ひかりのまち

「ひかりのまち」と呼ばれている、新興住宅地に住む街の人々の日常を描いた連作短編集。「月刊サンデーGX」2004年5月号から7月号、2004年9月号から2005年2月号に掲載された作品。

正式名称
ひかりのまち
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
サンデーGXコミックス(小学館)
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概要・あらすじ

何の変哲もない平日の朝。「ひかりのまち」に住む人々は、さまざまな思いを胸に朝を迎えていた。とあるカップルは些細なことで口喧嘩をし、デートに出かける前の男子高校生は今日のデートに備えてお風呂で入念に身体を洗っている。寝不足の売れない漫画家は、彼女と一緒に新築マンションのモデルルームの見学に行き、そのまま平日の真昼間に学校へも行かずに制服姿で一人佇んでいる女子高生を見つけて尾行を始める。

そしてそれらはすべて、異なる事件への発端となっていくのだった。

登場人物・キャラクター

野津 (のづ)

エピソード「キラキラ星はどこへゆく」に登場する。短髪で無精ひげを生やした男性。駆け出しの漫画家だが、暗い内容の作品ばかり描いており、一向に売れる気配がない。来年には無職になっているかもしれないという不安から、大きなプレッシャーを抱え、次の作品の構想に悩んでいる。

長谷川 助 (はせがわ たすく)

エピソード「バスストップ」に登場する。髪を無造作に伸ばした小学6年生の少年。いつもジップアップのジャンパーを首元までしっかりと締め、黒い半ズボンを履き、大きなリュックを背負っている。小学4年生の時に父親が退職し、その後しばらくして母親が事故死したため、現在は無職の父親と2人で暮らしている。学校には通っておらず、父親のパソコンを使って、「見届け屋」という自殺願望者の自殺をコーディネートして、それを見届ける仕事を始めた。 中卒で無職の柿澤ハル子と仲が良く、日中はほぼ毎日バスターミナル「朝日台ハイタウン入口」で一緒に過ごしているが、長谷川助は何度も告白をしては振られ続けている。ハル子と2人で青空のもと、楽しくピクニックへ行くのが夢。 夜空を眺めることが好き。

西山 (にしやま)

エピソード「hPa(ヘクトパスカル)」に登場する。髪を明るく脱色し、ヘアピンで前髪を横分けにして、旋毛の辺りでお団子状にまとめあげた少女。そばかすがあり、眉毛が薄い。「ひかりのまち」にある高校の生徒で、卒業したら東京にある専門学校に通い、服飾の勉強をしながら一人暮らしをするのが将来の夢。元々は雑誌のモデルを夢見ていたのだが、自分の足が短くて太いため、諦めてしまった。 父親は町のはずれにある「ヒカリグループ」の薬品工場に勤めていたが、最近リストラされた。

サトシ

エピソード「HOME」に登場する。顎に無精ひげを生やし、長い髪を真ん中で分けた男性。5年前に上京し、芳一の借家に月謝を支払って住まわせてもらっている。元々は医学部の大学生だったが、勤め先の病院で起こった医療ミスのトラブルに巻き込まれた父親の姿を目の当たりにして、1ヵ月もせずに退学し、今は道路の交通整備のアルバイトをしている。 家では桃子の世話や家事全般は主にサトシの仕事となっている。

佐藤 タイキ (さとう たいき)

エピソード「REBIRTHDAY SONG」に登場する。さそり座でAB型の5歳の少年。髪はテクノカット風に眉毛が隠れる位の長さで切りそろえ、目が細く、前歯が1本欠けている。「ひかりのまち」にあるマンションの1107号室で両親と共に暮らしている。朝日台幼稚園のひまわり組の生徒であり、担任のカオリ先生のことがお気に入りで、よく悪戯をしたり、彼氏のことを聞いたりして困らせている。 人生を悟ったような達観した言動が多い。

サヨ

エピソード「キラキラ星はどこへゆく」に登場する。肩にかからないほどの長さの髪に、前髪を短く切りそろえた、タンクトップにジーパンというボーイッシュな服装をした女性。野津の彼女で、新築マンションの見学に付き添い、共に街で見かけた女子高生を尾行することになるが、道中で体調を崩してしまう。

柿澤 ハル子 (かきざわ はるこ)

エピソード「バスストップ」に登場する。茶髪で髪を2つに分けておさげにしていて、左目の下に小さなほくろが2つある16歳の少女。日中は最寄りのバスターミナル「朝日台ハイタウン入口」のベンチにぼんやりと座って暇を潰している。中学生の頃に援助交際をしており、仲介役をしていた芳一とトラブルを起こしてナイフで全身を傷つけられ、今もその時の傷が痕になって生々しく残っている。 社内で不倫をしてクビになった父親の柿澤春彦に母親と共に首を絞められてしまうが、柿澤ハル子だけはなんとか一命を取り留める。

水谷 (みずたに)

エピソード「バスストップ」に登場する。長い茶髪に、前髪を6対4に分けて流した男性。銀縁の丸眼鏡をかけた、部下の警官の男と共に街の警備をしている警部。以前は田舎町にいたが、最近になってこの街に配属された。2年前に拳銃を所持していた暴力団の組員を取り押さえる際に組員を興奮させてしまい、身の危険に晒されたが、当時刑事で水谷の上司であった長谷川進が組員を射殺したことにより、命を救われた過去がある。 近年、朝日台ハイタウン周辺における自殺者の急増について、警官の男と共に調査をしている。

