田舎を舞台に始まる惨劇のループ
1997年6月4日、相田茜は姉の相田紗耶が教師を務める田舎の小さな分校に転入した。生徒数10人の小さな分校で新たな友人たちと平和な日常を送っていた茜だったが、7月11日、前日の学級日誌を書かなかった罰として紗耶に串差しにされ、豹変したクラスメイトたちも次々に命を落とす。しかし、茜が目を覚ますとなぜか6月4日の引っ越し当日に戻っており、やがて死を繰り返す彼女は自分が時間跳躍(タイムリープ)し、勝手に過去に戻される時間のループに陥っていることに気づく。本作は少女たちの友情の裏で裏切りと怪しい陰謀が渦巻くタイムリープサスペンスで、バイオレンスやサイコホラーを交えて展開される。
「死に戻り」ループから抜け出そうとする主人公
本作はいわゆる永遠に終わらないループサスペンスだが、唯一タイムリープが可能な主人公、相田茜が死亡したあとは、ゲームのセーブポイントに戻るように特定の時間に戻るという「死に戻り」が行われる。ただしタイムリープすることで特定の誰かを救うことはできず、死亡するたびに繰り返される事件から解放されて幸せな日々を取り戻すことや、身近に潜む首謀者を特定することが、茜の主な目的となる。茜は死亡すると自らの意思に反して強制的に過去に戻されるが、死亡する前の記憶は次のループ後も引き継いで保持している。
大場さやかと共に首謀者の謎と陰謀にせまる
タイムリープを自覚した相田茜は試行錯誤を繰り返す中で、クラスメイトの小学生の大場さやかが、過去の記憶の一部を呼び戻すことができることを知る。茜とさやかは協力しながら、いくつかの仮説を立て、危険を覚悟のうえでループの秘密を探り始める。二人が調査を進める中で辿りついたのは、このループは田舎を舞台にした記憶継承実験の影響で発生し、その首謀者が茜たちのクラスメイトの中にいるという事実だった。いくつもの悲劇と絶望の果てに、実験の目的や首謀者の真の目的が明らかになっていく。また物語序盤から首謀者の正体や物語の結末にかかわる細かい伏線がいくつも散りばめられており、ループの構造やその裏にある陰謀、首謀者の正体を考察しながらストーリーを楽しむことができる。
登場人物・キャラクター
相田 茜 (あいだ あかね)
東京から田舎に引っ越して来た中学2年生の女子。茶髪のセミロングヘアで、天然な性格をしている。姉の相田紗耶が教師を務める中学校に転校し、彼女が担任するクラスに在籍することになった。大自然の環境で幸せな毎日を過ごしていたが、ある日学級日誌を書かなかったことで紗耶たちに殺されてしまい、気付けばタイムリープして転校初日に戻るというループ状態に陥る。ただし、タイムリープのあともそれまでの記憶は残っている。
大場 さやか (おおば さやか)
相田茜が転校して来た学校に通う女子。彼女より年下の小学生ながら、田舎の分校のため茜と同じクラスに在籍している。見た目は金髪ロングヘアのロリっ娘(こ)で、茜が最初に親しくなった人物。都会人に偏見を抱き、田舎の訛(なま)り口調で話す。母親が亡くなって以来、父親は失踪しており、学校ではいつも暗い顔をしていたが、茜と友人になったあとは笑顔を浮かべるようになる。茜がタイムリープしたあとも、過去の自分の記憶を蘇(よみがえ)らせることができる。
書誌情報
はっぴぃヱンド。 全5巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉
第1巻
(2017-08-22発行、 978-4757554412)
第5巻
(2019-01-22発行、 978-4757559745)