ヨシノズイカラ

ヨシノズイカラ

漫画家の遠野成彦が漫画制作を通じて過去を振り返りつつ、自身を見つめ直していく姿を描いたヒューマンドラマ。「月刊少年ガンガン」2019年1月号から掲載の作品。

正式名称
ヨシノズイカラ
ふりがな
よしのずいから
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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あらすじ

第1巻

遠野成彦は漫画家としてデビューして10年経ったある日、連載していた漫画を打ち切られてしまう。成彦は打ち切りのショックを引きずっていたが、編集部からは矢継ぎ早に次回作を求められていた。成彦はこれまでどおりファンタジー路線のストーリーを提案するが、担当編集者のから提案されたのは何気ない日常を描く、ほのぼのとしたテーマの漫画であった。これまでそういった作風に触れてこなかった成彦は、試行錯誤する中、サポート役である松尾敏人の協力もあって自らが長年住んでいる離島を舞台にした作品を描き始める。成彦が新連載作品として描き始めた「わっかもん」は徐々に人気を獲得していき、単行本の売上も好調となった。

第2巻

遠野成彦の自宅に「わっかもん」に登場する「ひー兄」の大ファンである少女、笹山ひいろが現れる。ひいろに直筆イラストを求められた成彦は、これまで使っていたサインを書くが、そのデザインを批判されたことにショックを受ける。そんなある日、成彦に編集部から東京でサイン会を開催することを提案され、勢いで承諾してしまったものの、日を追うごとに読者の前に立つことや、初めての東京に対して不安を募らせる。後日、東京へ到着した成彦は、これまで電話とメールでしか交流がなかった担当編集者のと初めて顔を合わせる。そして迎えたサイン会当日、会場には多数のファンが訪れており、それを見た成彦は感動と共に作品に対する熱意が湧いていた。しかしファンとの会話の中で、成彦は自信のなさから作品を否定するような言葉を思わず発してしまう。それを聞いた林は場所もわきまえず、涙ながらに成彦を叱咤(しった)する。

登場人物・キャラクター

遠野 成彦 (とおの なるひこ)

漫画家を生業とする男性。年齢は32歳で、ペンネームは「遠野なるひこ」。くせっ毛でボリュームのある短髪に無精ヒゲを生やして、黒縁の眼鏡をかけている。小学生の頃から漫画家を目指しており、高校3年生の時に漫画雑誌の新人賞に入選した。それをきっかけに高校卒業後は定職に就かず実家で漫画を描き続け、20歳の時に担当編集者がつくようになり、22歳で漫画家デビューを果たす。もともとの作風はファンタジーものが基本で、読み切り作品と連載を持っていたが、デビュー10年目にその連載が打ち切られてしまい、担当編集者の提案で遠野成彦自身が暮らす離島を舞台にした「わっかもん」を描き始める。作品が鳴かず飛ばずに終わった時期が長かったため、自分の能力や作品に自信を持てず卑下することもあったが、「わっかもん」の人気が高まり単行本の売れ行きもよくなると、徐々に自信を取り戻す。それでも、自己否定の精神が根強く残っており、少しの失敗でも深く落ち込んでしまう。アシスタント兼サポート役として松尾敏人を雇っており、漫画の制作や取材協力だけでなく友人としても行動を共にしている。現在は実家を離れて島で一人暮らしをしている。島の外に出たことはなく東京でサイン会を開催する際には敏人に頼り切っていた。サイン会のあとはファンとの交流や、担当編集である林からの叱咤で自分を見つめ直し、作品に自信を深める。

松尾 敏人 (まつお としひと)

遠野成彦のアシスタント兼サポート役を担う男性。年齢は22歳。成彦や周囲からは「とし坊」と呼ばれている。金髪で両耳にピアスをしており、口の端にほくろがある。軟派で成彦とは正反対の強気な性格で、軽い言動が目立つがサポート役としては有能であり、成彦の漫画制作の手伝いや家事や仕事のマネジメントなど幅広くこなし、成彦からの信頼も厚い。

(はやし)

