概要・あらすじ
悪魔で魔界の王子、アクマくんは人間界で独りで生活していくことを決意し、世話になっていた岩崎史郎の家を出て行く。なかなか仕事が決まらず、お腹が空いて無銭飲食をしてしまう。警察に通報されそうになるが、角松晴彦に助けてもらい、彼の経営するゲイ・バーとホストクラブで働くことになる。そんな時、突然金髪になってしまった元天使のチャチャが、女神シャラザードだったと判明し、天使と悪魔が入り乱れてチャチャを探す大捜索が始まった。
登場人物・キャラクター
アクマくん
魔界の大魔王の第15王子で末っ子の悪魔。菜食主義者でダイコンが大好物。炭酸飲料のCMにチャチャと共に出演したことがあり、ちょっとした有名人。人間になることを夢みて、岩崎史郎の家で暮らしていたが、独りで生活していくことを決意。なかなか仕事が見つからず、無銭飲食をしたことをきっかけに、角松晴彦の経営するゲイ・バーとホストクラブで働くことになる。 すぐにやめようと思っていたが、アシャが成り代わっている角松由香子に惚れ始めており、なかなかやめられない。そんな時、チャチャが女神シャラザードだと判明。離れ離れになりたくないチャチャとボヴァを助けるため、魔樹海にいるシヴァに協力を頼みにいく。
ラムリネット・チャチャ (らむりねっとちゃちゃ)
ボヴァに育てられた、ちょっとはすっぱな元天使。ボヴァと一緒に人間界で暮らしている。最近なんだか色気づき、髪型や雰囲気が変わりはじめる。元天使は男なのか女なのか岩崎史郎の疑問を解くために、松尾恵子に風呂で体を見せると、女だったことが判明。風呂から上がり、鏡を見ると突然、黒髪が金髪に変わっていて、どうやっても他の色に染まらず、魔法も魔術も使えなくなってしまっていた。 そして、ボヴァに届いた魔女会の手紙から、自分が昔、天界から投げ捨てられた女神シャラザードだったことを知る。ボヴァ達と、天界の追手から逃れるため魔樹海へ向かう。
グレネダ=アッシャ (ぐれねだあっしゃ)
アクマくんの幼なじみの魔女。元許婚者。アクマくんが好きで結婚したいと思っていたが、自分の気持ちを押し殺して結婚をしようとするアクマくんを結婚式の最中に逃してあげる。人間になりたいアクマくんを理解するため、人間界へ行くことを決意し、シヴァに魔法で人間の女の子へと変身させてもらう。 人間界で角松由香子として生活するが、アクマくんにバレ、自分のことしか考えていなかったことに気づき深く反省する。
角松 由香子 (かどまつ ゆかこ)
角松晴彦の一人娘。故人。シヴァの魔法でアシャが角松由香子の姿に成り代わっている。シヴァの魔法のおかげで、翼を出したり多少の魔術が使えるが、化け術だけは使えない。毎日朝食を差し入れするなど、かいがいしく大好きなアクマくんの世話をする。角松由香子は三年前に交通事故で死亡しているが、シヴァの魔法により角松晴彦や友人たちは、奇跡的に助かったと記憶を操作されている。
ラオコーン=シヴァ (らおこーんしゔぁ)
魔界の妖術使い五人衆の内の一人で、若手の中では随一の腕前。母親が魔女、父親が妖精のハーフ。父親と母親は魔樹海に住居を構えたが、ふたりともすぐに亡くなり、その後シヴァは3人の高齢の魔女に育てられるが、シヴァが幼いうちにみんな亡くなってしまう。グレネダ公爵の娘アシャに、密かな想いを抱いており、アシャに懇願され、魔術で角松由香子という人間の姿に変身させる。 アシャが魔界にいない間、ペットのカラス、サイヴァをアシャに変身させていた。侍女たちが無理矢理お風呂に入れさせたことで術がとけてしまい、グレネダ公爵にバレて、地下牢に入れられる。 魔術の虚しさに打ちひしがれたシヴァは、地下牢を抜け出し、魔樹海よりもさらに厳しい環境の北魔樹海に引きこもるが、アクマくんの願いを聞き入れ、チャチャのために魔術を使い一肌脱ぐ。
ビルーマ=キーエ (びるーまきーえ)
ビルーマ=キーチの姉で、妖術使い五人衆の内の一人。ドラゴンを乗りこなせる。成長速度が異常に遅いため、子供のような容姿をしているが、長寿。人に会わずにすむため、魔樹海に住んでいる。魔樹海で雪の中に倒れていたアクマくんを助け、アクマくんと共に北魔樹海にいるシヴァの所に行く。
岩崎 史郎 (いわさき しろう)
主婦業、家事全般をこなす面倒見の良い男子高校生で、7歳のときに両親が離婚してからは母親と暮らす。アクマくんも一時期同居していた。アクマくんが独り立ちすると言った時に、納得できず押し入れに立てこもったことがある。天使には男女の区別はないと聞き、元天使であるチャチャはどうなのかとずっと疑問を抱いていたが、史郎と親密な関係の松尾恵子が確認し、女だったことが判明する。
