まっすぐな道でさみしい-種田山頭火外伝-

まっすぐな道でさみしい-種田山頭火外伝-

明治、大正、昭和の時代を生きた俳人、種田山頭火の伝記漫画。「今度こそやり直そう」と幾度も決意するが、酒に溺れて失敗を繰り返す種田山頭火。周囲の人々の困惑、妻子らの思い、友人たちの励ましを描く。基本的に実話をもとにしているが、作者オリジナルのエピソードも織り込まれている。おりに触れ、山頭火の句が挿入されるが、そのシーンにあった句を選択しており、発表順ではない。句は、書家の諏佐玄麟が書いており、各巻末に解説とともに、その句が選ばれた理由も記載されている。また、なんの前触れもなく現代と山頭火の生きた時代を交差させる構成である。

正式名称
まっすぐな道でさみしい-種田山頭火外伝-
作者
ジャンル
自伝・伝記
レーベル
モーニングKC(講談社)
巻数
全5巻完結
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概要・あらすじ

山口県の豪農・「大種田」家の跡取り息子として産まれた種田正一は、10歳のとき父の放蕩で母の自殺に遭う。以来、その母の位牌を持ち歩き、「父のようになりたくない」と足掻くが、自身もまた酒に溺れ、家庭を放棄、最後は出家していく。そんな種田がどんな苦境にあっても唯一打ち込んだのが俳句で、自由律と呼ばれる形式にこだわらぬ句は当時から評価が高かったが、それで暮らしていけるわけもなく、主に経済的な鬱屈や現実の様々な規律は、種田を悩まし、酒に走らせるのだった。

登場人物・キャラクター

種田 正一 (たねだ しょういち)

明治15年、山口県生まれ。後に「山頭火」の俳号を持つ俳人。10歳のとき母を自殺で亡くし、以来女性に、ひいては人間の感情にコンプレックスをもつ。文芸同人に参加した大学生時代から、俳句に優れた才能を発揮する。東京に進学するも、実家が父の放蕩で傾いたため、一時帰郷。 その際、佐藤咲野と結婚。実家の再建を図り酒造元となる。そこで一人息子の種田健を得る。しかし管理の甘さから一本の酒も世に出せず、莫大な借金を抱えて熊本へ夜逃げ。しかしそこでも、俳句への未練、人間不信から相変わらずの酒浸りの日々を送り、一念発起して単身上京するが、そこで関東大震災に遭い、衝撃とともに妻子の元に戻る。 しかし、やはり酒浸りになり、結果的に鉄道自殺未遂を引き起こす。土地の有力者、義庵和尚に助けられ、悟りを得るべく出家。家庭を捨て、雲僧として各地を巡り、発句した名作が現在でも読み継がれている。

矢野 春彦 (やの はるひこ)

29歳独身。「金なし女なし、仕事も冴えない3ないン社員」と自虐する会社員。大学時代、映研サークルに所属。サークルの先輩の沢木から種田山頭火の句集を紹介され、四国、愛媛県まで山頭火の旅あとを沢木と訪れる。

沢木 奈保 (さわき なほ)

バツイチ30歳。独身。中学校の国語教師。ドツボにハマったときに種田山頭火の句に力づけられ、以来、山頭火の生き方に興味を持つ。大学時代、映研サークルでは「退かずの姉御」と異名を持っていた。別れた夫には微妙に未練がある。そのことが交際していた男性にばれ、破局。 それを生徒の前で授業中告白し、自ら笑いものになることで山頭火の生き方を実践する。

種田 咲野 (たねだ さきの)

旧姓佐藤。種田正一の妻。息子に種田健がいる。正一から借金のかたに売り払われようとされても、「正一さんのすることだから」と夫を信じ続ける。それが正一を甘えさせ、酒を飲んで荒れても許されるという理由になると実の兄から指摘される。しかし、最後まで「正一の妻」である自覚を持ち、支え続けた。 正一の行動を理解できないが納得してついていく。

種田 健 (たねだ けん)

