海街diary

海街diary

鎌倉で暮らす香田幸、香田佳乃、香田千佳の三姉妹は、離婚して出ていった父親の葬儀で異母妹の浅野すずと出会う。共に暮らすようになった彼女達の日常を描いた作品。同じく吉田秋生作の『ラヴァーズ・キス』と登場人物が一部重なっている。

正式名称
海街diary
ふりがな
うみまちだいありー
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
flowers コミックス(小学館)
関連商品
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世界観

舞台は日本の鎌倉。鎌倉の祖母の家で暮らしている3姉妹の元に、幼い頃に、母と離婚して長い間会っていない父の訃報が届いた。父の葬式に向かった先で、3姉妹は母親の違う妹のすずに出会う。葬式の後、すずが3姉妹から一緒に暮らさないかと誘われ、鎌倉の家で4人目の末の姉妹として生活を始めるところから物語は始まる。

作中に登場する舞台は実在する場所がモデルとなっており、佐助稲荷神社、稲村ケ崎、長谷駅、紅葉ケ谷、二階堂、鎌倉宮等は実在する地名である。

なお、作者は子ども時代に鎌倉で過ごし、鎌倉という街に強い思い入れがあり、その愛着からこの作品は誕生したという。

あらすじ

父の死後、母親の違う3姉妹(長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳)の元に引き取られたすずは末の妹として鎌倉で新しい生活を始めることになった。

主なエピソードに関しては以下を参照。

蝉時雨のやむ頃

蝉時雨のやむ頃(第1話)

夏のある日、鎌倉に住む3姉妹の元に母と離婚して長い間会っていない父の訃報が届いた。父の葬式に向かった先で、3姉妹は腹違いの妹のすずに出会う。すずは、葬式の後、3姉妹から一緒に暮らさないかと誘われ、鎌倉の家に引き取られ4人目の末の姉妹として一緒に生活を始めることになる。

佐助の狐(第2話)

佳乃には付き合っている大学生の彼氏、朋章がいた。職場で偶然、朋章と会った佳乃は、朋章が実は高校生だったことを知る。佳乃自身も職業を偽っていたのがばれてしまい、気まずいまましばらく連絡が途絶えていたが、朋章から彼が母親の浮気相手に強請られていたことや、佳乃からお金をとろうとしていたことを白状される。朋章は佳乃に別れを告げ、二人の関係は終わってしまう。

同作者の『ラヴァーズ・キス』の登場人物である朋章が佳乃の彼氏として登場する、吉田秋生ファンには堪らないエピソード。

二階堂の鬼(第3話)

すずは入団予定のサッカーチーム、湘南オクトパスのメンバーと練習をすることになるが、そんな最中に、湘南オクトパスの主将である裕也が怪我をしてしまう。治療に向かった病院で膝に腫瘍があることが発覚し、足を切断する手術を受けることになる。手術は無事に終わるが、右足の無くなった裕也にどう接すればいいのか戸惑うすずやチームメイトの風太たち。すずと風太は悩んだ末、裕也に会いに行き、早く戻ってきて欲しいという思いをようやく伝えることができた。

真昼の月

花底蛇(第4話)

佳乃が朋章と別れた真相が気になっていたすずは、ある日海岸で朋章を見付けて真相を突き止めるべく話しかける。そして朋章を強請っていた男が自殺したことや、朋章が死のうとしたことがあることなど、朋章の複雑な家庭の事情を知ることになる。朋章の話を聞きながらすずはこの街で、前を向いて生きて行くことを決意した。

二人静(第5話)

すずはサッカーの試合で厳しいマークや体当たりを受けるようになりサッカーを続けて行けるかどうか悩んでいたが、風太や裕也が試合中のすずのサポートについて真剣に考えていることを知り、サッカーを続けて行くことを決める。

また、自分と同じく裕也のことが好きな美帆のことで悩んでいたすずだったが、自分の気持ちをはっきりさせるために美帆に会いに行き、ちゃんと話し合いをして仲直りをする。

桜の花の満開の下(第6話)

裕也が湘南オクトパスの練習に復帰したが、以前の裕也のプレイに比べ、見る影もなかった。すずや風太は、裕也と自分たちのチームが失ったものの大きさに気付く。

真昼の月(第7話)

祖母の七回忌に幸たちの母親・都がやってくると連絡を受ける。祖母の葬式以来で都の思惑を考えあぐねる幸。そんななか、都と幸は言い合いになるが、原因が自分の母親であると思ったすずは傷ついてしまう。

