概要・あらすじ
人間と妖怪が共存する異世界の日本。文明開化の影響で暦を太陽暦へ変更したが、人間側の一方的な改暦に反対する過激派妖怪の活動に手を焼いた政府は、新組織妖人省を設立した。人間と妖怪で手を組んで、妖怪が起こす事件を解決するための組織である。妖人省に務める半人半妖の少女たち、ざくろ、薄蛍、雪洞・鬼灯は、赴任してきた青年軍人たちとペアを組み、任務を遂行してゆく。
人間と妖怪という異なる種族だが、一緒に仕事をするうちに、彼女たちと彼らは偏見や誤解を解き、親しくなり、お互いに大切な存在へとなってゆく。
登場人物・キャラクター
西王母桃
半妖の少女。長い黒髪が特徴的な、明るくおてんばで、気が強い。趣味は喧嘩独楽。文明開化に否定的で、西洋のものは「バテレンだ」と言って嫌う。戦闘能力が高く、いざという時には刀を武器に妖怪を退治する。特別な力の持ち主で、薄蛍や雪洞・鬼灯はざくろの近くにいることで能力が倍増する。 総角景少尉とコンビを組む。美麗な外見とは裏腹に怖がりでヘタレな総角に最初は反感を覚えたが、一緒に過ごすうちに彼の正義感や優しさにふれ、惹かれてゆく。幼いころに別れた母親の行方を探している。
総角 景 (あげまき けい)
帝国陸軍少尉。栗毛の青年。妖人省に赴任し、半妖の少女ざくろとコンビを組む。名家の出身らしく優雅な物腰で、特に女性には優しいが、じつは妖人が大の苦手で怖がりなヘタレ。妖人に誤解や偏見を抱いていたが、ざくろたちと接しているうちに解けていった。おてんばだが天真爛漫なざくろに次第に惹かれてゆく。
薄 蛍 (すすき ほたる)
半妖の少女。物静かでひかえめ、おしとやかな性格。手で触れた物体や人間に宿る記憶を見ることができる能力を持つ。毎日の暦を気にする占い好き。吉野葛利剱少尉とコンビを組む。はじめは寡黙な軍人の利剱をこわがっていたが、一緒に過ごすうち、彼の内面の優しさを知り、親密な関係になっていった。 幼いころは山奥で血の繋がらない老女に育てられていた。老女が病没した後、ひとりぼっちだったところを櫛松に拾われた。
吉野葛 利剱 (よしのかずら りけん)
帝国陸軍少尉。長身で坊主頭、するどい目つきで寡黙なので、一見とっつきにくい。実家は厳格な家柄である。妖人省に赴任し、半妖の少女薄蛍とコンビを組む。無口だが性格は紳士的で優しく、薄蛍に対しても最初から分け隔てなく接した。一緒に任務にあたるうちに親密さを増し、薄蛍のことを大切に思うようになった。
雪洞・鬼灯 (ぼんぼり・ほおずき)
双子の半妖の女の子。いつも二人いっしょに行動する。外見は瓜二つ。花びらを操り、付着した人間の気配を読み取ったり、通信手段にもできる花びら式神という能力を持つ。この能力は歌を唄っている間しか使えない。人間に殺されかけていたところを櫛松に助けられ、妖人省に務めるようになった。 花桐丸竜少尉とチームを組む。自分たちと背丈の差がない小柄な丸竜を可愛がり、両側からまとわりついて丸竜を困惑させる。
花桐 丸竜 (はなきり がんりゅう)
帝国陸軍少尉。少年のような外見で背も低いが、史上最年少元帥を目指すエリート。妖人省に赴任し、双子の半妖少女雪洞・鬼灯とチームを組む。雪洞・鬼灯は瓜二つなのでたいがいの人は見分けがつかないが、丸竜は初対面から二人を見分けることができた。そのため二人から厚く信頼され、慕われている。
櫛松 (くしまつ)
白狐の妖人。妖人省におけるざくろや薄蛍、雪洞・鬼灯たちの監督役。半妖として行き場所のなかったざくろたちを保護し、育てあげた。身寄りのないざくろたちにとって母親代わりの存在。厳しく叱ることもあるが、彼女たちのことを常に気にかけている。
雨竜寿 (あまりょうじゅ)
ゾウの妖人。妖人省のトップ。長い年月を生きているらしく、長老のように落ち着いた物腰。事件解決の現場指揮は櫛松に任せ、人間と妖人の間の調整役として、政治的駆け引きに日々忙しいようである。
豆蔵 (まめぞう)
