ひるなかの流星

ひるなかの流星

田舎から都会の高校に転校してきた女子高生の、担任教師と同級生の間で揺れる心を描いた学園ラブストーリー。「マーガレット」2011年NO.12から2014年NO.23にかけて連載された作品。

正式名称
ひるなかの流星
ふりがな
ひるなかのりゅうせい
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
マーガレットコミックス(集英社)
巻数
既刊12巻
関連商品
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世界観

高校生の恋愛が題材。父親の仕事の都合で田舎から東京都へやってきた女子高生の与謝野すずめが、担任教師の獅子尾五月と、同級生の馬村大輝に惹かれていく姿が描かれる。理屈抜きで惹かれるもの、自分の心を強く揺さぶる存在を、真昼に見た流れ星に例えている。つまり、タイトルの『ひるなかの流星』とは「想い人」「強く惹かれる相手」という意味として解釈できる。

作品誕生のいきさつ

やまもり三香がコミックス2巻のあとがきで、本作『ひるなかの流星』は、構想段階ではキャラクターの容姿が大きく異なり、立場や性格、人間関係もまるで違うものだった、と語っている。たとえば教師という設定の獅子尾五月与謝野すずめの同級生であったり、カフェオーナーという設定の熊本諭吉が教師であったりなど。また、猫田ゆゆか馬村大輝ではなく、諭吉に想いを寄せる、という展開が予定されていたと語っている。コミックス2巻には、もし没になった構想段階の設定が使われていた場合、本作はどのような内容になっていたのか、というおまけ漫画も掲載されている。

あらすじ

高校1年生の与謝野すずめは、田舎でのんびりとした生活を送る普通の女子高生。ある日突然、父親が仕事の都合でバングラデシュに転勤することになった。両親が不在の間、すずめは東京都に住むおじの熊本諭吉の家に預けられることになる。突然の環境変化に困惑しつつも、新たな高校での生活を受け入れ、周囲にも少しずつ馴染んでいくすずめだった。ところが、担任教師であり諭吉の知人でもある獅子尾五月に、教師と生徒という関係でありながらも強く惹かれるようになっていく。

登場人物

本作『ひるなかの流星』のキャラクターは、与謝野すずめ獅子尾五月、といったように、苗字か名前のいずれかに動物の名前が入るという特徴がある。元々、やまもり三香はキャラクターの名前を考えるのが非常に苦手。「動物名を入れる」といったルールに基づいた本作はまだネーミングしやすかったものの、それでも2、3回はキャラクター名のリテイクがあった、と語っている。

スピンオフ

本作『ひるなかの流星』には、多数のスピンオフ作品が存在する。犬飼学鶴谷モニカを意識するきっかけを描いた『犬飼くんのおはなし。』、源保男が東京都を訪れ、与謝野すずめと再会し、獅子尾五月馬村大輝と知り合う『やすお物語』など。

コラボレーション

ヒロインの流星

2013年「マーガレット」NO.12別冊ふろくにて、「マーガレット&別マ50周年特別企画」の一環として、本作『ひるなかの流星』と幸田もも子の『ヒロイン失格』とのコラボレーション作品『ヒロインの流星』が掲載された。内容は2作品の女性キャラクターが一堂に会し、男性キャラクターについてトークをするというもので、2人の作者が描いた2作品のキャラクターが同じページに登場するという、合作作品としても極めて珍しい内容になっている。

日々流星 -すずめのパラレル高校日記-

2014年「マーガレット」NO.11別冊ふろくにて、本作『ひるなかの流星』と森下suuの『日々蝶々』のコラボレーション作品『日々流星』が掲載された。内容は2作品の主人公である与謝野すずめと柴石すいれんが入れ替わり、お互いの世界で生活するという内容になっている。なお、本作は『ヒロインの流星』同様、2人の作者が描いた2作品のキャラクターが同じページに登場する。また、『日々流星 -すずめのパラレル高校日記-』のストーリーの制作はやまもり三香が担当した。

