アイ・シティ

アイ・シティ

謎の組織に追われている親子、ケイとアイを、たまたま助けることになった警官、ヨシオカ・ライデンが、2人の逃亡劇に巻き込まれていくうちに、超能力と世界の謎に迫ることとなるSF大作。1983年6月号から1984年7月号まで双葉社「月刊スーパーアクション」誌で連載され、「アクションコミックス」として2巻構成で発売された。後に大都社から再刊され、2016年8月に三栄書房が4巻構成で電子書籍化して配信。1986年にはOVA作品が製作され、同年7月26日には東宝系にて劇場アニメが公開された。

正式名称
アイ・シティ
ふりがな
あい してぃ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
アクションコミックス(双葉社)
巻数
全2巻完結
関連商品
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概要・あらすじ

帰宅途中の警官、ヨシオカ・ライデンは、道端で出会った親子、ケイアイに声をかける。行き場のない2人を家のパーティーに招待したライデンだが、見知らぬ男に拳銃で腕を撃たれてしまう。ライデンを車に乗せて逃げ出すケイとアイだったが、そこにもバイクに乗った追っ手が迫っていた。追っ手を操っていたのは擬似超能力を扱う女性、ケイトゥ。空中を浮遊してアイを殺そうとしたケイトゥだったが、額に数字が浮かび上がったケイによって阻止される。アイによって力を高められたケイの額の数字は∞(無限大)を示し、空間を破壊してケイトゥを吹き飛ばし、その影響によってケイトゥは記憶喪失となった。

空間が破壊されたことを察知したのは、ケイトゥも所属する擬似超能力者組織「フラウド」。その組織を率いるクゥ・ラグア・リーの命令で、ケイトゥは脱走したケイとアイを追跡していたのだった。空間に穴をあけるほどの力に、フラウドの者たちはケイかアイのどちらかが伝説の「トリガー」なのではないかと噂し始める。逃げ続けるケイとアイ、そこに同行するライデンとケイトゥ、そしてそれを追い詰めるクゥ・ラグア・リーたち。それぞれが突き進む中で、物語はこの世界の秘密へと辿り着くことになる。

登場人物・キャラクター

ケイ

擬似超能力者組織「フラウド」から、アイとともに脱走した青年。アイの父親を名乗っており、アイからは「パパ」と呼ばれている。大学時代に、掲示板で呼び出され、麻酔で眠らされ強制的に手術を受けさせられてヘッドメーターズとなる。ただし、クゥ・ラグア・リーによる試作体のため、チューンドマンとしての改造も施されている。恋人のエツコも同時に手術を受けたが、そのときに死亡したことが後日判明する。そのショックで、疑似超能力の強さを示すヘッドメーターはレベル5までしか上がらなくなり、フラウド内では欠陥品として扱われるようになった。レベル5がどの程度の能力かというと、不完全な読心能力がある程度で、スプーンすら曲げることもできない。 ケイはある日、エツコを10歳程若返らせたような少女と出会う。少女は自分のことを「アイ」と名乗った。「I(アイ)」はエツコのコードネームだったため、ケイは少女がエツコのクローンだと確信し、彼女を手放したくないとの思いから自分はアイの父親だと名乗ってしまう。それ以降、ケイはアイと行動をともにしている。普段は気弱で温厚な性格で過ごしているが、アイが意識を失うと、その枷が外れるためか凶暴な性格へと豹変する。 チューンドマンとしての力は他のチューンドマンの10分の1にも満たないが、試作体のため漢方で言うところの経路、すなわちツボにチューニングが施されている。体中の主だったツボの108カ所がセンサーに包まれており、筋肉・内臓・脳を生体コントロールしている。ヘッドメーターがレベル5に達するとセンサーを始動できるようになり、ツボが光り出して、常人が20%程度しか使えない筋肉を、常に100%活用できるようになる。

アイ

擬似超能力者組織「フラウド」から、ケイとともに脱走した少女。正式名称はI₂(アイトゥ)。フラウドに殺害されたケイの恋人、エツコのクローンで、自分の父親を名乗ったケイのことを慕っている。ヘッドメーター手術を受けていないため自分では擬似超能力を扱うことができないが、他人の潜在能力を引き出して増幅させることが可能。その能力ゆえ、伝説の「トリガー」ではないかと疑われることになり、フラウドから追跡される。 フラウドのヘッドメーターズの誰もが、アイが何者でどこから来たのかも知らず、その経歴を思い出そうとすると記憶があやふやになってしまう。フラウドの管理下で「I₂」という名は、ヘッドメーターズであるI(アイ)のクローン第2世代という意味だが、コンピューターの記憶バンクには記録がなく、Iは欠番ということになっている。