種田夫婦の一人息子。最初は父を慕っていたが、母にかける苦労を知り、震災から帰宅した頃にはすっかり軽蔑していた。しかし、寺で何かを摑もうとひたすらな父の姿をみて、「ぼくは父さまみたいにゃなりたくなかばってん……父さまのこつは大好きたい!」と別れ際に叫ぶ。雲水となって軒先に現れた種田正一に、「もう戻ってこないつもりだと」理解して風車を餞別として渡す。 それが二人の最後の交わりとなった。正一は健の結婚式にも現れず、満州の鉱山技師となった健からの手紙を読んで今更ながらに人生を悔いるのだった。

種田 フサ (たねだ ふさ)

種田正一の母。登場は比較的少ないが、少年・種田正一に自殺という生涯のトラウマを残す。「負けてられませんからな」が口癖だったが、結局、主人の浮気相手が妊娠したことが引き金で井戸に飛び込んだ。

種田 竹治郎 (たねだ たけじろう)

種田正一の父。放蕩につぐ放蕩で種田家を傾かせた張本人。醸造元になったときには全ての借金を正一名義に書き換えて遁走。以後、行方知れず。10数年後どこかでのたれ死んだという噂だけが正一に届く。

美津 (みつ)

種田山頭火とは文芸同人誌「青風会」で知り合ったフェミニスト。山頭火の名付け親にして、いち早くその才能を見抜き、その才能を自分のものにせんと操を捧げるも、山頭火が極度のマザコンだと知り、幻滅。一夜限りの仲になる。その後、山頭火の句が掲載された雑誌を持って、帰郷した山頭火を訪ねるがすげなくされ、完全に失恋して帰京。 山頭火は本能とも言える感受性の鋭さで、美津の恋心には何か「裏」があると感じていた。

有富 二郎 (ありとみ じろう)

種田正一と5つちがいの弟。7歳のときに種田家の親戚・有富家にもらわれて行った。しかし、正一の父の借金の肩代わりや、正一の無頼ぶりに愛想をつかされ25年続いた養子の縁を切られる。鬱屈した感情を熊本で正一一家にぶつけるも、やがて和解したように見えたが自殺。 遺書の最後「兄ちゃこそ、俺の尊敬する憧れの男じゃった」の文面に絶句する正一。以後、山頭火は母と弟の位牌を持って歩くようになる。

ハル

種田家が夜逃げした先の近所の飲み屋。「HARUバー」を営業。威勢のいい美人。実は性同一障害者で男である。背中に蜘蛛の彫り物がある。人前で泣いたのは種田山頭火の前でだけ。山頭火の言葉の力を実感し、同じ哀しみを持った人種として山頭火と信頼関係になる。

木村 兎糞子 (きむら とふんし)

大牟田に住む医者だが、俳人でもある。種田山頭火の句に傾倒しており、尊敬している。最後まで種田一家のことを見守る。初対面で山頭火の人柄を見抜く観察眼を持っており、東京行きの金を貸すことになる。

竹下 夢二 (たけした ゆめじ)

実在の画家、グラフィックデザイナーである竹下夢二がモデル。東京で、種田山頭火は友人とアトリエを訪ね、一目で夢二のモデルが目の前にいる女性ではないと看破。後に夢二は自分の悲恋の物語を山頭火に打ち明ける。

尾崎 放哉 (おざき ほうさい)

実在の俳人、尾崎放哉がモデル。種田山頭火と並び称される破滅型の人物。動の山頭火、静の尾崎と後に比較される。山頭火は友人の木村の手配で、尾崎に会うべく雑誌「層雲」編集部に出向くが、そうとは知らず、階段でぶつかる。直後、山頭火は放哉の放つ気の強さに押されて動けなくなる。 放哉は放哉で、鳥肌が立つような感じを味わう。

義庵和尚 (ぎあんおしょう)

市電に飛び込もうとして騒ぎになった種田山頭火の身柄を預かった報恩寺の徳の高い和尚。町の皆に慕われている。山頭火が自分を見つめ、一切の甘えを断つ場面を見守る。山頭火の出した答えは種田正一を捨てることだった。山頭火に種田耕畝の法名を授ける。

書誌情報

まっすぐな道でさみしい :種田山頭火外伝 全5巻 講談社〈モーニングKC〉 完結

第1巻 種田山頭火外伝

(2003年7月発行、 978-4063288964)

第2巻

(2003年11月発行、 978-4063289114)

第3巻

(2004年3月発行、 978-4063289398)

第4巻

(2004年6月発行、 978-4063289626)

第5巻

(2004年8月発行、 978-4063289770)

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