カリン
角松晴彦の経営するゲイ・バー「ジョバンニくんの透明な哀しみ」の花形で、アクマくんを部屋に住まわせてくれた、アクマくんの新しい同居人。角松晴彦の家の隣のアパートに住んでいる。ほんとうに男性なのかと疑うほどの容姿を持つが、実は、女神シャラザードを探しに来た二級天使。 人間の匂いのしない角松由香子を女神シャラザードだと勘違いしていた。キリンとコリンという天使仲間がおり、みんなで一級天使になりたいと思っている。
ガブリエル
人間界のパソコンゲームが好きな大天使。大天使という肩書きは気に入っているが、大天使長にはなりたくない。何千万年も閉じられたままの神の大門に向かい、何度も大声で神の悪口を叫んでいるが、何の反応もないため、神はそこにいず、人間界か魔界にいると思っている。 北魔樹海に住むガーボォが神だと見当をつけるが違っていた。
ミト=ガーボォ (みとがーぼぉ)
妖術使い五人衆の年長者で、最も腕のたつ孤高の人。水戸黄門のような格好をしていて、穏やかでやさしい。シヴァに北魔樹海の古巣を世話し、思いつめたシヴァに頼まれ、女神になったチャチャに魔女の姿になる術をかける。
マージュ
一級天使だが、天界に於いての反体制分子で、ハース天使次長になりすまし、人間界にいる天使、カリンと連絡をとっていた。女神シャラザードを下界へ堕とし、女神になりかわっていたビヴァーチェ元天使長の同志である。ビヴァーチェ元天使長が女神シャラザードに成り代わった日から、普通の女神以上に積極的に下界へ奇跡を送る努力をしていたことを誇りに思っている。
ボヴァ・フェッティー (ぼゔぁふぇってぃー)
チャチャの育ての親で、スナック喫茶楊矢夫人のママ。チャチャと一緒に人間界で暮らしている魔女。魔界から追放されているが、魔女会からの情報でチャチャが女神だと知る。チャチャと離れ離れになりたくないため、アクマくんに協力を要請する。
角松 晴彦 (かどまつ はるひこ)
角松由香子の父親で、角松由香子と二人暮らし。ゲイ・バー「ジョバンニくんの透明な哀しみ」と、向かい側にあるホストクラブ「カムパネルラくんの幸(さいわい)」を経営している。とてもいい人で、路頭で迷ってる風情だったら、猫だろうが犬だろうが人間だろうが拾ってくる、ほっとけない性分。
松尾 恵子 (まつお けいこ)
岩崎史郎と親密な関係の女子高生。何をおいても岩崎史郎が幸福になることを一番に願っている。祖父はフランス人。岩崎史郎がチャチャばかり見ているので心変わりしたのではないかと疑っていたが、岩崎史郎がチャチャに持っていた疑問を聞き、風呂に一緒に入ってチャチャの体を確認する。
グレネダ公爵 (ぐれねだこうしゃく)
魔界を二分する力の持ち主。娘のアシャにとても甘い父親だが、人間界に行くことを禁じたため、アシャが人間に変身するきっかけを作ってしまう。昔、想い人だったシヴァの母親に裏切られたという気持ちがあり、シヴァがアシャに魔法をかけたことが許せなかったが、大魔女王に諭され、シヴァに詫びの意を伝える。
場所
魔樹海 (まじゅかい)
『アクマくん魔法★BITTER』に登場する場所。昔シヴァが住んでいた、卓抜な妖術使いでないと出入りできない謎の土地で、バカなやつらは迷っておだぶつになってしまう。気が遠くなりそうなくらい何処までも続く広さで、気温差が激しく、昼間はとても暑いが、所によっては毎晩雪が降る。特に北魔樹海は雪に閉ざされ、宇宙さながらに膨張しており、地形が変形するため地図が作れない。 ちなみに、北魔樹海に行くときは皆、マタギルックになる。
天界 (てんかい)
『アクマくん魔法★BITTER』に登場する世界。天使や女神がいる。また、何千万年も閉ざされている神の大門の向こう側に神がいるとされているが、大声で悪口を言っても何の反応もないため、神はいないのではないかと思う者もいる。地位が上がると、ほとんどの天使達は下界へ降りることが許されず、また、地上に直接奇跡を送ることができるのは大天使以上の地位をもった者か女神のみ。 女神シャラザードを探すため、何百年ぶりに魔界へホットラインをかける。
魔界 (まかい)
『アクマくん魔法★BITTER』に登場する世界。悪魔であるアクマくんが人間界にくる前にいた場所。以前は勢力争いが活発だったが、大魔王一族、グレネダ公爵家派、大魔女王の部族の三家で友好的に暮らしている。広大な土地にうっそうとした木々が生い茂っており、大魔王の巨大な城やグレネダ公爵の豪邸がある。