ホテル探偵DOLL

ホテル探偵DOLL

「ホテル探偵」を生業とするドールが、「サンライズ・ホテル」をはじめとする、世界中のホテルで起こるさまざまな事件やトラブルに立ち向かっていく姿を描いたミステリーアクション。「ビッグコミック増刊」に掲載された作品。

正式名称
ホテル探偵DOLL
ふりがな
ほてるたんていどーる
作者
ジャンル
探偵
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

大統領到着前

世界中を飛び回っている謎多き美女のドールは、ホテルで起こるさまざまな問題を解決する優秀な「ホテル探偵」として活躍している。アメリカのサンライズ・ホテルを中心に、ホテルに関するさまざな任務にあたるドールは、世界を股にかけて各地の系列ホテルで依頼をこなしていた。そんなドールは、サンフランシスコにあるサンライズ・ホテルで、大統領の宿泊に備えて警備を任されることになった。ホテルの屋上までやって来たドールは、総支配人のサイモンと対面してホテル内を案内されるが、宿泊客の中に食中毒で倒れている男性を発見。しかし、マスコミに騒がれて大統領が別のホテルに泊まることになるのを恐れたサイモンは、救急車を呼ばないで欲しいとドールに懇願する。ドールは仕方なく、宿泊客の名簿を頼りに泊まっている客の中から医者を探そうとする。だが、なかなか医者が見つからない中、内科医のコンラッドの部屋を訪ねるが、そこにいたのはコンラッド本人ではなく謎の暗殺者の男だった。そして、本物のコンラッドが殺されていることに気づいたドールは、暗殺者を素早く仕留めることに成功。コンラッドを殺したのは、五人もの重要人物を暗殺しているプロの暗殺者だと判明し、食中毒を起こした客の容態も落ちつく。しかし、その暗殺者がどうやってホテルにライフルを持ち込んだのかは不明で、新たな事件の予兆を感じ取ったドールは、サイモンにまだ気を抜かない方がいいと注意をうながす。その夜、ある人物こそが大統領の命を狙う本命の暗殺者だと気づいたドールは、準備を整えたうえで敵のもとへ向かう。

フォッグ・ホテル

「ホテル探偵」として活躍するドールが新たにやって来たのは、スコットランド最大のローモンド湖の近くにある「フォッグ・ホテル」。緑なす湖岸と島々の美しさで知られるローモンド湖を眺望できる優雅なこのホテルは、もともとの持ち主であるワイルダーからサンライズ・ホテルに買い取られたばかりだった。しかし、サンライズ・ホテル本社から支配人を任されたチューピンは、ここ最近部屋に銃弾を撃ち込まれたり、シャンデリアが落下する事故に巻き込まれているという。今回のドールの任務は、本社からやって来たカーボと共に、フォッグ・ホテルで起こっているトラブルと謎を解決することだった。一方、湖のほとりでは、恋人のエディと駆け落ちしてやって来た女性客のクララが、彼と二人きりで過ごしていた。しかし謎の二人組が、クララとエディをボートで湖の向こう側へさらっていく。その報告を受けたドールたちは、さらわれたクララが石油王、ローゼンタールの令嬢だと知る。誘拐犯から身代金要求の連絡を受けたドールは、急遽(きゅうきょ)ホテルにローゼンタールを招いて報告したあと、ひとまず彼らと共に誘拐犯からの指示を待つことにする。そして誘拐犯からの電話に出たローゼンタールは、犯人の声がいっしょにさらわれたはずのエディの声に似ていたと言い出す。ローゼンタールの言葉に違和感を覚えながらも、さらわれた人質を救うべく、ドールは彼の代わりに誘拐犯のもとへ一人で向かうことになる。しかし、誘拐犯が潜む山小屋に着いてからも、誘拐犯たちの不自然な行動を見て何かを察知したドールは、彼らに身代金を渡したあとで小屋の中から出て来たエディに遭遇する。拳銃を構えて警戒するエディをなだめようとした瞬間、ドールの後ろからついて来ていたローゼンタールが、エディを拳銃で撃ってしまう。