ヨシオカ・ライデン (よしおからいでん)

ケイとアイの、擬似超能力者組織「フラウド」からの逃走に巻き込まれた現職警察官。フロア1983の住人。若い頃はレーサーを志していたが、視力に問題があったためこれを断念して警察官となった。34歳で、妻であるヨシオカ・アケミと暮らしているが、妻には尻に敷かれている様子。性格はお節介焼きで、困っている人間を放っておけない。 それゆえケイとアイに声をかけてしまい、結果としてトラブルに巻き込まれることになる。カーマニアで、愛車はBMWアルピナ(BMWに高性能のチューンアップを施したもの)。

ケイトゥ

擬似超能力者組織「フラウド」の上級ヘッドメーターズ。ケイのクローンだが、染色体操作によって女性として生み出されている。自分と同じくらいケイのことを愛している。ナルシストで、アイさえいなくなればケイの愛が自分に向けられると信じている。その目的もあって脱走したケイとアイを追跡していたが、アイによって増幅されたケイの超能力で、破壊された壁の向こうの空間に飛ばされ、その衝撃で記憶喪失と幼児退行を起こしてしまった。 そのままヨシオカ・ライデンになつき、記憶を取り戻した後も彼を慕うようになる。

クゥ・ラグア・リー (くぅらぐありー)

フロア2183の最高諮問機関であり、またフロア1983も管理している擬似超能力者組織「フラウド」のリーダー。多くのヘッドメーターズやチューンドマンを従えており、彼自身もレベル100のヘッドメーターズである。フロア2183の首席、ライ・ロー・チンと権力を争っている。額、目、口を金属の装置で覆っており、強力な擬似超能力を扱う際にはこれらの装置が開く。 自分たちがフロア2183やフロア1983を統括していると信じていたが、伝説の「トリガー」の噂やアイの存在、さらにはアロイの出現により、この世界の成り立ちや自分たちのことを何も知らなかったことに驚愕し、謎を解明するために奔走する。

リー

フロア1983にあるマーケットの雇われガードマン。異常気象により真夏に極寒となったため、避難してきたケイからアイを預かる。その後もケイたちと行動をともにし、この世界の謎を解明するために奔走する。レベル100のヘッドメーターズであり、普段は額のメーターを帽子や絆創膏で隠している。正体はおよそ4000年前にフロア1983にいたマッドサイエンティストで、超能力者を生み出すために人体実験を繰り返していた。 その過程でDNAの操作ミスから偶然発見されたクローン細胞が暴走してアロイとなり、多くの人々を犠牲にしてしまった。リーは自分が生みだしてしまったアロイを消去するべく、フロア1983でコールドスリープを繰り返して再びアロイが出現するのを待っていた。 リー・クワハラは彼のオリジナル。

ヨシオカ・アケミ (よしおかあけみ)

ヨシオカ・ライデンの妻。フロア1983の住人。気が強い女性で、ライデンを尻に敷いている。結婚記念日のパーティーに、いつまでたっても帰ってこないライデンに愛想をつかして実家に帰った。翌朝、ライデンの後輩であるイソタニとともにライデンの元を訪れたが、隣のベッドで寝ていたケイトゥとの仲を疑い、再び実家に帰ることとなる。 その後、アロイに意識を乗っ取られて伝達者となる。

J (じぇい)

擬似超能力者組織「フラウド」の上級ヘッドメーターズで、レベルは40。クゥ・ラグア・リーの小姓で、彼を慕っているため側を離れたくないと思っている。ケイとアイの追跡にケイトゥが失敗したため、チューンドマンのイーとリャンを従えて出動した。念動力やテレパシー、アスファルトを溶かすなど強力な擬似超能力を扱えるうえ、体に装着したパワーサポーターによって物理的な力も補っている。

イー

擬似超能力者組織「フラウド」の工作員。戦車に匹敵するほどの力を発揮できるよう改造されたチューンドマンで、リャンとはコンビを組んでいる。指先から光線を発射することができる。リャンを殺害された恨みから、ケイとアイを殺そうとする。

リャン

擬似超能力者組織「フラウド」の工作員。戦車に匹敵するほどの力を発揮できるよう改造されたチューンドマンで、イーとはコンビを組んでいる。アイによって力を増幅された猫に胸を切り裂かれ、同様に力を増幅されたスギウラに銃で撃たれて爆死した。

