はたらくすすむ

はたらくすすむ

定年退職後に妻に先立たれ、呆然とした日々を送る長谷部進は、思わぬ勘違いからピンクサロンのボーイとして働くことになる。慣れない夜の世界に戸惑いつつも、さまざまな人間模様に誠実に向き合う進の姿を描く、笑えて泣けてほっこりと心に沁みる奮闘記。「ヤングマガジンサード」2018年第9号から掲載の作品。

正式名称
はたらくすすむ
ふりがな
はたらくすすむ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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あらすじ

40年間のサラリーマン生活を終えて定年退職したものの妻の和子に先立たれ、いっしょに暮らす娘の美織から煙たがられていることを知った長谷部進は、清掃員のアルバイトに応募して採用される。しかし、そこはふつうの会社ではなくピンクサロン「世界観」だった。お金のために裸でイチャつく風俗嬢たちに嫌悪感を拭えない進だったが、夢や生活のために一生懸命に働きながら、たくましく生きる彼女たちの姿を目にして考えを改め、まじめ一徹なサラリーマン人生を送っていたときには得られなかった貴重な経験を重ねる。そして、慣れない夜の世界に戸惑いながらも、66歳の新人ボーイとして誠実に仕事に向き合う進は、風俗嬢たちから徐々に信頼を獲得していく。

登場人物・キャラクター

長谷部 進 (はせべ すすむ)

神奈川県川崎市にあるピンクサロン「世界観」で、新人ボーイとして働く男性。年齢は66歳。見た目は、眼鏡をかけたごくふつうの冴えない中年のおじさん。東京の美術大学に在籍していた大学時代は髪を伸ばし、バンド活動をしており、服飾デザイナーを目指していた。大学時代に一目惚れした和子と結婚し、長男の渉と長女の美織をもうける。小さな下着メーカーの営業マンとして40年間、まじめ一徹なサラリーマン人生を歩んできた。サラリーマン時代は、家族と向き合う時間を持たなかったため、妻との関係も良好とはいえず、東京で暮らしている長男の渉とは実質絶縁状態で、孫の蒼生の顔を見ることもできない。定年退職後、妻の和子が乳がんで他界したこともあって呆然自失とした日々を送り、娘の美織からも煙たがられていた。思わぬ勘違いからピンクサロンのボーイとして働くことになったが、持ち前のまじめな性格で風俗嬢たちと真摯に向き合い、信頼を得ていく。

和子 (かずこ)

長谷部進の妻。美大時代に進と出会って結婚し、長男の渉と長女の美織をもうける。実家はお金持ちのお嬢様で、大学時代はヒッピースタイルが似合う美女だった。サラリーマン人生を邁進する進が、あまり家族と向き合う時間を持たなかったため、進との仲は冷えきっていた。進の定年退職後、乳がんで他界した。

美織 (みおり)

「佐倉U子」というペンネームで漫画家として活動している女性。長谷部進と和子の長女。東京で暮らしている兄の渉がいる。マッチングアプリを使って、実際に婚活をするレポート漫画「やさぐれ女の婚活水滸伝」を連載している。一時は家を出ていたが、現在は実家に戻り、自宅で執筆活動をしながら父親の進と暮らしている。進のことをうっとうしく思っているが、仲が悪いわけではない。父親がピンクサロン「世界観」で働いていることは知らない。「世界観」で風俗嬢をしているりほとは友人で仲もいいが、りほが風俗嬢の仕事をしていることも知らない。婚活漫画を描いてはいるものの、仲の悪かった両親を見ていたこともあってか、結婚願望はない。

一ノ瀬 晶 (いちのせ あきら)

神奈川県川崎市にあるピンクサロン「世界観」の店長を務める男性。ポーカーフェイスのイケメンで、淡々と仕事をこなす。一時期は売上が低迷していたが、客に風俗嬢が履いていた下着をプレゼントするイベントを企画するなどして、売上げを伸ばしている。ルールを守らずに店の風俗嬢を引き抜こうとするスカウトマンに凄(すご)みのある脅しをかけるなど、強面(こわもて)な一面もある。見た目に反して甘い物が大好き。

朱美 (あけみ)

ピンクサロン「世界観」で働くNo.1の風俗嬢。大阪出身でサバサバとした性格をしている。店のホームぺージ上のデータでは、21歳で身長162センチ、バストは82のCカップ、ヒップは83と掲載されている。17歳の高校生の時、同級生との子供を妊娠し、結婚して出産したが離婚。その後は子供の透を別れた夫の両親のもとに預け、神奈川県で働いている。本名は「明美」で、趣味はパチンコ。

しおり

ピンクサロン「世界観」で働く風俗嬢。シングルマザーなのか、まだ小さい娘を育てるために昼はレジ打ちのアルバイトもしている。生理痛で苦しんでいる時も「世界観」に出勤する頑張り屋。

りほ

ピンクサロン「世界観」で働く風俗嬢。見た目が地味で、性格も暗くて愛想もなく、客を悦(よろこ)ばせるテクニックもないため、客からの指名は少ない。AVのスカウトマンをしている彼氏の柴田貴志とマンションで同棲しているがうまくいっておらず、いつも優しく接してくれる長谷部進に告白する。美織と友達ながら、進と美織が親子であることは知らない。

飴さん (あめさん)

ピンクサロン「世界観」の常連客の男性。プレイが終わった風俗嬢にお口直しとして飴をくれるため、風俗嬢たちからは「飴さん」と呼ばれている。温厚な性格で、いろいろな女の子を指名しているが、最近はりほがお気に入り。妻と息子がいる。