『ひるなかの流星』×earth music&ecology Japan Label

2014年5月、本作『ひるなかの流星』と、ファッションブランド「earth music&ecology Japan Label」のコラボレーション企画が行われた。内容は、与謝野すずめ猫田ゆゆか獅子尾五月馬村大輝をイメージした洋服や帽子、バッグといったファッションアイテムが販売されるというもの。また、5月10日から18日までの期間は、earth下北沢店にて、コラボレーション商品の先行販売・予約会に加え、『ひるなかの流星』の原画展も行われた。

読者投稿

本作『ひるなかの流星』のコミックスには、4巻から、読者から募ったイラストリクエストコーナーが設けられている。このコーナーは、「おまけページに書くことが思いつかない」という理由から、コミックス3巻から募集されるようになった。やまもり三香作品キャラクターのみならず、創作イラストのリクエストも広く受け付けている。やまもりの別作品『シュガーズ』のキャラクターイラストや、「セクシーな女性キャラクター」といった漠然としたリクエストのイラストなども描かれた。

著名人との関わり

坂口健太郎

コミックス9巻のおまけページでは、「マーガレット」誌上の企画で、やまもり三香 が坂口健太郎に会った際のエピソードが語られている。この企画は、馬村大輝のモデルとなった人物が坂口であるということにちなんでおり、撮影時やインタビューでのエピソードに加え、坂口の似顔絵イラストも描かれている。

幸田もも子

コラボレーション作品『ひるなかの流星』の共同執筆に加え、コミックス3巻のおまけページに、獅子尾五月馬村大輝のイラストを寄稿している。また、やまもり三香と幸田もも子は個人的にも親しく、コミックス5巻のおまけページでは、2人が一緒に街コンに参加した際のエピソードなども語られている。

みきもと凛

コミックス5巻のおまけページに、与謝野すずめ猫田ゆゆかがアイドル風の洋服を着たイラストを寄稿している。また、やまもり三香とみきもと凛は個人的にも親しく、やまもりは、前作『シュガーズ』の執筆中に、アシスタントの紹介でみきもと作品を知った。しばらく一読者として、みきもとの作品を読んだ後、直接の知り合いとなった。現在は他の作家も交えて会うほど親しくなり、やまもりは「自分たちの関係は奇跡のようなものだと思っている」と語っている。

里中実華

コミックス9巻のおまけページにて、与謝野すずめ獅子尾五月馬村大輝のイラストを寄稿している。やまもり三香と里中実華は個人的にも親しく、「もりりん」「なかやん」と呼び合う仲で、以前は担当編集者も同じ仲だったというエピソードが描かれている。ちなみにやまもりは、里中の作品を、「明日も頑張ろうという気持ちになれる、お菓子に例えるとマシュマロクッキーのような存在」だと語っている。

森下suu

コラボレーション作品『日々流星』の共同執筆に加え、コミックス11巻のおまけページに与謝野すずめ獅子尾五月馬村大輝のイラストを寄稿している。やまもり三香と森下suuは個人的にも親しく、お互いに地方在住であるにもかかわらず、頻繁に会っているという。さらに同年代の幸田もも子とシタラマサコも交え、4人で会うことも非常に多いとのこと。やまもりは森下が描いた『ひるなかの流星』キャラクターたちについて、「森下が描くと、こんなにもかわいげのある存在に仕上がるのか」と語っている。

作家情報

やまもり三香は、主に少女漫画誌で活躍中の漫画家。2006年『キミのクチビルから魔法』が「ザ マーガレット」掲載されデビュー。他の作品に『椿町ロンリープラネット』『シュガーズ』などがある。誕生日は10月8日で、出身地は石川県。

登場人物・キャラクター

与謝野 すずめ (よさの すずめ)

高校1年生の女子生徒。クラスは1組。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアをしている。クールで物静かな雰囲気を持つため、近寄りがたい人物に見えるが、実は表情に乏しいだけ。突如父親の仕事の都合で、東京都に住むおじの熊本諭吉のもとへ預けられ、知り合いのまるでいない東京で暮らすことになる。 そのため最初は孤独な日々を送っていたが、持ち前の実直な性格で、周囲と一からコミュニケーションを取って馴染もうと努力する。そして、その過程で諭吉の知人であり担任教師でもある獅子尾五月に強く惹かれるようになっていく。やや不真面目なところがあり、成績はいまひとつ。食べることが大好き。誕生日は12月1日で、身長は163センチ。

