美しビルの解かない探偵

不思議なビルに居を構える探偵は、あえて謎を解かず真実を明らかにしないが、ただ美しく事件を終わらせる。さまざまな事件に巻き込まれながら、それらを独自の美意識で強引にねじ伏せていく、謎多き探偵の活躍を描いた耽美ミステリー。「ASUKA」2019年7月号から連載の作品。

正式名称
美しビルの解かない探偵
ふりがな
うるわしびるのとかないたんてい
作者
ジャンル
探偵
レーベル
あすかコミックスDX(角川書店(角川グループパブリッシング))
関連商品
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あらすじ

第1巻

探偵が身支度を整え、朝の優雅なひと時を過ごそうとした矢先、うるわし探偵社の電話が鳴る。それは、「上(うえ)」と呼ばれる存在からの仕事の依頼だった。優雅な時間を邪魔された探偵は無視を決め込もうとするが、執拗な電話のベルに根負けしてしぶしぶ依頼を受諾。朝の一服を楽しんだのち、エレベーターガールにうながされ、12階へと向かう。探偵が12階でエレベーターを降りると、そこは岸壁に立つ洋館の前だった。なかなか趣があると機嫌を直した探偵が洋館に入ると、まさにその時、館の主人である老人がワインを飲み、息子や娘たちの前で胸をかきむしりながら息絶える。そんな中、探偵は挨拶もそこそこに、洋館にある美術品の物色を開始。一方の息子・娘たちは、突然現れた探偵に不信感をあらわにする。そして、探偵ならばこの事件を解明してみせろという息子・娘たちに対し、探偵は「1時間でこの事件を終わらせる」と宣言。だがそれは、謎を解いて真犯人を特定するという意味ではなかった。それを知っていきり立つ息子・娘たちに対し、事件のおおよその概要を見極めた探偵は、真相を解明せずに事件を終わらせた方が、あなたがたのためになるのではないかと言い放つ。(第1階「毒と景徳鎮」。ほか、4エピソード収録)

第2巻

「上(うえ)」との電話で探偵は、南の島のリゾートでなければ、次の依頼は絶対に受けないとまくし立てていた。電話はそのまま切られてしまうが、次の瞬間、助手の織部新六郎とトランプを楽しんでいたエレベーターガールが突如立ち上がり、南の島へ招待すると、探偵と新六郎をエレベーターに誘う。二人がエレベーターを降りると確かにそこは南国の浜辺だったが、リゾートではなく無人島であった。そんな中、探偵のわがままに振り回されながら島を探索するうちに、新六郎は刃物や焚火のあとなど、この島に人がいた痕跡を見出す。そしてさらなる探索の末、新六郎は島で一人の男性に出会うのだった。男性は思い出のあるこの島に住んでいるのだと語り、二人にウミガメの肉で作ったというスープを振る舞う。同時に男性が自身の体験談として語った内容は、友人と二人でこの島に遭難したが、最終的に自分一人のみが生き残ったという、水平思考ゲーム「ウミガメのスープ」の話に酷似した内容だった。ゲームの真相を知っていた新六郎は青ざめるが、そんな彼をよそに、探偵は男の体験談について、「ウミガメのスープ」の話とはかけ離れた別の見解を、白々しい口調で語り出す。(第7階「ウミガメとトム・ソーヤ」。ほか、6エピソード収録)

登場人物・キャラクター

探偵 (たんてい)

「うるわしビル」に居を構えるうるわし探偵社で探偵を営む青年。黒髪ショートヘアで、均整の取れた体型をした美形。「完璧な美」を求める独自の美意識の持ち主で、うるわし探偵社の中はアンティークの美術品で飾られている。また、うるわしビルの各階がつながっている事件現場には、毎回スーツやタキシードなど、きっちりとした正装で赴く。「醜い真実には興味がない」と公言し、真実を明らかにするためではなく、ただ自分が美しいと考える形で終結させるためだけに事件に臨んでおり、犯人を特定して糾弾することはない。それにより、事件を終わらせたあとに新たな悲劇を招くこともあるが、探偵自身はそれも自然の成り行きとしていっさい気にしておらず、そういった点が、助手の織部新六郎とは決定的に考え方が合わない。一方で頭の回転は非常に速く、状況から瞬時に事件の概要を把握するだけでなく、ハッタリで状況を意のままに進めることも得意としている。なお事件に臨んだ際は、現場にあった美術品などを報酬としていただくことが多い。

織部 新六郎 (おりべ しんろくろう)

うるわし探偵社で、探偵の助手を務める学生の青年。年齢は19歳。銀髪のショートヘアで、眼鏡をかけている。幼い頃にTVアニメで見た名探偵にあこがれ、以来24時間365日、探偵になるという夢のために勉強を重ねてきた。だが、面接を受けに行った探偵社で、いわゆる名探偵はフィクションの存在であり、実際の探偵業は浮気調査や人捜しなどの地味な仕事であることを知る。愕然としていたところでエレベーターガールの持っていた求人のチラシを見て、うるわし探偵社を訪れ、探偵の助手となった。ちなみにこれらはすべて、探偵に「上(うえ)」と呼ばれる存在の差し金である。探偵になるための勉強をし続けてきたため知識が豊富で論理的、事件にも前のめりでかかわっていくが、実際の推理力はそれほどではなく、探偵本人には非常にうっとうしがられている。また、織部新六郎自身も、「謎を解かない」と公言するマイペースで身勝手な探偵に対し、不信感を抱いている。当初はすぐに探偵の助手をやめるつもりだったが、エレベーターガールに、活躍の暁には探偵に成り代わり、新六郎自身がうるわし探偵社の主になれるとそそのかされ、助手を続けることとなった。そして、探偵に振り回されたり突っ込みを入れたりしながらいっしょに事件に臨むうちに、彼に対し妙な信頼感・親近感を覚えるようになっていく。

エレベーターガール

うるわし探偵社がある「うるわしビル」の、エレベーターガールを務める女性。スレンダーでスタイル抜群の色黒の美人。極端に人当たりがよく明るかったり、話しかけても取り付く島がなかったりと日によって性格が変化するほか、外見も細部が微妙に異なっていたりと、同一人物なのかどうか不明。また、時に探偵と親し気な様子を見せるエレベーターボーイになることもあるなど、謎多き人物。ふだんは探偵と、彼に仕事を依頼する「上(うえ)」と呼ばれる存在を仲立ちしており、エレベーターで探偵を事件現場へといざなう役割を担っている。

場所

うるわし探偵社 (うるわしたんていしゃ)

歌舞伎町にある「うるわしビル」に居を構える探偵社で、探偵が暮らしている場所でもある。室内は探偵の美意識にのっとったアンティークで飾られている。対外的に依頼を募集しておらず、ここにいる探偵への依頼はすべて、「上(うえ)」と呼ばれる存在から持ち込まれる。うるわしビルには、各階がそのまま事件現場へとつながっている、まるで明治時代のような黄金のエレベーターがあり、探偵は「上」の指令を受けてエレベーターに乗って、エレベーターガールの導きのもと、うるわし探偵社から直接事件現場へと向かうこととなる。ちなみに探偵は、このうるわし探偵社と、エレベーターがつながる各階の事件現場にしか行くことができず、うるわしビルから外に出ることはできない。一方で、助手の織部新六郎など探偵以外の人物は、「上」の都合に応じて自由に出入りが可能となっている。ちなみに、うるわしビルは外見からは3階程度の高さしかないが、エレベーターの階層は20階まである。

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