わたしの猫は王子さま

わたしの猫は王子さま

ある日突然、南の国の王子様に求婚された女子高生が、困惑しつつもその想いに応えていく。「花とゆめ」平成7年17号から平成8年23号にかけて不定期に連載された作品。

正式名称
わたしの猫は王子さま
ふりがな
わたしのねこはおうじさま
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

ある日笠原都が海外取材から帰宅した父親を迎えると、そこには父が取材していた国であるシヴァルダの王子がいた。彼の名前はキャットルード(キャット)。占星術により都を「運命の相手」と判断した彼は、都を娶るべくはるばる日本にやってきたのだという。突然すぎる話に激怒する都だが、キャットはそのまま日本に居ついてしまう。

しかし一見無根拠な彼の言葉の裏には、ある秘密があった。

登場人物・キャラクター

笠原 都 (かさはら みやこ)

中高一貫の高校に通う16歳。こげ茶色の髪の毛を肩まで伸ばしている。やや怒りっぽく意地っ張りな性格で、母親の自殺により「運命」や「愛」と言った概念を極端に嫌うようになってしまった。キャットルードからの突然の求婚にはじめこそ怒りをあらわにするが、そこに隠された秘密と彼の誠実な人柄に惹かれ恋するようになる。

キャットルード

南の小国シヴァルダからやってきた王子様。年齢は笠原都の1歳下の15歳だが、高校では飛び級し同じクラスに所属している。シヴァルダ人の父親とアメリカ人の母親のハーフで、長く伸ばした金髪に褐色肌をしている。「運命だから結婚しよう」という突拍子もない発言で都を驚かせるが、性格は誠実で穏やか。それまで会ったこともないはずの都を選んだのは、占いだけが理由ではないことが次第に明かされる。 王族特有の千里眼の能力を持ち、力を生かして様々な事件を解決していく。

葉月 (はづき)

笠原都とキャットルード(キャット)の間に生まれた精霊の少女。2人が8月に出会ったことから「葉月」と名付けられた。キャットが都に贈った宝石から誕生し、宝石にかけた願いが叶うまで、2人の分身として共に成長しながら仕える。褐色肌に金色の瞳、美しいエメラルドグリーンの長い髪を持つ。実質的な2人の娘として、愛されながらすくすくと育っていく。 好きな食べ物はプリン。

笠原 茜 (かさはら あかね)

笠原都の妹で、同じ学校の中等部に通う14歳。活発な印象のショートカットが特徴。姉とは真逆の元気な人懐っこい性格で、キャットルードたちともすぐに馴染んだ。精神的にタフで、大変なこともすんなり受け入れてしまう強さがある。特にスノウルファースには興味を示し、積極的に関わっている。

スノウルファース

キャットルード(キャット)に仕える半精霊。その名の通り髪も肌も真っ白な中に瞳だけが赤いという、まるでうさぎのような風貌ををしている。半精霊という特殊な出自のため、周囲に気味悪がられた過去から心を閉ざしがちだったが、キャットとの出会いにより救われ、以来彼の忠実な側近として側に仕えている。表情に乏しいためやや誤解を受けやすい。 幻獣を受け付けない体質を持つ。

アルカストゥラス

シヴァルダに暮らす精霊族の少年で、通称「アルカ」。本来は400歳程度になる年長者だが、主を不慮の事故で亡くしてショックで昏睡状態となり、目覚めたのは30年ほど前。そのため、現在も少年の姿のままで暮らしている。王族の精霊として生まれたが主の死により、人間の力を借りなくては存続できないなら、精霊族は滅びるべきという考えを持つに至る。 同時に王族自体も強く憎んでおり、キャットルードを幻獣に食わせようと襲い掛かる。

シヴァルダ国王 (しゔぁるだこくおう)

キャットルードの父親で、シヴァルダの王。伸ばした黒髪を1つにまとめ、褐色肌に無精ひげを生やし白衣をまとった、王らしからぬ風貌の人物。科学者としての側面も持ち、非常に研究熱心なため、普段は王族の暮らすパルヴァ島ではなく、研究機関があるシヴァルダ島にいることが多い。