遠野成彦の担当編集者を務める若い女性。小柄な体型で、長い髪をお団子ヘアにしている。3年前に成彦の担当となり、これまでのファンタジー路線をやめて日常系にシフトチェンジすることを提案し「わっかもん」を連載開始させた。成彦とはサイン会で初めて顔を合わせ、それまでは電話やメールのみの連絡となっていた。自分の意見をはっきりと言うタイプのため、成彦からは苦手意識を持たれていたが、「わっかもん」は編集者としても自信の持てる、売れる作品だと断言している。サイン会の最中に成彦がファンに対して作品を否定するようなことを口走った際は、激昂し涙を流しながら叱咤激励した。

笹山 ひいろ (ささやま ひいろ)

遠野成彦の同級生の娘。髪を二つに結んでいる小学生。「わっかもん」の読者で作中の登場キャラクターである「ひー兄」の大ファン。成彦の家に匿名で「ひー兄」の登場を増やすことを希望する手紙を投函しているところを発見されて知り合った。攻撃的な性格で、口が悪いが漫画家としての成彦には尊敬のまなざしを向けている。

楠原 (くすはら)

遠野成彦が行ったサイン会を企画した出版社で営業を担当する男性。どんな時も笑顔を絶やさずに、テキパキと仕事をこなす敏腕営業マン。サイン会の進行役を担当し、成彦がファンの前で作品を否定したことで林が激昂して空気が悪くなった時も、柔軟に対応してその場を収めた。

(けい)

遠野成彦の学生時代の友人である男性。短髪で眼鏡をかけている。柔和な性格で、成彦と同じく漫画やアニメが好きなことをきっかけに親友となった。成彦とただちんが漫画家になることを応援しており、高校卒業後は美容師となり、現在も成彦と連絡を取り合っている。

ただちん

遠野成彦の学生時代の友人の男性。ボブヘアで目が前髪で隠れている。成彦と共に漫画家を目指して切磋琢磨していたが、高校卒業後は音信不通となっている。

ゆきこ

遠野成彦のファンである女性。ウェーブのかかった長い髪をしている。「わっかもん」以前からのファンで、前作の連載終了時にはファンレターと共に花をプレゼントしていた。成彦のサイン会にも訪れており、心から成彦を応援している。

黄島 啓人 (おうしま けいと)

「わっかもん」に登場する男子高校生のキャラクター。作中における中心人物で、短髪で眼鏡をかけている。遠野夏菜子と唯一文通を続けていたが、ある時を境に返信が途絶えたことをきっかけに遠野の思い出をさかのぼり始める。

中里 遼 (なかざと りょう)

「わっかもん」に登場する男子高校生のキャラクター。黒髪の短髪で口元にほくろがある。快活な性格ながら、勉強は苦手。

笠山 宇一郎 (かさやま ういちろう)

「わっかもん」に登場する男子高校生のキャラクター。身長が高く制服を着崩している。釣りが趣味でよく仲間を誘っている。

松下 忠親 (まつした ただちか)

「わっかもん」に登場する男子高校生のキャラクター。前髪を伸ばして目を隠している。口数が少なく暗い雰囲気を漂わせているが、友達思いの優しい性格の持ち主。読書が趣味で本を持っていることが多い。

遠野 夏菜子 (とおの かなこ)

「わっかもん」に登場する女性教師のキャラクター。黄島啓人、中里遼、笠山宇一郎、松下忠親が小学生の頃の担任教師として赴任していたが、四人の卒業後に島を離れた。その後は啓人と数年間頻繁に文通をしていたが、一度途絶えてしまう。その後、四人から送られてきた手紙の返信として結婚を報告した。

ひー兄 (ひーにい)

「わっかもん」に登場する離島に住む男性のキャラクター。くせっ毛で麦わら帽子をかぶっている。飄々とした性格で、自由に生きることを望んでいる。物知りで独特の雰囲気を持つため、黄島啓人、中里遼、笠山宇一郎、松下忠親や子供たちからは兄のように慕われており、相談相手にもなっている。

その他キーワード

わっかもん

遠野成彦の連載中の漫画作品。タイトルは「若者」の方言表記で、地方の離島で暮らす幼なじみの男子四人の日常を描いている。物語は、小学生の頃に出会った女性教師の思い出をたどるため、四人で協力して校庭に埋めたタイムカプセルを掘り返すことから始まり、その後は四人の日常で起こったささいなことを取り上げていく。

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