概要・あらすじ
リヒテンシュットン王家の一人娘、ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)は、自らの「女」としての振舞いに不安を抱いていた。そこで10歳の誕生日を迎えたひめは、世界の憧れである大和撫子を生んだ日本に花嫁修業に向かうこととなる。しかし好奇心旺盛な10歳児としての本能に押され、彼女は毎回あらぬ方向に暴走してしまう。
個性的な友人たちと交流しつつ、ひめは自らのテンションの高まりをこらえながら、人生経験を積んでいくのであった。
登場人物・キャラクター
ロヴァリエ・リヒテンシュットン (ろゔぁりえりひてんしゅっとん)
東欧のリヒテンシュットン王家の王女。10歳の誕生日を迎えた際に、花嫁修業のため護衛のノエル・コッホとシュトルム・ケーファーを伴い日本でお忍びの生活を始める。祖国を深く愛しており、国民の前では姫としての振舞いをしっかりと見せるため、人気は高い。しかし10歳という遊び盛りの年齢のため、珍しいものだらけの環境も相俟って、事あるごとに自らのテンションのままに遊んでしまう。 その度にシュトルムにキレのいいツッコミを入れられている。
ノエル・コッホ (のえるこっほ)
ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の従者。リヒテンシュットン聖守護団に属する、スタイル抜群の女性。ひめに絶対的な忠誠を誓っており、彼女の行動のすべてに心酔している。ひめのためなら、小学生の服装をしたり裸ジャケットになったりと、色々な意味で危ない方向に身体を張っているため、ひめを含めた周囲はしばしばドン引きしている。 シュトルム・ケーファーとは幼い頃からの知り合いで、かつては献身的に支えて、荒れていた彼の心を開いたこともあったが、現在は彼のひめに対するツッコミを許せずにしばしば邪剣に扱う。
シュトルム・ケーファー (しゅとるむけーふぁー)
ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の従者。リヒテンシュットン聖守護団に属する、日系の青年。かつてはスラム街で荒れた生活を送っていた。暴れ回っていたところをルーエに拘束され、聖守護団へとスカウトされる。「シュトルム(暴風)」という名前はその時にもらったものである。現在ではすっかり真人間になり、ひめやノエル・コッホが暴走するたびにツッコミに奔走する。 ツッコミの際はハリセンを用いて容赦なく叩くが、これはひめの注文によるものである。
ヘキサ
ワイアプラマンションのロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の部屋にいつの間にか居着いていた怪鳥。形状はアヒルやガチョウに近いのだが、妙にエレガントな雰囲気を持つ。「常識では測れないいびつな存在」という意味で「Hexe(ヘキサ)」と名付けられた。人を乗せて走ることができ、しばしばひめを乗せることがある。
鳴宮 うさき (なりみや うさき)
ワイアプラマンションの住人で、ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)のお隣さん。ワイアプラ小学校におけるクラスメイトでもある。眼鏡をかけた少女で、ひめの一行をお笑い芸人だと思い込んでいる。ひたすらマイペースな性格で、自らをツッコミ担当と思っているが、そのマイペースっぷりはむしろひめがツッコミ役に回るレベルである。 見た目からはわかりにくいが、実は運動神経抜群。
大和 撫子 (やまと なでちこ)
ワイアプラマンションの住人で、ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の下階の住人。ワイアプラ小学校におけるクラスメイトでもある。清楚な外見の文学少女。自らの名前にコンプレックスを抱いている。ハイテンションなひめを鬱陶しく思いつつも、内心癒されており、大切に思っている。しかし、鬱陶しい時は本当に鬱陶しいので、ひめがはじけた際には決して容赦をしない。 知識があるせいか耳年増で、時折見栄を張ることがある。
水橋 カンナ (みずはし かんな)
ワイアプラマンションの管理人の娘。ワイアプラ小学校におけるロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)のクラスメイトでもある。いかにもスポーツ少女といった外見だが、実際は運動音痴。ひめに負けず劣らずのテンションの持ち主で、よく2人で遊んでいる。ひめが遊びたい衝動に耐えている時に都合よく現れ、結果的に欲望を解き放ってしまうことがままある。 一方でまとめ役としての資質を見せることも多く、イベントの進行などを買って出ることも多い。
クロマ・クマ (くろまくま)
クマのマスコットのような外見を持つ、謎の5歳児。唐突に出てきては自身を世界の真の黒幕だと主張したため、ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)には作者による物語のテコ入れを疑われた。出てくる際に、大抵「我が輩はクロマ・クマ」と、誰にともなく自己紹介を行う。ひめに一目惚れしたらしく、求婚し続けている。なお、マスコットらしい見た目と裏腹にワイアプラ小学校の学園長を務めており、学校の中庭には彼の祖父の銅像が建てられている。
ルーエ
リヒテンシュットン聖守護団の団長。ノエル・コッホを上回るスタイルを持つ女性。魔法使いと呼ばれており、自らの身体を若返らせる能力を持つ。ロヴァリエ・リヒテンシュットンの暴走を抑えるためのツッコミを行うシュトルム・ケーファーを問題視し、一時は彼とノエルを解任してしまい、大和撫子に苦言を呈されたことがある。 何故か、不可抗力によってシュトルムに胸を触られることが多い。
小川 えりか (おがわ えりか)