獅子尾 五月 (ししお さつき)

与謝野すずめの通う高校で教師を務める24歳の男性。担当教科は世界史。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、少し癖のある髪の毛を肩につかないほど伸ばして外にはねさせている。すずめのおじである熊本諭吉とは、諭吉の経営するカフェの常連客であることから、知人関係にある。すずめとは、すずめが上京当日、諭吉の家に向かう途中で道に迷っているのを助けたのがきっかけで、知り合った。 非常に面倒見が良く優しい性格で、たとえば不登校気味の生徒と個人的にコミュニケーションをとり、共通の話題を作ることで学校に来やすくさせるなど、手厚い配慮をしている。すずめのことは、鳥の雀の鳴き声から由来して「ちゅんちゅん」と呼ぶ。愛煙家で、コーヒーが好き。誕生日は10月3日で、身長は179センチ。

馬村 大輝 (まむら だいき)

与謝野すずめと同じ高校の1年1組に所属する男子生徒。与謝野すずめの友人。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、ふんわりとした茶髪の後ろを刈り上げている。すずめとは、すずめの転校直後、同じクラスの隣の席になったことで知り合った。ぶっきらぼうで冷たく見えるが、実は女性が苦手なだけ。偶然その秘密を知ったすずめと、絶対に口外しないことを条件に友人になった。 次第にすずめに強く惹かれるようになり、すずめが獅子尾五月に惹かれていると知りながらも、真剣に想うようになっていく。誕生日は2月10日で、身長は175センチ。

熊本 諭吉 (くまもと ゆきち)

東京都でカフェを経営している与謝野すずめのおじ。獅子尾五月の知人でもある36歳の男性。ほぼ坊主頭に近い短髪ヘアで顎ひげをたくわえ、眼鏡をかけている。バングラデシュに引っ越すことになったすずめの両親の代わりに、すずめを預かることになった。穏やかで話しやすい雰囲気だが、やや過保護気味で頑固。怒ると非常に怖いことから、五月には「将来はスパルタ教育する父親になりそう」と評されている。 職業柄、料理が非常に得意。また、同性愛者の男性に非常に人気がある。

猫田 ゆゆか (ねこた ゆゆか)

与謝野すずめのクラスメイトの女子生徒。前髪を眉の高さで切り揃え、黄土色の内巻きボブヘアをしている。お人形のような可愛らしい容姿で、一見非常に明るく感じの良い人物。しかし実際は、歯に衣着せぬ毒舌の意地悪な性格で、裏表が激しい。馬村大輝に密かに想いを寄せており、転校してきたばかりの与謝野すずめが彼と親しいことに腹を立て、嫌がらせをするようになる。 それがきっかけですずめと正面からぶつかり合うが、次第に親しくなる。その過程で、本来の性格をさらけ出せるようになっていく。誕生日は8月30日で、身長は156センチ。

鹿島 つぼみ (かしま つぼみ)

カメラマンとして働く若い女性。獅子尾五月の元恋人。熊本諭吉の店の元常連客でもある、五月よりも5歳年上にあたる。前髪を眉上よりもかなり高い位置で切った、ベリーショートヘアをしている。明るく賑やかな性格で、職業柄海外を飛び回っていることが多く、多言語になじみがある。そのため会話にカタカナ語や感嘆詞を多く用い、与謝野すずめからは「ルー大柴のような口調」と評されている。 五月とは、諭吉の店の常連客同士だったことから知り合った。非常にお似合いのカップルだったが、やがてお互いの仕事の都合や生活の問題で、別れることになってしまった。しかし現在も五月のことを想っており、突如帰国して、すずめを焦らせる。誕生日は9月7日で、身長は162センチ。

犬飼 学 (いぬかい まなぶ)

