概要・あらすじ
高校時代、インターハイ予選で惜しくも敗退した海月愛梨は、その時に投げられたタオルをとても大事にしていた。その後、愛梨は出版社に入社し編集者として仕事に打ち込んでいたが、突然、男性誌から女性誌「プチ・マガジン」への異動を言い渡されてしまう。ある日、撮影でプールを訪れていた愛梨は大事なタオルをプールサイドに忘れてきたことに気づく。
慌てて取りに戻ると、1人黙々と泳いでいた男性にうっかりタオルごと愛梨は水中へ引きずりこまれてしまう。男性は好みのタイプだったが、つい反射的に平手打ちを食らわせ、愛梨は自己嫌悪に陥るのだった。翌日、配属先のオフィスでばったり出会ったのはまさに昨日の男性で、彼こそが社内で「噂の叶さん」の異名で知られる有名人の叶雄星だった。
こうしてお互いに最悪の印象を抱いたまま、愛梨は雄星のサポート業務を担当することになる。
登場人物・キャラクター
海月 愛梨 (みづき えり)
神保出版に勤務している、27歳の女性編集者。以前は男性誌の担当だったが、異動になり女性誌「プチ・マガジン」を担当することになった。大学時代に知り合った戸田雛子、長沢唯とともに唯の両親が営む喫茶店の2階で暮らしている。職場では仕事を覚えるのがとても早く、またアクティブな姿勢が編集長から高く評価され、仕事に厳しく「噂の叶さん」の異名を取る叶雄星からも、有能な助手として認められている。 かつては水泳の選手として高校のインターハイにも出場するほどだったが、坂井洋子に実力の差を見せつけられてからは水泳の道を諦めてしまった。
叶 雄星 (かのう ゆうせい)
海月愛梨と同じ神保出版に勤務している20代後半の男性。神保出版刊行の女性誌「プチ・マガジン」で大人気の「ifシリーズ」を担当しており、この記事が掲載される号の売上は通常の何倍にも跳ね上がる。編集者としては社内でも屈指の実力を誇る一方で、事務処理能力は皆無のため、経理部からは常にクレームをつけられている。「プチ・マガジン」に配属された愛梨に補佐としてサポートについてもらうことが多くなり、特に事務作業について助けられている。 学生時代、横浜体育大学の水泳部に所属する選手だったが、事故に遭ってからは引退を余儀なくされた。
真山 圭 (まやま けい)
海月愛梨の幼なじみで、フリーライターとして活動している25歳の男性。愛梨が勤務している神保出版刊行の女性誌「プチ・マガジン」にさまざまな記事を寄稿している。見た目がアイドルグループ「Hurricane」のメンバーである真矢敦弘によく似ていることから、街を歩くと間違えられることが多い。子供の頃から愛梨を幼なじみ以上の存在としてずっと想い続けているが、男性として意識されていないことが悩み。
坂井 洋子 (さかい ようこ)
日本を代表する女性水泳選手。中学1年の時、海月愛梨と同じスイミングスクールに通い始め、先に習っていた愛梨から水泳のノウハウを教えてもらったが、次第に頭角を現しあっという間に愛梨を追い抜いてしまった。水泳をやめてしまった愛梨のことを長年気にかけ続けており、彼女が勤務する神保出版刊行の女性誌「プチ・マガジン」のインタビュー記事「ifシリーズ」で久々の再会を果たすことになる。
戸田 雛子 (とだ ひなこ)
大学時代に仲良くなった海月愛梨や長沢唯とともに、唯の両親が営む喫茶店の2階でルームシェアをしている29歳の女性。アイドルグループ「Hurricane」のメンバーである真矢敦弘の熱狂的なファンで、週休2日制の銀行勤務を選び、土日はほぼライブ三昧の生活を送っている。現実の男性にはあまり興味がなく、日々の生活は「Hurricane」が中心となっている。
長沢 唯 (ながさわ ゆい)
大学時代に仲良くなった海月愛梨や戸田雛子とともに、両親が営む喫茶店の2階でルームシェアをしている25歳の女性。少女漫画家として活動中で、作品の原案が没になるたびに大好きなスイーツを頬張ってモチベーションを上げている。しかし、恋愛経験が乏しくリアルな感情に基づいた作品が描けないため、なかなか作品の評価が上がらずにいる。
野島 碧 (のじま あおい)
叶雄星の幼なじみで、長蛇の行列ができるほどのスイーツ店に勤務するパティシエの男性。イケメンのために他のパティシエたちからの嫉妬を買い、スイーツを作らせてもらえずにいる。なかなか自分の腕を奮うことが叶わず店内で売り子ばかりさせられているが、客のほとんどは野島碧目当てである。顔ではなく、パティシエとしての腕を認めてくれる人を探し続けている。
村上 (むらかみ)
海月愛梨と同じ神保出版に勤務している30代の男性。愛梨が以前担当していた男性誌の編集者である。愛梨とともに仕事をしていた頃はセクハラまがいの発言を繰り返し、嫌味を言うことが多かったが、彼女が異動になってから、その存在の大きさを改めて思い知る。
天童 勇人 (てんどう ゆうと)
東陽大学ハートスポーツクラブに所属する男子水泳選手。得意種目は自由形で、世界選手権とアジア大会で2連覇を果たした。兄で同じく水泳選手の天童陽人(てんどうはると)がドーピング疑惑で各メディアからバッシング報道をされて以来、たとえ優勝インタビューであっても雑誌の取材はすべて断っていたが、わけあって海月愛梨が勤務する神保出版刊行の女性誌「プチ・マガジン」の取材だけは引き受ける。
竹山 (たけやま)
海月愛梨と同じ神保出版に勤務している中年の男性。神保出版刊行の週刊誌「cras」の編集長を務める。雑誌は売上の数字がすべてであり、記事の真偽はどうでもいいという編集スタンスで、部下だった叶雄星の反感を買って対立した過去を持つ。自分が担当する雑誌を売るためならどんな手段もいとわない。
書誌情報
みだらな熱帯魚 7巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第1巻
(2014-02-10発行、 978-4091358028)
第2巻
(2014-07-10発行、 978-4091362537)
第3巻
(2014-12-10発行、 978-4091364364)
第4巻
(2015-04-10発行、 978-4091370860)
第5巻
(2015-09-10発行、 978-4091374943)
第6巻
(2016-02-10発行、 978-4091381309)
第7巻
(2016-09-09発行、 978-4091385604)