エレナ

ピンクサロン「世界観」で働く風俗嬢の女子大生。年齢は20歳。「朱・卍(じゅまんじ)」というロックバンドの熱烈なファンで、中学3年生の時から追っかけをしている。「朱・卍(じゅまんじ)」のライブに行くために苦手な英語の宿題を済ませなければならなくなり、長谷部進に助けを求める。

たわし

ピンクサロン「世界観」で飼われているハリネズミ。店長の一ノ瀬晶が連れて来たと思われる。スタッフルームに置かれたカゴの中で飼われており、長谷部進が世話をしている。喜怒哀楽が豊かで、進からは非常にかわいがられている。

亜梨紗 (ありさ)

ピンクサロン「世界観」で働く風俗嬢。美人ながら愛想が悪いため、客からの評判はよくない。モデルを夢見て東京に出てきたが仕事が取れず、鼻を整形しようと考えている。店長の一ノ瀬晶からも風俗の仕事に向いていないと言われ、辞めようと思っている。

狭田 貴宏 (せまた たかひろ)

風俗巡りを趣味としている男性。「マイヨ・グランベール狭田」というペンネームで、風俗ライターをしているが、狭田貴宏自身は風俗ライターではなく「風俗ソルジャー」という肩書を使っている。大学時代からミニコミ誌で錦糸町風俗レポートなどを書いたりしていた。世界中の風俗店を巡り、「世界風俗紀行」という個人サイトも運営している。マッチングアプリで、美織と知り合った。アプリに登録されているプロフィールには、外資系電気メーカーに勤める42歳で、年収800万円以上で結婚願望があり、趣味は旅とグルメ、読書、時計、温泉と記している。

ちあき

ピンクサロン「世界観」で働く風俗嬢。小麦色のギャル系の女の子。週3で老人ホームでのアルバイトをしている。日焼けサロンを経営するのが夢という彼氏と3年間付き合っていたが別れ、やけ食いで10キロも太ってしまう。店長の一ノ瀬晶から2週間で5キロのダイエットを命じられ、長谷部進にダイエットへの協力を求める。お金を貯めて韓国でギャルメイクのサロンを開くのを夢見ている。

ゆに

ピンクサロン「世界観」で働く風俗嬢。店のホームぺージ上のデータでは、19歳、身長154センチ、バストは82のCカップ、ヒップは80と掲載されている。若さと未熟さを売りに、一時期は店の人気No.4だったが、最近はハマっている濃いめのメイクのために人気が低迷している。

高良 洋輔 (こうら ようすけ)

ピンクサロン「世界観」の開店当時からボーイとして働く男性。長谷部進の先輩にあたる。結婚相手の女性の親が長野県で老舗レストランを経営しており、新しく長野にオープンさせる蕎麦屋を夫婦で経営することを結婚の条件として提示され、「世界樹」を辞めることになる。お店のスタッフや風俗嬢たちからは愛されており、退職時は温かく送り出された。

ひかり

ピンクサロン「世界観」で働く人気No.2の風俗嬢。いつも人気No.1の朱美を妬んで、店のホームぺージに匿名で朱美の悪口を書き、人気を落とそうとしていた。そのことがバレて懲戒解雇にされそうになったが、朱美の頼みで解雇を免れる。

武知 (たけち)

ピンクサロン「世界観」で新しくボーイとして働くことになった男性。年齢は22歳で、名古屋出身の一人っ子。高良洋輔が店を辞めて人員不足になり、その穴を埋めるために採用された。イケメンながら愛想が悪く、そのとっつきにくさから、先輩である長谷部進を困惑させる。

柴田 貴志 (しばた たかし)

AVのスカウトマンをしている若い男性。りほと付き合って5年になる。見栄のために家賃50万円のマンションを借りているが、りほ名義となっている。スカウトする女の子たちのご機嫌を取るために24時間、接待なのか浮気なのかわからないような生活を送っており、りほとの関係は険悪になっている。

(とおる)

小学1年生の男子。父親へのクリスマスプレゼントを探して、ピンクサロン「世界観」に迷い込みそうになった。父親は「MC So-Da」という名前でラッパーをしている。母親が出て行ったため、父親との二人暮らし。たまたま出会った朱美が、長谷部進から頼まれて徹のプレゼント探しを手伝うことになる。

良枝 (よしえ)

大学時代の長谷部進が、ホールスタッフとしてアルバイトしていたスナック「よしえ」のママ。自称35歳の美人。店をオープンする前は仙台で女給として働いていたとか、離婚して子供がいるとか、オーナーの愛人だったとか、戦争で亡くした弟が忘れられないとか、いろいろな噂がある。

田中 (たなか)

ピンクサロン「世界観」で、いつもエレナを指名する男性。エレナとおしゃべりできるだけで満足だと言って、いつも性的サービスは受けずに帰っていく。その純粋さと腰の低いところや、見た目の丸い感じが長谷部進に似ていることから、エレナからは「進さん2号」と呼ばれている。のちにエレナをこっそり店外デートに誘う。

きらら

ピンクサロン「世界観」で働く風俗嬢。昼間は派遣社員として、スマートフォンの販売員をしている。ぽっちゃり系ながら、明るい性格で人気がある。

福沢 洋 (ふくざわ ひろし)

ピンクサロン「世界観」で、きららに入れ込んでいる男性客。年齢は66歳で、妻を亡くしている。息子と暮らしているが、息子との関係はうまくいっていない。妻に似ているきららに熱を上げ、きららのリップサービスを真に受けて店内で本番行為を強要する。

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