東京タラレバ娘 リターンズ

東京タラレバ娘 リターンズ

東村アキコの『東京タラレバ娘』の続編。ある日、自身の幸せの形に悩みながらも仕事に邁進する鎌田倫子のもとに、親友の香から電撃結婚するとの報告が入る。30代女性の仕事や恋愛、結婚に対する葛藤をリアルに描いたラブコメディ。「Kiss」2018年3月号、同年12月号から2019年2月号にかけて掲載された作品。また、『東京タラレバ娘』のコミックスに収録されていた読者投稿型のおまけコーナー「タラレBar」の、第19夜と第20夜が新規に収録されている。

正式名称
東京タラレバ娘 リターンズ
ふりがな
とうきょうたらればむすめ りたーんず
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
KC KISS(講談社)
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

脚本家として働く鎌田倫子は、親友の小雪と共に、うまくいかない恋愛や仕事の話を肴に女子会をして日々の活力を得ている。倫子は、恋人関係になかなか発展しない鍵谷春樹のことを思い出してやきもきすることもあるが、自分にハッパを掛けて仕事に打ち込んでいた。そんなある日、香から小学校の同級生の平沢ゆうと結婚することになったとの報告を受ける。祝福したい気持ちと焦りで心が落ち着かない倫子だったが、結婚式でのブライズメイドを小雪と共に快く引き受けることにした。そして結婚式当日、年がいのないかわいい格好に照れくささを感じながらも、香の幸せそうな様子を見守っていた倫子は、ウエディングプランナーの平沢五郎に一目ぼれしてしまう。倫子は、多少は脈のある様子を見せる五郎にときめくものの、そこで香を祝いに駆けつけた、かつて思いを寄せていた春樹と再会する。しかし少し言葉を交わしただけで、お互いの幸せを祈って、二人はそのまま別れる。そして倫子は、春樹とは互いを高め合うために出会ったのかもしれないと考え、彼と再び会う日に誇れる自分でいようと誓うのだった。一方、恋愛関係に発展するかと思えた五郎は、神父になる夢を持っているために結婚願望がまったくなく、倫子の思いは届くことはなかった。こうして倫子は今日も親友たちと女子会を開き、「タラレバ」話をしながらお酒を楽しむのだった。

関連作品

漫画

本作の関連作品として、東村アキコの『東京タラレバ娘』『東京タラレバ娘 シーズン2』『東京タラレバ娘番外編 タラレBar』がある。『東京タラレバ娘』は本作の正編にあたり、本作同様主人公の三人組である鎌田倫子小雪が自らの幸せを求めて恋愛や仕事に奔走する姿を描く。『東京タラレバ娘番外編 タラレBar』は作中のマスコットキャラクターである「タラ」と「レバ」が、倫子たちを諭すのと同様辛辣な語り口で読者の悩みにコメントしていくQ&A形式の作品となっている。『東京タラレバ娘』のコミックス第3巻からスタートした読者投稿型のおまけコーナー「タラレBar」が基となっており、『東京タラレバ娘』連載終了後も手紙が届き続けるなど、好評だったために単行本化された。『東京タラレバ娘 シーズン2』は主人公が一新され、新たな世代のタラレバ娘たちが恋や仕事、自分探しに悪戦苦闘する日常を描く作品となっている。

メディアミックス

TVドラマ

2020年10月7日、本作『東京タラレバ娘 リターンズ』のTVドラマ版『東京タラレバ娘 2020』が、日本テレビ系で放送された。TVドラマ版の前作にあたる『東京タラレバ娘』と同様、脚本は松田裕子が担当している。キャストは、鎌田倫子を吉高由里子、を榮倉奈々、小雪を大島優子、鍵谷春樹を坂口健太郎が演じている。原作漫画版が香の結婚式前後を中心に描かれているのに対して、TVドラマ版では香は平沢ゆうと結婚しており、小雪は自分の店を持つ夢に邁進し、倫子は交際して一年の男性と結婚間近の状態であるなど、設定に若干の違いがある。

登場人物・キャラクター

鎌田 倫子 (かまた りんこ)

