概要・あらすじ
やり手の銀行員であった家路久は、一酸化炭素中毒による事故で、記憶喪失になってしまう。妻、ヨシコとの結婚生活の記憶はすべて失われ、さらに事故の影響か、彼女と息子のヨシオの顔が仮面にしか見えなくなってしまった。そんなある日、記憶が混濁した家路久は、別れた元妻の家を間違って訪れ、娘の清原スバルと再会。
これを機に、彼は自分の過去について調べ始める。次第に明らかになっていく過去の自分とさまざまな家族の問題。思いがけない事実に衝撃を受ける彼のもとに、別れた妻、清原カオルが癌になったとの報せが入る。
登場人物・キャラクター
家路 久 (いえじ ひさし)
やり手の銀行員だったが、七輪による一酸化炭素中毒事故で、記憶喪失になってしまう。妻の家路ヨシコと息子の家路ヨシオのことも全く覚えておらず、さらに事故以来、彼女たちの顔が仮面に見えるようになってしまった。一方、別れた元妻の清原カオルと娘の清原スバルのことは幸せな家族生活として記憶に残っており、そのことに思い悩む。 記憶を取り戻すため、過去を調べ始めるが、その過程で自分が本当はどんな人間だったのか、そして妻との結婚生活の真実を知り、ショックを受ける。
家路 ヨシコ (いえじ よしこ)
家路久の妻。記憶が無くなった夫を献身的に支える。結婚前はスタイリストの仕事をしていた。もともとは家路久の友人山野辺俊と交際しており、家路久とは彼のの紹介で出会った。その後、彼と別れ、離婚したばかりの家路久と結婚。一人息子をもうける。資産家の娘で、夫が自分と結婚したのは財産狙いだったのではと疑っていた。 家路久は妻子の顔を仮面としてしか認識できないという設定のため、作中では常に仮面をかぶった姿で描かれている。
家路 ヨシオ (いえじ よしお)
家路久の息子。5歳という年齢のため、父親が記憶喪失になり、自分のことを忘れているということをしっかりと理解はしていない。記憶喪失になる前の家路久は、この息子が自分の子ではないのではと疑っていた。家路久は妻子の顔を仮面としてしか認識できないという設定のため、作中では常に仮面をかぶった姿で描かれている。
清原 カオル (きよはら かおる)
家路久の別れた妻。現在は年下の夫と再婚し、娘の清原スバルと3人で暮らしている。娘が新しい父親になついてくれず、悩んでいる。癌にかかっているが、本人は自分の本当の病名を知らない。
清原 スバル (きよはら すばる)
家路久の娘。現在は別れた妻、清原カオルに引き取られ、母の再婚相手と3人で暮らしている。両親が離婚する前は大のお父さん子だった。家路久と再会後は、ひんぱんに会うようになる。新しく家にやってきた母親の再婚相手を父親として受け入れられず、悩んでいる。
杏子 (きょうこ)
家路久の愛人だった女性。家路久と同じ銀行の秘書課に勤めていたが、家路久との不倫が上司にばれて退社。現在はディスカウントショップで経理をしている。
ケン
家路久の別れた妻、清原カオルの再婚相手。年上の清原カオルとは社内恋愛で結婚した。義理の娘である清原スバルが自分にまったくなつかず、不満に思っている。
山野辺 俊 (やまのべ しゅん)
家路久の大学時代の友人。映画業界で働くかたわら、バイトでAVも撮っている。家路久の妻、家路ヨシコは、彼の元恋人。付き合っているときに、彼が家路久に紹介した。自分と別れた彼女とすぐに結婚した家路久のことを快く思っていなかった。
祥子 (しょうこ)
家路久の別れた妻、清原カオルの妹。夫のシンゴと娘のメグミの3人暮らし。父の七回忌の席で、間違えてやってきた家路久と久しぶりに再会する。
高木 (たかぎ)
家路久の同僚で、事故以来、会社で浮いている彼のことを何かと気にかける。以前は家族ぐるみの付き合いもあり、妻の家路ヨシコとも顔見知り。
家路 ヒロシ (いえじ ひろし)
家路久の弟。実家のコンビニを継ぎ、両親と妻、息子と暮らしている。痴呆症の母親の面倒を自分たちに任せっぱなしにし、連絡もしない兄のことを快く思っていない。
徳山 (とくやま)
家路久が事故を起こしたアパートの部屋に、新しく引っ越してきた住人。以前、会社を経営していたが、銀行に融資を断られて倒産。その際の担当者が記憶を無くす前の家路久だった。
大山 (おおやま)
家路久の上司で、肩書きは人事部部長。以前はやり手銀行マンの家路久のことを目にかけていたが、彼が記憶喪失になってからは態度を一変。彼を切るため、バーレーン支社への赴任を命じる。
ユイ
清原スバルの友人。家はお好み焼き屋を営んでいる。清原スバルとは幼い頃からの親友で、ユイが学校でいじめにあい登校拒否になってからも、彼女の家をよく訪れている。義父のケンがユイやその友達のことを悪く言ったことも、彼との関係悪化の一因となった。