ライ・ロー・チン (らいろーちん)

フロア2183の首席。大型の人間型ロボットの頭部分にカプセルがあり、そのカプセル内に満たされた液体に全裸で浸かっている老人。フロア2183の一般市民からの支持は厚い。擬似超能力者組織「フラウド」のリーダー、クゥ・ラグア・リーとは対立関係にある。フラウドのヘッドメーターズが扱う擬似超能力を毛嫌いしており、自身が入っているカプセルには彼らの読心能力を遮断する機能が付いている。 本心ではフラウドが独占している擬似超能力を手に入れたいと思っており、フラウドビルで偶然遭遇したヨシオカ・ライデンとケイトゥ、リーを捕らえて拷問にかけ、ケイトゥからその秘密を聞き出そうとする。最終的にはアロイと手を結び、フラウドを潰すための戦いを仕掛ける。

アロイ

この世界をさまよう不定形の存在。様々な生き物に乗り移ったり、遠隔から意識を乗っ取ったりすることができる。猫、スギウラ、ヨシオカ・アケミ、はそれぞれアロイに操られており、アロイの伝達者として行動させられている。フロア2183の首席であるライ・ロー・チンだけは、直接体を乗っ取られた。アイと同じような能力を持ち、触れた者や意識を乗っ取った者の潜在能力を増幅することができる。 正体はリーのDNA操作ミスから偶然発見された、自分にない遺伝子を取り込もうとするクローン細胞。多くの人間のDNAを取り込み、重合体となってフロアを壊滅状態にした。アイのことを、この世界のプログラムを乱す危険分子と考え、あらゆる手を使って殺害しようと画策している。

スギウラ

ヨシオカ・ライデンの自宅ガレージで、彼を待ち伏せしていたチンピラ3人組のひとり。サスペンダーをした小柄な男。フロア1983の住人。過去にライデンの通報によって、大学への不正入試がバレたことを逆恨みしていた。ライデンと一緒にいたケイに叩きのめされた後、アロイに意識を乗っ取られて伝達者となる。

ミヤサカ

ヨシオカ・ライデンの自宅ガレージで、彼を待ち伏せしていたチンピラ3人組のひとり。筋肉質の大男。柔道五段、空手三段の腕前を持つフロア1983の住人。過去にライデンの通報によって、大学への不正入試がバレたことを逆恨みしていた。ライデンと一緒にいたケイに叩きのめされた後、アイのファンになっていた。その後、アロイに操られたスギウラによって、イソタニが運転する車の前に突き飛ばされて轢かれてしまう。

タケナカ

ヨシオカ・ライデンの自宅ガレージで、彼を待ち伏せしていたチンピラ3人組のひとり。サングラスの男。フロア1983の住人。過去にライデンの通報によって、大学への不正入試がバレたことを逆恨みしていた。ライデンのことを銃で撃ったが、アイによって増幅されたケイトゥの能力で、銃弾が自分の体に転送されて死亡した。

(ねこ)

アイによって増幅されたケイの超能力が破壊した空間に触れてしまったため、尻尾を失った野良猫。アイに保護され、ヨシオカ・ライデンにサカイクリニックまで連れて行かれ、治療を受けた。その後もアイが連れ歩いていたが、アロイに意識を乗っ取られて伝達者となる。

A

擬似超能力者組織「フラウド」のヘッドメーターズのリーダー。クゥ・ラグア・リーの片腕で、セデス家の令嬢。同じヘッドメーターズの中にBという弟がいる。クゥ・ラグア・リーに忠実で、フロア2183の首席、ライ・ロー・チンを前にしても毅然とした態度を取る。

おしゃべり人形 (おしゃべりにんぎょう)

擬似超能力者組織「フラウド」で、主に情報収集やオペレーションを行うアンドロイドたち。全裸にスキンヘッドの男性の姿をしており、その名の通りおしゃべりで思ったことをすぐ口に出す。自分たちのことを修復することもでき、クゥ・ラグア・リーの逆鱗に触れて破壊された仲間も直すことができるようだ。

リー・クワハラ (りーくわはら)

西暦1983年に日本の静岡県伊豆市にあった「春日ラボ」の2代目所長。初代所長の春日宗介は親友である。ロサンゼルス工科大学生体工学科で、人工的に超能力者を造ろうとして生体実験を繰り返して学会を追放された。その後、親友の春日宗介に拾われて「春日ラボ」に身を寄せる。春日宗介の死後、2代目所長に就任したが、春日宗介とその息子が作成したプログラムを手土産に学会へと復帰を果たした。 擬似超能力者組織「フラウド」のリーダー、クゥ・ラグア・リーと、フロア1983にあるマーケットの雇われガードマン、リーは、このリー・クワハラのクローンで、彼がオリジナルである。