脚本家を生業としている30代の女性。今の楽しみは親友の香と小雪と共に、小雪の父親が経営する居酒屋「呑んべえ」で女子会をすること。小さな事務所を構えており、芝田マミと共にまじめに仕事に励んでいる。惹かれ合いながらも、恋人同士の関係に進展しなかった鍵谷春樹と約束したこともあり、愚痴や文句は女子会以外では言わないという規律を自分に課している。仏頂面でクールな雰囲気の男性が好みで、香の結婚式で鮫島涼を一本背負いして追い払った平沢五郎に一目ぼれをした。

(かおり)

ネイリストをしている30代の女性。今の楽しみは親友の鎌田倫子と小雪と共に、小雪の父親が経営する居酒屋「呑んべえ」で女子会をすること。かわいらしい雰囲気に似合わず酒豪で、交際する相手の容姿に非常にこだわるタイプ。結婚願望が強く、倫子や小雪より一足早く小学生の時の同級生である平沢ゆうと結婚することになったが、結婚式で元彼氏の鮫島涼と再会した際に、香自身の好みの容姿のルーツがゆうだったことを再確認する。ゆうとは出身小学校の担任の葬式で再会し、小学校の時に地元のお祭りで買ったが渡せなかったというおもちゃの指輪をもらったことが決め手となり、結婚を決意した。結婚するまではずっと埼玉県の実家で暮らしており、同じく実家住まいのゆうとは徒歩3分で行き来できるほど近所に住んでいた。

小雪 (こゆき)

父親の経営する居酒屋「呑んべえ」で働く30代の女性で、眼鏡を掛けている。今の楽しみは親友の鎌田倫子と香と共に、呑んべえで女子会をすること。まじめな性格のサバサバ系女子で、父親と二人で「呑んべえ」を明るく切り盛りしている。酒を呑むと毒舌度が増す。

鍵谷 春樹 (かぎたに はるき)

国内外でモデル、俳優として活躍している20代後半の男性。日本での芸名は「KEY」。鎌田倫子とは会うたびに喧嘩をしていて、お互い惹かれ合って体の関係を持ったこともあったが、恋人同士には進展しなかった。日本で順調に売れていたが、所属事務所の社長がロサンゼルスに行きたいという理由だけでアメリカのドラマの日本人役オーディションを受けさせられ、合格してしまう。結果、社長と共に昨年からロサンゼルスに滞在している。渡米後は撮影の合間に英語のレッスンと筋肉増強のための肉体改造に追われており、精神的に余裕がなくなって恋愛から遠ざかっている。芝田マミ経由で香の結婚を知り、日本にお祝いに駆けつけた。

芝田 マミ (しばた まみ)

脚本家を生業としている20代の女性。見た目は派手だが気さくで機転がきき、非常に仕事熱心なまじめな性格をしている。鎌田倫子を師匠として仰ぎ、40歳までに何か大きな仕事をしてくださいとハッパを掛けている。恋愛やデートに貴重な時間を吸い取られずに済むという理由で、芝田マミ自身が脚本を担当したテレビドラマのアシスタントディレクターと電撃結婚し、周囲を驚かせた。結婚相手を選んだ決め手は、平凡ながら仕事面で支えてくれて、実家が近く両親ともに元気で若いために子育てに協力してもらえることに大きな魅力を感じたからである。結婚後、まずは3年間、昼夜問わず仕事に励み、実績と人脈をつくったあとに出産するという人生設計を立てている。野心家で、目標は35歳までに日本アカデミー賞脚本賞を受賞し、40歳までに朝ドラを手掛け、50歳までに大河ドラマの脚本を担当すること。情報通で、ロサンゼルスに渡った鍵谷春樹の動向にも詳しく、倫子に逐一教えている。

芝田マミの夫 (しばたまみのおっと)

テレビ関係の会社でアシスタントディレクターを務める20代の男性。芝田マミに見初められて電撃結婚を果たした。優しい性格の愛妻家で、マミのために夜食を作っている。マミが出産後も仕事を続けることに賛成しており、港区の実家に住む50代の両親に子育てに協力してくれるように依頼する。

小雪の父親 (こゆきのちちおや)

東京にある居酒屋「呑んべえ」で店主を務める男性で、小雪の父親。鎌田倫子と香、小雪の三人が女子会で店に集まっては騒ぎ、呑んだくれる姿に呆れながらも温かく見守っている。商売上手で、かしましい小雪たちから発想を得て、新メニューを開発しては看板商品にするなど抜け目がない。

平沢 ゆう (ひらさわ ゆう)