ワイアプラ小学校における、ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の同級生。ツインテールと八重歯が特徴の少女で、ひめからはツインテール子ちゃんと呼ばれている。クラスの中でただ1人、関西弁をしゃべる。そのため、鳴宮うさきのなかでは勝手にツッコミ役に認定されてしまっており、ツッコミの勉強のために行動をメモされることがある。
今本 歌夜 (いまもと かや)
ワイアプラ小学校における、ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の同級生。大人しげな外見の女の子。クリスタルな洋介の前作『オニデレ』に登場する「育島サヤ」に外見が似ており、同作品に登場する「今本正」と同じく、裁縫を得意としている。ひめが裁縫に困っている時に助言を求めたところ、大切な人のために縫うのが上達の近道、と返している。
フレデリケ・シェレンベルク (ふれでりけしぇれんべるく)
フォルステントゥーム・リヒテンシュットン王国の領土にあるシェレンベルク男爵家の一人娘。ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)と似た容姿を持つ10歳の少女。我がままな性格で、ひめをリヒテンシュットン王国の跡取りと認めず自らに王位を譲るよう求めているが、実際はそれを建前としてひめと遊びたいだけで、水橋カンナからは典型的なツンデレキャラと認識されている。 料理があり得ないほど下手。
サンドラ・ファドゥーツ (さんどらふぁどぅーつ)
フォルステントゥーム・リヒテンシュットン王国の領土にあるファドゥーツ伯爵家の一人娘。ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)、フレデリケ・シェレンベルクと似た容姿を持つ。我がままではないがマイペースで、「大丈夫」の一言で済ませる癖がある。冷静な性格だが運動は大の苦手で、ひめとフレデリケを交えた羽子板で惨敗を喫した。
スラッシュ・アカボシ (すらっしゅあかぼし)
フレデリケ・シェレンベルクの側近の青年。神聖ローマ帝国時代のシェレンベルク家に仕えた侍の血を引く。先祖代々、叩き斬る剣を基本とする中世のなかで、断ち斬る刀を手に戦場を駆け「スラッシュ」と呼ばれ恐れられており、自身もその名を持って生まれた。しかし、ロヴァリエ・リヒテンシュットンたちの遊戯によってウェディングドレスを着せられる羽目になり、それをきっかけに心が折れてしまい、側近をやめスイカ農園への転職を考えるようになる。
バイド
サンドラ・ファドゥーツの側近を務める長髪の青年。羽子板の勝負でサンドラが負けてしまい、その罰ゲームとしてウェディングドレスを着せられる羽目になる。さらに、着てしまったことによって心境が悪い方に変化してしまい、新しい境地を開いたことを告白してしまう。
集団・組織
リヒテンシュットン聖守護団 (りひてんしゅっとんせいしゅごだん)
ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の親衛隊。ありとあらゆる脅威からひめを守ることを任務としており、彼女のためなら祖国を敵に回すことすら辞さない。団員証は盾の形をしたエンブレムで、ひめが傷1つ負うことも許してはならないという、厳しい掟がある。無論、ツッコミのためにハリセンでひめをどつくなど論外である。
ひめはじめ隊 (ひめはじめたい)
ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)、鳴宮うさき、水橋カンナ、大和撫子の仲良し4人組によるユニット。「ひめが新しい花嫁修業を始める隊」の略称である。なお、「ひめはじめ」という言葉は「新年の最初に何かを始めること」という意味を持つが、撫子はこのワードを聞いた時に思い切り顔を赤らめ、うろたえていた。
場所
フォルステントゥーム・リヒテンシュットン王国 (ふぉるすてんとぅーむりひてんしゅっとんおうこく)
ロヴァリエ・リヒテンシュットン(ひめ)の祖国。オーストリアとスイスの境に位置する小国である。ひめの先祖であるリヒテンシュットン家が、シェレンベルク男爵領と、ファドゥーツ伯爵領を買い取り、統合することによって誕生した。公用語はドイツ語だが、空前の日本ブームにより日本語も用いられている。
ワイアプラマンション
ロヴァリエ・リヒテンシュットンが日本で暮らす際に住んでいるタワーマンション。水橋カンナの両親が管理人を務めており、鳴宮うさき、大和撫子もこのマンションの住人である。見た目は普通のマンションだが、実際はクロマ・クマの拠点として利用されており、地下は彼の秘密基地に改造されてしまっている。
その他キーワード
ローリング・ロイヤル (ろーりんぐろいやる)
ロヴァリエ・リヒテンシュットンの必殺技。右手に王冠を持ち、回転させつつ前に突き出す。要は王冠を持ったまま行うコークスクリューパンチである。王冠の先は尖っているため、ねじる力が加わり、まともに顔面に受けると鼻血が出ることもある。このような恐ろしい破壊力を誇る反面、莫大なエネルギーを消耗するため、1日に3発しか撃てない。
戯れの衝動 (うひゃっほい)
己の中に眠る遊び心が具現化した存在。王冠を被った、憎らしい表情の丸い顔面のような形状を持つ。その誘惑に勝つことは難しく、打ち負けると遊びまくってしまう。ちびっこにはよく見えるらしく、ロヴァリエ・リヒテンシュットンはしょっちゅう、この衝動と激しいバトルを繰り広げている。そして大抵負けて、その結果はじける。
Wトンタッタ (だぶるとんたった)
ロヴァリエ・リヒテンシュットンが朝から行うことのある、2人用の遊戯。初めに自分と対戦相手が「Wトンタッタ」と叫び、その後2人で「ワントット」、「ニャントット」、「チュントット」いずれかの掛け声をポーズと共に決め、強弱を競う。ワントットはニャントットに強く、ニャントットはチュントットに強く、チュントットはワントットに強い。