陽のあたる坂道

思い出蛍(第8話)

4姉妹の父親の一周忌に、父親のお墓のある河鹿沢温泉に向かうが、一周忌にも関わらず、父親の再々婚相手である陽子はいない。すでに米沢で違う男性と生活を始めていると聞き、呆れる4姉妹。すずも、陽子に対して表立って怒ってくれない幸に納得が出来ず複雑な思いを胸に抱く。しかし次第に、父親が好きな人と一緒に暮らし、陽子の連れ子であった和樹や智樹も父親に懐いていて、確かに父親は幸せだったと考えられるようになる。

誰かと見上げる花火(第9話)

裕也に好かれていると勝手に勘違いしてしまったすずは、花火大会の日に、裕也に彼女がいたことを知り失恋する。同日、佳乃は会社の屋上で、去年朋章と見た花火を思い出し、幸も病院の屋上から同じ花火を見ながら人の心について考えている。花火大会当日の幸、佳乃、すずの3人の姿を交互に描き、同じ花火を見ながら、別々の場所でそれぞれが思いを巡らせるエピソード。

陽のあたる坂道(第10話)

裕也が試合形式の練習に参加したが、今までの裕也のプレーは見れず、チームメイトはショックを受ける。そんななか、中風太は裕也の出来なくなったことではなく、努力している所ところをしっかり見ていた。

止まった時計(第11話)

幸は不倫関係にある小児科医・椎名和也からアメリカに一緒に行って欲しいと言われるが、仕事を選ぶことを決意する。幸が和也と過ごした3年間の様々な思いを描いているエピソード。

帰れないふたり

帰れないふたり(第12話)

面掛行列のお祭りの日にすずと風太は、幸と椎名和也が一緒にいるのを見かける。不倫だと思い込んだすずと風太は2人の後をつけることにする。

姉の不倫に悩むすずと、そのすずを気にかける風太。すずと風太の距離が少しずつ近くなって行く。

ヒマラヤの鶴(第13話)

無断で学校を休んだ裕也を心配したすずと風太は、裕也を探して江ノ島へ向かう。その頃、足のことで悩む裕也は、スポーツ店の店長である浜田から、浜田が指をなくしたときの話などを聞いていた。いつも笑顔の店長・浜田の隠された一面がわかるエピソード。

聖夜に星降る(第14話)

幸と湘南オクトパスの監督である井上泰之、佳乃とその上司・坂下すずと風太のそれぞれが、クリスマスの夜を一緒に過ごすまでのエピソード。

おいしいごはん(第15話)

すずは山猫亭でしらすトーストとジンジャーミルクティーを味わい、両親との思い出を見つける。千佳には時々食べたくなるおばあちゃんの「ちくわ」カレー、井上には露天商のおばあちゃんが作ってくれた焼きそば、とみんなそれぞれに懐かしい『おいしいごはん』の思い出の味がある。大切にする過去の思い出から少しずつすず、幸の時間が進みだすエピソード。

群青

彼岸会の客(第16話)

すずの祖母が亡くなり、すずは遺産を分与されることになった。遺産分与の手続きで訪れた母・季和子の故郷で、すずは自分の知らない母親の話や、母親が自分のことを「宝物」と言っていたこと、また祖母に嫌われてないかったことを知る。

秘密(第17話)

風太は裕也からサッカーチームを抜けることを告げられるが、すずに話さないように口止めをされているため、ひとりで悩む。すずは海猫食堂の店主・二ノ宮の落とした薬のことを幸に聞き、誰にも話してはいけないと口止めされてしまい気が重い。

それぞれが心に言えない秘密を抱え悩むエピソード。

群青(第18話)

風太は酒屋の三代目・尾崎光良との配達の帰りに二ノ宮の病状について知ることになる。二ノ宮は入院するが、風太は二ノ宮の友人である福田から、彼の病状についてみんなに言わないようにと口止めされる。その他にも色々と福田から話を聞き、風太は後悔しないように、裕也ともう一度話すことを決意した。

好きだから(第19話)

二ノ宮が亡くなり海猫食堂も閉店することになった。海猫食堂と二ノ宮を好きだった、すずのクラスメイトである緒方将志やその家族は二ノ宮の残したレシピを引き継ぎ、二ノ宮の味が無くならない、忘れられないようにそして、いつか海猫食堂を復活させたいと願っている。

