概要・あらすじ
厚労省の患者安全委員会のもとに、台田総合病院で医療事故が起きたと匿名の告発があった。調査室所属の阿里玲は、これを南米に蔓延する伝染病「シャーガス病」ではないかと疑う。しかし、病院の医師や患者の遺族は調査の中止を求め、さらに厚労省の上層部からも事故の隠蔽の命が下る。不審に思った阿里は独自に調査を開始し、寄生虫の専門家・紐倉哲に協力を要請。二人はやがて、この事故の裏に16年前の食害事件があることを突き止めるのだった。
登場人物・キャラクター
阿里 玲 (あさと れい)
厚労省・患者安全委員会所属の女性。理想主義で融通が利かない性格。人間は不完全であるため、ミスをしないシステムを作ることが重要であり、そのためには事故の原因究明が不可欠と考えている。
紐倉 哲 (ひもくら てつ)
寄生虫の専門家。『インハンド』では主人公として登場する。虫刺されに苦しんでいる猿が背中をこすりつけていた木の成分からかゆみ止めを作り、大金持ちとなった。現在は箱根にある潰れた植物園を買い取り、自身の研究所としている。かつてはバイオテロの専門家としてFBIのコンサルタントを行っていたが、ある事故で右腕を失い義手となった。時折、幻肢痛に苦しんでいる。
網野 (あみの)
厚労省・患者安全委員会室長。理想主義の阿里玲を疎ましがりつつも、彼女の仕事をサポートしている。
入江 (いりえ)
厚労省・患者安全委員会所属。事なかれ主義でリアリスト。モットーは人生をスムーズに生きていくこと。
松山 (まつやま)
台田総合病院感染症科の医師。はじめに阿里玲がシャーガス病を疑った際は否定したが、実は患者安全委員会に匿名で告発を行っていた。
倉井 (くらい)
厚労省医政局長。16年前にシャーガス病の食害事件が起きた際、原因となったジュースのトクホ認定に関わっていた。
江里口 新 (えりぐち あらた)
16年前に起きたシャーガス病の食害事件が原因で、娘が自殺している。
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インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 (いんはんど ひもくらはかせとまじめなみぎうで)
天才科学者・紐倉哲が、助手の高家春馬とともに、医療にまつわる難事件に挑むさまを描いた医療ミステリー作品。『インハンド』シリーズ第二作。 関連ページ:インハンド 紐倉博士とまじめな右腕