イジらないで、長瀞さん

イジらないで、長瀞さん

作者・ナナシのデビュー作。ツン度高めのツンデレ女子高校生の長瀞早瀬と、オタクで気弱な八王子直人の、ほんのりと色っぽいかけ合いや日常の様子を描いた青春ラブコメディ。講談社「マガジンポケット」にて2017年11月7日から2024年7月23日まで連載。同社「週刊少年マガジン」2017年49号、2018年2・3合併号、14号にも出張掲載されたことがある。2021年4月に第1期、2023年1月に第2期テレビアニメ化。

正式名称
イジらないで、長瀞さん
ふりがな
いじらないで ながとろさん
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
講談社コミックス(講談社) / プレミアムKC(講談社)
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

センパイって、ちょっと…

ある日、図書室で勉強していた高校2年生の八王子直人は、鞄の中身をぶちまけてしまい、近くにいた1年生の女子グループに自作の漫画原稿を読まれてしまう。直人はその内容を嘲笑されて深く傷つくが、グループの中の長瀞早瀬だけは漫画を真剣に読んだ上で、直人をからかってくる。早瀬は漫画を一読しただけで、主人公のジークフリートは、直人が自己を投影して生み出したキャラクターであることを理解していたのだ。しかし、地味でいかにも女性慣れしていない直人が、容姿端麗でキザなジークフリートを描いていたため、早瀬はこのギャップが面白く、つい直人をからかってしまったのである。直人は早瀬の厳しい指摘にショックを受けて思わず涙するが、この時早瀬がお詫びとしてハンカチを渡したことで、直人と早瀬の奇妙な交流が始まる。

ちっす、センパイっ!

八王子直人は、自作の漫画原稿を読まれたことがきっかけで、長瀞早瀬によく絡まれるようになる。直人は美術部に所属しているのだが、早瀬は絵のモデルをやると言い出したり、付き合わないかと冗談を言ってきたりと、何かと声をかけてくるのである。そんなある日、直人がファミリーレストランで一人作業をしていると、そこに早瀬とその友人らしき男女がやって来る。そのうち、男子の一人が自分の音楽活動について話し始めたことで、直人は早瀬が彼を痛烈に批判するのではないかとハラハラする。しかし早瀬は、彼に冷ややかな態度を見せるだけで、無関心のようだった。この様子を見た直人は、もしかすると早瀬が必要以上に絡み、からかうのは自分だけなのではないかと思い始めるが、それを確かめる勇気はなく、その日を終えるのだった。

センパーイ、こっちこっち~

ある日の昼休み、八王子直人長瀞早瀬から食事をしようと声をかけられる。早瀬は友人といっしょだったために直人は気後れするが、結局ほかに座席がなかったため、早瀬とその友人である蒲生まきヨッシーの四人で昼食をとることになる。ここでも早瀬は直人をからかってくるが、まきやヨッシーがこれに同調するとなぜか不機嫌になり、直人は困惑する。この状況に早瀬の気持ちを察したヨッシーはからかうことを控えるが、まきはますますエスカレートしていく。そしてこの行動に怒った早瀬が、まきと険悪な雰囲気になってしまう。慌てて直人はどうにかこの場をおさめようとするが、ケンカを止めたいという気持ちを伝えることしかできない。しかしこれが功を奏し、早瀬とまきはケンカをやめるのだった。後日直人はこの件を思い出し、自分たちが漫画の登場人物なら、まきとヨッシーは自分に意地悪をするだろうが、早瀬だけは守ってくれるかもしれないと考え始める。そして、直人がこれをイラストに起こしていると、早瀬に見つかってしまう。

ねぇ、センパイ

夏のある日、八王子直人長瀞早瀬がいっしょに下校していると、大雨に降られてずぶぬれになってしまう。そこで早瀬は直人を自宅に招くことにし、直人は早瀬から衣類を貸してもらい、二人でゲームをして遊ぶ。そんな中、直人はいつものように早瀬にからかわれるものの、ゲームで盛り上がって早瀬と交友を深めるのだった。その後も二人は楽しい日々を過ごすが、やがて夏休みが近づいてくる。直人は夏休みになれば早瀬に絡まれることもなくなるだろうと考えるが、早瀬は連絡先の交換を提案。二人の関係は、夏休みに入っても続くことになる。

センパイ、お祭り行きませんか?