いつもよりはしゃぐ将志を見て、すずは風太に自分のことを話しだす。風太はすずがヘコんだときは誰よりも早く気付けるようにすずの言ったことを忘れないでおこうと思った。

幸がなんとなく元気がない様子を気にする井上。はっきり聞けなく悩む井上だが、幸のことが好きだから諦めないと、その思いを新たにする。そんな井上の気持ちも知らず、幸は自分はやっぱり仕事のことが好きだと考える。

四月になれば彼女は

いちがいもんの花(第20話)

すずの祖母の遺産の件で4姉妹は金沢へ行くことになり、すずは初めて母である季和子の兄正人やいとこの直人に会う。正人らの歓迎を受け、季和子の着物を着せてもらったり、記念写真を撮ったり、楽しい思い出が増えたすずだった。

逃げ水(第21話)

二ノ宮の遺産の件で一段落ついた佳乃と坂下。仕事を通して少し坂下のことが気になる佳乃。自分が坂下に恋をしたと気付く。

地図にない場所(第22話)

すずのいとこである直人が鎌倉に来た。直人が気に入っていた刺繍作家に会うため、北鎌倉のアトリエ糸切屋に向かう。そこで直人は女流作家と話をし、一目で恋に落ちた。

肩越しの雨音(第23話)〜四月になれば彼女は(第24話)

風太はすずにサッカーの強豪校から推薦が来ているらしいと聞く。すずがこの街から出て行ってしまうと寂しく思う風太だったが、自分の進学先、将来について悩むすずにそっと寄り添い、応援しようと心に誓う。すずは特待生の話に答えを出せないでいるが、風太はすずが4月になればこの街を出て行ってしまうと思っている。

メディアミックス

映画

2015年6月13日公開。監督は、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、国内外で高い評価を得る是枝裕和。映画『海街diary』も、受賞こそならなかったものの、第68回カンヌ国際映画祭で熱狂的な歓迎を受けた。主演の4姉妹を演じたのは、綾瀬はるか(長女・幸)、長澤まさみ(次女・佳乃)、夏帆(三女・千佳)、広瀬すず(四女・すず)。

原作者の吉田秋生は「是枝『海街diary』を拝見しました。幸福な時間だった。そしてなんかちょっぴり、くやしかった。(笑)」とのコメントを映画公式サイトに寄せている。

関連書籍

海街diary関連書籍には吉田秋生監修の『海街diaryすずちゃんの海街レシピ』、『すずちゃんの鎌倉散歩』などがある。

作品構成

基本的に1エピソードが数話で構成され、1話ごとに4姉妹の誰かの視点をメインにストーリーが進む。

登場人物・キャラクター

浅野 すず (あさの すず)

登場時13歳の女子。黒髪のショートヘアーだったが後に髪をやや伸ばしてボブカットにする。香田家の三姉妹香田幸、香田佳乃、香田千佳とは父親が同じ異母妹。産みの母浅野喜和子が亡くなるまでは仙台で住んでいた。父浅野が養母浅野陽子と再婚してからは山形県の河鹿沢温泉へ移ったが、父を亡くした後、葬儀で出会った異母姉香田幸の誘いに応じて鎌倉の香田家に引き取られた。 仙台では小学生の時にジュニアサッカーの強豪青葉JFCでレギュラーだった。香田家の三姉妹と出会った当初は真面目で張り詰めた振る舞いをしていたが、香田家で暮らし始めてからは明るく活発な性格になった。 鎌倉の亀ヶ谷中学校に転校し、地元のサッカーチーム湘南オクトパスに入団。同じチームの主将多田裕也に想いを寄せていたが、尾崎風太と過ごす時間が増えるうちに次第に彼の存在が大きくなっていく。

香田 幸 (こうだ さち)

黒髪のショートヘアーの女性。登場時29歳。香田家の三姉妹の長女。鎌倉市民病院に勤務する看護師で、長女らしく生真面目で、毅然とした性格。妹の香田佳乃、香田千佳の3人で鎌倉に住んでおり、2人からは「シャチ姉」と呼ばれている。父を亡くした異母妹浅野すずに対して一緒に住もうと誘う。 内科病棟に勤務していたが、師長から緩和ケア病棟への異動を打診され、悩んだ末に受諾。後輩の看護師アライに手を焼いていたが、その能力に注目し一緒に異動させる。のち主任に昇格する。3年間、同じ病院の小児科医である椎名和也と不倫関係だった。

香田 佳乃 (こうだ よしの)