春日 宗介 (かすが そうすけ)

「春日ラボ」の初代所長で、春日の父親。2代目所長のリー・クワハラとは親友の間柄。人類のDNA汚染を回避するための「プログラムアイ」を作っていたが、未完成のまま交通事故で死亡してしまう。

春日 (かすが)

「春日ラボ」の初代所長、春日宗介の息子でケイのオリジナル。西暦1980年に、父親と妻と娘を交通事故で亡くした。その後、父親が5年かけて作っていたプログラムを引き継ぎ、3年を費やして「プログラムアイ」を完成させた。「プログラムアイ」を起動するためのパスワードは「アイ・シティ」で、少女の声で音声出力もされる。 この声は、春日が亡くなった娘の声にできるだけ似せて作ったもので、その娘はアイやエツコのオリジナルである。

エツコ

ケイの恋人で、コードネームは「I(アイ)」。大学時代にケイと同様に掲示板で呼び出され、強制的にヘッドメーターズ手術を受けさせられたが、その際に死亡した。擬似超能力者組織「フラウド」のコンピューターの記憶バンクには記録がなく、ヘッドメーターズのIは欠番ということになっている。アイはエツコのクローンであり、エツコ自身も春日の娘のクローンである。

キシダ博士 (きしだはかせ)

環境気象学の権威でフロア1983の住人。テレビを通じて、真夏に雪が降っていることについて解説していた。その後、フロア1983が円柱状に作られた世界で、天井が下降していることなどをつきとめ、住人たちが生き残るために奔走した。彼のテレビ放送をフロア2183の住人がキャッチしたことにより、フロア1983脱出のための計画が動いた。

クニ

テレビ局のレポーターでフロア1983の住人。ヨシオカ・ライデンの自宅ガレージで前で、ケイがJやイー、リャンと戦う様子をテレビ放送してほしいとケイに依頼され現場に派遣された。カメラマンを殴り倒したリャンに抗議しようと近づいたところ、こめかみを殴られて死亡した。

キムラ

西中央地区地下センタープロムナード内に避難してきたチンピラの子分。フロア1983の住人。チンピラに対して意見をした老人を蹴り上げたり、傍若無人に振る舞っていた。アイに触れて力が暴走したマサコにより、体を燃やされて死亡した。

マサコ

西中央地区地下センタープロムナード内に避難してきた女性。フロア1983の住人。チンピラによって、夫とその背におんぶされていた息子がショーウインドーに投げ飛ばされた。その際にガラスの破片が息子の胸に刺さり、瀕死の状態となってしまう。その様子を見て怒りを覚えたアイに触れてしまい、自分の怒りも相まって力が暴走し、結果的に自身もろとも大爆発を起こしてしまう。

イソタニ

ヨシオカ・ライデンの後輩警察官でフロア1983の住人。ライデンがなかなか警察署に戻ってこないため、ライデンの自宅に赴いた際にヨシオカ・アケミと遭遇する。ライデンの隣のベッドで寝ているケイトゥを見て浮気と勘違いし家を飛び出したアケミを追いかけたところ、アケミから車で実家に送るよう依頼される。

集団・組織

フラウド

クゥ・ラグア・リーをリーダーとする擬似超能力者組織。フラウドとは「詐欺師」という意味である。フロア2183の最高諮問機関であり、フロア1983も管理している。フロアの中心に位置する、従来は不可侵の場所であった神柱に本部を置き、そこをフラウドビルと称している。神柱占拠のことや疑似超能力技術のことが原因で、フロア2183の首席であるライ・ロー・チンと対立している。 クゥ・ラグア・リー以下、AやJなどの上級ヘッドメーターズ、イーやリャンなどのチューンドマン、そして各種オペレーションを行うおしゃべり人形などが主な構成員。ケイとアイもフラウドに所属していたが脱走している。

春日ラボ (かすがらぼ)

西暦1938年当時、製薬会社からの依頼で、主に薬品の副作用に関する実験を行っていた会社。日本の静岡県伊豆市にある。初代所長は春日宗介で、彼の死後は親友であるリー・クワハラが後を継いだ。春日宗介の息子、春日はこのラボの父親の部屋で遺伝子の研究を続け、「プログラムアイ」を完成させた。