与謝野すずめのクラスメイトの男子生徒。前髪を眉上で短く切り、ふんわりとしたショートカットヘアをしている。穏やかで話しやすい性格に加え、成績は学年で上位15番以内に入る秀才。さらに非常に器用で、大抵のことは人並み以上にこなせる能力の持ち主。獅子尾五月からの信頼も厚い。鶴谷モニカのことが気になっている。誕生日は7月13日で、身長は168センチ。

亀吉 奈々 (かめよし なな)

与謝野すずめのクラスメイトの女子生徒。ラウンド前髪に、オレンジ色の髪を顎の高さまで伸ばしたマッシュルームカットをしている。面白いことが好きで、時に巡らせる策略では、猫田ゆゆかよりも一枚上を行くこともある。すずめがきっかけで知り合った。熊本諭吉に、少し憧れている。誕生日は11月1日で、身長は154センチ。

鶴谷 モニカ (つるたに もにか)

与謝野すずめのクラスメイトの女子生徒。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、茶髪のアフロヘアをしている。スペイン人クオーターで、日本人離れした長身。あることがきっかけで、犬飼学と親しくなっていく。誕生日は4月23日で、身長は169センチ。

源 保男 (みなもと やすお)

与謝野すずめの友人。転校前の高校に一緒に通っていた男子生徒。坊主頭と眼鏡が特徴。すずめとは非常に親しく、家に招いて一緒に食事をするような関係。その際には、すずめの好きなカレーライスを口実に誘うことが多い。すずめのことをひそかに想っており、すずめが転校した際は「自分のことを忘れないで」と涙していた。

猿丸 小鉄 (さるまる こてつ)

与謝野すずめのクラスメイトの男子生徒。前髪を眉よりもはるかに高い位置で短く切った刈り上げヘアに、部位によって髪の色の違う派手な髪型をしている。女性に目がないが、周囲の女子生徒たちには今ひとつ相手にされていない。しかし精神的にタフで、女子生徒たちに意地悪を言われてもまったくめげない。誕生日は9月20日で、身長は172センチ。

皆川 土牛 (みながわ とぎゅう)

与謝野すずめと同じ高校の2年生の男子生徒。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして左寄りの位置で斜めに分け、毛先にしたがって薄くなっていくグラデーションのかかった髪をしている。端正な顔立ちで女性から人気があるが、やや軟派なところがある。猫田ゆゆかのことを気に入っており、当初はからかい半分で近づくが、次第に真剣に惹かれるようになっていく。 家は貧しく、周囲には秘密でアルバイトをしている。

馬村 大地 (まむら だいち)

馬村大輝の弟。容姿が非常に大輝と似ていることから、与謝野すずめには「小さくなった馬村」という意味で「小馬村」と呼ばれている。元気で生意気な性格で、すずめとは、馬村大輝の父親が家に招いたのがきっかけで知りあった。

馬村大輝の父親 (まむらだいきのちちおや)

馬村大輝と馬村大地の父親。職業は公認会計士。額を全開にした短髪ヘアをしている。穏やかで渋い雰囲気の人物で、与謝野すずめとは、すずめがスーパーで買い物中、生鮮食品の選び方をアドバイスしたことで知り合った。自分が妻と別れた経緯から、大輝が女性嫌いになってしまったことを案じている。

書誌情報

ひるなかの流星 12巻 集英社〈マーガレットコミックス〉

第1巻

(2011-10-25発行、 978-4088467085)

第2巻

(2012-02-24発行、 978-4088467443)

第3巻

(2012-06-25発行、 978-4088467863)

第4巻

(2012-10-25発行、 978-4088468433)

第5巻

(2013-02-25発行、 978-4088468884)

第6巻

(2013-05-24発行、 978-4088450421)

第7巻

(2013-09-25発行、 978-4088450957)

第8巻

(2013-12-25発行、 978-4088451398)

第9巻

(2014-03-25発行、 978-4088451770)

第10巻

(2014-06-25発行、 978-4088452241)

第11巻

(2014-10-24発行、 978-4088452814)

第12巻

(2015-02-25発行、 978-4088453446)

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