栗色に染めた髪にパーマをかけたセミロングの女性。登場時22歳。香田家の三姉妹の次女。父の葬儀で初めて出会った異母妹浅野すずの姿を見て、姉の香田幸に似ていると感じた。短大卒業後に地元の鎌倉八幡信用金庫(通称カマ金)で働く。仕事は真面目で貯金や遺産分割などに詳しいが、損得勘定がちょっとずれている。 男性遍歴を重ねてきたが、男運は悪くかつてホストに100万円貢いだことがある。酒が好きで地元鎌倉にいくつも馴染みの店がある。年下の青年藤井朋章と付き合っていたが、のち勤務先の上司・坂下課長に恋心を抱くようになる。苦手はカマドウマ。

香田 千佳 (こうだ ちか)

香田家の三姉妹の三女。そばかす顔の女性で、はじめは黒髪を団子にまとめていたがアフロヘアーにする。登場時19歳。スポーツ用品店スポーツ・マックス藤沢店勤務。掴み所のない性格。引き取られてきた異母妹浅野すずとは仲が良いが、浅野すずからは「いろんな意味でわかりづらいキャラ」と思われている。 浅野すずがサッカーをしていたことを知り、勤務先の店長浜田三蔵と共に湘南オクトパスジュニアユースへの入団を勧めた。浜田三蔵には恋心を抱いている様子。

尾崎 風太 (おざきふうた)

登場時は中学校1年生。短髪の少年。家は鎌倉で酒店を営んでいる。香田家に引き取られてきた少女浅野すずとは亀ケ沢中学校で同級生となり、所属するジュニアサッカーチーム湘南オクトパスジュニアユースでもチームメイト。湘南オクトパスジュニアユースでは主将多田裕也が発病した後、主将を引き継いだ。 浅野すずに恋をするが、不器用でなかなか一歩前へ進めない。チーム内の実力は多田裕也や緒方将志に次ぐレベルが、観察力があり、復帰した多田裕也のプレイに監督の井上泰之も気付かなかった意図を読み取る。吉田秋生作、『ラヴァーズ・キス』の登場人物尾崎美樹の弟。

多田 裕也 (ただゆうや)

ショートボブで顔立ちの整った男子。登場時は中学校1年生。鎌倉のジュニアサッカーチーム湘南オクトパスジュニアユースのエースで主将。同い年のチームメイト浅野すず、多田裕也、緒方将志とは中学校も一緒で亀ケ沢中学校に通う。気遣いができ振る舞いがスマートで、サッカーもうまく女子の人気が高い。 病気のため一時サッカーをリタイアし主将を多田裕也に引き継ぐ。父親を早くに亡くしているため、家の家計は厳しい。

緒方 将志 (おがた まさし)

はねた髪の男子。登場時は中学校1年生。鎌倉のジュニアサッカーチーム湘南オクトパスジュニアユースのフォワード。同い年のチームメイト浅野すず、多田裕也、緒方将志とは中学校も一緒で亀ケ沢中学校に通う。明るい性格で、関西弁でよくしゃべる。小学校まで大阪で暮らし、父の転勤に伴って鎌倉に引っ越してきた。 気が短く空気が読めない言動をたびたびするので、よく周囲から顰蹙を買っている。

坂下 美帆 (さかした みほ)

大柄な女子。普段は髪を二つ結びにしている。登場時は中学校1年生。鎌倉のジュニアサッカーチーム湘南オクトパスジュニアユースの正ゴールキーパー。チームメイトの浅野すず、多田裕也、尾崎風太、緒方将志とは同学年だが、彼らとは別の中学校(藤沢女学園)に通っている。 湘南オクトパスジュニアユースの主将多田裕也に想いを寄せていた。長兄坂下は鎌倉八幡信用金庫に勤務し、浅野すずの異母姉香田佳乃の上司。

井上 泰之 (いのうえ やすゆき)

眼鏡をかけ、顎に髭を生やした男性。鎌倉のジュニアサッカーチーム湘南オクトパスジュニアユースの監督。鎌倉市民病院のリハビリ科に勤務する理学療法士。新しく入団した浅野すずの保護者として異母姉香田幸と知り合う。香田幸が自分と同じ鎌倉市民病院勤務の看護師と知り、病院内での彼女の働きを知るうちに好意を持つようになる。 チームのメンバー尾崎風太の兄尾崎光良の大学の後輩で、尾崎酒店の常連客。

尾崎 光良 (おざき てるよし)

