地球人と宇宙人のボーイ・ミーツ・ガール
人口約70万人の松横市という地方都市が舞台。幼い頃、宇宙船の群れを目撃したことがある岬一は、高校の入学式当日、変わり者で有名な2年生の希に襲われる。10年前、松横市が宇宙船団の襲撃を受けた際、心臓が損傷した岬一に、希は自分の心臓を与えて助けたという。その心臓を取り戻すために現れた希だったが、岬一の体と完全に同化していることを知ると、仲間になろうと言い出す。希はオルベリオという星から送られた末端の戦闘兵で、ひとりで地球を征服しようとしていたのだ。馬鹿馬鹿しいと相手にしなかった岬一だが、その夜、ゴズ星系の宇宙人に襲われた祖父を助けるため、希の仲間になることを約束した。希によれば、地球を狙っている宇宙人はたくさんおり、オルベリオによる侵略は、地球を守ることになるという。岬一は、身を削って祖父を救ってくれた希を信じることにした。こうして、ひとりぼっちだった希は特別な仲間を得て、二人での地球侵略が幕を開けることになる。
SFバトル×青春ドラマ
オルベリオの戦闘兵である希は、生まれたときから地球に派遣されることが決まっていたため、病原菌を運ばないよう、誰にも会わずに育った。希は、死ぬまで孤独な人生を送る運命にあったが、10年前に自分の心臓を与えた岬一と再会し、二人で地球征服を目指すことになる。10年前に両親を亡くし、祖父と兄らと暮らす岬一は、宇宙人から家族を守るために、希の仲間になることを決意する。地球には、オルベリオの王が外敵の侵入を防ぐために設けた「港」があるが、そこをすり抜けてやってくる宇宙人が現れるようになり、二人は力を合わせて彼らと戦う。本作は、地球征服がテーマのSFバトル漫画だが、一方で岬一と希の日常を描いた学園青春ドラマでもある。岬一との出会い以降、希は少し変化を示し、文化祭の準備で不慣れなダンスの練習や衣装作りに精を出す。また、岬一に想いを寄せる女子生徒の存在が気になってしまう。
新たな登場人物と次第に明かされる謎
岬一には双子の兄、凪がいるが、健康優良児の岬一とは正反対で、病気がちで入退院を繰り返している。そのため、凪は少し遅れて高校に通うことになるが、希は彼と会うと感覚が狂い、嫌な感じを受けてしまう。一方、凪は社交的に振る舞うが、10年前の宇宙船団による松横市襲撃事件を思い出しており、希に猜疑心を抱いていた。また、ロシアからの転校生、アイラは、エラメア星人の祖母から、心を読む能力を受け継いだ美少女。松横市で起きる地球の危機を予知した祖母の命を受け、厄災を回避するためにやってきたという。10年前に何があったのか、松横市で頻発する宇宙人襲来の原因は何なのか、新たなキャラクターの登場で、隠された謎が次第に明らかになっていく。
登場人物・キャラクター
広瀬 岬一 (ひろせ こういち)
松横市在住の高校1年生の男子。10年前事故で両親を亡くし、喫茶店を経営する祖父、9歳年上の兄、双子の兄、凪と暮らす。焙煎職人でもある祖父を尊敬しており、実家の喫茶店を継ぐ夢を持っている。5歳の時に宇宙船団の襲来で心臓が損壊するが、オルベリオ星から来ていた宇宙人の希に心臓を移植されて命が助かる。なお、希の心臓と同化したため、ほぼ不死身となっている。希と出会い、一緒に地球を侵略する仲間となる。
大鳥 希 (おおとり のぞみ)
岬一が通う高校の2年生の女子。おかっぱ頭が特徴の美少女。学校では奇行を繰り返していたため、とんでもない変わり者として友人もいない。その正体は、オルベリオという星から地球を征服するために送り込まれた宇宙人で、地球を外敵から守るために設けられた「港」の管理をしている。超人的な身体能力と、本人が「魔法」と称する不思議な力を持つ。10年前、宇宙船団の襲来で心臓が損壊した岬一に、自分の心臓を与えて助けた。なお、自身の心臓はその後再生している。その後ずっと眠っており、半年前に目を覚ました。自分の心臓と同化した岬一と再会し、一緒に地球を侵略する仲間にする。
書誌情報
ひとりぼっちの地球侵略 全15巻 小学館〈ゲッサン少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2012-07-12発行、978-4091237545)
第15巻
(2018-11-12発行、978-4091286956)







