作者
ジャンル
その他スポーツ
レーベル
バンチコミックス(新潮社)
巻数
全4巻完結
関連商品
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あらすじ

とある会社に勤務する森下藤子は最近、ボルダリングジムに通うことが楽しみで仕方なかった。17時に終業し、自らの愛車のクロスバイクを走らせジムへと向かう。ボルダリングは壁に付いた突起物(ホールド)を使い壁を登り、ゴールを目指す非常に単純なスポーツである。しかし、ゴールを目指すにあたり、使っていいホールドが決められており、その一連のホールド群を課題と呼び、さまざまな攻略パターンが生まれる。藤子は自分が目標にしている課題の途中の一手で、もう2週間も思い悩んでいた。今日もその一手を攻略すべく壁に臨む。直前まではいいペースで進むも、やはり滞っている一手からまったく進まない。藤子の様子を見ていた鍛冶屋拓造から「右肩でロックするといい」というアドバイスを受け再度課題に挑む。すると、2週間滞っていた一手をクリアするも、次の一手を考えていなかった藤子は壁から落ちてしまう。再度挑戦すると、ホールドに指がかかり、クリアできないものの藤子は確かな手応えをつかむ。意気揚々と次に臨もうとする藤子だったが、腕が震えてホールドをつかむことすらできず、一手進んだことを自分自身に納得させ課題のクリアを次回へ見送るのだった。(エピソード「ボルダリングは◯◯◯なスポーツです」)

登場人物・キャラクター

森下 藤子 (もりした とうこ)

とある会社の事務職で働く女性。年齢は23歳。前髪が短く、ボルダリング中は後髪をゴムでまとめている。ボルダリング歴は1年ほどで、2日に1回ジムに通っている。鍛冶屋拓造と同じ会社で働いているが、おとなしい性格から、ハッキリとダメ出しをする鍛冶屋に対して苦手意識を持っている。ユリとは仲がよく、ユリがボルダリングに興味を持つきっかけとなった。出勤をはじめ、主な移動手段は所有しているクロスバイクで、「バイコちゃん」と名づけて大切にしている。クロスバイクに乗っている時は森下藤子自身を「イダテン」と評しているが、実際はあまり速くない。学生時代は身体を動かすことが億劫(おっくう)だった自分にとって、全身運動のボルダリングが意外と性に合っていると感じている。また、内向的で「よく考える」という藤子自身の性格がボルダリングと非常に相性がよく、失敗した一手を改善するために戦略とフィジカルを磨いている。しかし、鍛冶屋からは一手一手が雑だと評されており、上達には乗り越える壁が山積みである。言葉には出さなくても考えていることが顔に出やすく、よく鍛冶屋に突っ込まれている。

鍛冶屋 拓造 (かじや たくぞう)

森下藤子と同じ会社で金型の職人を務める男性。年齢は28歳。短髪でいかにもスポーツマン然とした外見をしている。クライミング歴が10年で、ボルダリングにも造詣が深い。頭脳明晰(めいせき)で、その場の空気を察する能力に長(た)け、藤子が失礼なことを考えているとすぐに突っ込む。褒める時もダメ出しする時も遠慮ない物言いのため、藤子からは苦手意識を持たれている。一方でジムに通う子供たちからは、ボルダリングの課題を作ってあげる面倒見のよさで人気を集めている。藤子をはじめ、ジムでは「スーさん」と呼ばれ親しまれている。

足助 一斗 (あすけ いっと)

森下藤子と同じジムに通う高校1年生の男子。ボルダリング歴は5年で、白倉来楽と並びジム内の高校生ではトップクラスの実力を誇る。小学生の頃に来楽に一目惚(ぼ)れして、ボルダリングを始めた経緯がある。勉強が苦手なため、来楽と同じ高校に通えなかったことを悔やんでおり、大学こそは同じ大学に進学したいと考えている。ボルダリング中も暗記系の科目の復唱をするため、呪詛(じゅそ)を唱えながら壁に貼り付いている。ジムにあるハート型ホールドの課題がクリアできたら来楽に告白すると決めていたが、劣化のためハート型ホールドが割れてしまい、テンチョーから来楽と半分ずつ譲り受けた。周囲の大人たちからは来楽との関係を温かく見守られている。

白倉 来楽 (しらくら らいら)

森下藤子と同じジムに通う高校1年生の女子。かわいらしい顔立ちをしている。小学生の頃、足助一斗に「天使」と評され一目惚れされた。ボルダリング歴は8年で、一斗やジム内の高校生ではトップクラスの実力を誇る。文武両道で、偏差値の高い高校に通っている。一斗から思い寄せられていることに関しては白倉来楽自身もまんざらではなく、二人が目標としていた課題のハート型ホールドが割れた際には、テンチョーから一斗と半分ずつホールドをもらい大切にしている。

テンチョー

森下藤子が通うボルダリングジムの店長を務める中年男性。薄い髪色に髭(ひげ)面で、語尾に「デショ」と付ける特徴的なしゃべり方をする。テンチョー自身がボルダリングをすることはあまりないが、解説役としてたまに顔を出し鋭い突っ込みを入れている。藤子や足助一斗、白倉来楽をはじめ、ジムに通う若者をかわいがっている。

ユリ

森下藤子の友達の女性。ロングヘアでかわいらしい顔立ちをしている。本来スポーツをするタイプではないが、ボルダリングを始めて身体が引き締まった藤子の「基礎代謝が上がる」という一言を受けて興味を持つ。数々の食事系ダイエットを試した過去があり、どれもあまり効果を感じられなかった。決めたらすぐに行動しないと気が済まない性格で、ボルダリングをやろうと決めた瞬間に自分をジムへ連れて行くよう藤子に頼んだ。

鬼頭 モヒコ (きとう もひこ)

漫画家の妖精。黒髪のショートヘアで女性のような外見ながら、オッサンと評されることもある。しかし種族が妖精であるため、性別は不詳である。年齢は53歳だが一見すると20代に見える。本作の作者である鬼頭莫宏をモデルとしたキャラクターで、作中でボルダリングの解説のために登場する。また、職業が作者と同じく漫画家という設定を活かし、本作を執筆するに至った経緯や編集者とのやりとり、作者自身の他作品の自己評価など、主に舞台裏のメタネタを語る。

書誌情報

のボルダ 全4巻 新潮社〈バンチコミックス〉

第2巻

(2022-10-07発行、 978-4107725349)

第3巻

(2023-06-08発行、 978-4107726070)

第4巻

(2024-03-08発行、 978-4107726896)

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