二足歩行する獣のような姿の妖人。幼児くらいの背丈。陽気でやんちゃな性格で、関西弁のような口調で話す。ざくろと契約した付喪神なので、ざくろのそばを離れると動けなくなってしまう。いたずら好きでもあり、自分の姿を見て総角景少尉がおびえた様子をおもしろがり、わざと彼にまとわりついて困らせる。 戦闘時には、ざくろの刀となる桃の枝を口から出す役目を持つ。
桐・桜 (きり・さくら)
幼い子どもの妖人。頭部は瓜の実のような形をしている。妖人省の中でいつもざくろたちと遊んでいる。軍人たちにもすぐになついて、高い高いをしてもらうなど、あやしてもらっている。
三扇・三升・三葉杏 (みつおうぎ・みつます・みつばいちょう)
タヌキの妖人の三人組。妖人省の家事全般を担当している。ふだんは三人とも全く同じ、下働きの女給のような恰好をしているが、どんな人間そっくりにも化けられるらしい。ただし変身してもタヌキの特徴である目のまわりのフチドリは残ったまま。恋愛ゴシップが大好きで、よくざくろたちと軍人たちについての噂話をしている。
折形 綾 (おりかた あや)
古道具屋・折屋の女主人。巨乳。人間だが、妖人に対する差別心はない。幼い妖人の鬼っ子・麦(むぎ)を雇っている。妖刀を巡る事件がきっかけで、妖人省の面々と知り合いになった。
乱杭 (らんぐい)
妖人。ふだんは妖艶な美女の姿をしているが、実体は巨大な女郎蜘蛛。人間の男を蜘蛛の巣に捕えて養分を吸いつくしてしまう。二人の半妖、百録(びゃくろく)と橙橙(だいだい)を従えて、ざくろたちのことを付け狙っている。行方不明のざくろの母親について何かを知っているらしい。
集団・組織
妖人 (ようじん)
『おとめ妖怪ざくろ』に登場する種族。本作は人間と妖怪が共存する世界観となっている。建前上は両者は平等とされているが、妖怪に対して嫌悪感や差別心を抱いている人間は、庶民のみならず上流階級にも多い。彼らを「妖怪」「化け物」と呼ぶのは差別的であるとされ、人間側が妖怪側に配慮して、公の場では「妖人」と呼ぶ慣例となった。
半妖 (はんよう)
『おとめ妖怪ざくろ』に登場する種族。人間と妖怪の間に産まれた存在。子を孕んだ人間の女が神かくしに遭い、帰ってきた時に腹の中の子は半妖と化している、と言われる。ざくろ、薄蛍、雪洞・鬼灯はみな狐と人間の半妖である。頭に獣の耳がついている以外は、外見上は人間と変わらない。数はとても少なく、自分たち以外に半妖はいないと櫛松からは教えられていたが、事件を解決するうち、どうやら彼女たち以外にも半妖が存在するらしいことがわかってくる。
妖人省 (ようじんしょう)
『おとめ妖怪ざくろ』に登場する組織。従来の警察では対処できない、妖怪の引き起こす様々な事件を解決するために作られた新組織。人間と妖人の代表とで組織され、両者の緩衝役も担っている。帝国陸軍からは総角景少尉、吉野葛利剱少尉、花桐丸竜少尉が出向してきた。妖人側は半妖の少女ざくろ、薄蛍、雪洞・鬼灯がおり、それぞれペアを組んで事件解決にあたる。
アニメ
書誌情報
おとめ妖怪 ざくろ 10巻 幻冬舎コミックス〈バーズコミックス〉
第1巻
(2008-01-21発行、 978-4344811874)
第2巻
(2008-09-19発行、 978-4344814110)
第3巻
(2009-04-21発行、 978-4344816220)
第4巻
(2010-02-19発行、 978-4344819078)
第5巻
(2010-09-17発行、 978-4344820371)
第6巻
(2011-07-21発行、 978-4344822634)
第7巻
(2012-04-20発行、 978-4344824584)
第8巻
(2013-03-19発行、 978-4344827615)
第9巻
(2014-03-19発行、 978-4344830103)
第10巻
(2015-03-24発行、 978-4344832909)