夏休みのある日、八王子直人はお祭りがあることを知り、長瀞早瀬を誘うかどうか悩んでいた。しかし結局決断できず、一人でお祭りに向かう。直人はここで偶然早瀬と会うことを期待するが、お祭りで出会ったのは蒲生まきヨッシーだった。二人に捕まった直人は首輪をつけられ、その姿を撮った写真を早瀬に送られてしまう。これを見た早瀬は、水泳部の活動があったにもかかわらず大急ぎでお祭り会場に駆けつける。そして早瀬は、直人を巡ってまきと射的ゲームで勝負をして、みごと勝利する。その後直人と二人でお祭りを回り、いっしょに花火を見るのだった。ここでも早瀬は直人をからかい始めるが、直人はすでに早瀬が意外と照れ屋であり、特に恋愛や性に関する話題には弱いことを理解していた。そこで直人は反撃に出るが、周囲のカップルが盛り上がっていることでお互い恥ずかしくなり、二人は中途半端な状態で祭りをあとにする。そして、また来年いっしょにお祭りに来て、このモヤモヤを解消しようと約束を交わすのだった。

帰りましょう、センパイ

夏休み明けの初日、八王子直人は帰宅途中の長瀞早瀬たち女子グループを発見する。しかし直人は、最近早瀬とは親しくしているものの、基本的に彼女は別世界の人間であると感じており、声をかけられずに遠くから眺めていた。だがそこに、早瀬の同級生の男子たちが現れる。そして直人は、早瀬には自分よりも彼らの方が似合っているのではないかと寂しい思いにとらわれるが、その様子を見ていると早瀬は迷惑がっているらしいことに気づく。そこで直人は思わず早瀬の前に飛び出し、いっしょに帰ろうと声をかける。早瀬は直人の姿に喜び、同じく迷惑そうにしていた蒲生まきヨッシー、そしてこれまで直人と面識のなかったも同調し、五人で帰宅する。この件がきっかけで直人は桜とも会話するようになり、まきとヨッシーとは以前よりもなかよくなる。

キモキモセンパイがまともにデート出来るわけ無いっしょ!!

最近、八王子直人が基本的に一人で使用している美術室に、長瀞早瀬たちが入り浸るようになっていた。早瀬曰く、食堂をうるさい男子グループが占拠して迷惑しているので、男性の扱いに長けたが男子グループを翻弄し、グループを解散に追い込むまでは、美術室で過ごすことにしたのだという。直人は自分勝手な考え方に呆れつつもこれを了承するが、後日問題が発生。男子グループの中の一人が、桜に夢中になり過ぎてストーカー化し、困った桜が泣きついてきたのだ。そこで直人は、ストーカーをあきらめさせるために、桜の恋人のふりをすることを提案し、桜とデートすることになる。しかし早瀬は、これを内心快く思っていなかった。そこでデート当日、早瀬は蒲生まきヨッシーと共に二人の様子を見守り、ストーカーが現れた途端に確保して彼を懲らしめ、桜のことをあきらめさせて、デートを中止させる。

やってやりますよ、センパイ!!

八王子直人は文化祭の時期を迎え、展示用の絵を男子モデルと共に制作しようとしていた。しかしモデルを予定した男子は、急きょモデルができなくなってしまい、長瀞早瀬にモデルを頼むことになる。こうして直人は蒲生まきたちが見つめる中、絵を描き始めようとするが、そこに美術部の部長が現れる。去年は部長を中心に美術部は盛況を極め、充実した活動をしていた。しかし進級を機に、彼女をはじめとした3年生たちは活動を休止してしまい、今では直人一人が活動する部活となっていたのだ。そんな中、急に部長が現れたのは、最近美術部が早瀬たち部外者のたまり場になっているという噂を聞きつけたからだった。この件に加えて、直人にやる気がないのであれば、部長は美術部を廃部にしてしまおうと考えていたのだ。この言葉に早瀬は怒りをあらわにし、直人はまじめに活動していたと主張。そこで部長は、文化祭で直人一人だけの第二美術部と、直人以外の美術部員の第一美術部で勝負し、直人が勝てば廃部を撤回すると提案。これを聞いた早瀬は、直人に全面的に協力することを申し出る。

センパイはどう思ってんスか?

