ばくおん!! 台湾編

本編である『ばくおん!!』は、ひょんなことからバイクに興味を持った、佐倉羽音とバイク部のメンバーが繰り広げる、女子高生とオートバイによる学園コメディ。秋田書店「ヤングチャンピオン烈」にて、2011年Vol.3より長期連載されている、おりもとみまなの代表作である。女子高生とバイクの組み合わせ、マニアックなバイクネタ、漫画・アニメ他のパロディなどで人気を博し、2016年にはテレビアニメ化された。また、バイクメーカーやゲーム、雑誌などとのコラボも盛んである。本作はそんな本編をベースに、台湾を舞台にしたツーリングを描く。天野恩紗、鈴乃木凜を主人公にした、他の漫画家によるスピンオフがあるが、本作はおりもとみまな自身による番外編である。

飛行機で台北市松山空港に降り立ったバイク部のメンバーは、台湾メーカー、KYMCOのバイクをレンタルし、左回りで台湾一周を目指す。羽音たちは、長いソフトクリームや甘い緑茶、夜市の屋台の臭豆腐（チョードーフ）の臭いに驚き、台湾の映えスポットに癒やされる。作者のおりもとみまなは、執筆前に台湾を訪れ、実際にバイクで台湾一周の取材旅行を敢行している。そのため、台湾の食べ物や建物、日台の文化の違いや違和感などがリアルに描写されており、台湾の観光カイド、グルメリポートとしても楽しめるのが特徴である。

台湾へのツーリングに参加する初期メンバーは、佐倉羽音、天野恩紗、鈴乃木凜、三ノ輪聖の四人。中野千雨は、レースの日程が重なり、レース終了後の途中参加である。川崎来夢は「どうしても抜けられない用事」を口実にしているが「パスポートが用意できない」というのが本当の理由らしい。しかし来夢はイカダを自作し、バイクを乗せて台湾に渡り、羽音たちと合流する。一方、台湾編独自のキャラクターとして、林黙娘と女媧という台湾の少女が、羽音たちの案内役として登場。神様と同じ名前を持つ二人は、なにか秘密を隠しているような思わせぶりな言動をする。