はねた髪で明るく遠慮のない物言いの男性。浅野すずの湘南オクトパスジュニアユースのチームメイト・尾崎風太の兄で、尾崎酒店の3代目店主。浅野すずの異母姉・香田佳乃と付き合っていた藤井朋章とも親しい。高校では止むを得ずヤンキーの道に走ったが、お陰で現夫人の尾崎春江と知り合い結婚した。

藤井 朋章 (ふじい ともあき)

肩まで伸びた黒髪に人目を惹く顔立ちの男子。登場時は北鎌倉高校2年生。香田三姉妹の次女・香田佳乃と付き合っていた。家は産婦人科の藤井病院だが、稲村ヶ崎のマリンショップドルフィンでアルバイトをしながら、長谷にある古びたマンションで一人暮らしをしている。 香田佳乃には自分の事はあまり話さなかったが、訪ねてきた香田佳乃の異母妹浅野すずには過去を打ち明ける。『ラヴァーズ・キス』の主人公。

浜田 三蔵 (はまだ さんぞう)

アフロヘアーに髭を生やした男性。香田三姉妹の三女香田千佳の勤め先・スポーツ・マックス藤沢店の店長。常連客からは、アフロ店長と呼ばれている。登山が趣味で、過去にマナスル登頂に成功している。喫茶店山猫亭の店主・福田仙一は登山を通じての知り合い。 用具を提供しているサッカーチーム湘南オクトパスジュニアユースの監督・井上泰之は大学の後輩。

椎名 和也 (しいな かずや)

眼鏡をかけた真面目そうな男性。市民病院の小児科医で多田裕也の主治医。小児ガンの治療を専門としており、さらに学ぶためにボストン行きを決意する。香田三姉妹の長女で市民病院の看護師・香田幸とは不倫関係にある。香田幸の異母妹・浅野すずからは「シカ先生」と呼ばれている。

高野 (たかの)

温和そうな中年の女性。市民病院の看護師で、内科の師長をつとめる。香田三姉妹の長女香田幸の上司にあたる。緩和ケア病棟の新設にあたり、兼任で師長をつとめ香田幸を抜擢した。

アライ

姿は登場せず、香田幸達市民病院の看護師や患者の会話の中に登場する。香田幸の同僚看護師。おかしな行動が多く同僚に迷惑をかけてばかりいるが、患者への対応は優れた部分もある。香田幸からの推薦で、共に緩和ケア病棟に異動する。

坂下 (さかした)

体格が良く優しそうな風貌の男性。鎌倉八幡信用金庫に勤務し、香田佳乃の上司。国立大学から都市銀行に入社したが、訳あって転職した。香田佳乃と組んで外回りをするようになる。香田佳乃の異母妹・浅野すずの同級生・尾崎風太の兄尾崎光良が営む尾崎酒店の常連客。浅野すずの湘南オクトパスジュニアユースのチームメイト・坂下美帆の長兄。

二ノ宮 幸子 (にのみや さちこ)

ショートヘアーで太目の穏やかな顔の中年女性。大衆食堂海猫食堂の店主。市民病院で母を看取ったことから、浅野すずの異母姉香田幸とも顔見知り。緒方将志の母が海猫食堂にパートで勤めている。鎌倉八幡信用金庫の坂下係長と香田佳乃には遺産の相談をしている。 喫茶店山猫亭の店主・福田仙一とはお互いの店を訪ねる友人同士。

福田 仙一 (ふくだ せんいち)

縮れた長髪を後ろで束ねた無表情な顔の中年男性。関西弁でぶっきらぼうな話し方をするが、その実細やかな気遣いをする。喫茶店山猫亭の店主。海猫食堂の店主・二ノ宮幸子の友人。スポーツ・マックス藤沢店の店長・浜田三蔵が登山家であった頃の事を知る。

緒方 ミドリ (おがた みどり)

黒髪で明るい中年女性。浅野すずの同級生・緒方将志の母。海猫食堂のパート店員で、店主の二ノ宮幸子と親しく付き合い、パートを始めるまでは家族全員で海猫食堂で晩御飯を食べるほどだった。関西弁で話し好きだが、あまり配慮なくあれこれ話すところは息子の緒方将志そっくり。

大船の大叔母 (おおふなのおおおば)

ショートヘアーで大柄な老女。香田幸、香田佳乃、香田千佳の母香田都の叔母であり、香田三姉妹にとっては大叔母。3人の異母妹浅野すずと血縁関係はないが、快く接している。人は良いが「ぶしつけ直球攻撃」と密かに呼ばれるような遠慮のない物言いをする。