文化祭で、八王子直人はたった一人の第二美術部員として、直人以外の美術部員が所属する第一美術部と対決することになってしまう。しかし直人は、勝利するのは極めて難しいと悲観していた。それは部長が、画家として非常に高い画力を持つだけでなく、スタイル抜群で自らをモデルとして絵を描いていたからであった。そのうえ、自分の裸体までも描いていたため、美術に関心のない生徒までもが、彼女の絵を見に押し寄せていたのだ。これを知った蒲生まきは、直人の絵のモデルが長瀞早瀬では、素材の段階で負けているのではないかと指摘する。それでも直人は早瀬をモデルにすることを決めていたが、ささいな言葉のすれ違いから、早瀬を怒らせてしまう。翌日直人はひとまず静物画から描き始めるが、ちょうど部長にアドバイスを受けているところを、早瀬に目撃される。早瀬が何か誤解しているのではないかと直感した直人は、部長に背中を押されたこともあり、逃げる早瀬を追いかけて、あらためて絵のモデルになってほしいと頼み込む。これで仲直りした二人は制作を始めるが、なぜか直人は早瀬の日常の姿ばかりをスケッチしていた。

センパイはいい勝負できますよ!!

風早高校の文化祭当日、八王子直人長瀞早瀬の何げない日常の姿を、4枚の絵で表現する展示を行った。その作品は素晴らしい出来映えだったものの、これだけでは何か足りないと判断した蒲生まきヨッシーの三人は、当日早瀬をモデルにした猫のオリジナルキャラクター「トロキャット」のコスプレや着ぐるみを着て宣伝活動を行う。この宣伝が功を奏し、第二美術部は予想以上の盛況となったうえに、トロキャットのオリジナルグッズが人気商品となるのだった。しかし美術部としての勝負は、意外な形で決着がついてしまう。今回部長が、例年以上に際どい自らの裸婦画を展示したことで、風紀委員からのクレームで展示が中止となってしまったのだ。これによって部長は廃部を撤回し、直人の作品はモデルへの愛情にあふれていて素晴らしいと、高く評価するのだった。

センパイのお誘いっスか!?

文化祭が終わり、八王子直人は燃え尽き症候群に陥っていた。そんな直人の様子を見た部長は、動物園のチケットを2枚渡し、長瀞早瀬と写生会を開くことを勧める。部長は直人の気分転換と、早瀬がこのまま美術部に入り浸るのであれば、多少は絵が描けた方がいいと考えていたのである。こうして直人は早瀬を誘って動物園に行くが、前もって写生を行うことを伝えていなかったため、早瀬を困惑させてしまう。しかし、事情を伝えると早瀬は俄然やる気になり、二人はいっしょに絵を描いて楽しい時間を過ごすのだった。そして休憩時間に直人は早瀬の絵を見てその上達ぶりを喜ぶが、早瀬が席をはずした時に、早瀬の同級生の男女に声をかけられる。早く向こうに行ってほしいと願う直人だったが、彼らが早瀬の絵を侮辱したことで直人は激怒し、思わず反論したために二人と険悪な雰囲気になってしまう。そこへ早瀬が戻ってきて、二人に反撃して追い払うが、直人は自分の力でその場をおさめられなかったことを情けなく思う。しかし一部始終を見ていた早瀬は、直人の優しさにひそかに感謝するのだった。

センパイ? どーしたんスか…?