長谷川 進 (はせがわ すすむ)

エピソード「バスストップ」に登場する。長谷川助(タスク)の父親で、無精髭を生やし、覇気の無い目をしている。いつも白いTシャツとジャージ姿で、タスクが不登校になってからクラスの担任が理科の教材だと言って持ってきた、今では枯れてしまったプチトマトに水をあげるのを日課にしている。2年前に当時部下だった水谷が、拳銃を所持していた暴力団の組員を取り押さえようとして逆に興奮させてしまい、危険な状況に陥った際に、組員を射殺して水谷の命を救ったことがある。 この事件の責任を取る形で辞職し、その後に妻を事故で失い、今は息子のタスクと2人で暮らしている。

柿澤 春彦 (かきざわ はるひこ)

エピソード「バスストップ」に登場する。柿澤ハル子の父親で、坊主頭で顎鬚を生やしている。会社で赴任先の部署の女性に手を出して不倫関係になり、のちに別れようとするもセクハラで訴えられ、会社をクビになってしまう。これが理由で柿澤春彦は逆上し、元不倫関係にあってセクハラで訴えた女性を射殺後、自宅で妻と娘のハル子の首を絞めた。 その後、長谷川助の幇助のうえで、拳銃自殺をしてしまう。

芳一 (ほういち)

エピソード「バスストップ」に登場する。茶髪で狐のように釣り上がった細い目をした男性。額に大きな痣があることから、柿澤ハル子に「三ツ目」と呼ばれている。「ひかりのまち」から車で10分ほど行った先の住宅街にある借家に住んでおり、5年前にチンピラに絡まれていたサトシを助け、その後、月謝を支払ってもらう代わりに住まわせている。 昔、両親が土地の運用で失敗し、多額の借金を作って頓死している。幼少時は「朝日台」という名前になる前の「朝日村」に住んでいて、新興住宅地となってしまったこの町の今の現況を嘆いている。いつか莫大な資金を集めて「ひかりのまち」と呼ばれるようになったこの町を買い戻し、もとの朝日村に戻すことが夢である。

警官の男 (けいかんのおとこ)

エピソード「バスストップ」「HOME」に登場する。黒い眼鏡をかけ、優しい目をした警察官の男性。水谷の部下で、近年朝日台ハイタウン周辺で起こっている自殺者の急増について、水谷と共に調査をしており、パトロールの際は水谷を助手席に乗せている。柿澤ハル子が父親の柿澤春彦に首を絞められた末に救急車で病院に運ばれた際、ハル子が目覚めるまで看病をしていた。

(あずま)

エピソード「hPa(ヘクトパスカル)」に登場する。長い黒髪で前髪を額が見える位に短く切り揃えた少女。大きな瞳と、モデルのようなすらりと長い手足が特徴。「ひかりのまち」にある高校の生徒で、西山と同級生である。父親は「ヒカリグループ」の薬品工場の社長である。本来は成績も優秀だが、厳格で勉強を強いてくる父親に反抗してわざと赤点を取り、西山と共に追試を受けている。

桃子 (ももこ)

エピソード「HOME」に登場する。茶髪で長く伸びた髪を頭頂部でひとまとめに結わえている女の子の赤ん坊。大きな瞳と厚い唇が特徴。過去に一時的にサトシと芳一と共に借家で生活していた水商売風の女の娘で、父親はサトシか芳一のどちらかだということしか分かっていないが、名前はサトシが命名した。

カオリ先生 (かおりせんせい)

エピソード「REBIRTHDAY SONG」に登場する。長い黒髪をポニーテールにし、前髪はやや右側に流している女性。朝日台幼稚園のひまわり組の担任で、生徒の佐藤タイキの言動によく悩まされているが、何かと気にかけ、幸せになって欲しいと願っている。4~5年前に恋人を亡くしたが、今年警察官の男性との結婚が決まり、夏休みを前に幼稚園を退職することが決まっている。

集団・組織

ヒカリグループ

かつての「朝日村」の土地を買い上げた後、川を埋め立て、山を掘削して新興住宅地にした大企業。薬品工場や建設会社など、さまざまな系列会社を持っており、「ひかりのまち」の住民の4割が企業の関係者である。系列会社の工場が産業廃棄物を不法投棄していたり、企業幹部が未成年と援助交際をしていたりといった黒い話が絶えない。

場所

ひかりのまち

正式な地名は「朝日台」で、最寄りのバスターミナル名は「朝日台ハイタウン入口」。元々は「朝日村」という田舎町だったが、ヒカリグループが土地を買い上げ、丘陵だった土地を開発して造成された新興住宅地。斜面を形成してマンションを階段状に分譲したため日当たりが良く、この街に住む住民たちからは、その日当たりの良さから「ひかりのまち」と呼ばれている。 しかし、近年この街での自殺者が急増しており、インターネットでは「都市の樹海」扱いされているなど、この街に対して悪い印象を持つ者も少なくない。

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