地球を救ってくれた宇宙人と共生する世界
本作の世界では、宇宙人が実在している。彼らは高度な技術を持つ二足歩行の知的生命体で、地球にせまっていた巨大隕石を破壊したことで人類の信頼を獲得し、地球での共生を始めるようになった。物語の第1話時点で、地球が救われてからすでに9年が経過しており、日本には1700万人の宇宙人が暮らしている。ノマモトたちが住む瀬野尾市には6万人の宇宙人が住み着いており、さらに誘致計画も進行している。この計画が順調に進めば、瀬野尾市の宇宙人の数は倍増する見込みである。
宇宙人は救世主なのか、侵略者なのか
月旅行が身近なものとなり、宇宙人との共生によって技術は飛躍的に進歩した。全国の小学校では宇宙語が必修になるなど、文化面にも大きな影響が及び、宇宙人に対して崇拝に近い感情を抱く者も現れる。一方で、増長した宇宙人によって生活が脅かされ、彼らに恨みを抱く者も存在する。また、宇宙人が関与した事故や犯罪を警察が隠蔽していると疑う声も上がっている。そもそも、宇宙人が信頼を得るきっかけとなった「地球にせまっていた巨大隕石」は捏造であり、平和的な地球侵略の布石だと主張する陰謀論者も現れる。有識者はこれらの陰謀論を一笑に付しているが、事実として、宇宙人の誘致計画を推進する瀬野尾市の議員の半数が宇宙人である。
北見が殺して、ノマモトが食べる
宇宙人を嫌悪する北見青嵐は生活圏から宇宙人を「根絶(スッキリ)」するために凶行を繰り返している。だが、問題となるのは死体の処理である。宇宙人の死体は時間が経つと凄まじい悪臭を放ち、その臭いは常人が吐き気を催すほどで、煮たり焼いたり溶かしたりしても臭いは軽減されず、コンクリートで固めても遮断できない。しかし、ノマモトはその死臭をものともせず、宇宙人を食べて瞬時に消化してしまう。彼女にとって宇宙人は、食欲をそそる芳香と風味を兼ね備えた「ごちそう」なのだ。一方、宇宙人の暗殺を斡旋する手配師・イグラスカルも死体の処理に苦慮しており、頻繁に宇宙人を襲う北見がどのように死体を処理しているのか、配下を差し向けて探ろうとしている。
登場人物・キャラクター
ノマモト
宇宙人が経営する工場で働く貧困女子。射手座の17歳。赤い目に乱杭歯、栗色のぼさぼさした髪をおさげにしている。寒がりで、いつも紺色のタートルネックと薄汚れた白衣を身にまとっている。ズボラで隠し事が苦手。他人には無関心で、デリカシーのない言動で他人を傷つけるジョークも平然と口にする。食欲だけは旺盛で、周囲からは何も考えていないと思われている。「愛は気持ち悪い」と公言し、家族とも縁を切って一人暮らしのアパートで生活している。宇宙人の態度に苛立っており、彼らが消えてしまうことを願っていた。 ある日、同僚の北見青嵐と宇宙人の悪口を言い合い、意気投合するが、事故に遭った宇宙人の社長を見殺しにしたことで解雇されてしまう。ほどなくして北見から宇宙人の死体処理の協力を頼まれ、死体を食べることを提案する。その味と香りを気に入り、以降も死体処理に協力するようになった。宇宙人の死体を食べ続けるうちに、目から黒い液体がしたたるなどの異常をきたすようになるが、彼女は気にせず嬉々として食べ続けている。
北見 青嵐 (きたみ せいらん)
宇宙人が経営する工場で働く几帳面な青年。ツンツンヘアで、左耳には妹・そよの形見であるピアスを付けている。暑がりで、深紅のワイシャツを常用している。ケガの治りが早く、腕力も強い。横暴な宇宙人を嫌悪し、たとえ相手が社長であっても臆せず立ち向かう度胸を持つ。宇宙人との交通事故で両親と妹を失い、実家のマンションで一人暮らしをしている。家族への愛情は深く、命日には必ず墓参りを欠かさない。警察が逃げたドライバーを捜さなかったことから、宇宙人の陰謀を疑い、彼らが消えてしまうことを願っていた。ある日、衝動的に宇宙人を殴り殺してしまい、死体の処理に困って元同僚のノマモトに協力を求める。処理方法が確立すると、生活圏から宇宙人を「根絶(スッキリ)」しようと考え、妹の幻影にうながされるまま、金槌を手に凶行を繰り返すようになった。やがて手配師・イグラスカルから声がかかり、仕事としても宇宙人を殺すようになる。のちに、家族の仇と酷似した宇宙人・リリィ♪と出会い、事故の真相にせまろうとする。
書誌情報
ドラマクイン 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2025-03-04発行、978-4088844978)
第2巻
(2025-05-02発行、978-4088845890)
第3巻
(2025-08-04発行、978-4088846378)
第4巻
(2025-11-04発行、978-4088847689)