香田 都 (こうだ みやこ)

肩までの髪の中年女性。香田幸、香田佳乃、香田千佳の母。婿養子だった夫、浅野に去られ、その2年後、再婚相手の処へ香田三姉妹を置いて立ち去った。長女の香田幸とは犬猿の仲。

浅野 (あさの)

男性。本編は彼が死亡した段階から始まっており、会話の中でのみ登場する。香田幸、香田佳乃、香田千佳の父親。市役所の職員。婿養子として香田都と結婚したが、妻と娘たちを捨て浅野すずの母親・浅野季和子と駆け落ちした。浅野季和子が亡くなった後は、浅野すずと共に山形の河鹿沢温泉の旅館あづまやで働き、浅野陽子と結婚した。

浅野 季和子 (あさの きわこ)

女性。浅野すずの実母。浅野すずや妹北川十和子などの会話の中で登場する。金沢の老舗呉服屋扇屋の娘で、鎌倉で染色の修行をしていたが、妻子のあった浅野と不倫関係になり、実家と縁を切った。

浅野 陽子 (あさの ようこ)

長い髪の中年女性。香田幸、香田佳乃、香田千佳の父浅野が、駆け落ちした浅野季和子と死別した後再婚した相手。浅野の前の夫との間に二人の息子浅野和樹、浅野智樹がいる。短期間浅野すずの義母だった。両親を早くに亡くし、叔父の飯田夫婦に育てられた。非常に頼りない性格。

浅野 和樹 (あさの かずき)

浅野陽子の連れ子。短髪の男の子。登場時は小学2年生。母が浅野すずの父親と再婚したため、短期間すずと姉弟だった。父の葬儀では早々に飽きて弟浅野知樹と騒いでいたが、1年後再会した時にはすっかり大人しくなっていた。

北川 十和子 (きたがわ とわこ)

ウェーブのかかった黒髪のロングヘアーで眼鏡をかけた女性。登場時は35歳。浅野すずの実母・浅野季和子の妹。地元・金沢でタウン誌の編集をしている。浅野すずを探して、浅野すずの再婚相手浅野陽子の叔父飯田から連絡先を聞き、香田家を訪ねる。落ち着いた誠実な女性だがよく転ぶ。

北川 直人 (きたがわなおと)

ウェーブの長髪に眼鏡をかけた男子。登場時は県立美術大学の3年生。浅野すずの母浅野季和子の兄の息子で浅野すずの従兄にあたる。ややチャラいが、明るくポジティブな性格。極度の方向音痴で、地図もスマホのアプリも役に立たない。

桐野 糸 (きりの いと)

髪を頭の上でまとめた女性。北鎌倉の山道の一角でアトリエ糸切屋を営み、刺繍作品を作っている。浅野すずの従兄。北川直人が彼女の作った刺繍に心を動かされ、浅野すず・尾崎風太と共に彼女を訪ねる。

豪福寺の和尚 (ごうふくじのおしょう)

坊主頭で眼鏡に髭を生やした体格の良い中年男性。喫茶山猫亭・大衆食堂海猫食堂の常連客。山猫亭の店主福田仙一曰く「生臭」。豪福寺境内に見事な花を咲かす桜を植えている。

坂下 美波 (さかした みなみ)

角刈りで口髭と顎髭を生やした体の大きな男性。名前に似つかわしくなく声が大きく豪快なしゃべり方をする。浅野すずの湘南オクトパスでのチームメイト坂下美帆の次兄。小学校では湘南オクトパスジュニアの1期生としてサッカーをしていた。現在は腰越でしらす漁をしている。

書誌情報

海街diary 小学館〈flowers コミックス〉

1 蝉時雨のやむ頃

(2007-04-26発行、 978-4091670250)

2 真昼の月

(2008-10-10発行、 978-4091670373)

3 陽のあたる坂道

(2010-02-10発行、 978-4091670403)

4 帰れないふたり

(2011-08-10発行、 978-4091670489)

5 群青

(2012-12-10発行、 978-4091670533)

6 四月になれば彼女は

(2014-07-10発行、 978-4091670588)

7 あの日の青空

(2016-01-08発行、 978-4091670731)

8 恋と巡礼

(2017-04-10発行、 978-4091670786)

9 行ってくる

(2018-12-10発行、 978-4091670885)

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