香の夫。香の小学時代の同級生で、実家が同じ町内にある幼なじみ。小学校時代の担任教師の葬式が縁で香と再会、猛烈にアプローチして結婚に至った。面食いである香の好みの男性のルーツ的な存在で、小学校6年生の時に香にバレンタインチョコをもらい、ホワイトデーにお返しのお菓子を渡したことがある。現在は地元埼玉県の中学校で非常勤教師として働いており、次年度の本採用を目指して奮闘している。おっとりとした優しい性格で、結婚式場で初対面した鎌田倫子と小雪ともすぐに打ち解けた。香と結婚する前に一度結婚し、離婚している。離婚原因は元妻の浮気で、彼女が浮気相手の子供を妊娠したためだった。

鮫島 涼 (さめじま りょう)

ロックバンド「BUMKEY’S」のギタリストを務めている男性。香の元恋人で、童顔、タレ目、小柄の体型のかわいい系という、香の好みど真ん中の容姿をしている。香の結婚相手である平沢ゆうと、見た目や雰囲気が非常に似ている。香が結婚することを聞きつけ、丸井良男を巻き込んで結婚式に乗り込むことを計画。サプライズで一曲歌おうとしたところを、招待客リストに名前がないという理由で平沢五郎に追い払われる。鎌田倫子の口添えで、最終的に香の目の前で歌を披露してプレゼントすることに成功し、これまでの関係を払拭させるような、心から香の幸せを願う歌詞で会場全体の感動を誘った。

平沢 五郎 (ひらさわ ごろう)

埼玉県の結婚式場に勤めているウエディングプランナーの男性。平沢ゆうの従弟で、礼儀正しい好青年。クールで厳格な雰囲気に惹かれた鎌田倫子に好意を寄せられても眉一つ動かさない朴念仁である。両親が離婚して、姉もスピード離婚し、祖母も二回離婚しているのを見てきたため、結婚にはまったく夢を抱いていない。離婚歴のあるゆうが、再度離婚しないことを心から願い、香との仲を親身に応援している。親戚には結婚式場で働いているのに、未だに独り者だとたびたびネタにされている。女性と交際した経験がないため、ゆうには変人扱いされている。実は神父になりたいと考えているため、結婚願望や恋愛願望がいっさいない。結婚式場に勤めながら神学校に通い、順調にいけば来年には卒業できる予定である。

丸井 良男 (まるい よしお)

サラリーマンをしている既婚男性。居酒屋「呑んべえ」で食事をした縁で知り合った小雪と不倫関係となった過去がある。妻を裏切ったことは家族にバレなかったが、家族サービスの一環として3年ローンでファミリータイプの新車を購入して、ひそかにその埋め合わせに奔走している。香の元恋人の鮫島涼と親交があり、「丸ちゃん」と呼ばれている。香の結婚式にサプライズで一曲歌いたいという涼に付き合って、埼玉県の結婚式場まで乗り込むなどお人よしな性格をしている。

場所

呑んべえ (のんべえ)

小雪の父親が経営している居酒屋で、鎌田倫子と香、小雪の女子会の会場となっている。小雪の父親と小雪が二人で切り盛りしており、地元の常連さんや新規の客でにぎわう人気店。倫子と鍵谷春樹が出会った場所で、小雪と丸井良男が知り合うきっかけとなった場所でもある。

その他キーワード

女子会 (じょしかい)

鎌田倫子と香、小雪が三人集まって行う飲み会。基本的には小雪の父親が経営する居酒屋「呑んべえ」で開催される。お互いの近況報告から始まり、恋愛相談や仕事の愚痴など話題は多岐にわたり、朝まで飲み続けることも多い。招集の際は独特の隠語を使っており、「第1出動」は「ヒマなので飲みたい」、「第2出動」は「仕事の愚痴を聞いて欲しい」、「第3出動」は「誰かの悪口を聞いて欲しい」、「第4出動」は「今すぐ集合して恋愛相談に乗って欲しい」との意味となっている。

前作

東京タラレバ娘 (とうきょうたらればむすめ)

33歳の独身女性3人組が、「結婚していない」という事実に悩みながらも、それぞれの幸せを模索して恋と仕事に生きる大人のラブストーリー。「Kiss」'14年5月号から連載の作品。 関連ページ:東京タラレバ娘

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書誌情報

東京タラレバ娘 リターンズ 講談社〈KC KISS〉

(2019-03-13発行、 978-4065146002)

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