場所

西中央地区地下センタープロムナード (にしちゅうおうちくちかせんたーぷろむなーど)

フロア1983にある地下商店街。急激な寒冷化によって、人々が避難していた。アイに触れたマサコの力の暴走により、爆発事故が発生した。その被害は死者300名、負傷者1000名を越え、大規模な事故となった。

フロア

フラウドビルを中心に円柱状に広がっている世界。中心から半径440Kmより遠くは実際は壁に阻まれているが、位相幾何壁画によって、住民はその先にも世界が広がっていると認識している。

フロア1983

ヨシオカ・ライデンやヨシオカ・アケミらが暮らしている世界で、ケイとアイが擬似超能力者組織「フラウド」から脱走して逃げ込んだ場所。西暦1983年当時の文化のままで、一般市民が生活を営んでいる。実際は、フロア1983を統括しているのはフラウドだが、住民はそのことを認識しておらず、超能力も存在しない普通の生活を営んでいる。 ケイたちが起こした騒動が引き金となって、真夏なのに雪が降る寒冷化が起こった。環境気象学の権威であるキシダ博士によって、雪の正体は天井に付着した有害物質がはがれ落ちてきたものと解明された。その後、天井が下降していることやこの世界が半径440Kmの円柱状のものであることが判明する。実はこのフロア1983は、西暦1983年の日本の東京を遺伝子ごと再現し、それを何度もやり直している世界である。

フロア2183

フロア1983を管理する、西暦2183年を再現した世界。フロア1983同様、円柱状の世界でフロア1983の真上に位置している。首席であるライ・ロー・チンは、擬似超能力者組織「フラウド」と対立している。フロア2183が下降してフロア1983を押しつぶそうとしていることを、キシダ博士のテレビ放送を通じて知ったフロア2183の住民は、フロア1983の住民を助けるために奔走する。

サカイクリニック

フロア1983にある病院。ヨシオカ・ライデンが、自身と猫の治療のために、ケイとアイ、ケイトゥとともに訪れた。深夜にも関わらず治療を受け付ける。しかし、アイの能力によってライデンの傷が癒えてしまったため、治療費は支払わなくてもよくなった。

フラウドビル

フロアの中央に位置するビル。各フロアを突き抜けて建てられており、誰がいつ建築したのかを人々は正確に覚えてはいない。元々は「神柱」と呼ばれており不可侵の領域だったが、クゥ・ラグア・リー率いる擬似超能力者組織「フラウド」がこれを占拠し、「フラウドビル」と名付けて本拠地としている。

その他キーワード

ヘッドメーターズ

クゥ・ラグア・リーをリーダーとする擬似超能力者組織「フラウド」の構成員。数々の電子装置が体に埋め込まれており、それによって疑似超能力を扱うことが可能。他人の脳波を解析して心を読むことができたり、磁場を操作して空中に浮かんだり物を動かしたりすることができる。また都市コンピューターと直接交信することによって、高い的中率で近い将来を予測することも可能である。 疑似超能力を発動すると、その力の強さに応じて額に数字(ヘッドメーター)が表示される。ただし、自分のレベルを超える数字までは表示されない。

チューンドマン

クゥ・ラグア・リーをリーダーとする擬似超能力者組織「フラウド」の構成員。人工筋肉や金属骨格などが体に埋め込まれており、戦車に匹敵する戦闘能力が発揮可能。

純体時代 (ぴゅあえいじ)

西暦1984年、生体工学の実験によりすべての生態系に変質遺伝子汚染が始まった。そのため西暦1983年までを純体時代(ピュアエイジ)と呼び、この時代の遺伝情報が丸ごと保存された。進化の過程が間違った方向に進んだ場合、1983年にさかのぼってやり直すための基本世代と位置づけられている。

雑種体時代 (はいぶりどにあむ)

西暦1984年、生体工学の実験によりすべての生態系に変質遺伝子汚染が始まった。そのため西暦1984年以降の時代を雑種体時代(ハイブリドニアム)と呼び、以後は人類の進化の過程を何度も繰り返すこととなった。

小輪廻 (しょうりんね)

遺伝子操作によるDNA汚染のないフロア1983の純体時代(ピュアエイジ)から、進化に適合した者を上のフロアに上げる。そしてまたその中から進化に適した者をさらに上のフロアに上げる。そうやって進化させた者が神の判断により間違った進化であると断定された場合は、間違い始めたフロアまで戻って進化をやり直す。そのためにはフロア1983は進化をせずに維持されることが必要となる。 こうして進化をしていく過程では、一人の人間の子どもの何世代か後は、元の人間とさほど変わらない人生を歩む。これをクゥ・ラグア・リーたちは小輪廻と呼んでいた。