全校生徒参加の校内マラソン大会の日が近づき、八王子直人は少しでもいい成績を残すために、ひそかに練習をしていた。しかしその練習でケガをしてしまい、足をくじいたまま当日を迎える。それでも直人はマラソン大会に参加することを決めるが、次第に走るのがつらくなり、いっしょに走っていた長瀞早瀬に事情を説明して、先に行ってほしいと頼む。だが、早瀬は直人に肩を貸したり、おんぶをしたりしながら先に進み続ける。その様子に蒲生まきたちが気づいたことで、直人は最終的に早瀬たち四人にかついでもらい、まるで騎馬戦のような格好でゴールする。当然直人は失格となるが、よい思い出ができたと喜ぶのだった。

センパイ その…あざっス…お見舞い

冬のある日、八王子直人はここ数日間、長瀞早瀬が姿を見せないことが心配になり、1年生のクラスまで会いに行く。すると早瀬がカゼで欠席していると知り、蒲生まきたちに背中を押される形でお見舞いに行くことを決意。こうして長瀞家に向かった直人だったが、早瀬を心配するあまり挙動不審となり、そこに帰ってきた長瀞早瀬の姉に、不審者とカンちがいされてしまう。すぐに誤解は解けて長瀞家に招かれた直人だったが、そこで早瀬が以前柔道をやっていたらしいことを知る。直人は柔道について尋ねようかと悩んでいると、自室で眠っていたはずの早瀬が姿を現し、この件についてはわからずじまいとなってしまう。その後早瀬の部屋に移動した直人は、いっしょにゲームをして遊ぶが、これまで自分はずっと早瀬を「長瀞」と名字で呼んでいたこともあり、早瀬の名前という基本的な情報を知らない事実に気づく。そんな中、早瀬は自分とゲームで勝負して直人が勝てばどんな質問にも答えると持ちかける。そして勝負は直人が勝利するものの、交換条件として個人情報を教えてもらうのはおかしいと主張し、結局聞くことはなかった。しかし、そこに早瀬の姉が現れ、「早瀬」と名前で呼んだため、直人は「長瀞早瀬」というフルネームを知ることになる。

ここがセンパイの部屋っスかー

八王子直人長瀞早瀬のお見舞いに行ったあと、直人は体調を崩して学校を休んでしまう。この前のお礼とばかりに早瀬は直人のお見舞いに訪れ、積極的に直人を看病する。意識がもうろうとしていた直人は、つい彼女を名前で呼んでしまう。早瀬はこれに驚きつつも嬉しく思うが、翌日回復した直人を見てしまうと、つい照れ隠しで彼を蹴ったり、からかったりしてしまうのだった。そんなある日、直人は久しぶりに早瀬に絵のモデルを頼む。そこで早瀬にいくつかポーズを取ってもらった結果、何かの構えのようなポーズが一番サマになっていると採用する。このポーズは柔道の構えだったのだが、それを知らないまま直人が絵を完成させた頃、蒲生まきたちが訪ねてくる。絵を見たまきは何かを察した様子だったが、今回も直人は早瀬の過去を知ることなく、その日を終える。

さあセンパイの今年の運勢は~?

八王子直人長瀞早瀬は、クリスマスにプレゼントを交換し合って、以前よりもさらに親しくなっていたものの、特に進展がないままに冬休みを迎える。そこで年が明けてすぐのある日、直人は早瀬からヒントを与えられていた石戸神社へと向かう。するとそこで早瀬がアルバイトをしていた。仕事の邪魔になると判断した直人は帰ろうとするが、おみくじを引いた結果に勇気をもらい、アルバイト後にいっしょにお参りをしようと早瀬を誘う。早瀬は喜んでこれに応じ、二人は楽しい時間を過ごす。

センパイの滑りってやっぱそんな感じなんスね

冬休みが明け、1年生と2年生合同のスキー合宿が始まった。スポーツが苦手で初級コースを選択した八王子直人は、友人たちとスキーをしていると、そこに長瀞早瀬が現れ、いっしょに滑ろうと誘いに来る。直人はこの誘いを嬉しく思いつつも、初心者の自分と滑っても早瀬は楽しくないのではないかと、心配になる。その後、直人は早瀬にナイターに誘われ、体調が悪いことを理由にその誘いを断るが、これがかえって早瀬を悲しませる事態になってしまう。反省した直人は、蒲生まきヨッシーに背中を押されたこともあり、早瀬といっしょに滑ることはできなくても、せめて練習をしてうまくなろうと一人スキー場に向かう。こうして練習を始めた直人は少しずつ上達していく中で、木に激突しそうになっていた子供を助ける。そして子供と別れてすぐ、危険なスキーをしていた男性とぶつかりそうになってしまうが、そこへ助けに現れたのが早瀬だった。早瀬はすんでのところで直人を助け、先ほどの子供の危機を救ったことを褒め称える。そして直人は、早瀬にあらためて滑りを教えてほしいと頼むのだった

