概要・あらすじ
中学受験を控えた小学6年生・樋口湖太郎はある日、隣に引っ越してきた少女・美紗と出会う。ちょっと変わっているが何かと湖太郎の世話を焼こうとする美紗と、突然現れた謎めいた少女・紫亜という2人の年上の少女によって湖太郎の日常は徐々に変わっていく。そんな中、美紗は本当は見習いの天使で、紫亜は本当は悪魔であることを知った湖太郎は、曽祖父が危篤という報を受けて向かった会津若松で、自分のルーツと美紗、紫亜の関わりにまつわる秘密を知っていく。
登場人物・キャラクター
樋口 湖太郎 (ひぐち こたろう)
中学受験を控えた小学6年生の男子。母親が交通事故で死亡しており、父親は忙しくてあまり家にいないため、半ば1人暮らしに近い状態となっている。そのため、年齢以上にクールで大人びたところがある。突然周囲に現れた美紗や紫亜といった年上の少女に振り回されているうちに徐々に変化が現れていくが、その中で美紗・紫亜と自分のルーツに関わる秘密を知っていく。
美紗 (みしゃ)
樋口湖太郎の隣の家に引っ越してきた中学生の少女で、明るい性格で何かと湖太郎の世話を焼こうとする。いつも黒い服を着ていることと、ウサギのような髪飾り、「てひひ」「○○っス」という口癖が特徴。その正体は見習いの天使であり、湖太郎に執着すること、口癖や服装、天使は本来人間には姿が見えないはずなのに皆から認識されていること―などの全てが、湖太郎のルーツに関わっている。
紫亜 (しあ)
樋口湖太郎の前に突然現れた少女。おっとりとして優しい性格をしており、外見は10代に見えるが実際の年齢は不明。家事だけは完璧だが、ひらがな以外がほとんど書けないなど、一般常識を著しく欠いており、行くあてもないことから美紗の家に同居し、喫茶店tricotでウェイトレスとして働くことになる。 その正体は見習い悪魔であり、「何か」を探すために人間界に来ているが、過去の記憶が失われているためそれが何なのかは自分でも分かっていない。悪魔であるため、他人の「命」を吸わないと自分の命を維持することができない。
植松 小星 (うえまつ こぼし)
樋口湖太郎の幼なじみで同級生である小学6年生の女子。6年間湖太郎のことを思い続けており、美紗が湖太郎に抱きつくと引き剥がそうとする。猫耳をつけているのが特徴。
綾小路 天 (あやのこうじ たかし)
樋口湖太郎の同級生である小学6年生の男子。全国模試で1位を取るほどの優等生で女子からの人気も高いが、妬む男子も少なからずいる。父親が病気で入院しており家計が苦しいため、湖太郎たちが受験しようとしている私立中学を受けられないことについて悩んでいる。
ニャー
紫亜といつも共にいる黒猫だが、その正体は紫亜の目付役である悪魔。紫亜の過去に何があったかを全て知っている存在。人間体になることもあり、その際は胸元に鈴をつけた金髪の美青年となる。
御手洗 大 (みたらい ひろし)
樋口湖太郎のクラスに転向してきた小学6年生の男子。全国模試でいつも自分の上位位にいる綾小路天のことをライバル視しており、転校してきたのもそれが理由。家は名家であり、次期当主としてふさわしい人間となるべく自分を鍛えている努力家でもある。美紗に一目ぼれするが、あまり顧みられてはいない。 その名前から、綾小路天には「ウンコ」と呼ばれることがある。
御手洗 薫 (みたらい かおる)
御手洗大の妹である小学生の少女。綾小路天に一目ぼれし、何かとアプローチをかけている。メジャーの目盛り状の模様が入ったリボンが特徴で、薙刀と菓子作りが得意。
早紗 (さしゃ)
美紗の姉である天使の少女。美紗と違って見習いではないため、特別な存在である樋口湖太郎などを除く人間の目には見えず、触れることもできない。金髪と白い服、てるてる坊主のような髪飾りが特徴。
小太郎 (こたろう)
樋口湖太郎の大伯父にあたる青年であり、太郎の息子。湖太郎の前世でもある。幽霊や他人の死期が見えてしまう体質のため、不吉な存在として村から一家ごと迫害を受けていた。その体質のため、本来人間には見えない天使である美紗を見ることができ、親しくなる。
太郎 (たろう)
会津若松に住んでいる、樋口湖太郎の曽祖父である男性。高齢でかなり体調は悪くなっている。事故により記憶をなくした状態で人間界に来ていた紫亜と関東大震災の混乱の中で駆け落ちし、小太郎や志乃といった子を儲けるが、紫亜の体質から別れを余儀なくされる。
紫乃 (しの)
樋口湖太郎のいとこに当たる6歳程度の少女。「たのしいぅ」など、語尾に「ぅ」をつける独特の喋り方が特徴で、引っ込み思案な性格。母親がおらず、父親が入院しているため、曽祖父の太郎の家に預けられていたが、太郎の具合が悪くなったために湖太郎の家で預かることになった。霊感のようなものがあり、紫亜のことを恐れている。
志乃 (しの)
樋口湖太郎の祖母に当たる女性で、太郎の娘、小太郎の妹。現在は故人となっている。小太郎の他人の死期が見える力のせいで一家が村八分に遭っていても弱音を吐かない芯の強さを持つ。
場所
tricot
『ぴたテン』に登場する喫茶店。綾小路天の親戚が経営しており、紫亜がウェイトレスとして働くこととなったことで、樋口湖太郎たちが寄るようになる。