アイリウム

アイリウム

小出もと貴の、初の青年漫画で、一話完結の短編連作。現代の日本が主な舞台。1錠飲めば1日分の記憶を飛ばすことができる「アイリウム」という薬を使い、記憶をコントロールする人々を描いた人間ドラマ。2013年、『アイリウム』(本作の第1話「映画監督志望」)が第34回「MANGA OPEN」編集部賞を受賞。その後、講談社「モーニング」にて連載化され、2014年9、12、15、20、24、50号に掲載された。2018年5月、『世にも奇妙な物語 '18春の特別編』にて『明日へのワープ』のタイトルでドラマ化された。

正式名称
アイリウム
ふりがな
あいりうむ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
 
サスペンス
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
全1巻完結
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謎の薬・アイリウムとは

本作のキーアイテムである架空の薬「アイリウム」は、1錠飲めば1日分の記憶を飛ばすことができる。例えば明日、歯医者での抜歯がある場合、薬を飲めば抜歯した記憶はなくなり、1日先にワープした感覚になれるのだ。ちなみに、4分の1錠なら2時間、2錠で3日、3錠で1週間の記憶をなくすことが可能だが、服薬を重ねるとオーバードーズの危険があり、安易な服用は問題視されている。もとは、戦時中に日本兵の恐怖を取り払うために開発され始めたもので、現在はPTSD予防や継続的治療の恐怖心の緩和を目的に、精神科で処方されている。本作は、そんなアイリウムを手に入れた人間のさまざまな葛藤を描いた、SFサスペンスドラマである。

アイリウムを巡る人間模様

本作は、アイリウムを巡る独立した7つのエピソードから構成されている。「映画監督志望」は、10年間芽が出ない、映画監督志望の峰雄が主人公。まともな大人へと成長する友人たちへの劣等感に苛まれ、彼女とも破局寸前の峰雄が、アイリウムと出会い、依存していく姿を描く。「兵士」の主人公はマサキ・マクレガーというネパール米軍基地の兵士。アイリウムのおかげで、戦闘の記憶も罪悪感も背負わないマサキの、死と隣り合わせの日常を描く。他にも、主婦やホスト、女医など、さまざまな立場の人間を主人公に、アイリウムを巡る人間模様が紡がれる。

登場人物・キャラクター

峰雄 (みねお)

「映画監督志望」の主人公。映画監督になる夢を持つ27歳の青年。自主制作でも自分が面白いと思うものを撮り続ければ、いつか世に認められると信じて10年間が経過。大きな賞を取ることができず、いつまで経っても芽が出ず、同級生にコンプレックスを感じている。同棲している彼女とも破局寸前で、人生が行き詰まっている時に、記憶をコントロールできる薬「アイリウム」と出合う。

マサキ・マクレガー

「兵士」の主人公。ネパール米軍基地に駐屯している青年兵士。作戦前に配られる、記憶をコントロールできる薬「アイリウム」のおかげで、2年戦場にいるが戦闘の記憶も罪悪感も一切ない。愛犬家で、残してきた犬の写真を眺めては毎晩癒やされている。

書誌情報

アイリウム 全1巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2014-11-21発行、978-4063883879)

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