ナージャ

キャットルードの母親でシヴァルダの王妃。金髪ロングヘアに碧の瞳を持つグラマラスな女性で、気さくでいたずら好きな性格。かつての自分と似た境遇の笠原都に友好的に接する。夫であるシヴァルダ国王とは、アメリカの学会で知り合った。

セレン

ナージャの側近。黒い髪に褐色肌という、一般的なシヴァルダ人の容姿をしている。キャットルード(キャット)とは姉弟同然に育ったが、主従関係や血縁関係にはない。日本の濁った空気になじめず、力が弱まっているキャットのことを案じている。

ルーン

スノウルファースの父親。白い髪と白い肌に青い瞳を持つ精霊。長期間にわたり眠り続けていたアルカストゥラス(アルカ)を目覚めさせた精霊でもあり、穏やかで優しい性格から彼に強く慕われていた。自分を犠牲にして他者に尽くすところがあり、アルカはその献身ぶりを心配していた。

シェレスティナ

キャットルード(キャット)の初恋の相手。幻獣にとりこまれ、本来とは違う長い髪に褐色肌の女性の姿でキャットの前に現れる。アルカストゥラスのしもべとなっており、人格が変化している。関係者が皆幻獣にとりこまれてしまえば、永遠に1つになれると考えている。

笠原 ユリエ (かさはら ゆりえ)

笠原都と笠原茜の母親で故人。長らくノイローゼ気味で「運命だから仕方ない」が口癖。苦しみながらも生きていたが、ある日車道に出て車に轢かれる形で自殺をした。彼女が「運命」という言葉に逃げて死を選んだことがきっかけで、都はその言葉が嫌いになってしまった。

吹雪 (ふぶき)

笠原家の飼い猫。捨て猫だったところを笠原都に保護された。拾われた日に美しい桜吹雪を見たことから「吹雪」と名付けられた。1日おきに注射を打たなくてはいけないほど身体が弱いが、都の真摯な飼育で元気に暮らしている。

海神 (わだつみ)

海を浄化しシヴァルダ国を守る守り神で、生まれた場所から離れて生きることはできないため、その土地で生涯を過ごす。原則として人と会話することはできないが、孵化前の精霊の石を持つものであれば、例外的に意思疎通ができる。

場所

シヴァルダ

キャットルードが王子を務める南の小国。総面積は日本の沖縄程度で、本島のシヴァルダ島と、王族の暮らすパルヴァ島の2島にいくつかの小島を加えた形で構成されている。国民は基本的に黒髪に褐色肌で生まれ、ピアスを付ける習慣がある。一方で特に誕生日に贈り物をする習わしはなく、良いものを見つけた時など贈り物をしたい時にプレゼントをするという考え方になっている。 観光には特に力を入れていないが、景観も良く国民も友好的なため、旅行向きの国であるともいえる。

タフカ山 (たふかさん)

シヴァルダ国・パルヴァ島にある山。消耗した精霊を癒す石「霊石」が採掘できる。水源地もあり、地下で海水と混ざったり、島に滝を作っている聖域となっている。水源地には精霊族の長がおり、普段は人間はおろか精霊たちすら近寄れない場所になっている。

その他キーワード

治癒形態 (ちゆけいたい)

精霊が用いる姿のこと。主に病床時に身体を小さく幼く戻し、体力の温存を図る目的からその名が付いた。小型になったぶん体力を使わずに済むため、普通に活動できるようになるが、精霊自身が幼すぎると卵にまで戻ってしまう。体力が回復すればもとの状態に戻る。

集気術 (あるはーゔる)

「気」を集めて薬を作る術のこと。木や草からエネルギーを分け与えてもらい、特別な小瓶に集めることで作成できる。本来は精霊にしか使うことができない術だが、難易度は高いものの半精霊のスノウルファースやシヴァルダ王族のキャットルードも使用できる。冬など、植物が冬眠状態の際は集気するのがより難しくなる。

軌跡の珠 (きせきのたま)

人々の思い出を形にした光の塊。主に大切な時間を過ごした「場所」に残っており、数多く集めることで失った記憶の修復補助ができる。植物や建物など、様々なものから獲得することができるが、有機物よりも無機物の方が採取難易度は高い。

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