パイセンさ ちょっと体鍛えてみねぇ?

冬のある日、八王子直人部長が美術大学に無事合格したことを知って安心する。そんな中、直人は長瀞早瀬と出会ってそろそろ一年になるが、未だに彼女についてよく知らないことに気づく。そこで直人は蒲生まきヨッシーに、早瀬は柔道経験者なのかと尋ねると、なぜかまきから蒲生家で経営しているスポーツジムのチラシを渡され、土曜日のお昼頃に見学に来るように誘われるのだった。こうして直人が指定された時間にジムを訪れると、ちょうど早瀬とまきが総合格闘技のスパーリングをしていた。そこで直人は、近日中に行われる校内柔道大会に向けて練習していることを二人に打ち明け、早瀬に柔道を教えてほしいと頼み込む。早瀬はこの申し出に応じ、練習後に直人はあらためて早瀬は柔道選手なのかと尋ねる。しかし早瀬はすでに柔道を引退しており、復帰する予定はないと告げる。直人はこれを残念に思いつつも、先ほどのスパーリング中、早瀬が見せた柔道の技が非常に美しかったと伝える。すると早瀬は複雑な表情を浮かべながらも喜び、照れて去っていくのだった。

メディアミックス

 テレビアニメ

2021年4月より、本作『イジらないで、長瀞さん』のテレビアニメ版『イジらないで、長瀞さん』が、TOKYO MX、BS11、MBSほかで放送された。監督は花井宏和、シリーズ構成は岸本卓、キャラクターデザインは鈴木美咲が担当した。キャストは、八王子直人を山下大輝、長瀞早瀬を上坂すみれが演じている。2023年1月からは第2期『イジらないで、長瀞さん 2nd Attack』が放送。

登場人物・キャラクター

長瀞 早瀬 (ながとろ はやせ)

風早高校1年C組に在籍する女子。部活動は無所属ながら、よく水泳部の助っ人を買って出ている。胸まで伸ばした黒のストレートロングヘアをヘアピンでまとめている。小柄で痩せているため、胸の大きな女性にコンプレックスを抱いている。釣り目で色黒な肌が特徴。蒲生まきとヨッシーからは「ハヤっち」、桜からは「トロちゃん」と呼ばれている。また、文化祭で猫のコスプレをしていたことから、部長には「ネコミミ女」と呼ばれている。高校1年生の春、偶然八王子直人の描いたオリジナル漫画を読んだことで直人と知り合って強い関心を持つようになる。やや意地悪で言動がきつく、時に相手を傷つけるほどからかってしまうため、当初は直人から苦手意識を持たれていたが、その後も積極的に直人と接するうちに少しずつ打ち解け、恋人とも友人ともつかない奇妙な関係を築くようになる。物おじしない性格に加えていじめっ子気質でもあるが、自分が時に言い過ぎてしまうことを自覚しており、あとで反省したり、その場で謝罪したりするときもあり、本質的には常識人である。また、直人に対しては恋愛や性的な話題でからかうこともあるが、長瀞早瀬自身に交際経験はなく、自分にこれらの話題をふられると途端に照れてしまう。さらに、積極的に絡むのは直人だけで、ほかの男性には基本的に無関心ながら、自分以外の人間が直人をからかうと途端に不機嫌になったり、怒って反論したりすることも多い。以前は柔道をやっていたが、伸び悩んだことを理由に辞めてしまった過去がある。しかし現在も柔道に未練があり、これを直人に見抜かれたため、もう一度向き合うことを決意する。兄と姉がいる。

