みどりの星

みどりの星

真造圭伍の『ぼくらのフンカ祭』に次ぐ3作目の連載作品。宇宙を股にかけるひまわり運輸の宇宙船が、カエルに似た住人が暮らす緑の惑星に不時着する。操縦士の高市亮介と先輩の山本まさしが、未知の環境に戸惑いながらも、次第に住民との交流に順応していく姿がコミカルでありながらも、温かいタッチで描写されるSF作品。小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」2013年13号から2014年11号まで連載。

正式名称
みどりの星
ふりがな
みどりのほし
作者
ジャンル
異星人・宇宙人
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運輸用のロケットが謎の惑星に不時着

宇宙運送会社「大宇宙ひまわり運輸株式会社」で配達業務に従事していた高市は、先輩の山本と共に宇宙船「ひまわりうんゆ365号」で地球へ向かって航行していた。しかし、その途中で宇宙船が誤作動を起こし、近くにあった緑の惑星に不時着してしまう。宇宙船は不時着の衝撃で航行不能となり、高市たちは修理の見込みも立たないまま、会社の備品や非常食を使って緑の惑星での生活を余儀なくされるが、彼らは適応力の高さを発揮し、住民たちに親しまれるようになる。奇妙な居心地のよさを感じながらも、二人は故郷への思いを胸に、地球からの救助を待ち続けている。

奇妙な住民たちが暮らす緑の惑星

高市と山本が漂着した緑の惑星には、二つの異なる国が存在している。彼らが最初に到着した国では、カエルを擬人化したような住民たちが海辺で農業や漁業を営んでおり、外部からやってきた二人に対しても親切に接してくれる。住民たちは日本語を理解しつつも、「暑い」という言葉には拒絶反応を示すなど、独自の風習がある。また、地球の文明に強い興味を抱いており、ひまわりうんゆ365号を観察しようとする住民も多く見受けられる。もう一つの国は、人間に近い見た目の生物が存在する。彼らは基本的に他者への理解が乏しく、高市のことを「ひまわり」と呼び、英雄視しながらも興味本位で実験動物のように扱おうとする傲慢で身勝手な行動が目立ち、高市からは嫌悪感を抱かれている。さらに、この惑星には翼の生えた猫や宇宙船ほどの大きさの鳥など、奇妙な形状の動物たちも多数生息している。

緑の惑星に不満を持つ女性との新たな生活

緑の惑星での生活を続けていた高市と山本は、住民の一人であるポンヂから、自分たちによく似た生物が存在することを聞かされる。二人はその生物が住んでいるという水門の先へと足を踏み入れ、地球への帰還のために協力を求める。しかし、住民たちは高市の言葉を無視し、二人を捕らえて実験動物として扱う。高市はその仕打ちに激怒し、現在の国の在り方に不満を抱くオードリアンド・ミ・ドリーチェ・サハ・クイコディスと共に、国からの脱出を果たす。さらに、別の国で彼女との共同生活を続ける中で、次第に互いに惹かれ合っていくという、ボーイ・ミーツ・ガール的な要素も楽しむことができる。

登場人物・キャラクター

高市 亮介 (たかいち りょうすけ)

「大宇宙ひまわり運輸株式会社」に勤務するフリーターの青年。先輩の山本と共に宇宙配達業に従事していたが、乗っていた「ひまわりうんゆ365号」が緑の惑星に不時着したため、そこでの生活を余儀なくされる。偏屈な性格で気が強く、先輩の山本に対しても辛辣な言葉を投げることが多い。しかし、誰に対しても臆せず接するなど、コミュニケーション能力は非常に高く、住民とも積極的に交流して人気を集めている。フリーターであることに対するコンプレックスや地球に帰れない不安を抱えつつも、基本的にはポジティブ思考の持ち主。また、別の国の住民から「ひまわり」と呼ばれ英雄視されているものの、その称賛は尊敬というよりも興味本位であるため、高市自身は彼らに対して嫌悪感を抱いている。

オードリアンド・ミ・ドリーチェ・サハ・クイコディス

緑の惑星に住む女性。高市と交流していたカエルに似た住民とは異なり、人間に近い姿をしている。しかし、へそがないなど、地球人とは明らかに異なる特徴が見受けられる。婚約者であるダマヤを真っ向から言い負かす気の強さと、一般的な男性を凌ぐ腕力を兼ね備えている。箱入り娘として育てられたため、現状に窮屈さを感じており、住んでいる国から何度も脱走を試みている。現在も周囲の環境に対する不満は解消されておらず、偶然出会った高市と共に国を脱出し、カエルに似た住民が住む国での生活を始めた。故郷ではファーストネームの「オードリアンド」と呼ばれていたが、現在は高市から付けられた「みどり」というあだ名を自ら名乗っている。

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