大輪廻 (だいりんね)

間違った進化をとげたフロアを押し潰し、もう一度始めからやり直すことを大輪廻と呼ぶ。フロア1983に起こった大寒波は、フロアの環境維持に使われるエネルギーを供給停止し、それをフロア2183を下降させるために使用したために引き起こされたもの。これらを動作させているのが誰なのか、首席であるライ・ロー・チンも擬似超能力者組織「フラウド」のクゥ・ラグア・リーも把握できていない。

ダイバー

フロア2183の主席であるライ・ロー・チンが、擬似超能力者組織「フラウド」に貸与した新鋭の機動空兵。アロイに対するクゥ・ラグア・リーの護衛として出動した。戦闘機のような形状をしているが、人型に変形することも可能。また、人間一人を格納するスペースも備えている。

トリガー

擬似超能力者組織「フラウド」の中で噂されている伝説の存在。しかし、なぜそれを自分たちが認識しているのかはわかっておらず、漠然と本物の超能力を扱える者だと考えている。その実態は「プログラムアイ」を生命レベルまで高めて生み出された人間で、心が触れ合えた者の力を解放することができる存在のこと。

擬似超能力 (ぎじちょうのうりょく)

擬似超能力者組織「フラウド」のヘッドメーターズが扱う人工的な超能力のこと。本物の超能力に比べれば、その能力は微々たるものだと言われている。

位相幾何壁画 (いそうきかへきが)

フロアを取り囲んでいる壁のこと。フロアに住む住人は意識操作されており、その先があるかのように住人には見えている。実際は空間がねじ曲げられていて、壁を通り抜けようとするものは別の位置に転送される。壁は擬似超能力者組織「フラウド」によって管理されており、破壊されても自己修復能力によって元の姿に戻る。

アイ・シティ (あいしてぃ)

「プログラムアイ」のパスワードであるとともに、クローンによって世代交代してきた者の深層に眠る、何世代も前の記憶の扉を開くためのパスワード。これを聞くことによって、クゥ・ラグア・リーやケイはオリジナルの記憶を得ることができた。

プログラムアイ

春日ラボにて春日宗介が5年かけて設計し、引き継いだ息子の春日がさらに3年を費やして完成させたプログラム。人類の正当な進化のためのDNA汚染からの防御と、それを実行するための都市管理の基本プログラムとなっている。DNAレベルにおける遺伝子への汚染によって、人類の進化が生命樹からかけ離れたところへ移行してしまうことを予想し、人類は生物として順当に進化してほしいという願いが込められて設計されている。 「プログラムアイ」は少女の声で音声出力でき、この声は春日が亡くなった娘の声にできるだけ似せて作ったもの。「プログラムアイ」によると、「DNA汚染が人類にとって致命傷となったときのため、汚染前の人類の体細胞を冷凍保存せよ」という指示が出ており、春日は父親や妻、娘の体細胞を保存していた。

プログラムアロイ

「プログラムアイ」と相反するプログラムで、一人の人間の良い部分に他の人間の良い部分をDNAレベルで重ねていき、その繰り返しでよりすぐれた雑種体(ハイブリッド)を造ろうとするもの。アロイとは「合金」、「重合体」という意味である。元はリー・クワハラをオリジナルとするリーが、偶然プログラムミスによって発見したクローン細胞。 進化は遺伝子操作の無限の繰り返しによってなるという極めて独断的なプログラム。

(かみ)

フロア1983やフロア2183の遙か上方のフロアで、進化の頂点の袋小路に入り込み、どうにもならない状態で眠りながら絶滅を待っている人類。アイとアロイのどちらに進化のやり直しをさせるかを、両者を争わせて決めようとしている。どちらが勝つのが正解かは神自身もわかっておらず、事態は切迫した状態となっている。

超能力 (はいぱーあびりてぃ)

擬似超能力者組織「フラウド」が扱う疑似超能力とは異なる、より強力な力。現存の人類は発動することができないが、唯一トリガーに触れた者だけが発動できる。その力はヘッドメーターズの擬似超能力のように有限ではなく、最大出力は無限大である。

書誌情報

アイ・シティ 全2巻 〈アクションコミックス〉 完結

第1巻

(1984年2月発行、 978-4575486902)

第2巻

(1984年12月発行、 978-4575486919)

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