八王子 直人 (はちおうじ なおと)

風早高校2年B組に在籍する男子。美術部に所属している。焦げ茶色の天然パーマのショートヘアに眼鏡を掛け、長身で痩せた体型で、やや地味でさえない雰囲気を漂わせている。長瀞早瀬たち後輩からは主に「センパイ」「パイセン」といった敬称で呼ばれており、友人からは「直くん」と呼ばれている。やや気弱なところはあるものの、まじめで心優しい性格で、一つのことに熱心に取り組む努力家でもある。趣味はイラストや漫画を描くことで、高校2年生の春、オリジナル漫画作品の原稿を早瀬たちに読まれたのがきっかけで、早瀬たちと知り合う。当初は漫画の内容を痛烈に批判されたこともあり、早瀬に苦手意識を抱いていた。しかし、何度も接するうちにその人柄を知り、少しずつ親しくなっていく。また、この過程で少しずつ自分に自信が持てるようになり、次第に蒲生まきやヨッシー、桜といった、早瀬の友人ともなかよくなる。イラストを描くことだけでなく、漫画やゲームも大好きなオタク気質で、基本的に成績は優秀ながら新作ゲームに熱中しすぎて成績に影響が出そうになったこともある。

長瀞フレンズ (ながとろふれんず)

長瀞早瀬と同じ学校の友人である二人組の女子。八王子直人から「長瀞フレンズ」もしくは「フレンズ」と呼ばれている。長瀞とは異なり、直人に好意を抱いているわけではないが、馴れ馴れしい態度で彼の事をからかったりしているため、直人を独占したい長瀞とよく喧嘩をしている。

蒲生 まき (がもう まき)

風早高校1年C組に在籍する女子。長瀞早瀬、ヨッシー、桜の友人で、四人でよく行動を共にしている。実家はスポーツジム「GAMOU Figting Gym」を経営しており、蒲生まき自身も総合格闘技をやっている。胸まで伸ばしたロングヘアで、長身に加えて胸が大きい。気が強くやや意地悪な性格をしている。あだ名は「ガモちゃん」。他人を困らせるのが大好きで、ややきつい言動が目立つ。しかし、一度親しくなった相手には積極的に世話を焼くタイプで、困った時には非常に頼りになる。春のある日、早瀬とヨッシーと共に図書室で過ごしていたところ、偶然八王子直人の描いたオリジナル漫画を読んだことで直人と知り合う。当初は直人を地味でさえない男性だと認識し、意地悪していた。しかし、直人と早瀬が親しくなる過程でその人柄を知り、少しずつ態度を軟化させていく。総合格闘技では、その長身を生かした戦いを得意としている。

長瀞早瀬の姉 (ながとろはやせのあね)

長瀞早瀬の姉の若い女性。肩まで伸ばしたセミロングヘアで、左目尻にほくろのある。穏やかな性格ながら、どこか威圧感を感じさせる。八王子直人からは、ひそかに「姉瀞」と呼ばれており、中性的な口調で話す。言葉遣いは優しいが、どこか逆らいづらい雰囲気があり、早瀬も姉にはかなわない。直人とは2年生の冬、早瀬のお見舞いに訪れたことで知り合った。

ヨッシー

風早高校1年C組に在籍する女子。長瀞早瀬、蒲生まき、桜の友人で、四人でよく行動を共にしている。ロングヘアのツインテールの髪型で、たれ目でのんびりとした雰囲気を漂わせている。見た目から天然気味な印象を与えるが、場の空気を読んだり、周囲の感情の機微を察するのに長けている。そのためトラブルが起きた際にはいち早く気づき、原因となった行動を控えたり、仲裁役に回ったりすることが多い。春のある日、早瀬とまきと共に図書室で過ごしていたところ、偶然八王子直人の描いたオリジナル漫画を読んだことで直人と知り合う。当初は直人を地味でさえない男性だと認識し、意地悪していた。しかし、直人と早瀬が親しくなる過程でその人柄を知り、少しずつ態度を軟化させていく。まきのことが大好き。

部長 (ぶちょう)