帝王の罠

ドールサンライズ・ホテルのグループ会長を務めるロードハイムの護衛のため、ハワイのホノルルに来ていた。空港でFBI捜査官から殺し屋が潜んでいると伝えられたロードハイムは、安全のためにボディーガードの要請を提案されるもその申し出を断り、そのままホノルルにある系列ホテル「ホノルル・サンライズ」に向かうことになる。FBI捜査官から殺し屋が四、五人ほどいると聞いたドールは、武器を強化したうえで殺し屋を警戒しながら行動する。一方、ロードハイムは車で迎えに来た息子のサイラスから、ホノルル・サンライズの経営状態が悪化していることを聞きながら、安全のためにドールの指示でホテルの裏口から入ることにする。警戒を怠らないドールだったが、ホテル内のエレベーター前で早くも殺し屋の一人に遭遇し、その殺し屋を見たサイラスは、ライバルホテルの「ワイキキ・スクエア」が雇った殺し屋だと確信する。ロードハイムはあらゆる手段を使ってでも、ワイキキ・スクエアに反撃するよう指示を出すが、伝統あるホテルとして知られるサンライズ・ホテルにとっては、常連客を失いかねない危険な賭けでもあった。そんな中、ロードハイムは早朝に役員会議を開くことをサイラスに告げたうえで、その夜は地下のバーでバーテンダーとして雇っているクレランスと共に楽しい時間を過ごしていた。久々にクレランスに会ったロードハイムは上機嫌で酒を飲んでいたが、となりに座っていたドールが注文を終えた次の瞬間、背後の席から殺し屋の銃弾がロードハイムを襲う。すぐに対応したドールは、クレランスと協力してロードハイムをなんとか守り切るが、まだ五人目の殺し屋が潜んでいるかもしれないという油断できない状況が続いていた。次の日の早朝、予定どおり開かれた役員会議でメインバンクからも見放され打つ手がないとサイラスから報告を受けたロードハイムは、息子や役員たちに呆(あき)れながらもある人物を呼び出し、昨日から起こっていた事件の真相を語り出す。

登場人物・キャラクター

主人公

凄腕(すごうで)の「ホテル探偵」として活動している女性。本名や年齢は不明。「サンライズ・ホテル」を経営する大企業「サンライズ・ホテルグループ」直属のホテル探偵で、会長のロードハイムから厚い信頼を寄せら... 関連ページ:ドール

ロードハイム

「サンライズ・ホテル」グループの会長を務める老齢の男性。口ヒゲと顎ヒゲを生やしている。一代でサンライズ・ホテルグループを築き上げ、世界中で有名な大企業に導いた、強運と才能に恵まれた優秀な実業家。類い稀(まれ)な経営手腕と独自の哲学を持ち、少々頑固で傲岸な性格をしているが、自らが経営するホテルには強い情熱を抱いている。ホテル探偵として雇っている謎多き美女、ドールのことを不思議に思いながらも、彼女の指示や助言には信頼や期待を寄せているため、素直に従って彼女からも信頼されている。イギリスのバーミンガム郊外にある古城を買い取り、美しい自然に囲まれたままの状態でホテルに改装するためにドールを連れて契約に向かう。古城の主である男爵が仕掛けていた爆弾によって死にかけるが、ドールの作戦が功を奏して無事に逃げることに成功し、古城を立派なホテルにすることを決意した。その後もドールと共に世界中を回り、彼女には自分の用心棒や各ホテルの保安チェックを中心にさまざまな仕事を依頼している。息子のサイラスに任せているハワイの系列ホテル「ホノルル・サンライズ」の視察に赴いた際に、複数の殺し屋から命を狙われる羽目になるが、ドール以外のボディーガードを雇うことは拒否していた。実は高齢なため仕事の引退を本気で考えており、経営状況が悪化したホノルル・サンライズの役員と、サイラスが自らの跡取りにふさわしいかを試すため、ライバルホテル「ワイキキ・スクエア」の社長、エベレットに、あらゆる手段を使ってホノルル・サンライズを追い込むよう依頼していた。さらには自らの命を狙う殺し屋の派遣や、FBIへの通報をエベレット依頼することで、長年築き上げてきたロードハイム帝国の帝王としての自分の強運を、命懸けで試していた。15番目に作ったホテルであるホノルル・サンライズへの思い入れは強く、大切に思う一方で、潰れる運命にあるなら自らの手で終わらせる覚悟を決めていた。このように何事にも命を懸けて挑む気質や情熱は、よき理解者の一人であるドールすらも驚かせている。

