奇妙な女の子との出会い
ある夏の日、8歳のまりは竹やぶの中で倒れている同年代の女の子を見つける。その場にいたさつきの育ての母から「この竹やぶには時々子供が生えてくる」と聞かされたまりは、その少女の美しさと妖しげな雰囲気に不思議な感覚を抱く。夏休み直前のある日、「みちか」と名乗るその少女は、まりが学校に行くことにあまり乗り気でないことを知ると、不思議な力で二人の体を入れ替え、まりの代わりに学校に行くと言い出す。みちかのことが気になったまりは、こっそり学校に行き、みちかがいじめっ子の石崎の目をえぐり取る場面を目撃する。石崎は卒倒するものの、気づけば目は元通りになっていたが、のちに再会した石崎が以前とはまったく異なる性格になっていることに驚愕する。まりは、みちかが奪った目が石崎の本来の人格を含むセーブデータのようなものであると推測するが、自分をいじめていた石崎を元に戻すことをためらい、目を山の中に埋める。その後、まりは自分の言動が原因で石崎が変わってしまったことへの責任に耐えきれず、目を掘り起こそうとするが、埋めたはずの目はなくなっていた。まりは目の行方を探るため、みちかに協力を求める。
まりが迷い込んだ、謎の世界
石崎の本来の人格が宿る目の行方を追うまりは、みちかから「山に持って行かれた。一人では取り戻せない」と告げられ、彼女と共に葛の茂みに覆われた謎の空間へと足を踏み入れる。そこは、まりが住んでいる田舎町と同じ外観でありながら、血の付着した自動販売機が置かれていたり、亡くなったはずのまりの曽祖母、トシエが生きていたり、同年代の友人たちと怪しげな宴を開いていたりと、現実ではありえない光景が広がっていた。さらに、花のような顔をした怪人たちが次々と現れ、まりは恐怖に苛まれる。そして、目を取り戻すためには「氏神」と呼ばれる存在から鍵を入手する必要があることを知る。まりは恐ろしい体験が続く中でくじけそうになるが、恐怖を振り払って、氏神に会うための行動を起こす。
人と神の狭間にいる不思議な存在
まりの住む田舎町には、竹やぶから時々子供が生まれるという言い伝えがある。竹やぶから生まれた者は、外見は人間と変わらないものの、異世界に関する豊富な知識や不思議な力を持ち、明らかに人間とは異なる特徴を備えている。さつきの育ての親によると、竹やぶから生まれた者は人と神の中間に位置する存在とされ、成長した際には最も親しい人物の意志によって、神か人間のいずれかに変化するという。まりの知る限り、竹やぶから生まれた子供はみちかとさつきの二人だけである。さつきは育ての親の願いによって人間となったが、みちかはまだ神になるか人間になるかを決めておらず、その選択権はまりに委ねられている。
登場人物・キャラクター
まり
竹戸小学校に通う女の子。優しい性格で責任感が強く、自分の行動が他者に迷惑をかけた際には、自ら解決しようとする強い意志を持つ。また、いざという時には勇気と行動力を発揮し、人一倍の度胸を示す。しかし、豊かな想像力を持つ反面、ややネガティブな一面もあり、予期しない事態に直面すると動揺したり、人間不信に陥ることもある。8歳の時、竹やぶで倒れている女の子、みちかと出会い、友達になる。しかし、まり自身の言動が原因で、みちかがいじめっ子の石崎から記憶と人格を奪ってしまったことに責任を感じ、彼を元に戻すため、みちかと共に異世界へと向かう。
みちか
まりが住む田舎町の竹やぶで倒れていた女の子。さつきの育ての母から「竹やぶに生えた子供」と呼ばれ、実の娘のように大切に育てられている。子供ながらに美しい容姿を持ち、まりが見惚れてしまうほど。しかし、裸足で砂利道を平然と歩いたり、暗い山道を恐れずに進んだりと、人間とは異なる独特の知識や思考回路を持っている。また、学校に行かなくていいことを羨ましがるまりに対して、自らの体を入れ替えて学校に行こうとしたり、まりに嫌がらせをする石崎から記憶を奪ったりと、不思議な力を行使する。さらに、まりが迷い込んだ異世界に関する知識も持っている。同じ家で暮らすさつきとは同族のような関係だが、彼女からはあまり好意的に思われていない。
書誌情報
みちかとまり 3巻 講談社〈モーニング KC〉
第1巻
(2023-05-23発行、978-4065312674)
第2巻
(2024-01-23発行、978-4065343265)
第3巻
(2025-01-22発行、978-4065381076)







