概要・あらすじ
アメリアは、不気味な森が隣接する小さな村「イセングリム」で、兄のフランクとともに診療所を営んでいた。ある日アメリアは、村で怪我をしたウォルフと知り合う。彼は森を監視するためにやって来た森番だった。アメリアは、ウォルフと知り合ってからというもの、謎の炎や恐ろしい化け物など、何かと不思議なことに遭遇するようになる。
そんな中、一見冴えなく頼りないながらも、時として毅然と村を守るウォルフの姿を見て、彼の不思議な魅力にアメリアは心惹かれていく。
登場人物・キャラクター
アメリア
兄のフランクとともに、イセングリムで診療所を営んでいる21歳の女性。明るく前向きな性格で、自分の家を飾ったり、掃除をして磨き上げたり、料理をすることが大好き。パン屋やカフェの手伝い、果樹園や仕立屋など、さまざまな場所で仕事をした経験がある。もともと兄のフランクとともに幼い頃から孤児院で育ったが、兄だけが村の老医師の養子になったため、しばらくの間離れて暮らしていた。 その後、独立した兄に呼ばれて村で再び一緒に暮らすようになり、慌ただしくも幸せな毎日を送っている。森番のウォルフと知り合ってからというもの、不思議なことに遭遇する機会が増える。何かと謎の多いウォルフに興味があり、彼の不思議さに心惹かれていく。家庭や結婚生活というものに憧れを持っている。
フランク
妹のアメリアとともに、イセングリムで診療所を営んでいる青年。村の人々からは医者として信頼を得ており、とても慕われている。張り切りすぎる妹のアメリアをいつも心配し気にかけている、妹想いの優しい性格。もともとは、アメリアとともに幼い頃から孤児院で育ったが、自分だけが村の老医師の養子になったため、しばらく離れて暮らしていた。 その後、独立を機に孤児院から妹を呼び寄せ、再び一緒に暮らし始めた。森番であるウォルフがアメリアと親しくなることでアメリアに危害が及ぶことを危惧し、ウォルフに対して警戒心を抱いている。
ルル
イセングリムに住む16歳の少女で、アメリアと親しい。いつも村に住む他の少女たちと連れ立って料理やおしゃべりに花を咲かせており、明るくかしましい。ミーハーなイケメン好きで、フランクに想いを寄せ、またにぎやかな街に憧れを抱いている。結婚願望は強いものの、料理は苦手。
ウォルフ
イセングリムと森の境にある門の番人を務める、森番の男性。不思議な黒い眼鏡をかけており、素顔を見ることができない。イセングリムに異変がないかどうかをいつも見張っている。また、不審者やよそ者に注意を払う他、村で起こる不思議な出来事に注視することも隠れた役割の1つ。この冬に村にやって来たばかりで、村の人々との面識はほとんどない。 自分や人の外見に関してはかなり無頓着だが、人の体から出るエネルギーや匂いなどから、内面の美しさを見ることができる。また、普通は見えないようなものを見ることが可能で、変わった発言も多いなど、いつも自然体ながら、変わり者として知られている。赤ん坊の頃に両親を亡くし、今の親に引き取られた経緯がある。
ローズ
イセングリムに住む少女。3か月前に父親を急病で亡くしてから元気をなくしていたが、最近は落ち込んでいるかと思えば妙にはしゃいでみたりと、不安定な様子が見受けられるようになった。亡くなった父親に帰って来てほしいと願ってから、地中深く埋葬されたはずの父親が食事の時間に姿を現すようになっており、心を悩ませている。
ディーン・オリヴァー (でぃーんおりゔぁー)
アメリアの見合い相手の男性。かつてアメリアを一目見て気に入り、密かに想いを寄せていた。気の強いディーンの母がアメリアに見せる態度に内心困り果てているものの、アメリアの心に寄り添い、添い遂げたいと考えている。
ディーンの母 (でぃーんのはは)
ディーン・オリヴァーの母親。気が強く、何に対しても辛口。孤児院育ちで身寄りのないアメリアと、息子のディーンがお見合いをすることについて本心では快く思っていなかったが、愛する息子の希望を聞き入れ、見合いの場を設けることに応じた。村では名士として名が通っているオリヴァーの家柄を重んじているため、アメリアに対して求めることも多く、それに応えようとする彼女の努力をなかなか認めてあげられない。
場所
イセングリム
アメリアたちが暮らす小さな村の名称で、その周辺一帯のことも指す。イセングリムの村には古代から続くとても深い森が隣接している。村人の間では「呪われた森」と噂されており、人々は森に関して多くを語るのを嫌がる。境界である西の川向こうの木を切ると森のたたりがあるなど、昔から不思議な言い伝えや魔物の噂が数多く存在するが、迷信と言われながらも、村の木こりのあいだでは古い教えが守られている。