概要・あらすじ
とある港町。漁師の父を持つ17歳の高校生、和田積湊は、小さい頃から魚が大の苦手だった。中でも真っ暗な海底にいる深海魚の大群などは、想像するだけで背筋が凍る思いだった。ある日の登校途中、海岸近くの道路を歩いていた湊は、陸に打ち上げられた魚に遭遇する。魚嫌いの湊だったが、勇気を振り絞って、その魚を海に返してやった。するとその直後、海面が大きく盛り上がり、湊は海に引きずり込まれ、気絶してしまう。意識を取り戻すと、湊はキラキラした美少女に取り囲まれていた。深海の女王だというクレアが、湊に事情を説明する。ここは「ラティメリア」という深海の世界で、自分が湊を呼んだのだという。陸に上がった魚を助けた湊のことを見ていて、彼を王子様に選んだのだ。王子様の使命は、深海に住むマーメイドの誰かと真実の愛を育み、キスをすること。王子様のキスを受けた者は、プリモ・マーメイドという特別なマーメイドになることができる。そして、湊が地上に帰るためには、そのプリモ・マーメイドの力が不可欠なのだという。こうして深海生活を強いられることになった湊は、入江あかりというお世話係をパートナーに、学校へ通うことになった。元気のない湊を元気づけようと、あかりは自分のお気に入りの場所に彼を連れて行った。学校よりもさらに水深が深い真っ暗な場所で、そこから見上げると、プランクトンや鉱石の輝きが、星空のように見えるのだった。「いつかプリモ・マーメイドになって、本物の星空を見るのが夢だ」と語るあかり。そのきれいな横顔を見ているうちに、湊は心臓の鼓動が高まってくるのを感じた。あかりに恋心を抱きかけた瞬間、彼女の姿はチョウチンアンコウに変わった。大の苦手である深海魚を間近に見た湊は、そのまま気絶する。あかりをはじめとするマーメイドたちは、人間と深海魚のハーフであり、リラックスしたり疲れたりすると、無意識に本体である深海魚に戻ってしまうのだ。マーメイドの本当の姿を知った湊の深海生活は前途多難であった。
登場人物・キャラクター
和田積 湊 (わだつみ みなと)
港町に住む17歳の男子高校生。小さい頃、漁師である父に、生きた魚を無理やり持たされたトラウマから魚嫌いとなる。また、父によるスパルタ水泳訓練のせいで、カナヅチでもある。ある日、道路に打ち上げられていた魚を助けたことから、深海の女王、クレアにより「王子様」に選ばれ、深海世界に拉致される。以来、深海魚のマーメイドたちに囲まれて、深海で暮らすことになる。
入江 あかり (いりえ あかり)
深海に住むマーメイド。和田積湊のお世話係。本体はチョウチンアンコウで、赤くて長い髪の毛とヒトデの髪飾りが特徴。頭の天辺から伸びている一際長い髪の先には、イリシウムという発光器が付いている。また、興奮すると髪の毛全体が発光する。純情なドジっ子。いつかプリモ・マーメイドという特殊なマーメイドになって、地上に行くことを夢見ている。
クレア
深海の世界「ラティメリア」の女王。プリモ・マーメイドという特別な存在。本体はクリオネで、王冠とヒラヒラのドレスが特徴。和田積湊を、深海の世界に引きずりこんだ張本人で、「王子様としてマーメイドの誰かとキスすること」を湊に依頼する。いつも穏やかな表情をしているが、イザというときは「バッカルコーン」と呼ばれる6本の触手で相手を脅す。