概要・あらすじ
自分が女の子だと思っている青木裕太、死んだ姉を演じる木島亮介、好きになった先輩のために女物の服を着た田村修。3人の女装少年は、出会った時はじめて、女装のきっかけはバラバラなことを知る。青木裕太は自分の性に正直になるために、学校に女子として通うようになる。木島亮介は病んだ家族から解放され、自分を見つけるためにもがく。
田村修はただれた性から逃れ、トラウマを克服する。それぞれの戦いの中で、男女の性別問わず恋が芽生えていく。
登場人物・キャラクター
青木 裕太 (あおき ゆうた)
木島亮介と同じ学校で、幼なじみの後藤あかねと同じ料理クラブ。自分の本来の姿は女性で、男であることに違和感を覚える、自己の性の不一致を抱えた少年。恋愛対象は男性。髪を伸ばして少女らしい外見をしており、一人称は「私」。昔は「おかま」と呼ばれいじめられたこともある。普段は少女漫画が好きで、人形とのメルヘンな妄想に浸るロマンチストだが、田村修に性的に迫られて以来、自分の性が目覚めてしまい、苦悩する。 女装仲間だった夏目智には相談に乗ってもらう事が多く、彼の姉の助けがあって初めて病院で自己の性の不一致を告白。その後は学校に正式に「女子」として、女子制服で通うようになる。 田村修に強く惹かれており、彼のトラウマを深く心配している。
木島 亮介 (きじま りょうすけ)
青木裕太とは同じ学校。交通事故で死亡してしまったファッションモデルの姉木島唯のことで、精神を病んでしまった母親木島妙子の心を緩和させるために女装を繰り返している。そのため着ている服は木島唯の遺品で、言動もなるべく真似るようにしている。基本的には女装することを好んでいない。 姉をマネてツインテールのウィッグをつけており、一人称は「俺」で、女装時は「うち」。普段は男らしい性格と見た目をしており、怒ると殴りつけることもある。男友達は多く、小学校3年生からの幼なじみの蜂谷美紀とも交際、男子生徒として普段は生活している。心の奥底で木島唯のようになりたかった、母親に見てもらいたかった、という思いが強くある。 心が女性である青木裕太を恋愛対象として見るようになっていく。
田村 修 (たむら おさむ)
かつて好きになった渋谷龍彦の要望で、女装して性行為に応えているうちに、女装し続けるようになった。黒髪ロングのウィッグとメガネをつけており、渋谷龍彦と交際・性行為しているときは必ず女装をしている。前世はメガネをかけた色情狂だった、という設定を作って心を守っていた。 幼少期に柴田剛士という大学生の男性に、女装をさせられ、性的いたずらをされたのがトラウマになっており、記憶を封印していた。常に「どうでもよくなりたい」と願っており、渋谷龍彦とのセックスを気分転換にしていたが、青木裕太といた時にフラッシュバックで嘔吐してしまう。 自分に厳しくしてくれる木島亮介に惹かれている。
夏目 智 (なつめ さとし)
青木裕太や木島亮太と同じ学校で、登校する際も女装している自由人。母子家庭で家族は女性だらけだったため、性についてあまり深く考えておらず、男・女のどちらかであることが大事だと考えていない。男性・女性どちらも恋愛対象。青木裕太の恋愛対象が男性であることを知ってからは女装をやめ、男子制服を着るようになった。 時々みんなの前で変態的な発言をするため、無視されることも多い。
後藤 あかね (ごとう あかね)
青木裕太の幼なじみ。おかっぱで活発、いろいろよくしゃべり、お互い気のおけない関係を築いている。基本的に誰に対しても対等に接し、空気を読もうとしない明るい性格。裕太の性の悩みや、3人の女装の葛藤について理解してくれる仲間のような存在。私服を貸してあげることも多い。 他人からの偏見を退け、特に青木裕太への誹謗中傷へは憤りを感じている。かつては青木裕太と付き合っていると噂され嫌がっていたが、今は田村修を「タムリン」と呼んで、傷心気味の彼に惹かれるようになる。料理クラブ所属。
蜂谷 美紀 (はちや みき)
木島亮介とは小学校3年生からの幼なじみ。男の子になりたい、とやんちゃに過ごしていたが、中学校に入ってから、彼の告白で付き合うことになった。亮介が女装をしていることを知り、それを打ち明けてくれないことに苛立ちを感じて青木裕太から話を聞き出そうとする。亮介の家に直接行った時に、精神的に病んでいる母親と家庭の惨状を知り、話してもらえなかったことにショックを受ける。
渋谷 龍彦 (しぶや たつひこ)
田村修に告白された時、同性愛者ではないので女装してるのなら付き合ってもいい、という条件付きで、彼と性関係を持つようになる。現在は高校生で、不登校。汚れた部屋に引きこもり、田村修に対して暴力的な行動を取ることが多く、自暴自棄な修との関係がだらだらと続いている。
木島 唯 (きじま ゆい)
木島亮介の姉。ファッション雑誌の人気モデルで、家族自慢の娘だったが、交通事故で死亡。以来、母の木島妙子は精神を病んでしまい、木島亮介が彼女のトレードマークのロングのツインテールのウィッグをかぶって女装している。時折、幻想のように亮介の前に現れては消える描写がある。
木島 妙子 (きじま たえこ)
交通事故で死んでしまった木島唯のことが忘れられず、精神を病んでしまった。これを緩和するために、木島亮介は唯の格好で女装を繰り返している。
浅川 舞 (あさかわ まい)
青木裕太の一年後輩。父の浮気が原因の離婚と、母親の再婚への嫌悪などで、男性不信をこじらせ、恋愛で誰かにふりまわされたりしない、と誓う。成績優秀で、一年生の新入生代表を務める。青木裕太に対してだけはなぜか心を打ち明けることができ、相談を繰り返すうちに恋をする。
柴田 剛士 (しばた たけし)
田村修が幼少期に仲の良かった大学生のお兄さん。彼に女装をさせ、性的いたずらをしていた経験がある。交通事故で死亡。
夏目 槇 (なつめ まき)
夏目智の一番上の姉。普段からお酒をよく飲んでいる、看護師。自己の性の不一致を抱えた青木裕太に、親身になって相談に乗ってくれて、病院に行くことを勧めてくれた。
夏目 希 (なつめのぞむ)
夏目智の二番目の姉。大学生で非常によくモテる。
夏目 歩 (なつめあゆむ)
夏目智の三番目の姉。高校生で、コスプレをやっていてメイクに詳しい。夏目智の家に青木裕太が遊びに行った時、徹底したメイクを施す。裕太の自己の性の不一致に関して、病院に行くことを勧める。彼女が居る。
青木裕太の母 (おおきゆうたのはは)
青木裕太には非常に優しく、後藤あかねをはじめ、みんなとの交友関係を見守っていた。裕太が病院へ行って性同一性障害であることを打ち明けた時、今までなんとなくわかっていたこと、男でも女でも裕太が好きであることを彼に話す。
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