ローゼンタール

石油王として知られる中年男性。愛娘のクララが、恋人のエディと駆け落ちしてスコットランドのローモンド湖近くにあるホテルに宿泊していた際、何者かによって彼女が誘拐されたという報(しら)せを受け、別のトラブルでホテルに訪れていたドールたちと対面する。犯人の要求どおり身代金を用意してクララの救出をドールに一任するが、犯人との電話でクララの安否を確認しないなど、言動や行動には不審な点が多い。実はクララと駆け落ちしたエディのことを快く思っておらず、彼を誘拐犯に仕立て上げたうえで銃殺するという計画を立てていた。

チャーリー・ブラウン

フリーの「ホテル探偵」を生業とする男性。ドールの師匠でもある。ニューヨークに住んでいたが5年前に突然ホテル探偵を辞め、ドールを置いて街を去って以来、長らく行方知れずになっていた。わけあって久しぶりにニューヨークに戻り、サンライズ・ホテルの系列ホテルで、ドールと再会を果たす。ドールが世話になっている仕立て屋のボブとは旧友。

サイラス

ロードハイムの息子。ハワイのホノルルにあるサンライズ・ホテルの系列ホテル「ホノルル・サンライズ」を任されている。近所のライバルホテル「ワイキキ・スクエア」の猛攻もあって、父親のロードハイムから任されたホノルル・サンライズの経営が悪化している状況に悪戦苦闘している。ホノルル・サンライズの視察に来たロードハイムを狙う殺し屋が、ワイキキ・スクエアの仕業だと確信するも、打つ手のない状況に苦悩していた。のちにワイキキ・スクエアに経営を追い込まれたことや、暗殺者がロードハイムを狙っていたことも、すべてサイラスが跡取りにふさわしいかを試すため、ロードハイムが仕掛けた罠だと知り、素直に敗北を認めてホノルル・サンライズをワイキキ・スクエアに引き渡すことになる。命懸けで挑んできたロードハイムの意気込みと手腕を認めつつも、いずれ戻って来て彼にリベンジすることを宣言し、ホノルル・サンライズを去った。

クレランス

サンライズ・ホテルの系列ホテル「ホノルル・サンライズ」の地下にあるバー「ジョージ五世」で、バーテンダーを務める男性。鍛え抜かれた筋肉質な体格で、気さくな江戸っ子口調で話す。46年前にロードハイムがニューヨークに小さなホテル会社を創業した時から、バーテンダー兼ボディーガードとして雇われており、彼からの信頼は厚く、彼の酒の好みも熟知している。ロードハイムからはかなりの暴れん坊と評され、特にナイフの腕に優れている。ホノルル・サンライズの視察に来ていたロードハイムと久しぶりに再会を果たし、彼を狙った殺し屋にアイスピックを投げつけてロードハイムを守り抜いた。

ママ

日本の京都にあるサンライズ・ホテルの系列ホテルに訪れていた、日本人の中年女性。銀座のクラブでホステスをしている。黒髪で両耳に丸いイヤリングを付けている。行く先々で見かけた美女にホステスにならないかとスカウトしている。職場の同僚たちと共に旅行で宿泊していたところ、保安状況チェックのためにホテルに訪れていたドールに遭遇し、浴場で会った彼女をスカウトする。実はドールの実母であり、差出人不明の手紙を彼女に送り、待ち合わせ場所を清水寺に指定したうえで娘と会うつもりだった。浴場で直接話を聞いた時に、ドールがかつて捨てた自分の娘であることを確信した。それ以来ドールのことを気にしながらも、自分が母親だと打ち明けることはできず、酒を飲んで周囲に八つ当たりするなど気持ちが落ち着かずにいた。ホテル内に潜んでいた殺人犯によって火事が起こり逃げ遅れていたところを、ドールに救出される。次の日には清水寺でドールと再会し、助けてくれたお礼を言うものの、母親と名乗ることはできないまま彼女に別れを告げた。

場所

サンライズ・ホテル

アメリカのサンフランシスコにある巨大ホテル。地上70階で客室数4000、収容人数6000名を誇る世界一のホテルとして有名。会長のロードハイムが経営するサンライズ・ホテルグループはヒルトンや、シェラトンと並ぶ世界三大ホテルチェーンの一つで、世界70か国の主要都市に150以上の系列ホテルを運営している。

SHARE
EC
Amazon
logo