風早高校に通う3年生の女子。美術部の部長を務めている。腰まで伸ばしたストレートロングヘアの姫カットで、長身に加えて胸が大きい。いつも堂々とした、威厳のある美少女。主に名前ではなく「部長」の敬称で呼ばれている。文化祭ではバニーガールの格好をして部の宣伝を行い、その後もこの格好を好んですることから、長瀞早瀬には「ウサミミ女」と呼ばれている。生真面目で厳格な性格で、やや芝居がかったような男性的な固い口調で話す。また、作家としても非常に優秀でセンスにあふれており、高校生ながらに大学生と合同の展覧会でも上位入賞するほどの実力者。そのため部員たちからは畏怖の念を抱かれており、八王子直人も部長には頭が上がらない。2年生までは部活動に心血を注いでいたが、美術大学を受験するため、3年生に進級するのを機に部活動を休止した。その後、予備校に通い始めたため、秋までは美術部にまったく顔を出していなかった。しかし文化祭が近づいたある日、最近美術部が部外者のたまり場になっているとの噂を聞き、廃部にしてしまった方がいいと考えるようになる。そこで美術部に様子を見に行き、直人に文化祭で活動の成果を見せるようにとせまる。部長自身を作品の題材にすることが多く、さらに自らの裸体の絵をよく描いている。これは抑圧と解放を絵のテーマにしているからなのだが、作品作りのために校内やその周辺を裸で闊歩しているため、周囲を驚かせている。

(さくら)

風早高校1年C組に在籍する女子。長瀞早瀬、蒲生まき、ヨッシーの友人で、四人でよく行動を共にしている。顎までの高さのウェーブボブヘアをヘアピンでまとめている。たれ目で色黒の肌の持ち主で、胸が大きい。おっとりとした性格で、ふんわりと間延びした口調で話し、容姿もかわいらしいことから男子に非常に人気がある。そのため男性の扱いに長けており、気に入らない男性グループがあれば、わざとそのグループに入って全員を自分に夢中にさせ、メンバー同士を対立させては崩壊に導く「サークルクラッシャー」という怖い一面を持つ。このことから周囲には、頭はいいが腹黒い女性だと評されている。ある日、学生食堂を占拠している男子グループに「サークルクラッシャー」を行うが、その中の一人がストーカーと化して困惑する。この時に八王子直人から助けられたことで、彼に関心を抱いて親しくなった。

書誌情報

イジらないで、長瀞さん 20巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2018-03-09発行、 978-4065111963)

第2巻

(2018-06-08発行、 978-4065116753)

第3巻

(2018-10-09発行、 978-4065121764)

第4巻

(2019-02-08発行、 978-4065144404)

第5巻

(2019-06-07発行、 978-4065153055)

第6巻

(2019-11-08発行、 978-4065175187)

第7巻

(2020-03-09発行、 978-4065185179)

第8巻

(2020-07-09発行、 978-4065201039)

第9巻

(2020-11-09発行、 978-4065212455)

第10巻

(2021-03-09発行、 978-4065226445)

第11巻

(2021-08-06発行、 978-4065240236)

第12巻

(2021-12-09発行、 978-4065262788)

第13巻

(2022-04-08発行、 978-4065275191)

第14巻

(2022-08-09発行、 978-4065287729)

第15巻

(2023-01-06発行、 978-4065303368)

第16巻

(2023-05-09発行、 978-4065316566)

第17巻

(2023-09-08発行、 978-4065328828)

第18巻

(2023-12-07発行、 978-4065339350)

第19巻

(2024-04-09発行、 978-4065351628)

第20巻

(2024-08-07発行、 978-4065365700)

イジらないで、長瀞さん 特装版 10巻 講談社〈プレミアムKC〉

第2巻

(2018-06-08発行、 978-4065119907)

第3巻

(2018-10-09発行、 978-4065136355)

第5巻

(2019-06-07発行、 978-4065167489)

第7巻

(2020-03-09発行、 978-4065187876)

第8巻

(2020-07-09発行、 978-4065201046)

第10巻

(2021-03-09発行、 978-4065226476)

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